★★★(みゆ)
産院を退院した私は、元々の私たちの家であるハイツに戻った。
曜日は日曜日。
悠介さんと一緒に帰ってくるためだ。
さー、悠子ちゃん。
ここが私たちの家だよ。
ほぼ1年ぶりの我が家。
「ただいま~」
「おかえり」
私たちの家は……
思ったほど汚れてない。
悠介さん、頑張った!
洗濯物は……ないな。
洗い物が溜まってたり……ない。
……なんでできてるんだ?
一人分だから?
謎だ……。
私はリビングを見回す。
どこか前と違ってるところが無いかな、と。
……おや?
リビングの隅に、木製の檻みたいなものがあった。
私はこれを知っていた。
……ベビーベッド!
木製の檻の中に、白い布団。
赤ちゃんのための寝床だ。
「買っておいた。必要だよね?」
私は振り返り、悠介さんに向かって頭を縦に振りまくった。
悠介さんありがとう!
私は悠子ちゃんをベビーベッドに寝かせる。
……めっちゃこっちを見てる。
……釣り目で。
う~ん……
この子、髪の毛産毛しか生えて無いけど、見た目私のコピーのような気がするんだよねー。
どこかないかなー? と、探してるんだけど。
悠介さんっぽいところ。
……あえていうなら、情報収集してるところが悠介さんっぽい?
ひょっとしたら赤ちゃんはみんなそうなのかもしれないけど。
なんかすごくキョロキョロ見てる。
世界のことを理解しようとしてるのかなー?
可愛い。
「んぎゃわいいいいいい」
……気が付いたら叫んでいた。
すると
ふええええええ!!
悠子ちゃんが泣きだした。
ああ、ゴメンゴメン!
思わず衝動に負けて叫んでしまいました。
ベビーベッドから抱き上げて、あやしながら
色々チェックしてみる。
……おむつは問題ない。
抱っこしても泣きやまないから抱っこでもない。
眠いのか……? それも違う?
じゃあ……
私は前開きのファスナーがついているパーカーを着ていて
そのファスナーを開けた。
この服だと胸を出しやすくて授乳しやすいのだ。
で、ブラのカップを下に下げて。
私は悠子ちゃんに授乳する。
……赤ちゃんを産んで、私の貧乳が改善されたのも嬉しいんだけど……
やっぱり、こうして我が子に授乳する喜びが、最高の幸せかなぁ?
私は勢いよく私から母乳を飲んでいる悠子ちゃんの顔を見ながら、その幸せを噛み締めていた。
★★★(悠介)
僕は目の前で悠子に授乳しはじめたみゆを見て……
ゾクッとした。
その幸せそうな、嬉しそうなみゆの笑顔。
必死でみゆの乳首に吸い付いている悠子。
神々しいはずなのに。
……ムラムラする。
自分の子供を産んでくれた女性が、自分の子供に授乳する。
これが何で、こんなにも興奮してしまうのか。
……これはいけない。
僕は落ち着くために眼鏡を押し上げながら
みゆの持って帰って来た荷物の整理を開始した。
……こんな感じで仕事をしないと、ムラムラが抑えきれなくなりそうだから。
思えば、みゆが居ない10ヶ月間。
僕は、寂しさを誤魔化すために、必死で家事をやってきたけど。
これからは、育児をするみゆに欲情することを抑えるために家事をすることになりそうだ。
そんな気がしていた。
こんな気持ちは健全じゃない。
そんなことは分かっているはずなのに。
★★★(みゆ)
……アレ?
悠介さんがすごく働いてる……?
私が持って帰って来た荷物類を整理してくれてるし。
悠子ちゃんの紙おむつやら、粉ミルクやら。
袋から出して、整理してくれてる。
……私が育児で大変だろうから、家にいるときくらいは僕がする。
そういう気遣いなのかな?
……嬉しい。
私はなんて幸せな女なんだろうか。
私は胸を打たれながら、娘の悠子を抱っこした。
この回は趣味が出た!
全く反省していない!