※この作品はR-18です。

男の子が欲しい夫婦の話。   作:XX(旧山川海のすけ)

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保育園受かった日本生きろ。


娘を保育園に入れたお母さんの話。

★★★(みゆ)

 

 

 保育園に受かった。

 しかも認可。

 良かった。

 私はそのときホッとした。

 

 そろそろ育休が終わるからと、悠子を保育園に入れる手続きを開始して。

 お役所に行ったり、書類を出したりして。

 認可保育園を狙ったんだけど。

 

 ……落ちたらどうしよう?

 前に「保育園落ちた、日本〇ね」と言った人が居たけれど。

 私もそうなってしまうんじゃないの?

 そんな不安に怯えていた。

 

 保育園に落ちるのはマジでヤバい。

 悠子を預けないと、私、職場復帰できないし。

 

 働けなくなるのはマジで困る。

 

 もし認可保育園を落ちてしまった場合。

 

 即座に認可外を探さないと。

 ぐずぐずしている時間はないんだ。

 

 

 

 で、ドキドキしながら手続して。

 無事、受かったから。

 

 ホッとして。

 

 後は、悠子が入園する日に向けて、その他の準備を進めて行った。

 

 通園服と体操服。

 通園服は水色のスモッグ。

 体操服は白い、いかにもなやつ。

 

 それを用意して。

 入園前に着せてみて、似合ってるのを写真に撮って、楽しんだ。

 

 そして、入園日当日。

 

 私は続きで会社に出向くため、出社用のスーツで送り出す。

 悠子を連れて、保育園にやってきた。

 

 ……普通の保育園。

 特に大きいとも思わないし、小さいとも思わない。

 

 普通に園舎があって。

 普通に園庭。

 

 園庭には、遊具。

 滑り台とか。ブランコとか。砂場とか。

 

 ……ここが、これから悠子が過ごす環境なのか。

 

 私は親として感慨深いものを覚えてしまった。

 

「ほら、悠子。今日からお母さんがいないときはここで過ごすんだよ?」

 

 手を引いて連れてきていた悠子に、私は話しかけた。

 通園服姿の悠子は私を見上げて、キョトンとしていて。

 よく理解できていないみたいだった。

 

 私は悠子の手を引いて、保育園に足を踏み入れる。

 

 事前に聞いていた説明通りに、今日からお世話になる保育士さんに悠子を預けた。

 引いていた手を離し、引き渡す。

 

 じゃあね。今日から保育園で頑張るのよ、悠子。

 

 そういう思いを込めて、私は悠子に手を振り。

 

 自分は自分で、会社に向かおうとした。

 

 そのときだった。

 

 悠子が火のついたように泣き出したのだ。

 

 反射的に振り返ってしまう。

 

 悠子は、私に手を伸ばしながら、泣いていた。

 

 行かないで、というように。

 

 ……そこで、私は自分がしようとしていたことが、悠子にどれだけ辛いことだったのかを思い知ってしまった。

 悠子にとって、私はそんなに大切なものだったんだ……

 

 固まってしまう私。

 

 ……でも。

 私には仕事がある。社会人としての責任がある。

 

 今日は会社に出向くことになっている。

 遅れるわけにはいかない。

 

「……よろしくお願いします」

 

 私は保育士さんに頭を下げて。

 その場を後にした。

 

 泣き叫ぶ悠子を振り返るのを堪えながら。

 

 

 

 ……なんて酷い親なんだろう。私は。

 泣く我が子を置き去りにして、こうして仕事に向かうなんて。

 

 会社に向かってバスで移動しながら、私は保育園での事を考えていた。

 

 ……何も考えてなかったよ。

 やっぱ私、バカだ。

 

 保育園に悠子を預けることが、ここまで悠子を苦しめることになるだなんて。

 

 想像してなかった。

 

 どうせ夕方には迎えに来るのだから、大したことはないだろう。

 そんなのは、大人の勝手な考えなんだよ。

 

 ……やっぱ、仕事を辞めた方がいいのかな?

 そうすれば、ずっと悠子と居られるし。

 

 正直、悠介さんの稼ぎだけでも食べていくのは無理ではない。

 多分、いける。

 

 でも……

 

 子供を育てるのには、お金が要るよね。

 教育費もだけど。

 食費も掛かるし、光熱費だって余計に掛かる。

 誕生日プレゼントだって買ってあげたいし。クリスマスだって……

 

 それに私は、悠子のきょうだいを作ってあげたい。

 それにはもっとお金が要る。

 

 そのためには……夫婦共働きが必須。

 避けられないことなんだ。

 うん……間違ってないよ。

 

 そう、思い込もうとした。

 

 そのとき。

 

 ……本当にそう?

 

 お金を稼ぐことを言い訳にしてない?

 

 私の中の誰かが言う。

 

 アナタは、タダ単に、仕事をして社会に認められたいダケなんジャなイの?

 

 ……私は動けなくなった。

 どうなんだろう……?

 

 私は、自分の働きたいというエゴのために、娘を犠牲にしようとするろくでもない母親なんだろうか……?

 どうなんだろう……?

 

 考えているうちに

 

 私は、気が付いたら泣いていた。

 頬を、涙が流れていた。




初日は泣くんだよ。
嫌だから
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