エロゲ転生~異世界転生したのに、転生先がエロゲなうえにTSした件~ 作:どくいも
冒険者の宿『愛対死』は少々不吉な名前の宿だが、初心者女冒険者としてはそこそこ良質な宿だ。
飯は微妙で、清掃サービスもそこそこ程度ではあるが、店主が魔法使いなこともあり、セキュリティだけはピカイチだ。
具体的には店の立地がいい、スラムにあるが盗賊ギルドが近くにあるおかげで泥棒がめったに湧かない。
部屋に置いてある金庫は物理的な鍵だけではなく、魔法鍵の二重鍵だ。
そして、トドメに常にスケルトンやゴーストといった使い魔たちが見張っているのだ。
もっとも、冒険者として安月給な彼女たちにしてみれば、ほぼ女人限定で、なのに売春する必要がない程度。
売春有にしてもっと安くていい宿にするか、今のままちょっとお高い宿にするか悩む、その程度の宿のはずであった。
「……で、これは本当?」
そう呟くと、リンは部屋の中央を見た。
するとそこには、そこそこに積み上げられた銀貨があった。
その量、決して膨大とは言えないが少なくとも彼女らの冒険1か月分に相当する。
おそらく、セキュリティ万全のこの宿でもないと平積できない金額であった。
「ほんとだよ~♪
発情中のレッサーオークの性器の美品が3つも!
最高品が1つに良品が2つ!
なんと、金貨24枚分相当だよ!」
ごくりとつばを飲み込む音がする。
金額で言えば決して手に入らない額ではない。
しかし、これをわずか一日で、入手できるともなれば話は別だ。
「い、今まで私達も発情したオークを倒してきたでしょう?
でもこれだけの額にはならなかったじゃん。
え、えっと何か裏でもあるのかな」
「それに関していえば、普段私達が倒しているのは、発情してある程度発散した後のものですから。
対して、あれは発情中なのに無駄打ちしてない状態。
その有用性は天と地ほどの差があるでしょう」
ヨウキは上機嫌に解説をしてくれる。
そうだ、レッサーオークに関しては、彼女たちは何度か倒したことがある。
しかし、それはあくまで犯し終わった後のヘロヘロの状態か、見極めに失敗して戦闘状態になっている個体だ。
今回のような発情中状態のでありながら無駄打ちしてないオークなど、見るのも狩るのも初めてであった。
「きっと、オークとしても、『このメスガキ!ぜってぇ犯してやる!!』
といった具合に、無駄打ちせず、しかし、万全の発情状態で襲い掛かったからでしょうね」
「えぇ!つまり、エメちゃんは無自覚ロリコンオーク吸引機……だったってこと!?」
「おそらくは」
さらっと、エメリアに対する風評被害が広がっているが、まぁそこは割愛する。
「……はぁ、それよりも、これから先どうするの?」
そんなロリ談議に終止符を打ったのはリンであった。
「え?えーっと、エメちゃん呼んで打ち上げするでしょ?
酒場のツケ払って、避妊薬も追加で買って……。
あ、後は武器の修理に出せちゃうかも!」
「違うでしょ」
「そうですよ。
それよりも将来に向けて貯金すべきです。
共有の家を買う目的、忘れたとは言わせませんよ」
「それも違う!!
いや、違くはないけど、今ではない。
エメリアの事でしょ、エメリアの待遇」
リンはそう言って、パーティをたしなめた。
そして話す内容は、エメリアの処遇について。
リンが分析するには、エメリアは新人でありながら、戦闘能力はすでに冒険者としては初心者以上中級くらいあるのだ。
いや、下手したらベテランの域に到達しているかもしれない、初心者に毛が生えた程度の彼女達では荷が重いといえるだろう。
「あの娘は、発情中とはいえ、一人でオークを2体も足止めしたのよ?
しかも武器と言えないような杖で。
その上、綺麗にとどめをさせる新人冒険者がどれだけいると思う」
実際リンから見たエメリアの戦闘力は脅威だ。
そもそもナルサたちのパーティでは、発情オーク相手に1対1ではまず負けて、2対1でもやや有利程度だ。
単身でオークに勝てるエメリアとリンたちが、いかに戦闘能力に開きがあるかわかるだろう。
「それに私が思うに、彼女はまだ何か隠しているよ。
それこそ、私達みたいな初心者に毛が生えたパーティでは、想像もつかないような……ね」
「あ、隠しているといえば、件の美肌クリーム?でしたっけ。
盗賊ギルドにかるく鑑別してもらった所、かなり純度の高い魔法薬だということがわかりました。
もっとも詳細はわかりませんでしたが、少なくとも無学の子供がその辺の廃品でできる精度ではないみたいです」
ヨウキのセリフに、リンはうえっという顔をした。
さらに話せば話すほど、調べれば調べるほど、エメリアの異常性を示す話題がポンポン出た。
それこそ、何か裏があるのではと思うほどには、だ
「ともかく、あの娘は色々な意味で危な過ぎると思うの。
ここは一旦、足並みをそろえて……」
「揃えて、どうするんですか?」
「え、えっと、それはその……。
わ、私達のパーティじゃ荷が重いから、他パーティにお願いするとか?」
「途中で依頼を破棄して?
院長が信頼して任せてくれたのに?」
「う、でも……」
「そもそも私が思うに、リンちゃんは物事を深刻に考えすぎだと思うの!」
真剣に悩むリンとは対照的に、ナルサは満面の笑みでそう返す。
「確かにエメちゃんはすごいよ?
私達全員で、戦っても負けるかもしれない」
「……でも、その程度でしょ?
別にオークの群れを一瞬で倒したり、ダンジョンボスを倒したりはしてない。
英雄やら化け物とは違う、常識的な強さだよ」
「それに、魔法薬だって確かにすごいといえばすごいけど……。
もっと凄ければエリクサーみたいな薬一瞬で怪我を治せる薬を作るでしょ?
精々美肌クリームは前世の夢で見た秘伝の薬とか、その程度のもの」
「まあ、何が言いたいかって言うとリンちゃんはエメちゃんのこと深刻に考え過ぎ!
ちょーと優秀だけど、フォローが必要。
その程度だよ」
対するナルサは、エメリアと自身の実力差ではなく、世間との実力差を見てそう判断した。
ナルサが考えるに、エメリアは確かに強いが、それでもまだまだオークが群れ出来たら倒されてしまう程度だ。
薬の関しても美肌クリームレベルなら、本業の人なら無理なく作成できるレベル。
確かに優秀ではあるが、それでも十分にフォローが必要なレベルである。
「だからこそ、エメちゃんの世話はもっと積極的にしていこうよ!
できれば、研修終わりまでに、あらを残さない様にできる失敗は全部レベルで」
「はぁ!?何馬鹿なこと言ってるの!!
あのレベルの失敗を何度もしたら、私達でフォローできるわけないでしょ!
いい加減にしろ!」
ナルサの余りの楽観的な一言に、思わずリンに罵声が飛ぶ
かくして、議論は加速していくが、結局は結論でない。
意見は平行線のまま、進んでいくかと思われた。
「……ふむ、お二人の言いたいことはわかりました。
なら、ここで一つの折衷案を出すのはいかがでしょうか?」
ヨウキの一言に双方が止まり、彼女に意見を聞く。
初めはヨウキの意見はどちらにとっても受け入れがたいものではあった。
が、時間を立つごとに、このままだと議論に決着はつかず、いつまでたっても先に進まないことに気がついた。
「……仕方ない、ヨウキの意見に賛成。
これならば、少なくともナルサほどの無茶はしないだろうからね」
「ん!なら私もヨウキちゃんの意見に賛成しま〜す!
エメちゃんなら、その程度の試練、難なく超えられるはずですから!」
かくして、パーティの意見はまとまり、次の予定を伝えるべく、洋服屋に連絡を取るのであった。
★☆★☆★
さて、件の発情オーク事件から二日後。
私達は、スラムの表通りにある洋服屋にいた。
ところで現代社会だと忘れがちではあるが、歴史上において衣服とは高いものであった。
当然この世界でも例に漏れず衣服は高級品であり、孤児院では基本的にはお古で済ませるのが通例であった。
「うん!見立て通り!
よく似合ってるよ~!」
だからこそ、服をプレゼントされるのはうれしいのだ。
前世で一枚900円のシャツを愛用していたとしても、男であっても、うれしいものはうれしいのだ。
「……ま、前回のオークの群れ討伐は、イレギュラーだったけど、儲けは儲けだからね。
どう?どこか苦しいとか、穴が開いてるとか、そういうのはない?」
リンが、衣服に穴がないかを触って確認してきた。
此方としては、お古でない新品の服というだけで万々歳なため、気にならないがリンはそうでもないらしい。
え?生活費一ヶ月分はするんだから、その位は文句言わせろって?
ヒェッ。
「まあ、その服は高くなるのもしかたありません。
何せ、その服にはごくわずかにですが【隠れ身】の魔法が掛けられているんですから!」
ヨウキが興奮気味にそう解説を入れていれた。
なるほど、それならば納得だ。
つまりこれさえあれば、隠れ身に乗じて、覗きにセクハラ、やりたい放題だと言うことだ。
そして、そんな装備を無防備に渡してくるだなんて、なんと優しい人だろう。
お礼と警告を兼ねて、マッサージをしてあげるべきだろう。
「……当然だけど、それでできる隠れ身の程度は、若干影が薄くなる程度。
触ったらもちろん、近づいてもバレる程度だからね?」
指を動かしながら近づくと、すぐに釘を刺された。
色々とがっかりだし、しかも聞くところによると効果は永続でないときたもんだ。
がっかり性能にも程があるだろ。
「まぁ、これにも理由があってね!
これを使えば、エメちゃんの美肌クリームを活用できると思ってなの!」
聞くところによると、隠れ身の効果は効果こそ薄いが、匂いや魔力の関する気配にも有効だそうだ。
それならば、匂いをもとに自らに殺到したオークの群れにも有効ではあるそうだ。
「……あれ?ということは、美肌クリームを使い続けるんですか?」
「まぁ、そうだね。
美肌クリームでオークを呼び寄せて、罠やアイテムで迎え撃つつもり。
この方法に思うところはあるけど、この方法だとダンジョンで無駄に歩き回る必要もないし、遠征費もかからないからね。
……もっとも、そちらが嫌なら変えるけど」
一瞬、悩んだが二つの返事でOKをだした。
オークに性的に狙われる危険があるものの、この方法ではナルサたちパーティが淫魔に犯されている間気まずくなる必要も手持ち無沙汰になることもない。
唯一の懸念点はオークの戦闘力についてだが、オークの生態系について詳しいナルサたちならば問題もないだろう。
「あと、先日の戦いぶりから、エメリアの戦闘をある程度許可するから。
……そこのところ、わかってるね?」
「あ、はい!
足を引っ張らないように、頑張ります!」
元気よく返事を返したつもりだが、反応はあまりよろしくなかった。
と言うか、リン先輩がこちらを胡散臭いものを見られてしまった。
いや、見ていて不安になると思うけど、そんな露骨な目で見なくてもよくない?
その後はさらにいくつかの雑貨を買い、いくつかの簡易な武器をそろえ、その他初心者用冒険キットも買った。
さらにその後食事を済ませたところで、リンが口を開いた。
「さて、エメリア、気付いていると思うけど……。
今回の作戦は冒険者のノウハウはあんまり学べない、クソみたいな方法であることは気が付いてるね?
つまり、この作戦だと戦闘経験値は増えるけど、それ以外の経験が貯まらない欠陥実習になってしまう」
「ですが!そのダンジョン実習不足を補うべく、エメちゃんのやり方に合わせた非エロのダンジョン攻略実習を行います★
もちろん、慣れてないので色々と失敗も多いと思うけど……そこは温かく見守ってくれるとうれしいな♪」
ナルサのほうは声は明るく、リンのほうは不安混じりでそう伝えてきた。
さて、私個人としては、この変更はかなり嬉しい。
なぜなら、冒険中に魔物と先輩たちとのセックスを見る必要がないからだ。
それさえなければ、多少の失敗などあってないようなものだ。
「そして、もし実習の終わり際に、ダンジョンの低層の探索が終わりましたら……。
その時は、ダンジョンの中層に潜ってみましょう。
まぁ、そこまで行くのは希望的観測が強すぎますが、目標にするのは構わないでしょう」
「ともかく、これからダンジョン攻略は当初とぐっと変わるから。
ま、これが嫌なら他を紹介するけど……その分だと聞く必要はないか」
返事を聞く、私は彼女たちの手を取った。
かくして、その日から私にダンジョン研修は、いままでの異種姦攻略ではなく、オーク狩り実習と本格ダンジョン実習に変更されたのでした。
なお、一か月後、ダンジョン内のオークが枯れた模様。
「り、臨時収入~~!!!」
さもあらん。