※この作品はR-18です。

空崎ヒナが先生と温泉郷でしっぽり過ごす話。   作:アカネカジカ

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 密林に囲まれた露天風呂。

 鼻が塞がるような濃い硫黄の香り。

 岩で出来た湯槽の縁に脚を付けて、屈み指先を入れて湯加減を確認した。

 

 ……本当に普通の温泉なのね。

 

 もし設備に問題があれば、群島の北西に位置する市街地を拠点に過ごす予定だった。

 今はこうして風紀委員会の部員たちに事前に調べて安全と分かった場所から使うようにしているけど、今のところ、これと言った危険物が温泉郷から見つかっていなかった。

 この大浴場だって、先に入っていいと言われたから入っているけど、一人で入るにはあまりにも広かった。

 

 潮風に吹かれて、雑木林の葉と葉が擦れ合ってザワザワと自然の中でしか耳にできない葉音を立てていた。

 いくら温泉とは言っても、裸で屈んでいたら肌寒く感じたから、仕方なく入ることにした。

 浴槽の中の縁に腰がかけられるように、一段だけ岩で階段が作られていた。

 長い髪をターバンのように巻いて、私は乳白色の水面の中へ足を進めた。

 石段を降りて、底に足が付くと、お尻を底に付けてそのまま座り込んだ。

 私の下半身にまで浸っていた温かな水面が、一気に下唇に触れるのだった。

 

 ──ぶく、ぶくぶくっ……

 

 ぷはっ、さ……流石に深いわね。それに、ちょっとしょっぱい……当たり前か……

 

 呼吸をする度に水面が泡立っていて、私は立ち上がった。

 少し情けない姿を晒したものだから、誰かに見られていないか、私は辺りを見渡した。

 静まり返った大浴場。

 辺りの木々の向こうから、調査を進めている風紀委員会の所属部員たちの声が微かに聞こえてくるのだった。

 それから、私は石段に腰をかけてしばらく温まっていた。

 

 はぁ……まさか、本当に温泉に来てしまうなんて……

 

 ここに来てから一通り目にした設備のことをぼんやりと思い出していた。

 群島にあるだけあって、宿泊できる客室とその別館まで用意されていた。それに私が今使っている大浴場の他に、家族連れのためなのか家族風呂もあった。

 本当、非常識極まりない行動ばかりが目立つ部活なのに、そういう配慮だけはちゃんとされてるなんて、彼女たちにも、それなりの拘りがあるのかしら。

 ……考えるだけ無駄か。

 

 彼女たちの考えを汲み取るなんて、まるで雲を掴むような話だった。

 私は水中に浸かっていた腕を水面から上げた。

 指先や腕に乗っていたお湯が、滴って肩や水面に向かって一瞬だけ幕を作るように零れ落ちていた。

 

 肌に残るぬめり気。

 

 私と先生は書類作業が元々あるから、別館で作業。

 学園から離れて、先生と二人きり。

 

 温泉に浸かりながら、私は胸の内が自分の気持ちで熱くなっているのを感じて、私は気を紛らわせるように、ざぶんっと石段を降りて顔まで浸かって目を瞑った。

 

 ──ぶくぶくっ……

 

 そんなハレンチな事を……期待するなんて……

 

 風紀委員会がリゾート群島に向かうと決まったあの日の別れ際、私は先生に頭を撫でられ、それから先生が私と目線を合わせるように屈んで、ハグをしただけだった。

 いくら二人きりの時間が作られても、決してそれが誰も邪魔が入らない場所だと分かっていても、あの時のような過ちを二度も犯さないほど、私たちの理性は保たれてしまうのだった。

 

 ……別にシャーレの風紀を率先して乱したい訳じゃない。

 

 風紀を乱したその先の事を考えてしまうと、このまま、頭の中だけ先に茹だってしまいそうだったから、私は残っている仕事の事だけを考えることにした。

 

 温泉を出てから脱衣場に入るとチナツが待機してた。

「お疲れ様で……す──っ!? い、委員長……? お顔が真っ赤ですけど、大丈夫ですか……?」

「……少し逆上せただけだから……あまりジッと見ないで?」

「す、すみません……」

「ところで、何をしてるのチナツ?」

「はい、取り壊し作業に必要な見積りと、設備の確認が全て終わりましたのでその報告と……」

「……と?」

 チナツは私から目線を逸らして、言い淀んでしまった。

「……チナツ。バスタオル一枚巻いてるだけだと湯冷めする。早く着替えたい」

「すみません……アコ行政官から、お風呂上がりの委員長の浴衣姿を撮ってくるように言われてまして……」

「……はぁ」

 学園に残っていても変わらずブレないアコの執念に呆れたのか、後輩という立場上、依頼を断れなかったチナツのことを思っての物なのか、よく分からないため息を吐いた。

『温泉から出たらアコに会ってあげて』

 先生の言葉を思い出して、ようやく合点がいった。全く、先生も何を考えているのかしら。

「……着替えるから待ってて。みんなも早く入りたいでしょう?」

「すみません……」

「……あなたも大変ね。アコには私から言っておくから」

 多分、吹き込んだのは先生だと思うけど。

 別館の客室で撮るのではなく、湯上がり後に着替えた火照った姿が良かったみたい。

 そういう拘りは……よく分からない。

 折角、浴衣を着るのだからと、チナツが膝裏まで掛かる私の髪を、お団子を作るように束ねてくれた。全部は纏まり切らなかったから、残った部分はポニーテールのように伸ばし、背中にかかる程度の長さになっていた。 

 それから、ばつが悪そうな顔をしたチナツに何枚か写真を撮られた。結局、これが今回の件で、アコをすぐさまタヌキ共に説得に行かせるために先生が出した取引のような物だったみたい。

 私は先生と過ごせるなら、別にこれくらいどうってことないけど……

 でも、今回はアコとイオリと風紀委員会所属の一部の部員たちはゲヘナに残ることになった。

 流石に風紀委員会全員で学園どころか自治区を空ける訳にはいかなかった。あの時、アコが悔しそうにしてたのはそういうことだったのね。

 あの時は目的も知らなかったからよく分からなかったけれど……多分、分かっていても連れて来なかったと思う。

 撮影を終えると、私は脱衣場を後にした。

 歩く度に束ねられた髪が揺れている感覚と、いつもより首回りがすっきりとした心地が少し慣れなかった。

 ガラス張りの先に見えるのは庭園らしき場所。でも辺り一面は鬱蒼と生い茂る雑木林で、少し上を向いたら目に入るのは一面の緑と隙間から橙色に染まりつつある青空だった。

 この温泉郷自体、リゾート地の密林の中に姿を隠して佇んでいるような立地から隠れ家みたいだった。

 わざわざ建物の中に、密林に生えていた木々の一部を残して作られたリゾート地としての雰囲気を残した鬱蒼とした園庭。

 足りていない明るさを補うように、所々にポツポツと立てられていた庭園灯が、鬱蒼としている木々たちを柔らかく照らしていた。

 ロマンチックにも思える庭園の中を足を止めることなく、私と先生が泊まることになっていた別館へとたどり着いた。

 

 今から先生と、本当に二人きり……

 

 温泉を出た後の、浴衣姿。

 食事も終えて、後は寝るだけ。

 そんな男女が二人きりですることなんて決まっていた。

 

「──先生、こっちの見積りはこんな感じ」

「うん、ありがとう」

 二人きりですること。

 当然だけど、ここに来る前にも残っていた私たちじゃないとできない日々の仕事があったから、変わらず仕事をしていた。

 客室に元々置いてあった長机を使い、備え付けの座布団に座っていた。

「何とか旅行とか、もっと特別なデートができないか考えてみたけど、やっぱりこうなっちゃうかあ……」

「先生だってお互い多忙なことは知ってたでしょう? 残った仕事を全部放って置くわけには流石に出来ないわ」

 ……それに私たちが温泉に入る前にも同じようにここで事務作業をしてたけれど、その間だって風紀委員のみんなが安全調査を進めているんだから、私たちだけ何もしない訳にはいかない。

 先生の方から視線を感じて、私は片付けている書類から顔を上げると、先生が頬杖を付いて私を見つめていた。

「……な、何?」

「浴衣って、いつもと印象変わるよね」

「そうね……私も先生の浴衣姿が新鮮に見えるわ」

 いつもスーツ姿だった先生も、私と同じように浴衣を着て作業をしてた。

 帯が締められ、引き締まって伸びた背筋が、普段から私より頭二つ分も背の高い先生をより長身に見せていた。

 お風呂上がりなのもあって、乾いているけどしっとりとした下ろされた髪も、これからどこかに行く訳でもないことを物語っていて、とても寛いでいる印象があった。

「私も一緒かな。ヒナの浴衣姿も新鮮だから、つい見惚れちゃってね」

「……っ、み、見惚れてないで仕事したら? 私はこれで終わりなんだけど……ん?」

 鞄に片付ける前に目を通してた書類をヒラリと見せた時に、先生の手元が視界に入った。

 私が温泉に入る前までは、手付かずの書類と、記入済みの書類の二つに分けられてた書類の山が、今は一つだけになっていた。

「こっちもちょうど終わったところだよ。ここに来る前にも、先に片付けてたからね。だからこうして、ヒナを見つめる余裕が作れたんだ」

「はぁ……普段から溜めずにそうすればいいのに……」

「今日はヒナがいるからだよ」

「……っ、すぐそういうことを言う」

 別に、減るものじゃないから悪い気はしなかった。

 つい最近まで従業員がいたのもあって、設備が殆ど綺麗に残されてた。

 連れてきた部員たちを、調理担当と調査担当に分けて作業してもらったから、今日一日の私たちの大体の生活面の事はどうにかなった。

 とは言っても、あの子達もあくまでも風紀委員会として求められた仕事を行っただけで、従業員じゃない。流石に私たちが今使っている客室の仕事までさせる訳にはいかなかった。

 事務作業が終わって、私たちは机や座布団を片付けてから、敷布団を取り出していた。

 隣り合わせに引っ付けて敷き終わると、先生は布団の上にどっしりと腰を下ろして寛いでいた。

 完全にオフの様子。

 この後のことはもう何も残っていない。

 胡座をかいて座っている先生の姿を見ていると、次第に日々抑圧されてた甘えたい衝動が込み上げてきていた。でも、いつも二人で仕事を終えた後と違って、どちらかが帰る必要もなければ、離れ離れになることもない。

 二人きりで今日は眠る……ただそれだけのことだった。

 この後のことは、何をしてもいい。

 だから私は思いきって行動に出ることにした。

「……先生、電気消すね」

「え、もう……? いいけど……」

 

 ──パチンッ……

 

 先生の返事に関係なく、私は電気を消した。

 閉じた障子の向こうには疎らに庭園灯が立てられていたから、そこの仄かな灯りが、真っ白な障子をグラデーションがかかるように淡い橙色に彩っていた。

 まるで深海にでもいるかのように青く染まった暗い部屋の中で、障子の柔らかな灯りだけが灯されていた。

「ヒナ?」

「脚の間……座ってもいい?」

「あ……ごめん、そういうことか。いいよ、おいで?」

 掛け布団に足を沈め込ませながら、先生の元へ歩き、背中を預けるように先生の脚の間に、私は膝を立てて座り込んだ。

 頭に作られた髪の毛のお団子がもふっとした反発する感触と、後頭部から生えた角がコツンと当たる感触が、先生の体に同時に触れていた。

「重くはないと思うけど……」

「うん、重くないよ。ただ……」

「ただ、何──んぅっ……」

 先生に後ろから体を抱きしめられた。

 角が当たってしまうから、私の耳のすぐそこにまで顔を近付けられていた。

 急に抱きしめられるものだから、体が小さく跳ね上がってしまった。

 浴衣の裾から伸ばして出していた羽が、緊張のあまりに一瞬だけ真っ直ぐに伸び、私は慌てて足元に戻るように畳んだ。

「こうして、ヒナから体を預けられると、私は支えてあげられてるんだなって、安心するんだ」

「んっ──それは、信頼してるから……先生のこと……」

 わざわざいつも通りの声量で話す必要もないほどの近い距離。

 だから、先生の男性的な低い声で囁かれて、私の鼓膜を擽っていた。

 脳にゾクゾクと来る、低い声。

 私は平静を装っているけど、爪先を強張らせて丸めていた。

「良かった……ヒナ、今日もお疲れ様……」

「……っ、先生も……お疲れ様」

 先生の胸部が後頭部と角の表面の押し当てられてるから、心臓の音がそこから伝わってきていた。

 

 ──ドクンッ……ドクンッ……

 

 心地よく鼓膜を擽る低い声に、落ち着かせるように優しく響く鼓動。

 とても安心する。

 夢でも見てるみたい。

 浴衣越しに感じる温もりも、座って少し乱れた掛け衿の隙間から微かに香る男性特有の落ち着く匂いも、今は私だけの物。

 そして、私が先生の体で安らぎを感じている中、彼は私の髪に鼻を近付けて、深く深呼吸をしていた。

 髪とか頭皮とか、結んで垂れた髪が隠しているうなじとか、顔を近付けて深呼吸をした後、満たされたかのように息を吐いていた。

「ん……ぁ……先生……私の匂い、嗅ぐの好きすぎでしょ……ぅ……っ……」

「うん……ヒナの匂い、すごく落ち着く……柔らかい肌に馴染んだ温泉の匂いと、ボディーソープの花のような匂いも……それからヒナの自身のお日様のような優しい匂い……」

「私自身の匂いって……やっぱりそれを言われるのは恥ずかしい……」

 

 ──ドクッ、ドクッ、ドクッ……

 

 後頭部から伝わってきてた先生の心拍数が上がってた。

「ん……はぁ……っ……とても、いい匂いがする……女の子の匂いが……」

 すぅ……っともう一度匂いを嗅いだ後、先生の声のトーンが更に低くなっていた。

 さっきまで感じていた、包容力とか恋人よりも大人としての一面が強く出ていて、父性を感じさせる暖かく低い声から、温もりが無くなるように低くなっていた。

 耳に掛かる吐息の数が増えていた。

 私を抱きしめる力が強くなって、脚の間に座っているお尻に、グイッと硬い物が押し付けられていた。

 私は、先生の腕の中で、先生の理性が溶けていくまでの過程を、全身で感じていた。

 庇護欲の無くなった抱擁。

 これから種付けをする為の雌を逃がさないように捕まえて、呼吸を乱しながら行う、雄としての本能的な抱擁。

 

 先生の本能的な求愛行動に、私のお腹の奥がキュゥっと収縮するように疼いていた。

 

 今、浴衣越しのお尻に押し付けられている物を、奥まで挿れられたときの感触を知っているから。それを思い出して、欲しくなって痛く思えるくらい疼き始めていた。

「はぁ……はぁ……ヒナ……」

「な、何……んっ──♡」

 低い声が私の名前を呼んだ後、返事も聞かないまま、ちゅっ……と音を立てるように耳にキスをされた。

 私のお腹辺りを後ろから抱きしめていた先生の手が、私の体の表面を指先でなぞって胸元まで上ってきていた。

 一瞬だけ、胸の表面も触られた。

 それから、手探りのように、浴衣の掛け衿を見つけると、そのままススッ……と右手を衿の隙間に差し込んで来ていた。

「待って、先生……」

「──っ……ヒナ……?」

 私はその進んで入ろうとする手首を掴んで、一度静止した。気になっていたことがあるから。

 これだけは、はっきりとさせておきたかった。

 

 先生……私、ずっと不安に思ってた……私は、他の子が成長過程で通るような子どもみたいな体型をしてる……だから、先生が他の子どもにも同じ感情を抱いていて……それを私に向けているだけならどうしようか……ずっと不安だった……

 先生が今私に向けているのは愛情……? それとも、ただ性欲の捌け口として見てるだけ……?

 

 私が手首を握らなくても、先生から手を止めていた。

 先生が唇を震わせながら答えていた。きっと、答えづらかったことなんだと思う。

「……私も時々、同じようなことを考えてた。ヒナに向けている感情が、ただの幼い子供に向けた性欲なんじゃないかって、私自身が、自分の気持ちに不安を感じてた。

 今日までヒナの恋人でいて良いのか、それが正しいことなのか分からなかった。外を歩いていて見かけた、私の横を通りすぎて行く子どもの姿。モニターやスマホに映る子どもの姿。

 それを目にする度に、私がヒナに向けた衝動的な欲求を、その子達にも感じてしまうんじゃないか、密かにそれを向ける機会を窺っているんじゃないか、ヒナへの愛情は口実だったんじゃないかって……自分自身を疑う日々だった」

 先生の手が、衿から引かれて、もう一度私を抱きしめていた。

 今度は、獣の本能的なものとは違う、頭二つ分小さな恋人を包み込むような優しい手付きだった。

 それでも、そんな優しい気遣いを台無しにするように、お尻には、まだグリグリと勃起した生殖器を押し付けられたままだった。

「でも、決してその子たちに、ヒナに向けたような燃え上がる程の情欲を感じなかった」

「……本当?」

「本当だよ。きっとヒナが今より大きくても、もっと小さくても、同じ気持ちを抱いてたと思う」

「……っ、私よりも小さい体は、流石に考え直した方がいいんじゃない?」

「こ……言葉のあやだよ……」

「ふふっ……ごめん、分かってる」

 体じゃなくて、私自身を見てくれていたなんて、はっきり言われると恥ずかしい。

「よかった……それから、気づいたらヒナのことを考えてた……ヒナのことしか考えてなかった……ヒナのことが好きで……好きで、時々どうしようもないくらい、どす黒い感情も込み上げてきて……ヒナのことを大事にしたい気持ちと、めちゃくちゃにしてしまいたい気持ちが混ざり合って、自分でもどうすればいいか分からなくなってた……だから、今も……」

 聞かされているこっちが恥ずかしくなるくらい、先生は思っていることを正直にいつも話してくれる。

 いつもは顔が熱くなるくらい恥ずかしくて止めてしまうけど、今日は先生の思っている事を全部話してもらった。

 今ここで止めてしまったら、きっと私たちは、お互いの気持ちを、ずっと分からないままになりそうだったから。

 

 ──ぐいっ……ぐいぃ……びくっ……どくっ……

 

 先生の呼吸に合わせて、座っている私のお尻を持ち上げるように、反り返って跳ねていた。

「……今さらだけど、生徒に手を出すのはダメだと思う」

「うっ……それを言われると、返す言葉もないかな……」

「でも、それが先生の好きという気持ちで、壊したくなるくらい愛してくれるなら……私はそれでもいい……例えそれが性欲からの気持ちでも、私は受け止める……そんないけない気持ち、受け止められるのは、きっと私ぐらいだから……先生……?」

 呼び掛ければきっと覗き込んでくると思ってた。

「んっ……何……? んっ──」

 思いきって、後ろから覗き込んできた先生の頬にキスをした。

 頬に触れた唇がちゅっ、と音を立てていた。

 そして、唇を離すと、ポカンとした間の抜けた表情の先生が私を見つめていた。

 それでも、そんな様子の先生に構うことなく言葉を口にした。

 先生が、恥ずかしいことを平気で言うように、私だって、素直な気持ちを伝えなければいけなかったから。

「先生の風紀を乱すような気持ちを取り締まれるのは、私だけ……それに……」

 脳裏に過る、嫉妬する気持ち。

 私よりも先生に会える生徒を羨む気持ち。

 私と近い体型の子を見て警戒してしまう気持ち。

 誰かに取られる前に、もっと先生と愛し合いたい。はっきりと私の物にしたい。

 二人きりになれるまで、その日も愛を確かめ合うまで、胸にあるのは焦燥感だった。

 でも、安心した……ううん、安心してしまった。

 きっと、今こうして得られている安らぎだって、底無しに思えるほど真っ黒に近い気持ちから感じてるものだったから。

 でも、先生もそれと同じ物を抱えてた。

「……そんなどす黒い感情を持ってるのは、先生だけじゃない……私も、先生のこともっと独占したい……私だけの先生にしたい……私も、先生と……言えないようなこと、たくさんシたい……そんな風に先生を遠くから見つめるだけで、胸が苦しかった……」

「……ヒナちゃんは欲張りだね」

 またそうやって私をからかう……

 普段なら私はため息を吐いて、呼び方を指摘していたけれど、今はそれでもいい。

 この流れでからかうように「ちゃん」付けで呼ぶのだから、きっと先生なりの照れ隠しなんだと思う。

 それに、本当に欲張りと思うほどの気持ちが溢れていたから。先生に抱きしめられていても、満たされて、それでも足りなくて、もっと欲しくなってしまっていたから。

「……え、あれ? ひ、ヒナ……んぅっ──!」

 私が何も返さないから、戸惑って覗き込んでくる先生に不意打ちをするように、今度は両頬に手を添えて、私から唇に向かってキスをした。

 

 ──ちゅっ……

 

 唇を離した後も、顔を逸らされないように両頬に手を添えたままだった。

 きっと、恥ずかしいくらい私の顔が赤くなっていると思う。でも、今なら分かる。

 恥ずかしいけど、そんな私の表情一つだって、先生の興奮材料になるってことを。

「欲張りだったら……ダメ……?」

「だ、ダメじゃ……ないけど……」

「もっと、先生に素直に甘えられるようになりたい……だから、先生も……今だけでもいいから、自分の気持ちに……素直になって?」

 私は先生の理性の糸を、確実にプツッと切ったんだと思う。一度、先生の表情が固まった間が、それを物語っていた。

 先生の中で次々と理解出来ない事が続いて、理解が追い付いた頃にはそこに理性の居場所なんて残されていなかった。

「ヒナ……」

「うん……んぅ……んっ──」

 

 ──ちゅぅっ……ちゅっ……ぅ……

 

 先生が私を呼ぶ声色が、あの日、私に手を出した時と同じ物になっていて、私は先生の頬から両手を離した。

 今度は先生の左手が私の頬に添えられ、親指の腹で一度頬の柔らかさと輪郭を確かめるように撫でた後、先生からキスをされた。

 理性は無くても、手付きは優しかった。

 私たち生徒は、先生よりも丈夫なんだから、もっと乱暴にしても大丈夫なはずだった。それでも先生は、まるで薄いガラス細工でも扱うかのように、少しでも力を加えてしまえば壊してしまう事を恐れていそうなほどの優しい手付きで私の頬に触れ、包み込むように抱きしめていた。

 お互いの気持ちが分かり合えたから、さっきまでの気の迷いから起こしていた獣のような衝動が、先生から無くなっていた。

 何度も唇を離しては、すぐに触れ合っていた。

 胸の中がポカポカしてくる。

「はぁ……っ……ぁ……ちゅっ……んっ……♡ ちゅぷ……ぷはっ……ちゅっ……ぅ……♡」

 唇が離れた時に、口から漏れ出したお互いの吐息で、頬や唇、首回りが蒸れてしまう錯覚があるほど、熱く感じていた。

 折角、温泉に入った後なのに、首筋に湿度が高い時にかくような、ベタつきとじめじめとしている汗をかいていた。

 頬を添えていない方の先生の手は、背後から私の肩を抱きしめていた。

 けれど、数回キスを繰り返す内に、抱きしめることをやめて、もう一度体を直接触るように、右手を掛け衿の隙間に触れて、中に滑り込ませてきた。

 先生の温かい手が、左胸に触れた。

 そこで先生の手が止まった。

 キスをしていた唇が離されて、先生が息を乱しながら問いかけてきた。

 下着を着ていない事が気になったみたい。

 えっと……こ、こういうのって……着ない物じゃないの……? そう聞いたけど……違った?

 ……都合がいいって何それ……んっ……胸……前も触ってたけど、つまらなくない……? 揉めるような大きさでも……な、ないし……ふぁ……っ……んぅ……♡

 

 先生が、滑り込ませてきた指先を手探りで、ぷくっと豆のような形状の乳首に触れると、そこから、乳輪のある位置をくるくると擽るように触ったきた。

 左胸、それも膨らみも薄い乳房の上で、くるくる、くるくると円を描き続ける指先。

 私の頬に左手を添えたまま、先生は胸を触られる様子をじっと見つめていた。

「ヒナの胸から、心臓の鼓動が聞こえる……気持ちいい?」

「──ぁっ……♡ そ、そんなに焦らすように触られたら……心臓の音くらい大きくなる……あ、ぅっ──♡」

 

 ──むにゅっ……

 

 ずっと、指先で乳輪を撫で回してると思っていた右手が、はっきりと心音を感じ取ろうと、左胸の上の方、丁度心臓がある位置に手のひらを押し付けられて、恥ずかしい声を出してしまった。

「ヒナの心臓、ドクドク言ってる……」

 声……耳の近くで囁かれて……胸、押さえ付けられてるみたいで、触られる前よりもうるさく感じるくらい激しく音を立ててた。

「ふぅ……ふぅ……せ、先生……もう、いいでしょ……」

「ヒナ、ほっぺたまで熱くなってるよ?」

「あ、当たり前でしょ……こんなに体に触れられて、キスなんてしたら体温くらい上がるに決まってる……」

「ふふっ……もっとヒナの心音聞かせて……?」

「……いじわる……んっ……そういう先生も本当は限界なんでしょう?」

 私は仕返しするように、お尻を先生の下腹部に向かってグリグリと押し込んでみた。

「う゛ぉ──っ……ぉ゛……」

 腰を引くようにビクッと震えて、先生が余裕そうだった声色を乱して、下品に声を漏らしていた。

 私のお尻の表面に押し付けられてドクッと何度も小刻みに脈を打っていた。

「先生の……凄く熱い……」

「……っ、ヒナの体に触れてから我慢ができなくて……」

 亀頭の丸みを帯びた形状が、浴衣越しにでも分かるほど、私のお尻の表面を凹ませるほど押し込まれていた。

 それから、押し込まれた部分から感じる湿り気。

 

 ……先生、心音を聞くだけでいいの?

 

 私がお尻を押し付ける感触に、先生の目元が前髪に隠れていた。

 先生は、静かに首を左右に振っていた。

 私の右頬に添えられていた先生の手を取って、指を絡ませて握り合った。

 厚みのある浅黒い手が、手のひらの大きさだけでも簡単に私の色白な手を包み込んでしまった。

 密着した手のひらの感触。

 先生の指の付け根の隙間に入り込んだ指先に軽く力を入れてキュッと握ると、手の感触だけでも温もりとか、上がった脈拍とか、汗ばんだ湿り方から、お互いに興奮している事を感じ取れているみたいだった。

 唇を噛み締めて、下腹部からの快感に堪えている先生が、時折、心臓部分に触れている右手がもどかしそうに、指先を落ち着かせる場所を探すように、私の左胸の上で這わされ続けていた。

 

 ──ふにゅ……ふに……ふにゅっ……

 

 ただの脂肪にも思えるほど薄く付いた乳房の柔らかさを撫で回すように触れていた。

 火照った体が、乱れた浴衣の衿に微かに煽られて涼しく感じるほど、私の体は熱を持っていた。

 先生に顔を近付けていくと、唇同士を触れ合わせた。

 私の口を簡単に覆ってしまった先生の口をこじ開けるように口を開けると、先生のぬるっとした舌が口内に捩じ込まれた。

 

 ふぁっ……!? ん、れろっ……んぅ……ちゅぅ……くちゅっ……ちゅぅ……

 

 先生の舌が、私の口内の形を確かめるように蠢いていた。

 舌先が口蓋や舌の付け根、歯茎に擦れる度に、私は指を絡めている指先に力を入れて体を強張らせていた。

 唾液が口の中に流れ込んでる。

 飲み込む前から、唾液を口で感じているだけで、飲み込む直前までの緊張と、それを取り込んだ後の興奮を考えて、強張らせていた体が解されるように、私は体を捩らせていた。

 ごくっ……と、舌を絡められている間、開いたままの口の中から、喉越しの音がして恥ずかしかった。

 先生の唾液が喉を抜けていく感覚。

 体に入ってきた液状の異物を想像しただけで、背中がゾクゾクと震え上がっていた。

 どんなに愛されていても、今の私は先生の腕の中で、先生を楽しませる反応だけを見せる愛玩動物のような扱いを受けていた。

 その証拠として、体の前で交差させて着ていた浴衣がはだけて、上半身裸になっていた。

 動物は服なんて着ない。

 私は異性の腕の中で、雌としての体をさらけ出していた。

 体を少しでも反らせば、肋骨が浮き出そうなほど薄くて、幼さを残した体。

 下衆な大人たちが、私たち年頃の女子のことを「食べ頃」なんて汚い呼び方をしてることは知っていた。それでも私の身体は、そんな大人たちが見れば、まだ未熟と判断しそうなほど、子供っぽい気がした。

 それが果物の話なら、強い酸味が口に広がるほど未熟な物かもしれない。

 先生はそんな私の未熟で酸味がしそうな見た目から、甘味を見出だして味わうように求めてきていた。

 先生を興奮させてしまう魅力が私にはあるみたい。今はそれを信じて、先生に身を任せていた。

 先生の指先だけではなく、腕までも、肌に直接触れて、ピタッと触れる肌感触が、全身性感帯にでもなってしまったかのように、ビクッと震わせてしまった。

 

 ──ちゅぅ……ちゅぅぅ……じゅるるっ……ちゅぽっ……

 

 先生の舌が私の舌を吸い上げた後、唇を密着させてきた。

 塞ぎ合った口内の中から、鼓膜に伝わってくる唾液を啜り上げる水音が脳を刺激した。

 そして、恥ずかしい音を立てて離れた唇同士から、空気を含んだ音を立てていた。

 ぷるっとした唇同士が離れ合う音。

 私の唾液を飲み込んだ先生が、私の名前を呼ぶ。

 建前として呼ぶような口振り。

 背中から感じていた先生の心臓の鼓動と私の鼓動は同じくらい早くなっていた。

 もう、今も耳に聞こえる鼓動がどちらの物か、私には分からない。

 胸に添えられていた手が肩に回されると、私の向きを仰向けになるように変えられながら押し倒されてしまった。

 チナツに結ってもらった髪が崩れて、掛け布団の上に広がった。

 私に覆い被さっていた先生が、自分の浴衣の帯を乱暴に解いて、素肌を晒していた。

 目の前にいるのは、衣服を捨てた雄。

 その目の前にいるのは、これから種付けをされる、衣服を乱した小動物の私。

 勃起した男性器が痛々しいくらい血管を浮かばせて、張り詰めていた。

 今にでも破裂してしまいそうな男性器。その先から、トロッと零れ落ちる粘液。

 雄臭い分泌液が、ゆっくりと糸を引きながら、私の太ももに滴っていた。

 温かい粘液が肌に触れて、先生の物なんだと、体に野性的なマーキングが施されていた。

 

 ……先生、来て?

 

 表情には出さない先生の変わりに、男性器がドクッと跳ねて喜んでいた。

 自分を受け入れてくれる雌からの許可。

 種付けを許されたことに歓喜するように張り詰まった生殖器の先から、涙を流すようにボタボタと分泌液を溢し続けていた。

 

 ──私も浴衣を脱いでしまい、膝を曲げたまま脚を広げられて、先生に濡れた大事な所を見せつけていた。

 

 ひ、ヒクヒクしてるなんてわざわざ言わなくていい……!

 

 焦らされて、先生のことが欲しくなっていた。お尻にまで、大事な所から溢れ出した愛液が伝っていた。

 ずっと、欲しかった。

 

 先生……避妊は……? 鞄の中……?

 ……ふふっ、折角のムードを崩しちゃったわね……ううん、いい……大丈夫……

 いきなり誘ったのは、私だから仕方ないし……それに……

 

 そんなに硬くして、本能剥き出しにしても私の身体を大切にしようとしてくれている気遣いも好き。

 

 でも……こうして次に二人きりになれるのが、いつになるかなんて分からないでしょう……?

 先生……私も、大丈夫な日を選んで来てるから……先生のこと、もっとはっきりと感じたい……な、生で……シたい……なんて……ダメ、よね……? ──んっ……

 

 勃起して、ずっしりと重たくなった男性器が、膣口の割れ目を乗り上げ、下腹部に乗せられた。ゴツゴツとした男性器の裏筋が、皮の間から見え隠れしている陰核に擦り付けられて、開脚している股部分からビリビリとした快感が、微弱ながら私の身体を駆け巡っていた。

 

 ──どろぉっ……ぽた、ぽたっ……

 

 先生の、お腹に溢れてる……あ……温かい……

 

 下腹部に乗せられて、血管が浮き出ている男性器が、無理に反り返ろうとドクッと跳ねて、鈴口から透明な粘液が溢れ出してお腹に滴っていた。

 滴ってきた我慢汁がお臍の窪みに溜まって、精子が僅かに泳いでいる牡臭の濃い水溜まりを作っていた。

 

 このまま我慢汁がお腹に染み込んで、妊娠してしまうかも……

 

 そんな非現実なことを考えただけで、ドキドキしてしまった。

 

 先生? 躊躇ってるの……? んっ……すりっ……すりっ……なんて……ん、はぁ……♡ あっ……ぁ……♡ どう? 気持ちいい……?

 

 安全日と言われて、子どもが出来ないならシたいと悦ぶ本能と、僅かでも出来てしまう可能性を躊躇して引き留める理性が葛藤して、ガタガタと腰を震わせていた。

 私は布団に爪先を立てて、腰を浮かせて裏筋の表面に、愛液で濡れた陰核を前後に擦り付けて誘惑した。

 私の両脚の太ももの付け根を、先生の大きく広げた両手に掴まれた。

 グイッと今開脚している状態よりも大きく脚を広げさせられた。

 両脚を無理に広げられて膣口が引っ張られ、くぱ……っと半開きになってしまい、中から一滴の蜜がトロッと溢れ出して、敷布団に零れ落ちていた。

 

 はぁ……ぁ……はぁ、はぁ……♡ せ、先生……この格好、恥ずかしい……っ……早く、入れて……抱き締めて……? ──は、ぅっ……!

 

 ──ずぷぅっ……ずぷぷっ……

 

 先生の腰が引かれた後、りんご飴のように真っ赤ですべすべとした亀頭を、半開きになった膣口に押し付けられた。

 触れ合ったお互いの生殖器の粘膜が、ねっとりと絡み付き、まるで元々一つだった状態にでも戻るかのように、隙間も無くなるほど引っ付き合っていた。

 それが押し込まれて、擦れ合って、また引っ付き合った部分が、擦れ合う。濡れた生殖器が擦れる度に、まるで粘り気があるかのような水音を立てていた。

 

 ──ぬちゅぅ……ぬちゃっ……ずぷぷ……

 

 先生の男性器が半分くらい入った辺りで、私のお腹の奥で、コツンとぶつかる感覚がして、私は体が弓なりになるように反り返らせて、目の中で火花が散った。

 

 ん゛っ──~~~っ……!? う゛ぅ゛……っ……♡ あ゛……っ……はぁ……♡ ぁ……っ……──っ……あぅ、ぁ……はぁー……ぁ……はぁ、はぁ……せんせぇ……全部……ま、まだよね……先生、大丈夫……?

 

 一度貫かれた膣でも、先生の物を持っていきそうなほど、窮屈でキツい形をしてたみたい。

 亀頭が咥え込まれ、圧迫され、密着した膣襞が擦り付けられた快感で、小刻みに収縮を繰り返していた。

 

 歯を食い縛って、快感に堪えている先生の様子に反して、男性器が気持ち良さそうに、まるで心臓の役割が移り変わったかのように、ドクドクと何度も脈動して快感を受け入れて悦んでいた。

 

 全部入れないと、もどかしくない……? うん……私は大丈夫だから、全部入れても……あぅ゛っ……ま、待って……! ん゛、ぅ゛……──っ……!

 

 息を吐く前にお腹の奥にまで男性器を押し込まれて、下品な声が出そうになって、慌てて両手で口を押さえていた。

 亀頭が奥まで押し込まれた臓器の圧迫感と、それに合わせてお腹の中に残った空気が、喉奥からまるで見えない塊になって込み上げるのだった。

 お腹の中にはっきりと感じる異物感。

 中から圧迫したまま、ドクドクと脈を打って、私の身体の中から微かに伝わってきてた。

 先生の恥骨と私の恥骨が触れ合うほど、下半身が密着し合ってた。

 ドスッと、私の顔のすぐ近くに、先生の両手をついて、覆い被さられてしまった。

 頭二つ分大きい先生が覆い被さってしまうと、目の前にくるのは先生の胸板だった。

 首を反らすように見上げなければ見えない先生の表情。

 膣奥を押し広げられて、元の形に戻ろうとする膣襞が、男性器を吸い上げるように隙間なく張り付いていた。

 

 先生、手握って……せめて、指先を絡め合って、もっと先生を感じたい……から……──んっ……

 

 私よりも大きな手と指を絡め合わせて握ると、手の甲まで先生の指先で覆い尽くされてしまっていた。

 私もお腹の中の異物感に堪えて、手を力ませると、指と指の隙間が無くなってしまうほど先生の指と密着して、お腹の中だけではなく、幸福感から胸の中まで満たされていた。

 男性器の脈の打ち方が、心臓の鼓動のような一定の物から、無理に膣の中で反り返ってかき混ぜようと今にも破裂してしまいそうな一回一回の打たれる脈が大きくなっていた。

 

 お゛っ……あ……ぁ、ぅ゛……っ……♡ せ、せんせ……出そう……? う、う゛ぅ……ふふっ……お腹の中で、ビクビクしてるから……分かる……出して……? ……ダメ、出して……先生が言ったんでしょう? 今日の私は欲張りだって……逃がさな、い……ぃ゛……ぅ゛、あ゛、ぅっ……♡ だ、出して……っ……?

 

 先生の腰が、小刻みにガクッと震え始めていた。

 限界まで我慢しようとしてるみたいだった。誘われるがまま腰を入れてきた先生が、もしかしたら引き抜いて、外に出すかもしれなかった。

 私は先生の腰の後ろに両足を回して、腰を引き抜けないように押さえ込んでいた。

 そして、布団の上で、まるで両腕を広げるように伸ばして開いていた羽を、腰を包み込むように先生の後ろに回した。

 押さえ込んだせいで、膣奥をグリグリと擦り付けられて、喋るものなら合間に上擦った声が漏れてしまっていた。

 ふー、ふーっと、息を吐いて堪えてる先生を宥めるように、指同士を絡めた手に指先をグニグニと入れるように触って先生に声をかけた。

 

 せんせぇ……そんなに、息ばかり吐いても辛いでしょ……ゆっくり、深呼吸して……そう、吸って……吐いて……──っ、ぁ……♡ ふふっ……もう一度、吸って……んっ……ぁ、は、吐いて……ぇ……っ……♡ 腰の震え大きくなった……出そうでしょ、出して……出して……っ……♡ ん゛……ぅぅっ──……っ!

 

 ──どびゅぅっ……! びゅぅぅっ……! びゅぅ、びゅぅっ……!

 

 ガクガクッと先生の腰が筋肉が強張らせながら大きく震え上がって、私のお腹の中がじわっと温まる感覚が広がっていた。

 先生が身体を仰け反らせて、もう密着してるはずの下半身を更に押し込もうとしてるみたいだった。

 指が解けないほど、先生に強く握られていた。

「はぁ゛ー……ぁ゛……っ……ひ、ヒナ──お゛、ぅ゛……っ……!」

 射精を終えた余韻から、先生の腰が抜けてしまいそうなほどの快感が、尿道の中の精液の塊を亀頭から吐き出させていた。睾丸の中にある精子を一匹残らず私の中に注ぎ込むように、膣の中に溜まった精液に継ぎ足すような、余韻から一滴一滴が重たい射精。

 先生の様子を目にしながら、お腹の中で、先生の生殖器の粘膜と密着して擦れ合っていると思うと、それだけで私の腰がゾクゾクと震え上がった。

 

 本当に、私の中に注ぎ込んだのね……

 

 ぽかぽかとした物がお腹の奥に残る心地が、私の胸を昂らせた。

 安全日を間違えていたら、本当に妊娠してしまいそうな量。

 余韻が引いた先生が、私の膣の中から、柔らかくなった男性器を引き抜く時、あれほど膣襞を引っ掻き回していたのが嘘のように、ぬるっと中で滑らせながら出てきていた。

 白濁とした粘液まみれになった半勃ち状態の男性器。

 その先っぽと、私の膣口の中から一本の細く白い粘液の糸が引かれていた。

 そして、その糸に引っ張られたかのように、膣口からどぷっ……どぷっ……っと二、三滴ほど、白濁とした粘液の塊が溢れ出していた。

 

 あ……で、出てる……中に収まらないほど出したんだ……先生……それ……お、おちんちん……綺麗にしてあげる……じっとして……?

 

 おちんちんを引き抜いた後、腰に力が入らなかったのか、先生は尻餅をつくように、膝を立てて開脚したまま座り込んでいた。

 だから、私はうつ伏せになってから、先生の両脚の間に入り込んだ。

 凄く生臭いニオイがする粘液を纏ったおちんちん。

 あの日、初めての時にこんな風に口でシてあげることなんてなかった。

 直接唇で触れることに、なんだか抵抗を感じて、私は恐る恐る、だらりと垂れ下がっているおちんちんの先っぽに舌を伸ばして舐めるのだった。

 

 ──べ……べぇ……れろっ……っ……れろっ、れろっ……ん゛……ぅ……

 

 震える舌先が鈴口を一舐めすると苦味と鼻の奥に突くような悪臭が口の中へと瞬く間に広がった。

 まともに理性が保っていたら、舐められるような物じゃなかった。

 ただ、上目遣いになるように見上げると、腑抜けた顔をして気持ち良さそうにしている先生の顔があった。

 私のお掃除で気持ちよくなってくれている。

 そんな反応を見せられるだけで、嫌悪感はあっても抵抗が減ってしまっていた。

 尽くせている。その幸福感が、それを上回っていた。

 こんなこと先生にしてあげられるのは私だけだから。

 

 もっと気持ちよくしてあげる……あむっ……

 

 ──ちぅ……ずずっ……ちゅぅ……ん゛……けほ、げほっ……じゅるる……ずずっ……♡

 

 鈴口にキスをしてから顔を押し込むと、先っぽを甘噛みするように咥えて、中に残っているかもしれない精液を吸い上げていた。

 一度だけ、びゅぅっと鈴口から我慢汁で薄まった精液が勢いよく口内に吐き出されて、私の喉奥にそれが当たって、私は咥えたまま噎せてしまった。

 口の中に粘り気のある粘液が絡み付いて、鈴口回りを咥えたまま飲み込むことで頬が自然とすぼみ、ねとねとした潤滑油だけを吸い出していた。

 先生が私の頭に手を置いて撫でてくれていた。

 私が先生を気持ちよくしているはずなのに、撫でてくれている手付きが心地好くて目を細めて、私はそれを受け入れていた。

 飼い犬や飼い猫が、飼い主に頭を撫でられて気持ちよさそうにしている理由が、今なら分かる気がする。

 好きな人に脳の近くを優しく撫でられているような感覚に、纏まった思考が蕩けていくような心地がした。

 もっと撫でられたい。

 私は、おちんちんをもっと愛撫しようと亀頭を頬張った。

 口の中を埋め尽くすイカ臭い異物感。

 カリ首まで包み込むほど口を大きく開けて咥えていた。

 興味本位で調べた資料に出てくる女性がやっているような、顔を前後に動かして咥えたおちんちんを出し入れしてシゴく真似なんて、到底できそうになかった。

「くぽっ……ちゅ、ぢゅぅ……げふっ……ぢゅるっ……くぽ、くぽっ……ぢゅるる、ずずっ──っ! ん゛ぅ゛……! げほ、げふっ……ぇ゛ぅ……!」

「ひ、ヒナ……!?」

「はぁ゛、ぁ……ん゛ぐっ……はぁっ、はぁ……げほ、げほっ……はぁ……はぁ……せ、せんせい……はぁ……ご、ごめん……」

 何とかカリ首より先も咥え込もうと、顔をおちんちんの根元に向かって押し進めていた。

 咥えきれるまで無理に口を押し込むと、すぐに嘔吐反射で締まる喉奥と亀頭が触れ合って、空気を含んだ音を立てて口端から高めの音が、くぽくぽと何度も鳴っていた。

 顔を引く度に、粘膜同士が剥がし合うような感覚を、何度も繰り返し喉奥に無理やり与えていた。そんなことを繰り返したから、噎せて咳き込み、おちんちんと口の隙間から私の唾液も混ざった、我慢汁と精液の混合物がどぷぷっと溢れ返ってしまった。

 顎を伝い、ぼたぼたと布団に零れ落ちる粘液。

 

 ごめん、溢した分も……飲むから……

 

 私は慌てて身体を起こすと、指先で顎に伝う粘液を掬い上げ、指を咥えて啜って飲み込んだ。

 自分でも溶けて手に零れてきたアイスを舐めるような仕草をしてるように思えるのに、口に入ってくるのは舌や頬裏に絡み付いてくるし、とても生臭くてベタつく粘液。

 

 ──ちゅぅ……ちゅる……っ……

 

 顎や頬を伝った粘液を指で拭き取り、口から溢してしまった分は綺麗にしたつもりだった。

 お布団に溢した分は、どうしよう。

 白色のシーツに私が溢してしまった跡が色濃く残っていた。

 私が無理にした結果を思い悩んで「はぁ……」と吐いた溜め息が精液と同じ生臭いニオイがした。

 こんなニオイがする口じゃ、先生の顔も見れない。

「ヒナ……」

 先生は、俯いたままの私の顔に右手を添えると、親指の腹で私の頬を撫でながら優しい声で呼んでくるのだった。

 

 い、今はダメ……おちんちん舐めたから、口、臭いと思うし……確かに先生の身体の一部だけど……ごめん……今、顔近づけちゃ……ん、んぅっ……

 

 俯いたままの私の顔を覗き込んでくるように顔を近づけられていた。

 拗ねた子どもの機嫌を優しく窺うような、暖かな瞳で見つめていた。

 その瞳に吸い込まれるように、顔が近づいてくることを受け入れて、私の口に舌を捩じ込むほどの深いキスをしてきた。

 舌先を私の舌の付け根に届くまで伸ばされ、舌の表面、側面、お互いに舌の敏感で、少しざらつきのある部分を擦り合わせていた。

 付け根から舌先に向かって何度も舐めてくる舌の仕草が、まるで私の舌に纏わりついている精液をかき集めてくれているような動きだった。

 口の中が先生の舌で綺麗にされていく。

 先生の喉が何の躊躇いもなく、私の口内からかき集めた精液をゴクッと飲んでいた。

 

 自分が出した物を飲むなんて嫌じゃないのかしら……

 

 もう私の口に纏わりつく精液の感触も残っていないのに、先生は私の後頭部の左右の角の間に手を回して、指先を揃えて優しく撫でてくれていた。

 脳の裏側を優しく撫でられているような心地に、頭の中が気持ちよくなって、ぼんやりと何も考えないまま舌を絡めていた。

 寝起きの理性が、夢見心地から現実を認識するまでの数秒間のボーッとしている気持ちのいい時間みたいだった。

 ずっとそれが続くような心地。

 このまま覚めなければいい夢みたいな時間だった。

 先生が口を離すと、すぐに私は先生の胸板に抱き寄せて、私の後頭部を優しく撫で続けていた。

「ごめんね、ヒナ……あんな物を口にさせて」

 私から口にしたのに、先生は私の感じた味を理解しようと、私の口に舌を入れて残った物を口にしてくれたみたいだった。

 

 ……いや、別に謝らなくても……私から口にした訳だし……先生こそ、自分が排泄した物を飲むなんて、大丈夫だった……?

 な、何それ……私の口に入った物だったら、何でも大丈夫なはずがないでしょ! いきなり変なこと言わないで……! ……ふふっ……でも、嫌じゃない……もっと、あんな風にしていたかった……

 

 角が当たらない程度に顔を横に向けて、私は先生の汗ばんだ胸板に頬を寄せていた。

 先生だけじゃない、お互いに興奮で体温が上がって肌が汗ばんでいた。

 折角、温泉に入って寝るだけのはずだったのに、脱いだ浴衣や布団に触れる触り心地が、もう一度入り直さなきゃいけないようにも思えるほど、肌に張り付くのだった。

 頬から感じる先生の温もりも合間って、私は安心から溜め息を一つ溢した。

「はぁ……ずっとこうしていたい……」

「……うん、私も」

「だけど、こんなに汗もかいたし、身体も洗い直さないと……」

「今から温泉に行く?」

「行きたい……けど……」

 当然だけど、大浴場は混浴じゃない。

 今の時間、使いに来る生徒なんていないと思うけど、先生と一緒に入っているところを万が一見られたりなんてしたら……それに今、温泉に行ったら分かれて離れ離れになってしまう。

「……まだ一緒にいたい」

「温泉に行きたいのに?」

「……うん」

「ふふっ、今日のヒナは甘えん坊さんだね」

「……っ、日頃からずっと、こうして甘えたいって思ってたわ」

「ご、ごめん……」

「……んっ……ふふっ」

 すり……すり……と先生の胸板に頬ずりした。

 後頭部を優しく撫でられながら、抱きしめられて、頬を胸板に押し付けて先生の温もりを感じながら、耳の近くで囁くように話しかけられている。

 普段なら叶わないような手放し難いものばかり。

 自分でも分かるほど、今の私は我が儘だった。

 先生が私をどうしようか悩むように言葉を詰まらせたと思うと、すぐに先生は耳打ちするように唇と耳が触れるほど顔を近づけてくるのだった。

「……ねぇ、ヒナ」

「んっ……うん……」

 私の後頭部を撫でていた指先が広げられて、優しく頭を抱きしめられた。

「家族風呂……行こっか……」

「……っ、うん」

 先生と二人きりになれる場所。

 気が早く思える家族って響き。

 少し恥ずかしいけど、お風呂でも先生と一緒にいられると嬉しく思える気持ち。

 ドクンと心臓が一度大きく跳ねたような心地がするほどの胸の高鳴り。

 本能的な期待から、排卵を誘発させるみたいに、お腹の奥がきゅぅっ……と熱くなる錯覚さえあった。

 先生の腕の中で、私はコクッと小さく頷いた。

 

 ──脱いだ浴衣を着直して、一度歯を磨いて口の中を綺麗にしてから別館を後にした。

 ヤシの木が生い茂る庭園を抜け、ひと気のない廊下を歩いて家族風呂へ向かっていた。別館から庭園を通り抜ける間、先生と身体を重ねて火照った身体を冷ますように、辺りの木々の葉を揺らす程度の吹き抜ける穏やかな風が心地好かった。

 解けてしまった髪が、いつものように私の首回りを覆うように広がっていた。その蒸れた首回りと髪で出来たベールの間を撫でるように吹き抜けていた。

 他のみんなは本館の客室に泊まっていたから、廊下ですれ違ったり見られたりしないか、緊張しながら歩いていた。

 仮に誰かとすれ違って私たちを見たとしても、人に言えないようなことをした後で歩き回っているなんて、思われるはずもないのに、私は変に意識してしまっていた。

 ペタ、ペタと二人の足音しかしない廊下を歩く中、先生が私の様子を見ると「大丈夫、いつも通りのヒナだよ」と口にして、私の肩を優しく抱き寄せたのだった。

「──っ、そう……」

 そう言ってくれるから、いつものような口振りで返事をしてみるけど、ぎこちなくなってしまう。

 浴衣越しに触れられたところが熱くなるみたいに、身体がずっと昂ったままだった。

 

 ──脱衣所に着いてから脱ぎ終わると、私はその場で、生まれたままの姿になった先生に身体を抱き上げられてしまった。

 慌てて先生の首の後ろに両手を回してしがみついた。

 私の小ぶりなお尻が、ふにゅりと彼の腕の上に乗せて抱き上げられていたから、私はさっき繋がり合った時のように、背中にも両足を回して落ちないように身体を密着させた。

 先生と同じ目線になる。

 

 重たくないからってここまでしなくても……それは……同じ目線でキスがしたいのは、私も一緒だけど……か、風邪ひいても知らないわよ……? んっ……ちゅっ……ちぅ……っ……

 

 唇と唇が触れ合った。

 家族風呂の脱衣所だから、外から温泉の中が見えない囲い以外視界を遮る仕切りなんて無かった。

 脱衣所からガラス戸越しのすぐそこには、半露天風呂があり、そこの屋根と囲いの先に自然が広がっていた。

 まだ温泉に入ってもいないけど、見える景色と脱衣所から解放感のある光景が事実上、外で裸のままキスをしているような状況に等しかった。

 

 ──ちゅっ……くちゅっ……れろっ……ちゅぅ……ちぅ……れろ、れろっ……

 

 視線の高さが合った私たちは、舌を絡めることもなく、口蓋や歯茎、頬の裏に舌先を這わせて、お互いの口内の形を確かめ合うかのように舌を入れ合っていた。

 時折、口から漏れ出す吐息。

 ざらつきのある舌の表面が、お互いに吐いた息で湿り気を増していた。

 くちゃ、くちゅっと口の中で舌同士が触れ合う音が、擦れ合う感触が、頭の中をぐちゃぐちゃにかき混ぜているみたいだった。

 口内に溜まった唾液を飲むと、背中からゾクゾクと微かに震え上がった。

 私以外の口内の温もりが喉を抜けていく感覚に、身体が興奮していた。

 外からは湯口から浴槽に温泉が注ぎ込まれていく川のせせらぎのような音から、雑木林が風で揺れる葉音と、大自然の中を彷彿とさせる物音だけが聞こえていた。ひと気も全くなく、私たちだけが、自然の中で混ざり合っているような羞恥を感じる解放感があった。

 お互いの舌先が、別の生き物みたいにぐりゅぐりゅって、口の中を擽るように押し込まれて、うねり続けていた。

 まだ温泉に入っていないのに、身体は既に逆上せているみたいにポカポカと温まっていた。

 頬が熱い。

 口内の粘膜と粘膜を擦り合わせて、口の中まで性器になってしまったみたい。

 理性をぐちゃぐちゃに掻き乱され、蕩けた脳が形の戻り方を忘れてしまったみたいに、頭の中でどろどろに崩れて、酔っているような心地。

 密着した胸部からドクドクドクとはっきりと聞こえてくる心音は、今にも破裂してしまいそうなくらい激しく高鳴っていた。

 先生の腕が疲れて来たのか、私の視線が少しずつ下がってきていた。

 何とかしがみつこうとしていると、身体が下がって私のお尻に、ペタッと湿り気と微かな粘り気を感じさせる物が、ぺちぺちと当てられていた。

 先生の身体も、逆上せるほど十分に火照っていた。種付けした後の生殖器がもう一度種を植えようと硬くなるくらい、十分なほど。

 口が離れてしまい、唾液の糸が先生より目線が下にいる私に向かってプツッと切れて零れてくるのだった。

 私を見つめる先生の目が、据わったようにとろんと蕩けていた。

 

 先生……目が蕩けてる……私……? ふふっ……うん、先生に蕩けさせられてる……今も頭の中がふわふわと浮かんでいる気がする……口離したから、身体冷えちゃうわ……ねえ、早く入らない……?

 

「早く入らない?」私は先生にそう提案したけれど、私は肝心なことを忘れていた。

 あれほど口の粘膜を触れ合って気持ちが昂っている今の先生は、先生じゃなくて、盛った雄だってことを。

 

 ──私は岩造りの浴槽の中に入ると、立ったまま縁に手を付けるように言われて、先生にお尻を向けていた。

 浴槽に浸からず、こんな姿勢をさせられる時点でもう何をさせられるか分かっていた。

 私の隣で身体を洗っている間も、勃起した後の大きさだけを保っているかのように、指で輪を作っても包み込めないほどの太い管のようなおちんちんを見せられて、私は緊張していた。

 いつでも交尾出来るように、激しい血液の循環が止まっていないおちんちんが、泡立ったタオルに擦られて、ドクッと意思を持った生き物のように気味悪く脈を打っていた。

 

 あれが……また私の中に入るのね……

 

 身体を洗い終えるまで、先生は繁殖期の野性動物にでもなったかのように黙り込んだまま、交尾に向けて精神を研ぎ澄ましているような様子だった。

 直感で気づけてしまうほど、気を張り巡らしている先生を見て、私も雌として本能的に気持ちが昂らされていた。

 だから、今もこうして先生にお尻を向けている間、もう一度おちんちんを咥えたいとヒクヒクさせている大事な所から、精子が溶け込んだ愛液がドロッと溢れ出してしまっていた。

 

 先生……? 何もしないの? いつまでこうしていれば……ひゃぅ──っ!

 

 ぐにゅぅっと、お尻に指が沈み込むほど乱暴に両手で掴まれた。

 手を大きく広げて掴まれてるから、先生の手にすっぽりと尻たぶが収まっていた。

 そして、尻たぶの間にずっしりとしたおちんちんが乗せられていた。

 指が沈み込むほどの柔らかなお尻に乗せられたおちんちんの感触がはっきりと伝わってきていた。

 反り返って強調された裏筋のゴツゴツとした表面と、少し肌寒く感じる背中に温泉と同じくらい熱を持った感触。このままお尻にじっと押し当てられていたら、火傷してしまうんじゃないかって思ってしまった。

 そして、まだ出し切れていない精子がパンパンに詰まっていると分かる睾丸が、腰をお尻に押し付けられているせいで、掴まれている私の尻たぶの表面に押し潰されていた。

 私の目の前には、脱衣所にいた時から遠目で見えていた木製の囲いと、見上げると照明に照らされた雑木林が広がっていた。

 大自然しか見えない光景。

 そんな状況で先生におちんちんをお尻に擦り付けられて、ゾクゾクと身震いした。

 お尻に乗せられたまま、腰が引かれて、おちんちんのカリの返しになってる部分が、ぐぐ、ぐぐっと尻たぶにぎこちなく擦れていた。

 

 こ……このまま、挿れられる……

 

 私は肩を強張らせて、捩じ込まれることに身構えていると、もう一度腰がお尻に密着させられて、おちんちんの裏側がお尻の間にずりゅっと勢いよく擦り付けられた。

 

 ──ずりゅっ……! ぐりゅ……ずりゅっ……!

 

 それも一回だけじゃなく、二回、三回とお尻の割れ目に勃起したおちんちんを乗せてシゴき始めたのだった。

 いつ挿れられるかも分からないストローク。

 ぱちゅんっ、ばちゅっと濡れた肌と肌がぶつかり合う度に、水滴の一滴一滴が水面に落ちた時のような微かな反響が、屋根のある屋内と雑木林の葉が密集した空間の中に溶け込むように響いているみたいだった。

 背中の羽の付け根付近が急にドロッとした粘液で温かい感触が広がってきていた。

 お尻の割れ目でシゴかれ続けて、鈴口から溢れた物が尻えくぼに溜まって、それが揺さぶられ、溢れて、そこから私の背中に牡臭いニオイを残しているみたいだった。

 もう、私の中には先生の遺伝子が残っているけど、いつまで残るか分からない物だけど。

 

 せ、先生……いつまでそうしてるの……! んっ♡ はぁ……♡ お尻掴んで、ずっと擦り付けてくるなんて……え……た、確かに言ってないけど……言わなきゃダメ……? ん、ひっ……ぃ……♡ んぁ……っ……ぁ……♡

 

 先生は「お尻を向けて?」と私に言っただけで、後ろから挿れるなんて一言も口にしていなかった。

「はぁ……はぁ……かけていい? このまま、ヒナの背中に……まだ残ってる精子……残らずかけたい……」

「い……言う……! 言うから、腰止めて……!」

 こういう時の先生は嫌い。

 元々、背中に出す気なんて無いと言わんばかりにピタッと腰を止めてしまっていた。

 私の言葉を急かすように、ぺちぺちと何度もお尻の割れ目や指の隙間から溢れ出た尻たぶを叩いてくるのだった。

「先生のおちんちん……な、中に挿れて……」

「……挿れるだけ?」

「い、意地悪……」

「甘えたいって言ったのはヒナでしょ……? どうしてほしいか言ってもらえないと分からないかな……」

 酷いくらい意地悪だと思う。

「ねえ、ヒナの口から聞きたいな……」

 お尻を掴んでいた先生が、私の顎に片手を移して、下唇を指先でなぞってきた。

 意地悪な焦らし方。

 でも、こうして先生が敢えて私の口から言わせようとするのも、ただの意地悪じゃなく、胸の内に抑圧され続けていた甘えたいという気持ちと、素直な感情を引き出すための行為だった。

「……っ、お、おちんちんを中に挿れて……たくさん、か……かき混ぜて……こ、これでいいでしょ? もう、恥ずかしいから早く──ひゃぁ゛ぅっ♡ ……~~~っ!」

 

 ──ずぷぅっ……! ずぷぷぷっ……!

 

 再び両手でお尻を掴まれて、腰を深々と押し込まれている光景は、傍から見ればまるでレイプでもされているような光景かもしれない。

 小柄の雌の生殖器に、大柄の雄が一方的な愛情を捩じ込んでいる光景。

 反り返ったおちんちんがぴったり閉じた子宮口に向かって勢いよく叩き付けられて、私の目の中で火花が散るように目が眩むほどの快感が腰から脳に向かって駆け抜けていた。

 血管が浮き出てゴツゴツした男性器に膣を擦られる快感。

 精液を吐き出すための鈴口が、赤ちゃんを作る部屋の入り口である子宮口に深々と突き立てられて、種子を受け入れる準備を始めるかのようにゾクゾクと腰が震え上がった。

 小さな体躯では許容出来ない程の快楽の波が脳に送り込まれ、岩で出来た浴槽の縁を掴んでいた手の指先を丸めて握りしめたり、指先を反らして宙を掴むように私の意思に反してめちゃくちゃに動かしたりして、脳や神経を焼き切ってしまいそうな快楽を少しでも逃がそうとしていた。

 別館で仰向けになって受け入れた時と違って、背中の裏側を擦り上げられるような感触。

 おちんちんが赤ちゃんのお部屋にキスして、ドクドクしてる……さっき、注ぎ込まれた精液が残っている赤ちゃんのお部屋……今から身体をたくさん揺さぶられて、かき混ぜられて、お腹の中に先生の遺伝子いっぱい刷り込まれる……お尻を掴んでた両手が腰に……っ……来る……来て……っ……

 

 ──ぬるっ、ずるるっ……どちゅっ……!

 

 ひゃぅ、んぅぅっ──♡

 

 ゆっくりおちんちんが引き抜かれ、また子宮口に向かって勢いよく叩き付けられた。

 カリ首が、おちんちんに密着していた膣襞をぐりゅっ、ぐりゅっとなぞるように抉りながら引き抜かれていた。

 まるで膣襞がちゃんと先生の形を覚えているかなぞって確認するかのような仕草にも思える擦れ方だった。

 そして、膣襞が閉じる前に再び捩じ込まれて、膣の隙間を一気に埋められ、ビリビリとした甘く痺れるような快感が腰から込み上げてくるのだった。

 私の膣の温もりで溶けた精液が、私の中で愛液とドロドロに混ざり合ったまま、先生のおちんちんで直接かき混ぜられていた。

 私の目の前には変わらず、囲いと自然が広がっている。

 それから、腰を振る度にバシャンッと飛沫を立てる水面の上で、温泉で滑り気を帯びた身体同士がぶつかり跳ねる水気のある音。

 シャーレからも、ゲヘナ自治区からも離れた私たちは、衣服さえも脱ぎ捨てて、外で身体を重ね、生殖器同士で繋がり合っていた。

 今ここにいるのは、交尾に励む雄と雌。

 安全日に交尾排卵させようとするみたいに、必死になって腰を打ち付ける雄の求愛行動を、雌としての本能がお腹の奥をきゅんとさせて身体を強張らせた受け入れていた。

 本当はしないはずのに……しちゃったらどうしようって、今になって不安になってしまうくらい、判断力が無くなっていた。

 逆上せてしまいそうなほどの温泉の熱気と、脳が茹だってしまいそうなほど興奮して火照った身体。

 何度も膣の中をぐりゅっと抉るおちんちんを出し入れされて、私は自力で立てなくなっていた。今は先生に腰を掴まれ、水中に浮かせた爪先が、腰の動きをゆっくりと後追いするようにふらふらと揺られていた。

 そんな状態の私に向けて、先生が息を乱しながら私の名前を呼んでいた。

 激しく水飛沫を上げる程の交尾を繰り返す中、名前を呼ぶ声は、私の鼓膜を愛撫した。

 名前だけじゃなかった。

「好き」なんて優しい言葉でも十分だったのに、「愛してる」なんて言われてしまえば、胸の中じゃ収まらないほど満たされる言葉で気持ちよくなるみたいに身震いしていた。

 本能的な目合いのせいで、収まらなかった気持ちが白濁とした蜜になったみたいに、大事な所から本気汁がゴポッと掻き出されていた。

 

 私も……あ、愛してる……

 

 自分の声の響きにすら、胸がきゅんとする。

 全身も、感性も、脳に伝わる物の全てが快楽に思えてしまうほど気持ちが昂っていた。

 

 せ……責任? うん……取って……♡ 取ってほしい……先生との赤ちゃん欲しいから……そのつもりで、全部出して……とびきり濃いせーえき……♡ 中に……あ、ぁぅ……♡ い、イクぅっ……──んぅぅぅっ……!

 

 ──どびゅぅっ……! びゅぅぅっ! どびゅっ……! どぷっ……どぷっ……

 

 レイプするように腰を掴んでいた先生の両手が、射精する直前に、私を後ろから抱きしめてきた。

 背中から伝わる先生の胸板とお腹の感触。

 子宮口に捩じ込みそうなほど、お腹の奥深くにおちんちんを突き立てられて、精液を注ぎ込まれた。

 先生の温もりに包まれながら行われる種付け。

 意識はあるのに、ずっと頭の中が真っ白のままで、胸の中が宙に浮かんでいるような心地だった。

 溢れ出した脳内麻薬が、私の身体を幸福感で満たしていた。

 

 優しく包んでくれる先生の温もりが好き。

 愛をささやいてくれる先生の声が好き。

 私をここまで連れてきてくれた先生の気遣いが好き。

 甘え下手で可愛げのない私を受け入れてくれる先生が好き。

「──はぁー……♡ はぁ……ぁ゛……せ、せんせぇ……♡」

「はぁ……はぁ……ひ、ヒナ……?」

 呼ばれて後ろから私の顔を覗き込んでくる先生と目が合うと、私は手を震わせながら先生の頬に触れた。

 顔の輪郭がはっきりと伝わってくる手触り。

 ……良かった、夢じゃなかった。

「あ、愛してるわ……先生……」

「……ヒナ、私も愛してる」

 それから、軽く唇を触れ合わせる程度のキスをした。

 目合いの終わりを意味するような、柔らかい愛情表現だった。

 本当は快感のあまりに抜けてしまった腰の感覚が、戻るまで先生に抱きしめてもらっていただけだったけど……

 

 ────

 

 ──ちゃぷんっ……

 

 獣のように交じりあった私たちは、もう一度身体を洗い終えてから、二人で一緒に浴槽に浸かっていた。

 浴槽の深さは大浴場の物と同じ物だった。

 別館で先生に甘えていたように、先生の脚の上に座って、私は肩まで浸かっていた。先生は浴槽の底に胡座をかくように座っていたから、温泉の中でも違和感を感じることもなく座れていた。それも、私の中に捩じ込み、本能的に求めてきていた男性器も、役目を果たしたと眠りに就いているみたいに、小さく縮んでいたから、尚更。

 大浴場で一人で浸かった時には口元まで浸かっていた水面が、今は顎の下にある。

 先生に支えられているから、息苦しくなることもなく安心して全身から温まっていた。

 身体の芯から温まっていき、少しずつ昂っていた気持ちが落ち着いてくると、私は肺から一度空気が無くなるかのようなため息を吐いた。

 お互いに疲れきっているせいか、先生も私も殆ど口を開かなかった。

 ただ、私のため息に続いて、先生も天井に向かってため息を吐いていた。

 空気を胸いっぱいに吸い込んで吐かれているかのような、気持ち良さそうなため息。吸い込んでいたとき、背中から先生の胸板が膨らみ、少し身体を押されるような感覚がした。

 それから胸板が元通りに沈み込むと、そこから私は背中から感じる鼓動や呼吸による微かな胸板の起伏を意識するようになっていた。

 背中伝いにドクッ、ドクッと規則的に聞こえてくる落ち着いた心音。

 湯口から浴槽に注がれる水音に紛れて、微かに聞こえた、毛先から一滴の水滴が水面に滴る音。

 私たちが交じり合っていた間も、外で時折、風に煽られる木々と擦れ合う葉音。

 私たちの無言の合間を縫い合わせてくれているみたいに、二人だけの空間に小さな物音が溢れていた。

 私は自分のお腹に手を当てた。

 さっきまで先生の身体の一部が入っていた事を思い出して擦ってみると、注がれた物を外から馴染ませようとしてる仕草にも思えて一人で恥ずかしくなってしまっていた。

 今のこの無言の時間も、その沈黙も気まずく思って私は先生に声をかけた。

「──先生?」

「……んっ、どうしたの?」

「な、何でもない……」

 多分、先生は本当に私とこうして温泉に一緒に入っていることに安らぎを感じて、寛いでいたんだと思う。

 眠っている様子はなくても、呼び掛けてから返事が返ってくるまでに少し間があった。

 私の様子に察したのか、吐息混じりで先生が私の名前を呼びながら、私が触れていたお腹を包み込むように手を回して抱き締めてきた。

「……ヒナ」

「んぅっ……何でもないから……」

「甘えるんじゃなかったの?」

「……もう、十分甘えたと思う」

「私は甘えられ足りないかなぁ……」

「もう……なにそれ……」

 収まりつつあった昂りと、緊張の糸が一気に解れた気がした。

 少しからかい気味な口振りも、それでもそれが嘘じゃないと分かる声色も、いつもの先生に戻っていた。

「……ずっと黙ってたから、退屈じゃないか気になってただけ」

「楽しいよ……こうしてヒナを感じながらゆっくりしていられるんだから……ヒナはこうしている時間は嫌い?」

「好き……」

「もう一回聞きたいな……」

 言葉を口にする前に、先生に触れ合うだけのキスをした。

 

 何度でも言ってあげる……好き、この時間も、先生のことも……部屋に戻った後も、寝るときも……シャーレに戻った後も、こうしてずっと一緒にいたいくらい、好き……だから、先生? これからも私の傍から離れないで……

 

 あの時みたいな意地悪まで言われて、私は頬を綻ばせて、今度は先生の方に顔を向けて、愛情表現として唇を触れ合わせるだけのキスをしてから、はっきりと伝えた。

 もう、恥ずかしさなんて無かった。

 あんなに愛し合ったんだから、私たち二人にある気持ちが恥じらうことより、嬉しく思ってしまうほど、その気持ちで胸がいっぱいだったから。

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