いつもの導入回。それと今回から多機能フォーム(文字を小さくしたり文字の上に読み方表示したりできるやつ)使ってみた。今後もちょいちょい練習がてら使って行く予定
捜索と発見
「ベケスちゃん誕生日おめでとー!」
「ありがと、リョシーセ。面と向かって言われると、なんだか恥ずかしいわね」
ゴブリン討伐を終えEランクの冒険者になってから3ヶ月後───冒険者になって半年経った頃───私はベケスちゃんの泊まっている宿屋の部屋を訪れ彼女の11歳の誕生日を祝っていた。この街の孤児院には幼い頃から預けられる子供が多いが、その殆どが自分の誕生日を知らなかったり覚えていなかったりする。ベケスちゃんのように自分の誕生日を覚えている子は珍しい方だった
「ふっふっふっ!今日は奮発して色々買ってきたよ!」
「おおー、ほんとに色々あるわね⋯あ!わたしの好きなアップルパイもあるじゃない!嬉しいわ」
両手を広げテーブルに並ぶ豪勢な食事を見せるとベケスちゃんは目を輝かせて喜んだ。それが嬉しくて私も笑顔になる
「自分の部屋を追い出されたと思ったらこれを準備してたのね。吃驚したわ」
「サプライズってやつだね。でも本当によかったの?孤児院の人達と一緒に祝わなくて」
「院長先生には祝いの手紙を貰ったから大丈夫よ。それにウチの孤児院は小規模で自分以外男の子しか居なかったから⋯あいつら、いっつもわたしの魔法の練習邪魔してくるから嫌なのよね。かと思ったら魔法を扱うのに必要な触媒やら素材やらをくれる事もあるし、男の子ってよく分からないわ」
(それって⋯⋯いや、うん⋯⋯⋯頑張れ!孤児院の男の子達!)
「⋯⋯⋯一度ちゃんと帰ってあげたら?」
「うーん⋯考えとくわ。それより今は食べましょ!」
私のフォローも虚しくベケスちゃんの反応は芳しくなかった。それ以上考えても仕方のないことなので私もベケスちゃんとテーブルを挟むように座って誕生日会を始める。料理を食べ、アップルパイを切り分けたり飲み物を注いだりしつつ、初めての依頼や1番大変だった依頼の話とかを話したりして時間が進んでいく
「───ところでリョシーセ、あんたの誕生日はいつなの?」
食事も終わり、残った飲み物を飲みながらベケスちゃんがそんな事を聞いてくる
「私はちょうど3ヶ月後かな。誕生日っていうより、拾われた日だけどね」
ちなみに誕生日が分からない子は大抵が私みたいに拾われた日が誕生日になる。後はいちばん嬉しかった事があった日とか、そういう特別な日を誕生日にする子もいたりする
「ならその時が来たら、今度は私の番ね。盛大に祝ってあげるから楽しみに待ってなさい」
「えへへ、ありがとう。楽しみにしてるね!」
こうして次の楽しみが出来たところで誕生日会も終わった。時間は昼過ぎ、今日は久々に依頼を休んでベケスちゃんと部屋でゆっくりと過ごす
「いやーそれにしてもEランクになってからもいっぱい依頼こなしたねぇ。畑を荒らす獣退治、街から別の街への要人護衛に参加、指名手配犯の足取り調査」
「休みの日にも依頼の話?どんだけ好きなのよあんたは」
ベケスちゃんがいつもの魔導書を読みながら呆れた声を出す。しかし私のこの情熱は彼女が魔法に向けるものと同じで冷めるものでは無かった
「依頼を受ければ色んな所に行けるからね!色んな人を助けながら目標目指して東へ西へ、正に本で読んだ憧れの冒険者!⋯後は未知の洞窟やダンジョン探索にも行ければなぁ⋯⋯」
「ならしっかりランク上げてかないとね。そういうのは高ランク冒険者に回される仕事よ」
彼女の言う通り冒険者は実績がものを言う世界⋯初めて発見されたダンジョンなどは悲しい事に限られた冒険者しか探索できない。私にとってまだまだ先の話だった。そしてそれとは別にもう1つ悲しい事があった。それは───
「わかってるよーだ。あーあ、どこかに安心してレイプしてくれる人いないかなぁ⋯」
「っ!?ちょっ──いきなり何でそんな話になるのよ!冒険者の話と全然繋がってないじゃない!!」
ベケスちゃんが読んでいた魔導書を閉じ、動揺した声を上げる。もう1つの悩み⋯それは『そっちの方 』がしばらくご無沙汰だった事だ。私は道具みたいに扱われるのが好き。ベケスちゃんは私が道具みたいに扱われるのを見るのが好き。しかし一歩間違えれば殺される危険があるシチュエーション。慎重に考えないと破綻するわけで⋯結局今まで行った依頼ではそんな状況に陥る機会は訪れなかったのだ。
「え?繋がってるよ。あれから依頼いっぱいやったのにそういう機会に全然会ってないよねって。せっかくベケスちゃんの性癖を目覚めさせたのに、ずっとお預けさせちゃってるんだもん」
「べべ別にお預けくらってるとかお、思って、無いわよ⋯!」
「でもまたやってみたいとは思ってるんだよね?」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ええ」
(可愛い!⋯っとそうだけどそうじゃなくて、よし!自然な流れで話を誘導できた!)
後ろから抱き着き覗き込むように聞くと、耳を真っ赤にしながら彼女は頷く。それを確認した私はベケスちゃんの前に立ち事前に決めていたプレゼントを明かした
「というわけで!今日はベケスちゃんにレイプされる私を見てもらいます!誕生日プレゼントだよ」
「へ!?あんた何言ってるの?というか、相手は誰よ⋯」
「夜になればそこら辺で酔い潰れてるおじさんがいるから適当に。前もやったから大丈夫だよー」
それからベケスちゃんのお説教が始まった。そういうのが危険だのゴブリンの件でやらかした私の傲慢と何も変わらないだのあとで酔っぱらいの件詳しく教えてだのひとしきり喚いたあと──
「⋯⋯ああもう!それなら前から試したかった魔法で探すから!あんたにも協力してもらうわよ」
「へ?でも誕生日プレゼントなんだしベケスちゃんは見ててくれれば───」
「どうせやるなら徹底的に、全力でやるわ!」
何だかんだ乗り気になったベケスちゃんがそう言って私を床に座らせ私の頭に手をかざし、もう片方の手を上に掲げて呪文を唱えた
「“読心魔法と探知魔法”──リョシーセ、あんたが思う理想の男を想像しなさい。それを読み取ってわたしの魔力で条件に当てはまる人物を探知するわ」
「すごい⋯そんな事できるんだ」
「この前の指名手配犯探しで思い付いたのよ。魔力も上がったことだし練習しておこうと思って⋯ほら、集中。優しくて、信用出来て、道具みたいに扱ってくれる人物⋯本当にいるのかしらそんな人」
「うん⋯⋯───」
頭の中で理想の男性を思い浮かべる⋯そんなの1人しか居ない。私にいっぱいえっちな事を仕込んでくれた人──あの人は無事に逃げられたんだろうか。騎士団関係者のクヴィッチ司祭長に聞けば良かったなぁ⋯
「───!?反応あったわ!⋯でも、これ⋯⋯」
「見つかったの?どこ?」
「えっと⋯隣の部屋、よ」
「え?」
◇◆◇◆◇◆
コンコン
「!?」
扉のノック音で男は目を覚ます。騎士団に見つかったかと飛び起き窓に手を掛けるが、それなら律儀にノックはしないだろうと思い止まる。扉に目を向けるがノックされたっきり誰かが入ってくる気配は無かった。
(誰だ?)
いつでも逃げれるように準備をしてから扉に近づき僅かに開く。隙間から廊下に立っていた人物を見た瞬間、男は扉を大きく開いた
「──リョシーセ!?」
「やっぱり!ロキリスさんだ!」
半年前調教しそのまま逃がした少女が、こちらに笑顔を向けて立っていた
◇◆◇◆◇◆
「──そうか、冒険者になれたのか。とりあえずおめでとうだな、嬢ちゃん」
「ありがとうロキリスさん!あなたも無事で良かった。心配してたんだよ」
「伊達に何年も騎士団から逃げ切っちゃいねえからな。今回も余裕よ」
相手が探していた人物だと分かった瞬間、リョシーセはロキリスに飛び付き冒険者試験に合格した事をいの一番に伝える
「すうぅ♡ふうぅ♡♡」
「⋯で、そっちの赤毛の嬢ちゃんはリョシーセの友達か?」
「え、ええベケスよ。わたしも冒険者で、リョシーセとはパーティーを組んでるの」
(騎士団?逃げ切る?なんだか不穏な言葉が続いてたわね。それにこの顔どこかで見たことあるような⋯どこでだったかしら?というかそれよりも──)
「そうか、俺はロキリス。元冒険者だ、よろしくな──さてリョシーセ、そろそろ股間から顔を離してくれるか?」
「リョシーセ、あんた何やってるのよ⋯⋯」
「へ?♡」
リョシーセは抱き着きのどさくさに紛れ、男の股間に顔を埋めて臭いを堪能していた。本人はこっそりのつもりだったが2人には当然バレている
「ごめんごめん、久しぶりのロキリスさんのおちんぽだったからテンション上がっちゃって。えへへ♡」
「そうか、嬉しいこと言ってくれるな。ついでに名前呼びはできるだけ避けてくれるとさらに嬉しかったりする」
「ああそっか!ごめんね、おにーさん」
ロキリスは現在指名手配されている身⋯せっかく身を潜めているのに騎士団に聞かれでもしたら逃亡生活に逆戻りだ。リョシーセは慌てて言い直した
「リョシーセ、この人と知り合いだったの?」
「うん!ええと、この人はね───」
「とりあえず2人とも部屋に入ってもらっていいか。ここじゃマズいからな」
ロキリスに案内され部屋に入る2人。リョシーセはベケスの疑問に答えるべく、自分とこの男との出会いを彼女に話した
「盗賊アジトで出会ったって⋯道理で見た事あると思ったわ、指名手配犯じゃない。リョシーセ、本当にこいつで大丈夫なの?」
「大丈夫!丁寧で優しくて激しい人だよ」
「?⋯なんの話だ」
「うん、実はね──ベケスちゃんの前で私とセックスしてほしいの。それもうんと激しいやつ」
ロキリスの目が大きく開きリョシーセとベケスの顔を交互に見る
「俺は構わんが⋯そっちの赤毛の嬢ちゃんはどうなんだ。いいのか?」
「あんたは指名手配されてるし、実際目の前にしたわたしの勘があんたをクズって言ってるけど⋯リョシーセがあんたの事を大丈夫だって言ってるから信じるわ」
口ではそう言ってるがベケスの目は明らかにロキリスの事を睨んでいた
(警戒心が強い嬢ちゃんだ⋯リョシーセはああ言ってたが、あんまり激しいプレイは出来そうにないな。見たところ魔法を扱うようだし、機嫌を損ねると燃やされかねんな⋯⋯いや、『アレ』を使ってみるのも手か)
「それじゃあさっそく始めよっか!」
「まてまて、ここじゃマズい。こことは別に俺が隠れ家にしてる場所があるからそっちに移るぞ。準備しときたい物もあるしな」
ロキリスは脱ぎ始めたリョシーセを止め、隠れ家の場所をメモに書き写し2人に渡す
「そうね、一旦解散しましょうか。ただその前にロキリス、あんたに言っておきたい事があるわ」
「呼び捨て⋯⋯分かってるよ、リョシーセとのセックスだろ?優しくするからしんぱ───」
「リョシーセに手を抜いて酷い事しなかったら許さないんだから!」
彼女はそう言い残し扉をバタンと強く閉めて部屋から出ていった。ロキリスは頭の中で今言われた言葉を繰り返しながらリョシーセに顔を向ける
「───今赤毛の嬢ちゃん、変な言い方してなかったか?」
「あはは⋯⋯⋯」
地の文の視点は場面転換ごとに書きやすい形で変えてるから分かりにくいかも