エロゲ転生~異世界転生したのに、転生先がエロゲなうえにTSした件~ 作:どくいも
肉便器とやさしい調教師おじさん達との楽しい交流の後の午後。
私は孤児院の訓練場にいた。
孤児院内にある中庭にあり、無数の丸太や木刀、いくつかの運動器具もどきが置かれている、戦闘職を志す孤児のためにある施設である。
さて、なぜこんなところに自分がいるかと聞かれれば、当然将来私が冒険者になるための訓練のためである。
午前中にやっていた薬品調合など、自分の中にある【才】に基づいた行動を起こせば貢献点とやらがたまりやすくなり、それは訓練や練習でも貯まるのだ。
「今回は、長物の練習をしておくか」
そうしてまだ誰もいなかった練習場で、私は長い棒を借りて、丸太を標的に見立てて打ち込みを始める。
――打ち込み。
――突き。
――薙ぎ払い。
本来ならば、棒術も戦術も理解できないガキの棒振りなど、なんの戦闘訓練にもならないはずだ。
しかし、自分の中にある【戦士の神才】が知らないはずの棒の振り方や戦い方、さらには足さばきに力の入れ方など、戦い方のありとあらゆる細かい部分を教えてくれる。
棒を振るえば振るうほど、自分の握る長棒の勢いが増し、丸太を叩く打撃音も力強くなっていく。
さらには、強くなれる充実感を得られるうえで貢献点というおまけまでもらえるのだ。
前世は、せいぜいウィンタースポーツくらいしかやっていなかった自分でも、これは素直に楽しいと思える時間だ。
「あ!エレだ!おまえ、ずるいぞ!」
「……む~!!男女!なんでそこにいるんだよ!」
……もっともその楽しい時間にもすぐに妨害が入ってきた。
それは他の孤児院の男孤児。
将来、冒険者を目指すため、この訓練場で日々訓練という名の遊びをしていた少年たちだ。
「おい!エレミア!なんでお前がここにいるんだよ!」
「……普通に、冒険者になるための訓練だよ。
別に、おかしくないことだろ?」
「おかしい!ここは俺達みたいな将来冒険者になる奴のための訓練場なんだ!
おまえみたいな、ニワカ女がお遊びでくる場所じゃねぇんだ!」
そして、彼らは私がここで訓練しているのが不満らしく、いつも文句を言ってくる。
いや、彼らの言い分は実はわかる。
そもそも私は自分の記憶がよみがえるまでは、あまり運動や荒事に興味がなく、家事やボランティア、座学などに努めていた系少女だったのだ。
そんな奴が、突然冒険者を志す荒々しい思春期少年の聖域にのこのこと現れて、勝手に訓練具を使っているのだ。
文句の一つも言いたくなるだろう。
「……まぁ、色々とごめんね。
とりあえず、隣の丸太と他の武器なら余ってるから、そっちを使ってくれ」
「やだ!俺はその丸太を使いたいんだ!」
「……なら、私が隣の丸太を使う、それでいいだろ?」
「やだ!ここにある丸太は全部俺たちのもんだ!
だから、エメリアはさっさと帰れ!」
……もっとも、多少の負い目があったとしても、流石に彼らの発言をすべて鵜吞みにしていくわけにはいかないし、従っていたらまともに訓練すら出来なくなってしまう。
さらに言えば、実はこの孤児院では訓練場の使用回数で、将来の冒険者体験の際にどの冒険者パーティに割り振られるかが決まるとの噂があるのだ。
将来の夢のためにもここで行う訓練を妥協するわけにはいかないのだ。
「バーカ!ブース!……やっぱり、ちょっとブース!」
「ア―ホ!チビ巨乳ー!!」
だからこそ、こちらは訓練を続けさせてくれるのならば、多少の彼らの悪口ぐらい甘んじて受けることにしていた。
もちろん、向こうから手出ししてくれば、それなりに対応させてもらうが、それでも悪口くらいならかわいいものだ。
それに、以前ちょっと性的乱暴をしてこようとした馬鹿ガキには、実力で分からせたところ、直接的乱暴をしてくる奴はほとんどいなくなったので、すでに安全といえば安全だ。
かくして、暴言にさらされながらも訓練を続けていることさらに数刻。
ようやく、ある意味では自分が目的にしている人物がそこに現れたのであった。
「……あ~?
なんで、娼婦がこんなところにいるんだ?」
そこに現れたのは、一人の巨体の孤児。
燃えるような赤い長髪と、鋭い犬歯。
さらには、頭部に角といくらかの鱗が生えた人物が現れた。
「あ!アニキ!」
「このクソ女が!」
「……お前らじゃ、力不足だ。
引っ込んでろ」
「「「へい!!」」」
コイツの名前はドラン。
この孤児院でもなお珍しいドラゴンハーフであり、この冒険者候補男児のリーダー。
そして、私がこの孤児院でやけに肩身が狭い思いをしている原因でもある。
「おい、男女。
ここはおめぇみたいな半端もんがくる場所じゃねぇんだよ」
というのも、なぜこの訓練場でやけに周りから嫌われているのかと聞かれれば、その一番の原因はこの訓練場の実質的なリーダーであるこいつが私を嫌っているからだ。
もちろん、こいつが直接部下に私を排除するように命令しているほど陰湿ではないとは思っているが……正直若干怪しくもある。
「お前みたいな愛嬌と顔しかいい所のない女が、冒険者なんてやれるわけないだろ。
冒険者志望を舐めているのか?」
「舐めてないよ。
舐めてないからこそ、真面目に訓練しているんだけど?」
今だって、本当に嫌いなら無視して訓練すればいいものの、わざわざこちらに声をかけて、嫌みを言ってくるのだ。
なんなら、記憶を取り戻す前から、こいつは私に対してやけに嫌味やらセクハラをしてきたからなぁ。
いろんな意味で、問題児だ。
「ま、何はともあれ、訓練中の邪魔なんだけど。
邪魔だから、さっさとのいてくれない?」
しかし、そんな孤児院の中でも特に問題時なコイツでも一つくらいいいところがあるのだ。
「うるせぇ、この雑魚メス。
あんまり生意気言うと、犯すぞ?」
「やれるもんならやってみろよ」
「言ったな!!!
今日こそ女に生まれたことを後悔させてやる!!!!」
それは、こいつが半端に律儀で、同時に非常に喧嘩早いことだ。
「いけー!ドランのアニキ!!
やっちまぇえ!」
「ドランさん!今日こそその生意気な雌豚をたたきのめしてくれぇ!」
此方の挑発に乗ったドランは、周りにいる取巻きから木刀を奪い、こちらに向かって突撃してくる。
「ルールは、いつも通りでいいね?」
「は!!言ってろ」
コイツは一見本気で切れているようで、ルールを口に出すとその通りに動いてくれる。
つまりは、周りにいる孤児による袋叩きとか、夜襲なしの楽しい本気の模擬戦を行えるわけだ。
自分とドランの模擬戦が始まると、周囲で悪口を言っていた孤児達が集まり、野次を飛ぶようになる。
6割ドランの応援、3割こちらの悪口。
実に悲しい限りだ。
「くっそ、ちょこまかと……」
それとドランは子供とは言えドラゴンハーフであり、同時にこの冒険者志望達のトップに立つ孤児だ。
種族としての特性により、その肉体は強大なのに動きは俊敏。
踏み込みで地面がわずかに揺れ、その拳を振るうたびに空気が裂ける。
まともな子供なら勝てるわけがないし、すでに大人顔負けの体格をしているので、初心者冒険者ぐらいなら無理なく押し勝つことができるだろう。
「ほい!」
「ずぅぅうううううう!!!」
しかし、こんな凶暴児相手でも無理なく打ち合えるのは、流石【戦士の神才】と言った所だろう。
もっとも、私がこいつに渡り合うために、すでに【闘志】に【武術】、さらには【素質ある身体】という三つの小才を覚醒させていたりする。
【武術】を覚醒させた効果は、受け身や踏み込みといったすべての武術に通じる戦いの基礎で、【素質ある身体】には身体系状態異常耐性と高い回復力。
【闘志】は精神状態異常耐性に戦う時の勇気や戦闘中の冷静な判断力を強化する効果がある。
正直当初は、こんな子供相手に、戦士の才を持った中身大人の男女が戦いを挑むのは色んな意味で恥ではと思っていた。
「いがぁああああ!!!!!」
「ハイ、自分の持つ武器を破壊させたからそっちの負け~。
まだ続ける?」
「……っ!!当たり前だ!」
が、それでも自分の握力で木刀を握りつぶすほどの剛腕と荒ぶる気性相手に、手加減するのは不可能であった。
それに実のところ、模擬戦自体そこまで私の勝率が高いわけではない。
せいぜい8:2、いや、7:3くらい。
つまりは私とコイツの戦闘力は、そこまで離れているわけではないということだ。
「……ふぅ、ふぅ」
「ぜぇ、ぜぇ、そろそろ観念したらどうだ?
このチビ雌!今なら、肉壺程度で済ませてやるぞ?」
ついでに言うと、種族特権からか、そのスタミナもほぼ同程度。
その為、模擬戦を終わり際は大体どちらも疲労困憊だ。
色んな意味で、普通の冒険者志望の子供ならコイツ相手負けてしまうのも理解できるし、こいつを取り巻くガキが多いのも納得ではある。
しかし、それでもなお、私はコイツに対してこれだけは言いたかった。
「……とりあえず、周囲の男相手にマンコ濡らしながら、こっちにはチンコおったてて告白するのやめてくれない?
いろんな意味で見るに堪えないんだが」
「殺す」
ドランが、私の言葉に対して激昂して突撃してきた。
そうだ、実はこのドランは人とドラゴンの両方の特徴を持つドラゴンハーフではあるが、どうやら彼女の元になったドラゴンは両性具有、つまりはドランは【ふたなり】系オラオラ女子なのだ
そのせいで、彼女は男にも色気と強さを兼ね備えて誘惑しているくせに、女相手にも性的な目と暴力で支配しようとしてくる。
元男の現体は女としては、ドランが普段は周囲に男を侍らせてにやにやしているのも見ていてきついし、こちらに対しては暴力と性欲で手籠めにしてこようとする態度も、受け入れられない。
つまりは、模擬戦以外ではいろんな意味であわない相手なのだ。
会うたびにセクハラ発言もあれだし、そもそも口もききたくないから、模擬戦でもなければ、訓練場でも関わりたくない。
昔はもう少しマシだった覚えがあるのだが、時の流れとは残酷である。
「へい、おやすみ」
「ぐえっ!!」
そうして、一連の模擬戦を締めくくる一撃として、ドランの頭部に向けて強めのツキを放った。
もっとも、ドランも成長しているのか、こちらの脳を揺らす顎への一撃は避けたものの、代わりに強く喉に長棒がぶつかり、ドランに致命傷を与えるのに成功した。
すでに手足の疲れは限界のようだし、まともに木刀を握ることすらできないだろう。
(よし!これで、今回も貢献点をかなり稼げたな!)
自分の脳裏に浮かんだ、自分の成長したステータスと稼いだ貢献点の量に思わず頬が緩む。
どうやら貢献点的には、只素振りをするよりも模擬戦のほうが貢献度は高いらしく、さらにはドランほどの強さを持つ相手なら、ボーナスポイントが付くようだ。実に嬉しい話である。
「……げほっ!!
おまえ、俺を、私を見て嗤ったな!?
殺す、犯す、孕ませる!!!」
もっとも、そんなニヤケ顔を浮かべたせいで、ドランには変な勘違いをされたが、また、些細な問題だろう。
「あ~、そういうわけじゃないんだけど……。
あぁ、そろそろ夜の当番の時間だから、それじゃ」
「おいまて!お前ら止めるな……
……って、おい!アホ共、お前らどさくさに紛れてどこを触って……ひゃん♡」
かくして、暴走するボスと止める配下たちにより、いろんな意味でもみくちゃにされるドランを尻目に、私は訓練場を後にするのであった。
★☆★☆
「……というわけで、お姫様は王子様と結ばれて、平和に暮らしましたとさ。
めでたしめでたし」
「「「おお~!!」」」
「ね、ね、次は次は!?」
「これ読んで、これ読んで~~!!」
「残念だけど、今日はもう夜遅いからね~。
早く寝る寝る」
かくして、時間は過ぎその日の夜。
とある年少の孤児が集まる部屋において、私は子供を寝かしつけていた。
本来なら、こういうのは私よりももう少し年齢が上の孤児や理知的な保母さん辺りがやるのだが、残念ながらこの孤児院にはその手の人員は少ないのだ。
「ぶる、ぶるるっ、ぶるぅ♪♪」
「ほら見てエメリアお姉ちゃん!
このメス豚さんも、もっとお話聞きたいって言ってるよ~」
「はいはい、メス豚さんが欲しいの話よりもお竿だから。
あんまりメス豚さんに意地悪しないでね~」
「は~い……」
なんなら、この院内にいる数少ない保母がこのメス豚な時点で、寝かしつけという役割は論外なのだ。
女相手はまだしも、男相手なら寝るどころか起こしてしまう方が得意な始末だ。
絶対コイツに保母適正ないだろ。
そんなこんなでわめきたてる子供たちを何とか、なだめすかし、寝かしつけることに成功する。
「ああ、エメリア、やはりここにいましたか。
今日もすいませんね」
そんなことを考えていると、この孤児院の院長兼神父が声をかけてきた。
細身の体と優しい声、情けなさと儚さが似合う中年と大人の間、そんな感じの男性である。
「いえいえ、そんなこと言って、そっちは別の部屋の子の治療と寝かしつけをしていたんでしょ?
お疲れ様」
「ははは、相変わらずエメリアは鋭いですね」
もっとも、こんな頼りなさそうな見た目こそしているが、神聖魔法とメイスによる近接攻撃をすることができるごりごりの元冒険者であり、さらにはほぼ一人でこの孤児院を経営しているともなればその実力と手腕の高さが分かるというものだろう。
さらには、この孤児院のモラルの高さと(孤児院にしては)育成環境の良さを考えると、この院長の人格の良さもわかるというものだ。
「それにしてもエメリアは流石ですねぇ。
聞きましたよ?お昼の仕事も評判がよく、相変わらず子供たちには好かれている。
これは将来、シスターでも歓楽街でも商人のところでも、働くところには困らなさそうですね!」
「ははは、院長先生も人が悪い!
今の私の将来の夢は冒険者志望ですよ~、」
「はははは、そうでしたね!
……はぁ、やっぱり、冒険者の夢、未だに変わりませんか?」
「はい!残念ながら!」
自分のハッキリとした言動に、院長は隠す気もない溜息を吐く。
まぁ、倫理観が高いからこそ院長的には自分が将来冒険者になるという冒険者に対しては思うところがあるようだ。
それでも、こちらが本当に冒険者になりたいと主張さえすれば、頭ごなしに否定はしないのは流石人格者だと言っておこう。
「まったく、あなたほど賢ければ女冒険者が危険だと気が付いているのでしょう。
それなのにまったく……」
「ぶひっぶひっ♥♥」
「こらこら、あまりがっつかないでください。
今はエメリアと大事な話をしているのですよ?
……それとも、お仕置きされたいのですか?」
「~~~~~~~♪♪」
もっとも、そんな人格者である神父様も、このようにメス豚を飼育しているのがこの世界の悲しい所。
神父様が、メス豚にのしかかり、彼女は涎を吐いて喜んだ。
私個人としては、自分がメスでいる限り自分がいつでもあちら側に行く確率があるという事実に思わず恐怖を感じてしまった。
「……はぁ、私としてはこれ以上は股間が持たないので……
もし冒険者として失敗したとしても、あなたはこれにならないでくださいね?」
「神父様、それ、セクハラですよ?」
「ええ、ええ、わかってます。
分かったうえで言ってますので」
こうして、メス豚に跨りながら去っていく神父様を尻目に、自分はああはならない様に、冒険者になってさっさと男に戻ろうと、強く決心するのでした。