メイドの子たちは基本モブだから名前も決めてないし話の合間に片手間にヤられてることが多いよ
(どうする?まだ誤魔化せ─────いや、先に動かれたら負ける⋯!)
正体がバレたと判断した私は、一気に距離を詰め背中側に回り込み、隠し持っていた小型のナイフをフローディアさんの背中に突き付ける
「動かないで!あと、大声も禁止。破ったら切りつける。殺しはしないよ。ナイフには即効性の麻痺毒が塗ってあるから、それで動けなくするだけ」
「あらあらあら⋯⋯⋯なるほどぉ、おかげで確信したわ。やっぱりそうだったのね」
ナイフを突きつけているにも関わらず、フローディアさんのその声色に焦りは微塵も見えなかった
「っ動いちゃ駄目って─────え?」
ギギギギ⋯⋯パキンッ
ゆったりとした動きで振り返ろうとするフローディアさんに、再び忠告する。しかし気付いた時には既に振り返っていて、麻痺毒の塗られた小型ナイフの刃の部分が
金属が潰れる鈍い音の後に、へし折られる甲高い音が廊下に響き渡った
(ナイフが素手で⋯折られた!?─────いや、でもこれで毒が⋯!)
「ごめんなさいね。ナイフも毒も、私には通じないの」
「───っ!」
「はい、捕まえた♪」
飛び退いた瞬間、目の前にいた筈のフローディアさんが姿がまたもや消える。そしていつの間にか背後に回り込んだ彼女に抱きしめられるようにして捕まってしまった。苦し紛れにもがいてみるが、押さえ付けている腕はビクともしなかった
「ぐっ⋯!このぉ⋯!」
「待ってリーシュちゃん、落ち着いて。私は話し合いがしたいの」
このままじゃまずいと足掻く私に、フローディアさんから予想外の提案がされる
「っ!話し合い⋯?」
「ええそうよ。リーシュちゃんはご主人様を捕まえに来たのよね?」
「⋯⋯⋯。」
「うんうん、答えなくて良いわよ。警戒するのは当然よね。じゃあそれを前提に話を進めるのだけれど⋯ご主人様を通報するのは構わないわ。ただ、通報するのを少しだけ待って欲しいの」
「それは⋯どうして?」
「ほら、反省室に入れられてる言うことを聞かない子の話をしたでしょ?今だから言うけれど、実は反省室に入れられてるんじゃなくて、調教中なのよ。その子の調教が終わるまで、通報を待ってくれないかしら」
(どうしよう⋯どう考えても分かりました!なんて言える内容じゃない。かといって下手に逆らうのも不味いだろうし⋯)
最悪ベケスちゃんに報告はできるけど、気絶させられてその間に移動されたりしたら場所の特定は難しい。助け出すのも確実に困難になる。返答に迷っていると、フローディアさんが何かに気が付いた様に「あっ」と声を漏らす
「もしかして⋯調教されてる子の事を案じてるのね?それなら心配無いわ!」
一体何が心配無いのだろうと訝しんでいると、目の前の廊下の角から、二人のメイドが姿を現しこちらに歩いてくる。先程荷物を預かったメイド達だった
「フローディアさん、荷物運び終わりました!」
「滞りなく終わった」
「ありがとう。それとちょうど良いところに来てくれたわ!あなた達─────ここに来る前何をしてたか、捕まった際ご主人様に何をされたか、それと好きな調教をこの子に教えてあげて」
「!⋯はい!分かりました!♡」
「⋯⋯分かった⋯♡」
正体がバラされると焦ったけど、フローディアさんの発した言葉は全く関係ない内容だった。そして、そんな彼女の言葉に二人はポカンとした表情になった後一人は嬉しそうに、もう一人は恥ずかしそうに、自身の境遇について語り始める
「私はね!観光客をメインに街でスリをしていたの!隣のこの子とコンビを組んで好き勝手やってたんだけど、今のご主人様の財布をスった時にメイド長に捕まって⋯⋯あのカリ高のおちんぽを挿れっぱなしで何度も中出し♡一日中ヨガり狂わされたの♡好きな調教は、足を抱えられた状態になった後の背後からのガン突き♡おまんこ晒す恥ずかしい格好させられてるのに、持ち上げられて逃げられない状況で好き勝手にされるのに凄く興奮したの♡♡♡」
「私は⋯この子が言ってる通り一緒にスリをやってた。そして一緒に捕まって、この子が目の前で犯されてた時⋯その隣りでずっと手マンされて潮吹きを繰り返してた⋯♡泣きながら二人で「ごめんなさい」「許してください」って言ってるのに止めてくれなくて⋯♡好きな調教は立った状態でしてもらう手マンだ♡ご主人様の長い指でカリカリと奥を弾かれる度に、潮吹きと嬉ションをしてしまうんだが⋯♡立っていられなくなった時の、指がより奥深くに食い込むあの感覚がたまらなく好きなんだ⋯♡♡♡」
目にハートを浮かべながらまるで幸せな思い出であるかのように語る二人の姿に、私は唖然となった。そして同時に、フローディアさんの心配無いという言葉の意味を理解した
「ちなみに、リーシュちゃんが部屋に入った時に犯されてたあの子はね、一つの村を裏で支配してて、自分は手を汚さずに他人を使って悪さをしていた子よ。今ではすっかり自分から、ご主人様の鬱憤晴らしに使われる子になっちゃったけれどね♡」
「へ、へぇー⋯♡」
フローディアさんはメイドの二人にお礼を言って下がらせると、拘束を解いてついてくるように促してから歩き始める。私も抵抗はせず、大人しく後ろをついて行く
「さぁてリーシュちゃん、ここであなたに問題です♪ここで働く女の子達はその殆どが攫う形で連れてこられましたが、全く騒がれませんでした。それは何故でしょう?」
「それは⋯⋯その子達が、他人に迷惑をかける問題児だったから⋯だよね?」
「そう、正解よ!ご主人様はね、そういう問題児を更生させてみせますって吹聴しながら旅してたの。捕まえて、
「という事は、今調教を受けている子も───」
「そう、問題児よ。それもとびっきりの悪い子なの。何度も捕まえようとして、何度も逃げられてを繰り返して⋯ようやく捕らえることができたのよ!」
(だから何がなんでも調教しておきたいからあと少し時間が欲しい、と)
ここまでの話を聞いて、私は問題児を狙って更生させているという話に嘘は無いと判断した。冒険者である私に対しての作り話だとしても、フローディアさんとは常に一緒だったし、あのメイド二人との会話は全て目の前で聞いていたから話を作る暇もなかったはず。そもそも私が冒険者だと本格的にバレたのはついさっきの事だ
事前に作っていたという線も無い。本来やってくるのはメイドの仕事を受けに来た普通の子の筈だ。わざわざする話ではない
だからこそ一つの疑問が浮かぶ
「それなら何で、メイドの募集みたいな事を⋯?とても問題児が釣られるような仕事内容には見えなかったけど⋯⋯」
「ああ、それは簡単な話よ。ご主人様が今のやり方に飽きてちゃったの。「たまには普通のガキ騙して犯したい」ってね」
「!?」
「あら?どうしたのそんなに驚いて。ご主人様のことを疑ってここに来た冒険者なら、もう知ってるわよね?あの人がどこの出身の人か⋯⋯決して、善人なんかじゃ無いわよぉ?」
まるで忠告するかの様に話す彼女の言葉に、私はなるほどと心の中で納得する。クァニンって人はあのルイワ聖王国⋯あらゆる犯罪が許容されている無法地帯と云われている国からやってきた人間だ。そんな国からわざわざ遠く離れたこの街にやってきたのは⋯⋯本人から話を聞かないと分からないけど、よからぬ事を考えてる可能性が高い。そして、その標的になってるのはこの街の人達─────
(よし、それなら!)
「通報を待つという話⋯⋯こっちの条件をいくつか呑んでくれたら、終わるまで待つよ」
「⋯⋯聞かせてくれる?」
「まず一つ、この街の人には絶対に手を出さないで。被害が出そうになった時点で報告させてもらうから」
私にとって一番重要な事は街の人達に被害を出さない事だ。クァニンが何を考えてるのかは分からないけど、この街の人達に手を出させる訳にはいかない
「お安い御用よ。新人メイドの調達と調教は全て私が任されてるの。上手く誤魔化すわ」
「え、いいの?」
「ええいいわよ。まあ、ご主人様が知ったら怒るでしょうけど。私としてはどちらでもいいもの」
通すのが難しいと思っていた条件が、意外にもすんなりと通された。拍子抜けしたものの、気を取り直して次の条件を提示する
「な、なら二つ目の条件。その調教されてる子に会わせて。フローディアさんの言葉を信じて無い訳じゃないけど⋯どういう子なのか、自分の目でも確かめたい」
「ああ、それならちょうど良かったわ。リーシュちゃんがこれから過ごす部屋にその子も居るから。会って話し合えば、すぐにわかるわ。他にはある?」
「⋯⋯今のところは、無いよ」
「そう。思い付いたらいつでも追加していいからね。もちろん、納得の出来る範囲にはなるけれど」
「わかった」
ひとまずはこれでいい、はず。しばらくは様子を見て、何かあれば臨機応変に動けばいい
(ん?⋯⋯てことは─────これから私、その子と一緒に調教を受けることになるんだ⋯♡い、いやもちろん何かあればすぐに動ける準備はするけどね?♡でも、うん⋯♡な⋯⋯何されるんだろ♡♡)
「あ、そうそう。調教の時は私が直々に行いますと言って部屋に呼ぶわね。そこなら誰も来ないから、リーシュちゃんはそこでゆっくりしててね。「え」直接ご主人様の相手をする前には─────へ?」
内心喜んでいるとまさかの調教をお預けにされるという発言に、思わず疑問の声が漏れてしまった。それを聞いたフローディアさんもまた疑問の声を漏らす
いやだって⋯それはなんか違うっていうか⋯⋯できることなら体験しておきたいなぁって⋯⋯⋯
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯調教、受けたいの?」
「⋯⋯⋯⋯⋯。」
長い沈黙が続いた後、フローディアさんの発した言葉に私はこくりと頷き恥ずかしさのあまりそのまま顔を俯かせる。「ふぅん」という呟きと共に彼女が歩み寄ってくるのが視界の端に見える。顔を上げると、ニンマリとした笑みを浮かべて私の顔を横から覗き込むようにして見てきていた
「ねえ、リーシュちゃん。会ってまだ一時間も経ってないけれど私、あなたの事がすっかり気に入っちゃったの。単独で潜入してくる度胸や、バレてからの身のこなしや判断力。ご主人様のおちんぽを躊躇わず咥えたのは⋯まあ、素晴らしい演技力ってことにしておきましょうか」
(咥えたかっただけってバレてる⋯?)
「全ては街の平和を守るという目的のため。とても素晴らしい事だわ。けれどね、私にも目的があるのよ。だから─────手は抜かないわよ。全力でご主人様のモノになるよう調教しちゃうから。頑張って耐えて頂戴、ね♡」
「っ♡⋯⋯の、望むところです⋯!♡」
囁くような、彼女の宣言に背筋からゾクゾクとしたものが駆け上がる。負けじと言い返したけど、期待の込もったうわずった声しか出せなかった
こうして私とフローディアさん、二人だけの秘密の約束が結ばれた
◇◆◇◆◇◆
「⋯⋯⋯退屈だ」
薄暗い地下の檻の中で、そんな独り言を私は誰かに聞かせるでもなく呟いた。捕まって何日⋯いや何十日経ったのか、私は未だに
少し前にこの地下牢に押し込められた時には、私の他に四、五人の人間の女がいた。だがそれも時間が経つに連れ減っていき、結局最後は私だけになった
女どもがどうなったのかは予想がつく。今頃あのクズ男に尻でも振って媚びてるに違いない。だが心配はしていない。私より後に捕まったくせに、私より先に音を上げた雑魚どもだ。正直、どうでもよかった
「こんなものでよくあそこまで喘げるな」
地面に転がったローターの紐部分を摘んで目の前に持ってくる。スイッチを入れると先の楕円形の筒が音を立てて小刻みに震え始めた。これを股間に当てられただけで他の女どもは立てないほどに悶えていたが、私は何も感じなかった代物だ
そんな玩具にもならないゴミを弄っていると、檻の鍵が開く音がした。そちらに目を向けるとメイド長とその少し後ろに見知らぬ少女が立っていた。どうやらメイド長が新しい犠牲者を連れてきたらしい
「あら、またそれ取っちゃったの?もう、ちゃんと付けなきゃダメでしょクレルカちゃん!」
「⋯⋯別に、いいだろう。付けてても何も感じ無いんだから。で、後ろにいるそいつは?」
「今日からあなたと同室になる子よ。名前はリーシュちゃん、孤児院に馴染めなくてさ迷っていた時に、メイドの募集を見つけてここを訪ねてきたらしいの。素直でとってもいい子よ。リーシュちゃん、この子はクレルカちゃんって言うの。二人共仲良くね♪」
「よろしくね」
リーシュと呼ばれた銀髪の褐色肌の少女が無防備にもこちらに歩み寄り手を差し伸ばしてきた。落ち着いていて警戒心など微塵も感じられない。ギャーギャー喚きながら運ばれてくるいつもの女どもとは違う、甘い世界で生きてきた人間の動きだ。メイド云々と言っていたから、おそらくあの男の良からぬ企みに騙されたのだろう
自分がどんなところに連れられて来たのかわかってないのか⋯はたまた慣れているのか。何にせよ運の無い奴だ
「ああ、よろしく。仲良くやろうじゃないか」
(こいつも長くないな⋯⋯すぐにでもあの男に堕とされる)
私は違う。これまでだってこんな危機何度も乗り越えてきた。必ず、ここから脱出してやる
◇◆◇◆◇◆
(肩甲骨辺りまで伸びたくすんだ緑色の髪に、じと⋯っとした不健康そうな目つきをした赤色の目。首元にはいつもの首輪。服装は⋯当然メイド服。着せられてる感がすごいけど。この子がクレルカちゃん⋯⋯フローディアさん達が捕まえるのに苦労をした、娼館のオーナーだった子)
ここに来るまでに彼女の情報は教えられていた。大人しい子に無理矢理男の相手をさせ、売上の殆どを自分の懐に収めていたり、気に入らない子に対しては金で雇った暴漢を差し向けてレイプさせ、自分の娼館に取り込んだりと好き放題やっていたらしい。自分以外の女の子を金を稼ぐ為の道具としか思ってないのだとか
よく見ると目が笑っていない。仲良くなろう、と言いながらこっちのことを微塵も信用していないのが分かる。そしてそんなクレルカちゃんと仲良くしてね、きっと友達になれるわと言ってきたフローディアさんも大概おかしいと思う
(あまりにも無茶振り過ぎない⋯?この雰囲気じゃ良くてビジネスパートナーくらいじゃないかなー⋯⋯しかも頭に「一方的にこっちが利用されるタイプの」って言葉が付くやつのさ⋯)
「さっ、リーシュちゃんは今日はここまで!仕事は明日から頑張って貰うわね。メイド服も明日の朝支給するから、楽しみにしててね。それじゃあ私はご主人様からご褒美貰ってくるわねぇ♡うふふ♡」
「はい、ありがとうございました!」
挨拶を交わしたのを確認したフローディアさんが、軽い足取りで部屋を後にするのを頭を下げて見送る
これで、私は地下牢でクレルカちゃんと二人っきりの状況⋯ってあれ?
「あの⋯クレルカちゃん?」
「⋯⋯⋯⋯。」
フローディアさんが居なくなった途端、クレルカちゃんは自分のと思しき寝床に横になって目を瞑る。呼びかけても反応は無し。興味は無いと思ってたけどまさかここまでとは⋯⋯
(いや、仕方ないのかな)
一人を閉じ込めておくには大きすぎる檻、床に転がった複数のローター?らしきもの、1番奥の寝床で眠るクレルカちゃん⋯多分、ここに入れられた子はもっと多くて皆彼女より先に調教が終わって出ていったんだ。私のこともすぐに出て行く子だと認識されている
(なら、その認識を変えてあげなきゃね。『
さっそく檻の扉に近づき観察する。すぐに閉めると自動で鍵がかかる檻ということがわかった。最近作られたタイプの檻だったけど、それだけだ。鍵穴があるなら問題無い
長い髪の中に絡め隠していた針金を解き取り鍵穴に挿入。ちょちょいといじってやれば⋯
ガチャッ⋯!
「おぉー、ほら見てクレルカちゃん!開いたよ!」
「うるさい⋯⋯眠れな─────!?」
気だるそうに起き上がった彼女は、開いた扉を見た瞬間僅かに目を見開いて固まる。それを確認してからすぐに扉を閉める。当然扉は再び音を立てて鍵がかかった
「は?お前、何をして───なに?」
困惑するクレルカちゃんの前で気配を消す。彼女からしてみれば突然消えたように見えた筈
院長先生から言われた得意を伸ばす修行や数々の依頼をこなして力をつけていった結果、私の気配消しは相手が見ている状態でも姿をくらませられるようになったのだ
(と言っても動揺している人や油断している人に限るけどね⋯⋯まだまだ修行中です!)
そのままこっそりと後ろに回り込み⋯「わっ!」と言って驚かせる
「ひゃんっ!?」
「え?」
そして、彼女の口から、彼女の外見からは想像出来ない程、可愛らしい悲鳴が、檻の中に響き渡ったのだった
「!⋯ンン゛っ⋯⋯お前、さっきから何をしている?」
「え?えっとね⋯興味が無い人に興味を持って貰いたいなら、自分の得意な部分を見せるといいって前に私を買ってくれた人が言ってて⋯⋯ねぇ、今───」
「それで見せたのが鍵開けと⋯⋯あれは気配を消して近づいたのか?目の前で見ていたにも関わらず、気配を消して姿を隠せると?」
「う、うん⋯盗みで生計立ててたから自然と⋯今はそこまでお金には困ってないから、完全にお客へのお披露目用だけどね。それよりさ───」
「お前、それだけの力を持っててなぜ⋯⋯⋯いや、そうか。ふむ⋯⋯⋯⋯だったらそうだな⋯⋯⋯」
クレルカちゃんは何かを言おうとして、口に手を当てて止める。その後ぶつぶつと何かを呟きながら考え事に耽り始めた。そして
「リーシュと言ったか。お前金が欲しくないか?」
「⋯⋯欲しい!今は困ってないって言ったけど、貰えるなら貰いたい!くれるの?」
「私がここから脱出する手伝いをしろ。成功したら金をたんまりやる」
「ほんと!?うん、やるやる!お金もらう!ところでさっきの可愛い悲鳴「ただし!この話は他言無用だ。誰にも話すな。いいな?それと雇い主の私の指示は絶対だ。わかったら返事をしてから黙れ」⋯⋯⋯わかった!」
(よし、作戦成功!上手く誘導できた⋯!)
クレルカちゃんの経歴からして、彼女はきっと頭が良い。そんな頭の良い彼女は私の得意技を見て「なぜすぐにでも外に出られる力があるのにそうしないのか?」と、そう思った筈だ
そして彼女は私を「あくまで盗みの手段としてしか使っていない」「工夫すればもっとすごいことが出来るのに」「自分がどれほどの事をしてるのか理解してない馬鹿」だと認識した。当然、そう思って貰えるように私は振舞った。開けた扉をすぐに閉め直したり、気配を消す技をただの驚かし用に使ったり、生活が安定してからはあんまり使ってないって言ってみせたりね。「馬鹿だからお金をチラつかせればその技を簡単に利用できる」と思わせる事ができた
相手は元娼館のオーナー。自身に利益が無いなら相手にしない。それならこっちから価値を示してやればいい。それを示した今、多少の会話は出来るようになった筈⋯⋯ちなみに途中聞こえた可愛い悲鳴の事は言及しないことにした!機嫌損ねてまた口聞いて貰えなくなったら困るしね
「よし、なら次は⋯リーシュ」
「なあに?え、ちょ⋯んぅ!?♡」
つぷぷ⋯♡
ようやく話ができると思った矢先、クレルカちゃんがいきなり私のローブを捲り上げパンツに手を突っ込んできた。おそらくだけど中出しされてないかの確認と、おまんこの状態確認だ。娼館のオーナーをやっていた影響で初対面の女の子に対して値踏みすることがあると、ここに来るまでにフローディアさんから聞かされていた
(けどまさか♡いきなり指を挿れられるとは思ってなかったなぁ⋯♡んっ♡さっきまで⋯♡全然興味無さそうだったのにっ♡♡)
ぬち⋯♡ぬちゅ⋯⋯♡
「ふむ、新品同然だが膜は無し。しかし精液は無い。メイド長との会話からして会ってはいるはず⋯お前、どうやってあのクズ男にヤられずここに来た?」
「えっと⋯♡会った時に、他の女の子を犯してて♡ん♡射精したおちんぽ⋯♡ぉ♡咥えて綺麗にしてあげたら♡そのままこの部屋に⋯♡んぅっ♡」
くちゅう⋯♡ぬぷ⋯っ♡
「従順だったから許されたタイプか。そして
(あぁ⋯やっぱり、指動かしてるの⋯っ♡わざとだったんだ♡えっちが好きな子ってバレちゃった♡凄いね♡♡っ♡これは私も負けてられない⋯♡なぁ♡)
「あ、てことはやっぱりメイドのみんなはあのクァニンって人と経験済みだったんだね♡ふ♡ぅ♡♡クレルカちゃんも♡そうなの?♡」
「お前みたいに最初は難を逃れた奴も何人かいたがな。結局最後はあの男の餌食になった。もちろん私も挿入れられたが⋯全くの無反応だったせいでどうやら
「え!?」
思わず素で驚いてしまった。あんなカリ高のおちんぽを突っ込まれて無反応でいられるだなんて信じられなかったからだ。そんな私を見てクレルカちゃんは予想通りの反応だなといわんばかりに得意気に笑う
「その
「な♡何で感じないの⋯⋯♡んぅっ!♡」
「理由はこれだ」
「!⋯⋯それ、まさか!?」
クレルカちゃんは私の股から指を引き抜くと、愛液を軽く振り払いながら弄ってない方の手で自身の髪を上げ私に耳を見せる
そこにあったのは丸みを帯びた耳ではなく、先が尖った形をした特徴的な耳だった。見るのは初めてだったけど、本で読んだことがある。ひと目でわかる人のものじゃない耳を持つ種族、まさしくそれは─────
「クレルカちゃんって、『エルフ』なの!?」
「ハーフだがな。この種族は総じて感覚が鈍いらしい。私も例外じゃなかった訳だ。継いだのはそれとこの耳の形くらいだ。寿命の方は知らんが───「継いでると思うよ!」──なんだと?」
「えっとね、エルフって確かに人間と違ってとっても穏やかで落ち着いた人が多いんだけど、それは寿命が果てしなく長いからなの!「私達には時間がたっぷりあるから、そんなに生き急がなくてもいっか」っていう意識が種族全体に遺伝子レベルで刻まれてるんだよ!性欲が薄いのも特徴でね!八十年から百数十年、中には何百年に一度しかしないエルフもいるんだよ!一説によると寿命の長さと性欲の薄さは比例してる可能性があるんだって!だからこの状況でも落ち着いていて、快楽に流されてないならクレルカちゃんの寿命もエルフ並に長い可能性が─────はっ!?」
「⋯⋯⋯⋯⋯。」
本の中でしか見たことがない種族を生で見れたという興奮のあまり、早口でまくしたててしまった。クレルカちゃんはそんな私を呆れた顔で見ている。うぅ、恥ずかしい⋯
「お前⋯何者だ?娼婦紛いのことをやっていた孤児にしては詳しいな」
「え!?いやぁその⋯相手してくれた人がそういうの詳しくて、何度も聞かされてる間に覚えちゃったんだ。あはは⋯」
「⋯⋯まあいい。知識の偏りは少々気になるが、モノを覚えられる知能が有るなら問題無い。今からこの屋敷の構造と見張りの配置を分かってる範囲で伝える。金を貰いたいならしっかり覚えろ」
「はぁーい」
(まぁ、館の外見とここに来るまでの案内で大体は把握してるんだけどね。今の私は利用しやすい駒。知らない情報貰えるかもだし、黙っとこうっと)
こうして私とクレルカちゃん、二人だけの秘密の約束が結ばれた
◇◆◇◆◇◆
「ふぅ~⋯⋯」
(つ、疲れた⋯!初日から色々あり過ぎだよぉ⋯⋯)
数時間にも及んだ話し合いは、見張りにやってきたメイドの来訪で中断することとなった。窓の無い地下牢では見張りが付くのが夜が来た合図で、途中一度交代するものの、朝まで扉の前にメイドが張り付いていると、クレルカちゃんが話してくれた
説得できるか試してみない?と提案したら見張りは決まって首輪が外された人が付くと教えられた。つまり、もう逃げ出す心配も無く説得にも
(説得は諦めて脱出の際は即座に無力化が定石かなぁ。あーあ、せめて麻痺毒ナイフが残ってれば⋯というか今更だけどフローディアさん、何で毒効かなかったんだろう?あの力強さは何?動きも速いし主人に仕えるメイドにしては不可解な行動も多いし⋯⋯駄目だー考える事が多すぎるー⋯情報収集は得意だけど情報整理はそんなになんだよぅ⋯⋯)
クァニンの目的、フローディアさんの秘密、クレルカちゃんの脱出計画。あまりの情報量に頭の中がパンク寸前になった私は、明日の私が解決してくれるだろうと明日の私に丸投げして考えるのをやめた
ちなみにクレルカちゃんは運ばれてきた食事とシャワーをさっさと済ませて眠りについていた。見張りがいるから計画を話せないのはわかるけど、こう⋯なんというか⋯⋯もうちょっと仲良くお話してくれたっていいと思う!!
しかし言っても仕方が無いので諦めることにした。目に涙を溜めながら私も寝床に横たわる
(うぅ、こういう時愛しの親友ベケスちゃんが居ればなぁ⋯⋯そういえばベケスちゃんがかけてくれた“想語魔法”で会話くらいできるのでは?)
『リョシーセ、聞こえる?』
噂をすれば何とやら、本当に頭の中にベケスちゃんの声が響いてきた。事前に教わった通り、ベケスちゃんの顔を思い浮かべながら心の声を返す
『あ、ベケスちゃん!うん、聞こえるよ。こっちの声は聞こえる?』
『ええ聞こえるわ!良かった⋯離れていても使えるわね。それが心配だったのよ』
(そうだったんだ⋯普通に繋がるものだと思ってたから心配してなかった。そっか、初めて使ったのが潜入前だったもんね、この魔法。ぶっつけ本番だったんだ)
それでちゃんと機能してるのがベケスちゃんの凄いところだ。『私は最初から成功すると思ってたよ!』という旨を伝えたらベケスちゃんにははいはい、と軽く流されてしまった。いっぱい褒めようと思ってたのに、残念
その後ベケスちゃん側の報告を聞いたところ、自身の感情を激しい動きで表す主人と、その動きで手がベケスちゃんに当たりそうになった瞬間セクハラですと主人の顔面に回し蹴りをキメる従者と出会ったという、なんだか面白い展開になった事を聞かされた
しかも回し蹴りした子は新しいメイドを雇うことを知らなかったらしく、そのまま修羅場に突入。一度帰されそうになったものの、何とか潜入に成功したとのことだった。あっちもあっちで大変なんだなぁ
『─────それであんたの方はどうなの?』
『私?私の方は真っ黒だったよ!いきなりカリ高のオチンポ咥えさせられちゃった♡』
『は!?何それ、大丈夫なの⋯⋯?』
そんなこんなで報告を終えたベケスちゃんが、今度はこっちの状況について聞いてきた。正直に報告したところ、当然のように心配された
真面目なベケスちゃんのことだ。すぐに助けを呼ぼうとする事は分かっていた私は言葉巧みに宥め、いかに素晴らしいオチンポだったのかを力説してみせた
『───ハァ。助け、まだ呼ばなくていいのね』
『!?さっすが~!ベケスちゃんは話がわかる!良い親友を持ったよほんと⋯⋯うぅっ⋯』
結果、彼女の方が折れてくれました。ベケスちゃん⋯いやベケス様!感謝いたします!⋯⋯いやほんと、いつも無茶振りに応えてくれてありがとうね⋯
『はいはい、その代わり危ないと思ったらすぐ連絡するのよ。それと、その⋯⋯⋯⋯』
(ん?ああ、そっか♡)
軽い忠告をしてから口ごもるベケスちゃん。その反応を受けて瞬時に察した私はお望み通りの言葉を口にした
『ふふ、分かってるよ。私がどんな事されたか毎日ちゃんと報告してあげる♡オカズにしちゃっていいからね♡』
『⋯⋯⋯⋯ええまあ、シーツ汚しちゃったら悪いから⋯ほ、程々にするわ』
(よし決めた。シーツとかそんなの気にしてる場合じゃないくらい凄いの聞かせられるよう頑張ろっと)
最後におやすみの挨拶を交わして通信を切り、横になる。ベケスちゃんと話せたおかげで少し元気が出た。明日からメイドのお仕事兼調教生活が始まるんだ。しっかり体力を養っておかないとね♪
クレルカちゃん:ルイワ聖王国出身のハーフエルフ。耳がヘンという理由で差別された過去がある。性行為に何も感じないがお金は貰えたから何度か経験有り。それで得たお金を基に、バカにしていた連中に復讐しながら娼館の主になるまで成長。その後とある集団に無理やり働かせていた女の子を盗られる事件が発生。娼館も襲われたものの自身は逃亡。何度かそれを繰り返した後、クァニンのグループに捕まる。自分以外の人間を見下している
関係ないけど自分はマグロ(性行為をしているにも関わらず無反応、無表情)な子が気持ちいいところに当たって感じちゃう描写が好きです。関係ないけど