※この作品はR-18です。

男の子が欲しい夫婦の話。   作:XX(旧山川海のすけ)

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最近は挙げない人が増えてるそうですけどね。


結婚式は挙げた方が良いという話。

★★★(みゆ)

 

 悠介さんにプロポーズしてもらった!

 これで、私は春から名前が「谷みゆ」になる。

 

 嬉しかった。

 

 初めて好きになった人と、一緒になれる。

 まるで少女漫画みたい。

 

 付き合い始めた当初は「永遠はさすがに誓えない」なんて言ってたけど。

 春からは、私はそれを誓わないといけない。

 

 それを自覚すると、なんだか興奮してきた……

 

 社宅に帰る電車の中で、私は考える。

 

 新居はハイツがいいかな?

 それとも賃貸マンション?

 

 もちろん、将来的には家を建てないといけないと思うけど。

 家族が増えたら、ハイツや賃貸マンションでは大変だよね。

 

 悠介さんと一緒に子育てする姿を想像する私……

 

 これから春まで、不動産を扱ったサイトを巡るということが習慣化するのかぁ……

 最初は面倒、って思ったけど。

 それはそれで、楽しそう……

 

 指輪や結婚式の事ももちろん気になるんだけど。

 そっちより、こっち。

 確実に変わる、私たちの新生活。

 

 春からの、悠介さんとの共同生活……私はそれに夢を膨らませていた。

 

 私も、悠介さんも、今は一人暮らしだから。

 両方家事は出来ると思うから。

 

 家事をどちらがやるかで揉めることは無さそう。

 

 手料理を振舞ったことは無いことは無いんだけど。

 これからは、毎日私が料理をすることになるんだろうか?

 

 なんて

 

 色々と想像して楽しんでいたら

 

 なんだか、電車の他のお客さんの視線に気づいた。

 皆、見てる。

 

 ……やっべ

 

 多分私、ニヤニヤしてたんだ……!

 

 それを自覚してしまった。

 私は誤魔化すために、愛想笑いを浮かべて周囲に頭を下げた。

 

 

 

 社宅に帰って来た。

 

 まずは、報告しないと。

 お母さんに。

 

 私はスマホを取り出して、実家の番号を呼び出した。

 数コールで、繋がる。

 

『もしもし? みゆ?』

 

「うん。お母さん。ちょっと話しておきたいことがあって……」

 

 電話に出たお母さんに、私は悠介さんのプロポーズの話をしようと思っていた。

 

 思えば、お母さんに「谷くんと結婚しなさい」って前々から言われていたから。

 プロポーズされて、OKしたと伝えれば、きっと喜ぶはずだ。

 

「実は……今日、谷くんにプロポーズされて、OK出してきた!」

 

 思い切ってハッキリ言った。

 

 お母さんはなんて言うだろう?

 良かったね?

 それとも、これで安心ね?

 

 お母さんは……

 

『そう……まずはおめでとう。それで、結婚式はいつなの?』

 

 結婚式……

 お母さんが気になるのは、そこなのか。

 

 それに関しては「お金が貯まってから」って結論を出して来てるんだよなぁ……

 

「それはお金が貯まってからってことで」

 

 私は何気ない感じで、そう言った。

 そしたら。

 

 お母さんの返答が、私の予想を大きく超えていた。

 

『……みゆ。足りない分は出してあげるから、結婚式は挙げときなさい』

 

「え、でも、後からしても同じでしょ?」

 

 私の返答に、お母さんは大きく電話越しで溜息をついた。

 

『そうじゃないの』

 

 それから、お母さんは私に諭すように言ってきたんだ。

 結婚式は当事者たちだけのものじゃないんだ、って事を。

 

 お父さんとお母さんは、娘が結婚式を迎えてからお嫁に行って欲しいと思っていると。

 これはそういう儀式であるから、時期が重要だって。

 

 それに、結婚生活を続けながら、お金を貯めるとなると、いざお金が貯まったときに

 

 別に結婚式挙げなくて良くない?

 

 って気持ちになってる可能性が大きくあると。

 そうなってしまうと、お父さんとお母さんは、娘の結婚式を見ることができなくなると。

 

 ……言われて、私はちょっと自分の理解が浅かったんだなと自覚した。

 自分たちの結婚式なのだから、自分たちで全部決めて良い。

 そう思っていたんだけど。

 

 そっか……そうすることは、お父さんとお母さんの希望から外れるかもしれないのか……

 

「分かった。谷くんと相談する」

 

 私はそう言って、電話を切り

 

 続けて、今度は悠介さんの電話番号を呼び出した。

 

 数コールしないうちに、電話が繋がる。

 

「もしもし悠介さん?」

 

『……何かあったの?』

 

 電話越しの悠介さん。

 何か私に不都合があったのか。

 そう、気遣いをしてくれる。

 

 私はそれを感じて嬉しくなったが、まずは用件を伝えなきゃ。

 

「結婚式の事なんだけど、やっぱり入籍前に挙げとこうと思うんだ」

 

『……ちょうど僕も、そのことでみゆに電話しようと思っていた……』

 

 私の言葉に、返って来た悠介さんの返答がこれだった。

 なんでも、悠介さんも親にプロポーズのことを伝えたら「結婚式なしで結婚なんてありえん。親の夢を潰す気か」って言われたらしい。

 悠介さんも「足りない分は出してやる」って言われたそうで……

 

 ……なんか、ウチと親の対応一緒だな。

 

「……どうする?」

 

『……みゆはどうしたい? 僕はみゆがいいならそれでいい』

 

 悠介さん……!

 あくまで私の意思を尊重してくれている悠介さんに感謝した。

 

 感謝はしたんだけど……

 

 う~ん……

 

 これは、結構決断力を問われる気が。

 結婚式の費用、およそ400万円って聞いたことがある。

 

 ……私の貯金は100万円……

 

 300万円も、足りない。

 

 300万円も出させるの?

 ……それって、許されるのかなぁ……?

 

 自分で働いて、お給料を貰うようになって。

 私はお金の大切さを真の意味で理解できた気がする。

 

 本当のお仕事は、バイトなんかとは全然違う。

 バイトは組織に対する責任なんて負わなくていいし。

 

 だから、分かる。

 300万円の重さは。

 

 100万円貯めるのに、私は2年かかった。

 その3倍の労力が、300万円なんだ。

 

 正直、ビビっちゃう。

 なんて重い金額なんだ、って。

 

 でも。

 

 今は、親の助力なしで結婚式を挙げることはまず無理。

 で、私と悠介さんの両親が共に子供の結婚式を望んでいる。

 

 だったら、もう選択肢は無いわけで。

 

「……お金を借りよう。悠介さん」

 

『……わかった』

 

 スタートから借金300万円の結婚……!

 これは重い気がする。

 

 でも、二人で頑張れば、すぐに返せるよね?

 私一人でも、2年で100万円貯められたんだし。

 

 

 ……そう思って、決断して。

 お母さんに再度電話連絡を入れたら。

 

『そんなもの返さなくていいから、貯金しなさい』

 

 と、言われた。

 

 元々、私の結婚式用に、コツコツ積み立てていたんだって。

 そのお金。

 

 ……ここにきて、私が親にどれだけ愛されていたのかを自覚する出来事だった。




この辺、現行の話と齟齬が出てきてる気がする。
(これ書いたとき、谷家の詳細あまり分かって無かったから)
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