※この作品はR-18です。

男の子が欲しい夫婦の話。   作:XX(旧山川海のすけ)

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みゆの職場復帰。


職場復帰した奥さんの話。

★★★(みゆ)

 

 

「長らく産休と育休で休んでいた谷さんが、今日から職場復帰します。皆さん、谷さんの手助けをお願いしますね。2年のブランクはデカいですから」

 

 上司の課長がそう、私を職場の人に説明してくれる。

 私は頭を下げる。

 

「谷です。2年居なかったので、分からないことが多々あると思います。サポートして下さると幸いです」

 

 私の挨拶。

 職場の人は拍手で迎えてくれた。

 

 ……見知った顔もあるけど、知らない顔もある。

 新入社員なのか、異動して来た人か。

 

 ……ちゃんとやっていかないと。

 

 2年は長い。

 担当していたお客さんは、もう別の人が担当だ。

 

 私がやることは、一刻も早く仕事の前線に復帰すること。

 そのために、私は自分の居ない2年間に何が起きていたのかを調べるために、課長に頭を下げて2年分の週報のデータを見せてもらった。

 

 お客さんの前に復帰する前に、知っておかなくちゃ……

 

 悠介さんは家でも仕事のために勉強してる。

 私の場合は、これを家に持ち帰ることは出来ない。

 

 メインの仕事復帰は回ってこなかった。

 だからその間に、課の雑用をしながら、必死で課長の週報を読み込んだ。

 自分のデスクでパソコンを使って。

 

 また営業で、前線に……!

 

 2年の間に新しい商品も出たし、お客さんからの要望も増えてきていた。

 期待される新技術。そんなものも要求が厳しくなってる。

 

 ……こういうのがあるから、悠介さんの仕事がキツくなるんだよね……。

 

 まぁ、その分お給料はいただいてるわけだけど。

 複雑な気分。

 

 そうして、前線に復帰しないまでも、忙しい毎日を送った。

 そんなある日。

 

「谷さん、ちょっと」

 

 ……課長に呼ばれた。

 

 

 

「谷さん、一生懸命復帰を目指しているのは分かるんだ。でも、申し訳ないんだけど、異動が決まってしまったのよ」

 

 別室に呼ばれて。

 それを課長に告げられた。

 

 心臓を掴まれるような気持になった。

 ときめきじゃない。

 心をへし折られるような、そんな感覚。

 

 呼吸が乱れそうになった。

 ……もう、私は営業職じゃない……

 

 顔色も、青ざめている気がした。

 

 ……課長は本当に気の毒そうに私に言う。

 

「今ね、商品品質管理課の社員がひとり定年退職してね。そこに空きが出たから、是非谷さんを行かせるべきだって会議で決まってさ……」

 

 ……商品品質管理課……確か、会社の商品についての書類を作る部署だったっけ。

 私はそこの部署に飛ばされるのか……

 

 ……私が積み上げたものが、無くなってしまった……

 

 悲しかった。

 どうしようもなく。

 

 ……このことを、避けられなかったことが。

 

 原因は分かってる。

 私が妊娠したからだ。

 子供を産んだから、この女は子供を産む女だ。

 これからも産むかもしれないから、連続性が問われる仕事は任せるべきじゃない。

 そう、上の人が判断したんだ。

 

 でも。

 

 私はそのことを後悔はしない。

 してたまるもんか!

 

 悠介さんの赤ちゃんを産みたい。

 それは私の本心だ。

 

 だから……

 

 子供を産む女に営業職を任せておけないというのなら、それは仕方のないこと。

 私は納得する。

 

「……いつから異動なんでしょうか?」

 

 だから聞いた。

 これからのことを。

 

 自分のことを嘆くつもりは毛頭ない。

 

「来月の1日付け。辞令は今日の夕方には出るから。デスクの片づけをしておいてね」

 

 課長の声は気の毒そう。

 だけど……

 

 同情は不要です。課長。

 大丈夫ですから。私。




まあ、会社も生き残らないといけないしね
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