※この作品はR-18です。

男の子が欲しい夫婦の話。   作:XX(旧山川海のすけ)

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本編第三話「初デート」回の谷くんサイドについての解釈。


奥さんとの思い出の話。

★★★(悠介)

 

 僕は谷悠介。

 僕の奥さんはとても面白くて賢い女性だ。

 名前はみゆというんだけど。

 

 出会ったのは高校2年生のとき。

 同じクラスになり、隣の席になった。

 そのときに、よく話しかけてくれるから気になってはいたんだけど。

 それはただの挨拶みたいな軽いノリ。

 そう思っていたので、勘違いしてはいけないと思っていた。

 僕は父親から「男は基本的に女より強い。よって、居るだけで脅威を感じる存在であることは自覚しておけ」って教わって来た。

 そういう勘違いは彼女を怯えさせてしまうかもしれない。

 だから、気にはなっていたけど、気にしないでおこう。

 そう思っていたんだ。

 

 だけど。

 

「途中まで一緒に帰ろ?」

 

 あの日、学校の下駄箱で今の奥さんに偶然会ったとき。

 

 その表情と声の調子で、僕は彼女の好意を感じ取った気がした。

 それは、かなり確信めいたものだった。

 

 だから。

 

 思い切って、下校途中に彼女の手を握ってみたんだ。

 

 それが、切っ掛け。

 そこからひと悶着あって、僕は彼女からの愛の告白を受けた。

 そこから恋人同士になって、最終的に結婚したのだけど。

 

 付き合ってみて、僕は彼女がもっと好きになっていった。

 

 喋るのが苦手な僕と違って、ずっと喋り続けてくれるのが楽しかった。

 一緒にいて、心地よい子だった。

 

 そして。

 

 最初のデートのとき、僕は父親からのアドバイスを受けて服装をきちんと整え、出向いたのだけど。

 

 待ち合わせ時間にかなりの余裕を持って出向いたのに、なんと先に彼女の方が待っていた。

 ……正直、女の子は遅れてくるもの。そんなイメージがあったのに。

 早目に出た僕より先に待ち合わせ場所にいるなんて。

 

 なんて誠実な女の子なんだ。

 

 僕はそう思った。

 

 そのときのデートの主目的はハンバーガーを一緒に食べることと、映画を観ること。

 

 彼女がハンバーガーを食べるとき、大口を開けて食べる姿に僕は好感を持った。

 可愛いと思ってしまった。

 

 その後の事だ。

 

 一緒に観た映画は、正直自分の好きなタイプの映画ではなく、物足りないと感じていたんだ。

 観終わった後は。

 

 一緒に観ていた彼女は、すごく感動して泣いていたけど。

 何故泣いていたのか、正直よくわからなかった。

 

 誰かと映画を観た後は、感想会になるのは当然の事。

 そこで彼女が、あまりにも映画の中の地名、キャラクターなど、設定名称を覚えていないのが気になって、僕は思わず

 

「ちゃんと映画見てた?」

 

 と、聞いてしまった。

 

 ものすごく失礼な一言なのは言ってしまってから気づいた。

 でも、思ったんだ。

 感動して泣くぐらいなのに、ここまで覚えていないことは有り得ない。

 

 信じられなかったから、言ってしまったんだ。

 

 すると彼女は怒った。

 酷い、と言ってきた。

 

 自分は映画をしっかり観て、そして感動して泣いたと主張した。

 自分は細かい名前を覚えるのが苦手なだけだ、と。

 

 その証拠を見せてやる。そういう思いがあったのか。

 

 映画の演出面の話を並べだした。

 

 映画の魔女の魔法の掛け方だとか。

 

 コーヒーの淹れ方だとか。

 

 オムレツの綺麗さだとか。

 

 正直、僕が気づけなかった意味合い。

 映像で見ても、そこに一体どんな意味があるのかについて考えが及んでいなかったんだ。

 

 特に驚いたのが、一瞬しか映らなかった食卓の映像についての話で。

 そこに映されていた食器の数が、家族の人数分と一緒だったこと。

 彼女はそれを「ずっと家族が一緒の証拠」と言ったんだ。

 

 僕は言われてようやく、そういえばあのとき映った食器の数が、あの映画の家族の人数と一致することに気づき。

 

 やっと、あの映画の描きたかったことに気づくに至った。

 

 僕が気づかなかったことに気づける女の子。

 僕は彼女の事を賢い女の子だとそのとき思った。

 

 そしてずっと一緒にいて。

 高校生活を終え、大学に入り。

 

 僕が研究者になるために、大学院に進んだ後。

 彼女は先に就職し、企業の営業職として社会で活躍していた。

 

 そこで僕は先に社会人になってしまった彼女に、少し気後れのようなものを感じてしまったのだけど。

 僕はそのことを「自分も彼女に負けないまともな研究者になるための、頑張る糧だ」と思い、大学院で学問と研究に打ち込んだ。

 

 この頃の僕は、もう彼女しか僕の奥さんになる女性はいないと思い始めていた。

 彼女ほど尊敬出来て、頼ることのできる女性はいない。

 

 絶対に結婚したい、と。

 

 そして。 

 

 恋人になるときの告白が彼女からだったから。

 プロポーズは僕がしなければならない。

 そう思っていた。

 

 

 

 大学院生2年の後半。

 研究室で、僕がついていた教授から「教授を目指さないか?」なんて誘われたのだけど。

 僕は正直、自分が人を指導する立場になることが想像できなくて。

 

「多分僕には向いてないと思うんです」

 

 そう答え、僕は一般企業での就職を目指した。

 

 何社か就職活動を行い、運よく、かなり大きな化学工業の会社から内定をもらうことが出来た。

 

 このときばかりは、僕は普段やらないガッツポーズを取ってしまった。

 内定を貰った後、内定者の集会に参加し、先輩社員から「ウチの会社の内定は信頼していい」と告げられて

 

 これで、みゆにプロポーズしても許される立場を手に入れた!

 

 そう思い、また心の中でガッツポーズを取ったんだ。




未だにここのところの真偽が分からねぇ。
谷くんあまり喋らないから
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