(ちょっと1000字に足りないので加筆しました)
★★★(みゆ)
谷家での私の生活は、身体は楽だったけど。
気持ちが楽では無かった。
何せ、全部やってくれるんだもの。
掃除しようとすると
「ああ、みゆさん。いいからやるから」
って掃除機を奪われ
私が今は2階の部屋に住んでるから、階段を上がるときは家の人がついてきて、転落を気遣われる。
で、しょっちゅう
「階段大丈夫? 上りづらくなったら言ってね? 無理にでも1階の部屋を開けるから」
って言われる。
すごく大事にされる。
まるっきしVIP扱い。
……もっと、義両親とおばあちゃんに気を遣う生活を想像していたのに。
なんだか申し訳ない。
おなかはだいぶ大きくなってきた。
予定日も近い。
私のおなかがパンパンになっていく。
会社の問題が解決したのか、超忙しいモードが済んだ悠介さんが、週末のお休みが来るたびにやってきてくれて。
「みゆ。調子はどう?」
って、様子を見に来てくれる。
嬉しい。
幸せ……!
おなかの赤ちゃんが育っていくにつれて、色々分かってくることがある。
病院での検診で
「多分女の子ですね」
と、お医者さんに言われた。
女の子……!
私はおなかを撫でながら想像する。
女の子を育てる自分を。
どんな服を着せてあげようかとか。
お洒落の仕方を教えてあげようとか。
メイクの仕方を教えてあげようとか。
夢が膨らんでくる。
悠介さんはどうかな?
娘を育てる場合、どんな顔をするんだろうか?
……この子がお嫁に行くときが来たら、悠介さんは泣いてしまうのかな?
赤ちゃんの服はいつくらいに買えばいいのかな?
赤ちゃんグッズはどうなんだろう?
出産予定日を楽しみにしながら、そういうことを考えていた。
……そして。
その日がやってきた。
そのとき、私はソファに座ってフライドポテトを摘まみながら、1階のリビングでテレビを見ていた。
お昼の番組も見飽きたなぁ……って思ってフライドポテトを口に運んでいたとき。
キリキリキリキリ……!
おなかと腰のあたりに、痛みが……
え? 何? 私おなかを壊したの!?
最初そう思ったんだけど。
……どうも違う。
「イタタタタタ……!」
おなかと腰に手を当てて、悶える私。
そこに、お義母さんが現れる。
「みゆさん!?」
お義母さんは瞬時に何かを察したようで、こう叫んだ。
「お父さん! みゆさんが陣痛よ! 車を出して!」
そして谷家の中が大騒ぎになり。
皆が大慌てで私を病院に担ぎ込む準備を整えていく……
私は当然だけど何も手伝えない。
なすがままだった。
なすがままで身を任せていた……
妊婦にはフライドポテトがいいらしい。