★★★(みゆ)
今日は日曜日。
悠介さんが、休みなのに休みを投げ捨てて、家族で動物園に行こうと言ってくれた。
毎日大変なのに、ありがとうございます!
★★★(悠介)
先日、娘の悠子が妹への指導をやり過ぎて、母親に殴られてしまった。
可哀想だった。
内訳を聞くと、母親の言いつけを守っただけなんだよね。
みゆが謝るのがいいのかとちょっと思ったけど。
美子を暴力で制裁したのはやり過ぎだから。
父親の僕が行った方がいいのかなと判断した。
「悠子」
「ぱぱ」
駆け寄って来たので抱き上げて。
言ってあげた。
「ママに聞いたけど、テレビを壊さないように、美子に注意をしたんだってね?」
注意、という言い方にしておいた。
……覚えてるのか。
ちょっと身体が強張ってる気がする。
……通じるかな?
「偉いぞ。お姉ちゃんだね」
暴力を振るった、という言葉は出さない。
僕は暴力を振るったという事は知らない。その上で、悠子を褒めている。
……この年齢の子に伝わるだろうか? 少し、疑問だ。
だけどな。
母親の言いつけを守ったのは事実なのに、褒められないのは絶対に可哀想だから。
どうしても、褒めてやりたいんだ。
これが教育として正しいのかは少し分からないけど。
すると、悠子がみゆに似た顔で笑った。
褒められたことが伝わったのかもしれない。
で。
ご褒美ということで。
家族総出で、自宅マンションから一番近い動物園に行くことにした。
たまにはこういうこともしておかないとな。
おめかしする娘二人。外に出ても恥ずかしくない服を着せてやる。
悠子は歩くのがメインだが、疲れてきたら抱っこしてやらないと。
美子はみゆの抱っこメイン。
こんな感じで一家4人で動物園。楽しみだ。
……そういえば。
付き合いはじめた最初の夏休み。
みゆと一緒に行ったのは動物園デートだった。
そのときみゆは「カワイイ」を連呼していたが。
……僕にしてみれば、可愛いのはお前だ。
そういうツッコミを内心入れていたものだ。
今日のみゆは頭をあのときみたいなまとめ方をしておらず。
頭の後ろでポニテにしていた。
……これはこれでよく似合ってると思うんだけど。
服装は肌色の上着と黒のズボン。
動きやすい感じのコーデだった。
僕は藍色縦縞のシャツに黒のズボン。
涼し気なコーデで決めておく。
みゆもそういう意識を結婚しても失わないで持ってるし。
だったら僕も最低限、そういう意識は持っておきたい。
そして最寄り駅から電車を乗り継いで……
やってきた。
動物園。
規模としてはそこそこ。
動物園の他にも、レストランも併設されてる。
なかなか楽しい。
動物園に入って、見にいったのはまずレッサーパンダだった。
「ギャワイイイイイ!」
「ギャワイイイ!」
「キャアアアア!」
……同じ顔3つが、ほぼ同じ内容の発言をしている。
どうなの、この状況。
まぁ、いいけど。
僕はレッサーパンダに群がっているみゆ、悠子、美子を後ろから眺めていた。
そしてひとしきり興奮した後。
みゆと悠子が会話していた。
「まま、どうしてパンダはパンダって言うの?」
「それはね、竹を食べるもの、という意味なんだよ」
……そういえばそうだっけ。
あのときの動物園で仕入れた知識だったよね。
その次は大きい方のパンダを見に行って。
キリン、象と大きい動物も見に行った。
ライオンの檻の前に連れて行ったら、美子が怖がっていた。
……この子、この動物の本質を見抜いているのかな?
僕は娘の知性の片鱗を見た気がして。
少し嬉しくなった。
その他にも、派手な姿をした猿だとか。
ど派手な姿をした鳥だとか。
色々見て回っていたら正午になったので。
僕ら家族はレストランに入った。
娘たち二人に、お子様ランチを注文。
僕はコーヒーを注文した。
みゆは美子にお子様ランチを食べさせるのに、自分の食事が出来ないだろうから。
自分だけ食事するのは何だか嫌だし。
眺めているだけで十分だ。
悠子はひとりで食事できるようになってるけど。
美子がそうなるのに、一体いつまでかかるのやら。
「まま、美味しい」
お子様ランチを食べて、プリンに取り掛かっている悠子がニコニコ顔でそう言う。
みゆはそれに対して
「良かったねぇ」
と、笑顔で応えた。
フッ
……今、思わず笑ってしまった気がする。
単行本2巻の話だよ。パンダは