※この作品はR-18です。

男の子が欲しい夫婦の話。   作:XX(旧山川海のすけ)

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第一子が乗り越えるべき壁。


赤ちゃん返りする娘の話。

★★★(みゆ)

 

 

 二人目の子供が生まれた。

 なんとなく、前よりは楽だった気がする。

 今度も女の子。

 また私のコピーみたいな顔なのかな?

 それとも悠介さん似?

 

 ……なんか今回も私似のような気がするなぁ。

 

 例によってつるっぱげ。

 頭は産毛しか生えてない。

 目が少し釣り上がってる。

 ……似てる。私に。

 

 と、ベッドで赤ちゃんに授乳の練習をさせながら考えた。

 私の胸から母乳が出るようになるのはもう少し後。

 その前に、赤ちゃんに授乳の練習をさせるの……

 そうすると、色々と良いらしい。

 

 さて……

 

 この子の名前は……普通に考えたら「美子」かな。

 悠子の前に、悠介さんが提案した名前。

 流れでいけばそうだよね。

 

 ……例によって、今回も悠介さんは来てくれなかった。

 まあ、諦めていたけど。

 でも、立ち会って欲しかった……本音は。

 

 悠介さんは良い夫だけど、会社に奪われている時間が長過ぎるのが本当に悔しい。

 学生時代は本当に、自由で楽しかったのにな。

 ……これが大人になるってことなんだね。きっと。

 

 まぁ……楽しくはないかもしれないけど、幸せではある。

 それは断言してもいいと思う。

 

 

 私が暫定名・美子に授乳練習をさせている横で。

 同じ病室に連れてきていた悠子が、ひっくり返って寝ていた。

 もうそろそろ、3才を伺おうかという年齢。

 

 この子、赤ちゃん返りしちゃうのかな……?

 よく聞くよね。

 一人っ子状態だった初めての子が、弟や妹が生まれることでそれが壊れてしまい。

 親の注目を再度浴びるために、赤ちゃんみたいな行動を取ってしまう、ということを。

 

 ……なんか可哀想だなぁ。

 この子、今まで両親の愛情を独り占めできていたのに。

 これからはそうじゃなくなるんだね。

 可哀想……。

 

 あ。

 

 そうだった。メールチェック。

 暫定名・美子を片手で支えながら、スマホを手に取りメールを確認した。

 

 さっき「二人目出産した」と友達にメールしたから、そろそろ返事が来てるかもしれない。

 

 どれどれ……?

 

 サトからは「おめでとう。理想的なスパンできょうだい作ったね。まだ作るつもりなの?」

 

 ナベからは「おめでとう。旦那さんと仲良くしなよ? 夫婦喧嘩が一番の虐待だそうだから」

 

 アズからは「おめでとう。私も近いうちに結婚するかもしれないから、私のときもよろしくね」

 

 サトからのコメントはいつも通り。あとで「考え中」と返しておこう。

 

 ナベからのコメントは「喧嘩なんて無いから」と返しておくか。

 

 ……おや?

 アズから見逃せないコメントが。

 まあ、詳しく話したくなったら向こうからしてくれるよね。

 

 彼女には「わかった」って返しておこう。

 

 さてと……

 明日はまだかな。

 悠介さん……

 

 

★★★(悠子)

 

 

 私は谷悠子。

 2才。

 

 私の前に、突然、妹というものが出てきた。

 なんか、ママに「もうすぐ妹が出来るよ」って言われて。

 よく分からなかったんだけど。

 

 今、私の目の前に居る。

 ベビーベッドというものの上で、寝かされている。

 

 ……これが妹?

 どこから来たの?

 

 気が付いたら、ママがこれを抱っこしてて。

 すごく可愛がってる。

 

 ……ひょっとしたら私より。

 

 ママを取られる。

 どうしよう?

 

 ママはこれに掛かり切り。

 私はほっとかれている……

 

 

★★★(みゆ)

 

 

「まま、ゆうこもおっぱい」

 

 ……え?

 

 私は、美子におっぱいをあげているときに、下から悠子にそんなことを言われてしまった。

 なんだか、すごく焦った顔で。私の服を引っ張りながら。

 

 あなた、もう歯も生えてきて、おっぱいはとうの昔に卒業したでしょ?

 それなのにどうして……

 

 ……あ。

 これが「赤ちゃん返り」か。

 

 気づいてしまった。

 この焦りよう。

 美子に私が取られると、そう考えているんだね?

 

 ……可哀想だなぁ。

 予想していた通りの娘の行動。

 

 なんとかしてあげたいけど……

 

 ここで、悠介さんがいれば、私の代わりに抱っこしてあげることで、寂しさと危機意識の軽減ができると思うんだけど。

 例によって、悠介さんは仕事で今は居ないし。

 

 私がなんとかしなきゃ。

 

 ……しかし、どうしよう?

 言われるままに、悠子にも授乳して良いものだろうか?

 

 う~ん……。

 

 少し悩んで、私は。

 

 どっかと床に腰を下ろし、私は服を捲り上げて、美子が吸ってない方の、もう片方のおっぱいも露出させる。

 そして言った。

 

「ほら、悠子」

 

 そしたら悠子は私に寄ってきて、引っ付いてきて。

 私のおっぱいの空いてる方を、チュウチュウ吸い始めた。

 

 ……まぁ、小さいときにはあげてたわけだし、別に嫌じゃないんだけど。

 少々、複雑。

 

 ここまで成長させたのに、後戻りしてしまった、的な。

 

 ……これは、晩に悠介さんに報告して、相談しないと。

 子供の問題は夫婦の問題だし。

 

 私は自分のおっぱいを両側から吸っている娘たちを見て思う。

 

 ……飲まれ尽くして、おっぱいが足りなくなったら粉ミルクだなぁ、と。




第二子は心理学だと第一子の地位を奪いに来る侵略者なのよね。
そこで普通は長男長女への脱皮が起きるのだけど……
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