※この作品はR-18です。

男の子が欲しい夫婦の話。   作:XX(旧山川海のすけ)

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咲きほこる花のプリンセス


女の子の可能性について会話する夫婦の話。

★★★(みゆ)

 

 

 私はメールしまくった。

 

『子供が生まれました』

 

 って。

 自分の両親やら、友達に。

 皆、私たちのことを祝福してくれた。

 

 サトからは

 

『おめでとう。これからお金かかるだろうから無駄遣いは厳禁だよ』

 

 と言われた。

 

 ナベからは

 

『良かったじゃん。育児ノイローゼにならないようにね』

 

 と言われた。

 

 アズからは

 

『いいねぇ……女の幸せを満喫してるってカンジで。夢いっぱいじゃん』

 

 と言われた。

 

 サトからは現実的なアドバイス。

 ナベからは今言わなくてもいい縁起でもないアドバイス。

 アズからは……いい恋愛してるのかな?

 

 他にもお母さんに「これからは母親の自覚を持って生きるのよ」と言われてしまった。

 ……重く受け止めておこう。

 

 悠介さんの代わりに付き添ってくれてた義母さんは

 

「悠介の赤ちゃんを産んでくれてありがとう」

 

 と感謝された。

 ……ものすごく嬉しかった。

 

 

 

 その日のお昼頃に、この子の父親……つまり悠介さんが産院にやってきた。

 

「遅くなってゴメン……あと、ご苦労様」

 

 じぃん……

 

 一番嬉しかった労いの言葉。

 辛かったけど、頑張ったかいがあったと思う。

 

 ……あなたのためにも頑張ったから、やっぱりその言葉は欲しいよね。

 

 私は抱いていた「暫定名・悠美」を悠介さんに差し出した。

 

「ホラ、私たちの赤ちゃん。あなたの子供だから、抱いてあげて欲しいな……女の子だよ」

 

 言われて。

 悠介さんはちょっとおっかなそうな手つきで、暫定名・悠美ちゃんの頭を支え、身体を抱いて抱っこした。

 

 ……実感、持ったかな?

 父親になった実感。

 

 男の人は、子供が生まれてから父親になるっていうけど……悠介さんはどうなんだろう?

 

「どうですか? 悠介さんの感想は?」

 

 聞いてみる。

 

 すると……

 

「子供が増えて手狭になったら、家を建てないといけないね」

 

 あと、教育費も掛かるんだよね。大変だ。頑張らないと。

 現実的な心配事。

 

 まあ、大事だけど。

 

 でも……

 そんな現実的なことを口にしながら。

 悠介さんは微笑んでいた。

 

 あ……

 

 本当に喜んでくれてるんだな……

 

 それを理解したとき。

 私もとても暖かい気持ちになった。

 

 そして

 

「みゆ……いや、お母さんがいいのかな?」

 

 突如、呼びかけられて。

 

 自覚する。

 

 これからは「悠介」「みゆ」じゃなくて「お父さん」「お母さん」なんだって。

 少なくとも、この子の前では。

 

「はい。何? お父さん?」

 

 ちょっとだけ、緊張する。

 初「お父さん」呼び。

 ドキドキした。

 

 それを受けた悠介さんから返って来た言葉は……

 

「……この子の名前、どうしようか?」

 

 ……来た!

 

 

 

「悠美はどうかな? 悠介さんの”悠”と、私のみゆの”み”で、悠美。悪く無いと思うんだけど……」

 

 私が考えた名前候補を提案する。

 どうでしょう? いい名前だと思うんだけど……

 

 ちょっとドキドキしながら、悠介さんの返答を待つ。

 

 すると悠介さんは

 

「美子で。……みの字は美でいいかな?」

 

 ……へ?

 やけに力強く、そう返されてしまった。

 

 受け入れてもらえると思ったんだけどな……?

 別にキラキラネームじゃないし。普通の名前じゃん。

 それなのに……

 

「……なんでミコなの?」

 

 私の疑問。

 それに対して悠介さんは

 

「名前に”子”の字が無いと、女の子は可能性が一個潰れるから」

 

 と言った。

 

 ……可能性?

 

「皇族方のお嫁になれない」

 

 んんんん?

 

 悠介さんの言葉が飲み込めなくて。

 私は一瞬考えこむが

 

 ……あ!

 

 思い出した。

 そういえば、昔やってた女児番組「G●!プリンセスプ●キュア」で

 

 主役のキュアフ■ーラが、究極形態「アルティメットモードエレガント」に変身できなくて。

 

 その理由が

 

「私の名前が春●はるかだから!」

 

 だったんだよね。

 

 で、複雑な改名手続きを踏んで、見事アルティメットモードエレガントをモノにするんだけど。

 

 そのときの名前が確か、春●はるか子。

 

 当時は何の事か意味が分からなかったんだけど。

 

 あれはそういう事だったんだ。

 ……女児アニメ、恐るべしだよね。

 

 ……でもさ~

 

「この子が将来皇后陛下になるの? 流石にそれは……」

 

 ないでしょ。

 流石に。

 

 谷家は良いお家だけど、そこまでの家だとは……

 

 と、笑い飛ばそうとしたときだった。

 

「旧皇族の人も、未だにそうらしいよ?」

 

 え……?

 

 そこで私は想像した。

 

「お母さん! どうして私に悠美なんて名前をつけたの!? 彼氏が旧皇族の人なのに、これじゃ結婚できないじゃない!」

 

 泣きながら言う悠美ちゃん。

 

 あわわわわ……

 

 これはマズイ。

 億がいち、兆がいちの可能性あるものね。

 念のためにそうしておくのが正解なのかも……

 

 でも……

 

「……じゃあ悠子で」

 

 名前に悠介さんの一字を入れるのは外せないよ!

 

 ……こうして。

 

 私たちの最初の子供の名前が決定した。




まあ、本当に可能性を考慮するなら女の子の名前は
●子
であるべきよね。
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