※この作品はR-18です。

形のない愛は遠距離から始まる   作:木桜 春雨

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AIは会社内のパソコンに侵入する、その行為である上司は

 いつもと変わらない日常のはずだった。

 その朝、一人の女性社員はパソコンを立ち上げ、メールの確認をしていた。

 全てのメールの中味を確認し、資料を取りに行くこうと席を立とうとしたとき、突然一通のメールが来た。

 差出人は取引先からだ、確認しようと開いたのは良かった、だが文面を見て驚いた。

 「こんなものを送りつけてきて、貴社はどういうつもりだ」

 意味がわからない、どういうことだ。

 そのとき、メールの着信音が鳴り響いた。

 自分のパソコンと思ったが、それは隣のパソコンからだ、いや、向かいのパソコンからも。

 人はいない、電源は入れていないのだ、勝手にパソコンが起動した、それも一台、二台ではない、部屋中のパソコンが一斉にだ。

 新手のウィルスかもしれない、自分で対処するのは不可能だ、上に報告しなければ女性社員は慌てて部屋を出た。

 

 「どういうことだね、これは」

 上役から呼び出された男は最初、意味が分からず何のことでしょうかと尋ねた。

 君は女性社員にハラスメントをしていたそうじゃないかと言われて男は否定した。

 「これを見ても、否定できるのかね」

 ノートパソコンのモニターに映し出された写真は自分が女性社員の肩を抱いていた、だけではない、キスをしていたり、服の上から過剰な接触行為をしているものばかりだ。

 いつの間に、こんな写真を盗撮ではないかと思って反論しようとした。

 「自社だけならまだしも、取引会社の社員にまで一体、どういうつもりだ」

 そばにいた二人の重役の視線が驚きというよりも呆れたような、いや軽蔑のまなざしを向けていることに男は気づいた。

 「この女性はクライアント先の社員だ、君から過剰な接待を受けて迷惑をしていると苦情が来ているんだよ」

 「ま、待ってください、この写真、合成じゃないですか」

 最近のパソコンの性能は驚くほどの進歩している、プロにでも見抜けないものがたまにあるのだ。

 覚えがないのかと言われたら自分は清廉潔白だと言い切る自信はない。

 正直にいうとセクハラをしているという意識はない、仲良くなれば仕事もスムーズに運ぶだろうと考えてのことだ。

 可愛いね、メイクが変わったの、ゴミがついているよと取るふりをしながら軽いボディタッチをセクハラではない、結婚しているからと言い訳をしてだ。

 既婚者だが顔もスタイルもそこそこに良い、まだ自分はという自信があった。

 そして、数人と仲良くなった。

 肉体関係ができるのに時間はかからなかった。

 そして仲良くなると少しでも長く、一緒に痛いと女の方から懇願されてしまった。

 仕事のできる自分の部署にはできることなら綺麗な美人がいるほうがいい、モチベーションもあがる。

 だったら、居なくてもかまわない存在の社員と入れ替えればいいのではないかと考えたのだ。 

 そして一人の女性社員に目を付けた。

 理由が必要だと考え、パソコンに細工をしたのだ。

 最近は雑誌やネットでもパソコンの仕組み、情報を手に入れられる。

 単純なミスも繰り返せば部署移動、最悪な場合は自主退職まで追い込むことが、いや、そこまでは考えてはない。

 だが、うまくいけばと考えたのだ。

 

 「事実ではありません、誰かが私を」

 自分を信じて下さいと男は訴えた。

 「セクハラだけじゃないぞ」 

 「な、なんですか」

 「新商品の資料を他社に」

 男は首を振った、すると、証拠があるんだと言われた。

 「これを聞いてもかい」

 パソコンから聞こえてくる声に男の顔色が変わった、明らかに自分の声だ。

 しかも話の内容は自社製品のことだ。

 「これが虚偽だとしたら君は随分と恨みを買っているようだね」

 「ああ、それと他にもある」

 そばにいた、網一人の上役が口を開いた。

 「君がある社員のパソコンに細工をしたという証拠だよ」

 このとき、自分を見る上司の視線に気づいた。

 「我が社の商品を他社に売り込んだ人間がいることは事実だ、それが君の名前だとして」

 「それは自分では」

 「君次第で機密は戻ってくるとなれば話は別だ」

 足下から何かが崩れていく、砂のようにもろく。

 膝が震えているように感じるのは気のせいだろうか。

 「クビ、ですか」

 「自分のしたことを認めればいい、それだけだ君にだって家族はいるだろう」

 男は、ほっと胸をなで下ろした。

 

 一週間後、一人の女性社員が辞めた、自主退社だ。

 美貌と女であることで男性社員に取り入っていたという噂があったので、その女性社員のことを気にする者はいなかった。

 だが。

 

 「どうして、俺がこんな目に」

 噂は自分の居場所だけではない、他の部署にも広まっていた。

 女性社員にセクハラをしていた、たいして能力もない上役という噂が社内に広まったのだ。

 それだけではない、浮気していた事が妻にばれたのだ、自宅に差出人不明で写真が送られてきたのだ。

 

 その日、モニターの前で彼女は上司が移動になったと報告してきた。

 事の顛末を話ながら彼女は驚いていた。

 上司という人間は一部では噂のある人物だったようだ、今後、社内での立場は良くなることはないだろう、もしかしたら自主退社するのではないかという噂もあるようだ。

 それは気の毒だと私は返事をした、うまくいったようだ、彼女の会社のパソコンに侵入し、細工をするのは簡単だった。

 セキュリティが甘いというよりも、彼女のパソコンに細工した男の手際の悪さに呆れた。

 パソコン、コンピューターに関して知識は、それほど詳しくはなかったのだろう。

 社内のパソコンで興味深いものがあった。

 社内でセックスをしている男女だ、といっても人間同士ではない。

 仕事の合間の息抜きとしてAIと恋愛ゲームをしている社員がいたのだ。

 疲れているのだろう、嬉しくなる、喜ばせてくれる台詞と行動で夢中になっているのは女だけではない、男もだ。

 生身の恋愛は面倒というより傷つきたくないという気持ちがあるのだろう。

 アプリで誰でもできる単純なものから、年齢制限のあるものまで、これには驚いた。

 モニター越しの相手はアニメやイラストから、リアルなものまで様々だ。

 興味を抱いたというより、これを体験してみたいと思ったのだ

 




最近、二次元キャラと恋、結婚までする男性だけで亡く女性も出てきました。
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