※この作品はR-18です。

褐色マゾ肉便器リョシーセ♡   作:ミダレウチ

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あけましておめでとう!(激遅)
本当は12月中に投稿予定だったけど、体調崩したりまぶたの裏に変なデキモノが出来て目が開きにくくなったり(今は完全に治った)、色々あって気が付いたら一月になってたよ
今回は前回書いた通り今後の展開を広げる為の伏線回。新キャラの名前のちょい見せだったり世界観ちょっと掘り下げたり、キスメとルアーナ側の話だよ。エロは無し!


女神セラーカ

キスメによるクァニン及びメイド捕獲作戦完了から一時間後⋯街から少し離れた森の中、少し開けた広場で拘束されたクァニンが、目の前の騎士と少女に向かって声を荒らげながら暴れていた

 

「くそっ!離しやがれ⋯!何なんだお前ら!」

 

「んー?何って⋯ボクはスライムのキスメ!こっちの人は特別騎士のルアーナさんだよ!⋯⋯って、さっき自己紹介したよね?」

 

「うるせえ!そういう事聞いてんじゃねーよ!何でスライムが喋って、しかも人間の味方してやがんだ!」

 

喚く男に対し、ルアーナは冷たくあしらい睨み付ける

 

「あんたにそれを教えてやる理由が無いっす。それより自分の身を心配した方がいいんじゃないっすか?同じ犯罪者とはいえ、女の子を散々弄んだ罪⋯⋯いよいよ償う時っすよ」

 

「ぐ⋯⋯ハッ!それのなにが悪い⋯どうせ周りに迷惑かけなきゃ生きていけない連中だぜ?それなら利用してやるくらいがちょうどいい⋯そうだろうが!?」

 

兜越しとはいえ、滲み出る迫力に男は思わず口を紡ぐ。だがそれも一瞬の事ですぐに口を歪ませ開き直った態度で目の前の騎士を煽った

 

「⋯⋯救いようがないっすね。もう黙ってて下さい。もう少しで引き渡し相手がやって来るんで」

 

と、ルアーナが言い終わるのとほぼ同時にこちらに向かってくる人影があった。その人物は三人がいる一番近くの木の傍らに来たところで止まる

 

「お前は─────!」

 

「お待たせしました、ご主人様」

 

人影の正体は、クァニンに仕えていたメイド長のフローディアだった。こんな状況でも変わらず柔和な笑顔を浮かべて佇んでいる。メイド長の実力を知っているクァニンは勝ちを確信し高らかに笑ってみせる

 

「ははははは!やっぱりな⋯!お前は無事だと思ったぜフローディア。命令だ、俺を助けろ!こいつらぶっ殺してさっさと逃げ「お断りします♪」⋯⋯⋯は?」

 

そしてそのまま自信たっぷりに放たれた命令は、メイド長の一言でバッサリと切り落とされた。口を大きく開けたまま固まった男の口から、空気が抜けるような間抜けな声が漏れる

 

「お⋯おい!冗談言ってる場合じゃ─────」

 

「お久しぶりです、ルアーナ様」

 

動揺する男を無視し、フローディアは目の前の騎士ルアーナに対し跪き祈りの体勢を取る。そんな彼女にルアーナは親しげな様子で話し掛けた

 

「お久しぶりっす。報告で特徴と名前を見た時は吃驚したっすよ。転職したんすか?」

 

「ふふ、いいえ。女神セラーカ様と教皇様からのご指示です。『世界を良くするための活動を』と」

 

「セラーカ姉さんとサキュエル殿がっすか?あの二人がそんな殊勝な事を言うわけが⋯一体何を企んで⋯⋯」

 

「ねえねえ!二人ってもしかして⋯⋯知り合いなの?」

 

互いに見知った様な会話を繰り広げる二人に、キスメが質問する

 

「そうですね、そちらで呆けてる元(・)ご主人様へのネタバレも兼ねて、改めて自己紹介させていただきますね」

 

フローディアはそう言うと自身の胸元に手を置く。すると彼女の着ている服がシュルシュルと音を立てて動き出し、別の服装へと変わっていく

服が動くのを止め、胸元から手を離す。そこにはメイド服ではなく、紺色の質素なシスター服に身を包んだフローディアの姿があった

 

「女神セラーカ様の『とにかく自由にやれ』という教えの元、教皇サキュエル様を中心に活動している『フリセラ教団』⋯⋯その枢機卿(すうききょう)兼『奉仕性活シスター』を務めさせていただいております、フローディアです。ルアーナ様とは物心ついた時から仲良くさせて頂いております。以後、お見知り置きを♪」

 

「枢機卿⋯⋯ってあれ!?この前まで見習いじゃなかったっすか?」

 

「この前と言っても、十年も前の話ですよぅ?それだけ経てば私だって偉くなります。偉くなっちゃいました♪」

 

「はぁ~出世したっすねぇ⋯」

 

えっへんと得意げに大きな胸を張るフローディアを横目に、キスメはルアーナに質問する

 

「女神セラーカを信仰するシスター⋯枢機卿っていうのはなあに?」

 

「教団内での階級を表す言葉っす。教皇が一番偉くて、枢機卿はその一個下、教皇をサポートする立ち位置に当たるっす」

 

「てことは⋯二番目に偉い人って事!?えー凄ーい!じゃあじゃあ、奉仕性活シスターっていうのは何をする人なの?」

 

「ああ、それは─────「おい!」」

 

と、ここで怒号が響き渡り三人の会話が中断される。半ば忘れ去られかけていたクァニンが、声を張り上げたのだ

蚊帳の外だったから怒っているのかと思ったが、男が睨み付けているのはフローディアに対してだけだった

 

「その服⋯⋯間違いねぇ⋯!俺の商品共を掻(・)っ(・)攫(・)っ(・)て(・)い(・)っ(・)た(・)連(・)中(・)と(・)同(・)じ(・)格(・)好(・)だ!どういう事だフローディアァ⋯!」

 

「⋯⋯⋯。」

 

「?」

 

「あらあら、どうもこうもそういう事ですよ。元ご主人様」

 

クァニンの復讐について何も知らないキスメは、頭に疑問符を浮かべながら二人の顔を交互に見つめ、彼女の役割を知っているルアーナは黙ってやり取りを眺めていた

 

「私は私の為、延(ひ)いては教団の為にあなたの復讐を利用させてもらいました。捕らえた女の子達は全員、教団が保護させていただきますので、安心して捕まって下さいね」

 

「ふざけんな!てめぇら、人のモンに手ぇ出しやがって⋯!集めんのに俺がどれだけ苦労したと思ってやがんだ!!」

 

「⋯⋯⋯三人と五人」

 

「あ?」

 

「ルイワでのあなたの下手くそな調教とやらで亡くなった子の数と、精神に異常をきたした子の数です。この旅でも私が代わりに調教し、加護を分け与えていなければ犠牲者が出ていたでしょう」

 

「犠牲が出たから何だってんだ!んなもん耐え切れないやつが悪⋯い⋯⋯─────」

 

クァニンの聞くに堪えない言い訳が突如として止まる。目の前の、自分を見下しているフローディアの顔から笑顔が消えるのを見てしまったからだ

男はそこでようやく、今まで頼りにしてきた彼女の力が自分に向けられていることに気が付いた

 

「耐え切れないのが悪い、ですか⋯⋯いいんですよ?私の本気の拷問(調教)、元ご主人様が耐え切れるかどうか試してみても⋯」

 

クァニンの頭にフローディアの手が乗せられる。手が乗せられただけ⋯⋯ただそれだけなのに、男は心臓を直に握られた様な冷たい感覚に陥った

 

「は⋯────!は⋯っ───は───⋯⋯っ!」

 

「⋯ふふふっ!冗談ですよ、元ご主人様!」

 

息を漏らす様な声しか出せなくなったクァニンを見て、フローディアはぱっと手を離す。その顔には再び柔和な笑顔が浮かんでいた

 

「あなたが私利私欲のために集めた子は、精神を患った子達も含め全員教会で楽しく過ごしています。亡くなった三人の子は非常に残念ではありますが⋯⋯代わりにこの数ヶ月の旅の間で、私はあなたから子を十五人ほど授けてもらいました♡他にもあなたの子を授かったメイドが何人かいるんですよ?めでたいですねぇ♪⋯⋯⋯⋯減らした数以上に沢山増やせたので、我々フリセラ教団はあなたの犯した罪を赦します」

 

「十五人⋯あれ?ねえ、子供ってそんな短期間でいっぱい作れるっけ?それともお母さん達の認識が間違ってる?」

 

「ん?んー、まあちょうどいいっすね。先程キスメ殿がした質問とまとめてウチが答えるっす」

 

フローディアの発言と、リョシーセ達から共有した知識の違いから発生したキスメの疑問に、ルアーナが答える

 

「前に魔王の手から逃れた女神たちが、絶滅しかけている人類を保護するために各々活動しているって事は説明したっすよね?ウチの場合は「凶暴化した魔物の鎮静化と共存」って感じっす」

 

「うん。僕が生まれたのも、その活動があったからだよね」

 

「そうっすね。で、さっき彼女が名乗った『奉仕性活シスター』は、魔王の侵攻で激減した人類をとにかく沢山増やし、元の数に戻すことを目的に活動している人達のことっす」

 

「つまり⋯⋯フローディアさんは僕達側の人間って事?」

 

キスメの言葉にルアーナが頷く。「人類の繁殖」⋯⋯それこそが女神セラーカが掲げている活動目標で、フローディアはそれを実行する集団の一人という事らしい

 

「フリセラ教団の中でも『奉仕性活シスター』に所属している者には女神(セラーカ姉さん)と教皇(サキュエル殿)から様々な加護が与えられるっす。身体能力が上がって頑丈になったり素早く動けたり毒が効かなくなったり⋯短期間で沢山妊娠出来るのもその加護のおかげっす」

 

「そうなんだ⋯報告で読んだフローディアさんの強さの秘密がこれでようやく分かったよ」

 

「─────赦す⋯⋯⋯⋯赦すって⋯言ったか?へへ⋯⋯な、なら逃げても追いかけて来ねぇんだよな⋯?」

 

「もちろんです。我々教団は、あなたを追いかけ狩る様な真似はもうしません」

 

「本当か?本当なんだな?」

 

キスメが説明に感心している一方で、フローディア側の会話にも進展があったようだ。すっかり立場が逆転したクァニンが声を震わせながらフローディアに何度も確認を取っていた

 

「ハハ、ハ⋯!おい、聞いただろ。早くこの縄解けよ。俺は⋯赦されたんだ⋯!」

 

「はい?⋯何言ってんすか?解くわけないでしょう──────まだ引き渡す相手が来てすらいないのに」

 

「⋯⋯⋯は?」

 

「お待たせしました」

 

男が間の抜けた声を出すのとほぼ同時に、四人に対し声がかけられる。声がした方に振り返ると祭司長のクヴィチが、背後に数名の騎士を連れてこちらにやって来ていた。彼女達こそが、ルアーナの待っていた引渡し相手だった

 

「その男が今回の事件の主犯ですね?」

 

「は、間違いありません」

 

「分かりました⋯⋯あの男を地下牢に。報告では何度も取り逃している相手との事です。道中も油断しないように」

 

「はっ!」

 

人間がいる手前、ルアーナとクヴィチは騎士と統治者という立場でやり取りを行う。確認が取れたクヴィチが、背後の騎士達に男を連行するよう命令を下す

 

「ま、待て!おい、フローディア!逃げていいんじゃねぇのかよ!?お前、さっき赦したって────!」

 

「?ええ、我々教団はルイワでのあなたの行いを赦しました。ですが⋯この街でやろうとしたことは、我々の知るところではないので」

 

「なっ⋯⋯!?」

 

「⋯⋯この街は、故郷を魔物や悪事を働く人間に滅ぼされ、避難してきた者たちが集まって出来た場所です。逃げたり、抱え込んだり、乗り越えたり⋯程度に差はありますが皆が必死に生きている場所なのです。そんな私の街で暮らす者達の平和を乱そうと画策した事──────許されざる事です。二度と日の目を見られるとは思わないでください」

 

「ぐ⋯!~~~~っ⋯⋯く⋯そぉ⋯⋯っ!」

 

「運び終わったら門のところで待機しててください。私はこの者達と少し話をしていきます。古い知り合いですので、護衛も不要です」

 

「はっ!何かありましたら、すぐに門番をお呼びください。⋯⋯さあ、立て!来るんだ!」

 

クヴィチの気迫と最後のセリフがトドメとなったのか、クァニンはがくりと肩を落として項垂(うなだ)れる。そのまま騎士達に引きずられるように連行されていった

男の姿が見えなくなったところで、クヴィチの雰囲気がようやく元に戻った。振り返って二人に労いの言葉をかける

 

「ふぅ⋯一件落着、ですね。ルアーナ、キスメ、お疲れ様でした」

 

「お疲れ様ー!」

 

「ウチは殆ど何も。その言葉は潜入捜査を頑張ったあのお二人にかけてやってくださいっす」

 

「先ほど直接報告を頂いた時に伝えました。非常に喜ばれていましたよ」

 

「おっ、流石。あの二人からしてみれば街の一番偉い人からのお言葉っすからねぇ」

 

「ところで、そちらのシスター様は⋯?」

 

クヴィチがチラリ、と佇んでいるフローディアに目を向ける

 

「あ、そういえば初対面でしたね。この子はフローディア殿っす。セラーカ姉さんとこの子っすね」

 

「女神クヴィチ様、初めまして。フローディアと申します。女神セラーカ様からある程度の事情は聞き及んでおりますので、何か力になれる事があれば遠慮なくお申し付けください」

 

深々と頭を下げるフローディアに、クヴィチも同じ様に頭を下げる

 

「セラーカお姉様の⋯これはご丁寧に、どうも初めまして。今の私は女神ではなく、街の統治者としての身ですのでそのように扱って頂くと嬉しいです」

 

「ふふ、分かりましたクヴィチ様♪」

 

「それで、フローディア殿は何の用でここに来たんすか?あの男に別れの挨拶をする為じゃないっすよね?」

 

「あ、はいぃ。実は先ほどセラーカ様に報告したところ、ルアーナ様と話がしたいとの事らしくて」

 

「げっ⋯⋯姉さんがっすか。うーん⋯」

 

「あれ?あんまり乗り気じゃないね。会いたくないの?」

 

唸るルアーナを見て、キスメが首を傾げる

 

「実はあんまり⋯セラーカ姉さんとは昔っから反りが合わなくて⋯⋯でももしかしたら緊急の用かもしれないんすよねぇ⋯⋯⋯⋯わかったっす。姉さんを呼んでください」

 

「分かりました。では──────今から降(・)ろ(・)し(・)ますね」

 

深呼吸をして準備が出来た事を伝えると、フローディアがおもむろに膝をつき手を組み祈りの姿勢を取る。すると下から風を受けたかのように髪がザワザワと蠢き表情が徐々に険しくなっていく

 

「降ろす?」

 

「セラーカ姉さんは⋯というか信仰されてる四人の女神は信者の肉体に自身を取り憑かせることが出来るんす。色々と条件があるらしいっすけど、肉体すら自分のものに変えられるらしいっすよ。セラーカ姉さんはその能力を活かして穴から出てくる魔物と広い範囲で戦ってくれてるんす」

 

「へぇー」

 

ルアーナの話が終わる頃には彼女の変化は収まった様で、目を開いて立ち上がる。その顔は跪く前の穏やかな表情の彼女とはうってかわり、自信に満ちた鋭い目付きのシスターが立っていた

 

「む、目線の高さがいつもと違うな。肉体までは反映されてねーのか⋯ったく、フローディアの奴どこまで遠出してやがんだ?⋯まあいいか。よっ!久しぶりだなルアーナ。会えて嬉しいぜ」

 

フローディアが先程までとは明らかに違う男勝りな口調で、ルアーナに向けて軽く手を上げて挨拶をする

 

(この人がセラーカさん⋯魔王封印を果たした四女神の一人で、ルイワ聖王国の統治を任されている女神様⋯)

 

「⋯お久しぶりっす、セラーカ姉さん。相変わらず最前線で戦ってるんすか?」

 

「おう!毎日色んな化け物が穴から這い出てくるからな。退屈しない毎日を送ってるぜ」

 

「セラーカ、お姉様⋯⋯」

 

「お?クヴィチもいるじゃねーか!そうか、お前んとこにいたのか!調子はどうだ?」

 

「は、はい⋯何とか、やっていけてます⋯⋯」

 

「前に見た時は思い詰めた表情(カオ)してたからな、心配してたんだが⋯⋯ふむ、少しスッキリした顔になってるな!何かいい事でもあったか?」

 

「へ!?え、ええ⋯!まあ、はい⋯♡」

 

(?今のところ普通に良い神(ひと)そうだけど⋯ルアーナさんとどの辺が合わないんだろ)

 

高くなった背を屈ませ心配していた妹の顔色を伺い、良くなってるとみると笑顔を見せる。キスメのセラーカに対する第一印象は、妹想いの姉という印象だった

クヴィチが視線を僅かに一瞬だけキスメに向け、頷く。その視線の動きを見逃さなかったのかどうかは分からないが、今度はキスメに話しかけてきた

 

「んで、そっちのガキだが⋯⋯⋯お前、人間じゃねぇな。よく見りゃスライムか?て事はお前が例の実験の⋯⋯ふむ」

 

そう言ってセラーカはキスメの周りをぐるぐる回って観察したり、腕に触れ感触を確かめたりし始めた

 

「なるほど、大体わかったぜ────よっ、と」

 

一通り見終わったのか、セラーカがキスメの正面に戻ってくる。すると今度はキスメの身体に腕を深々と刺し入れた

 

「「「!!?」」」

 

突然の事に周りの三人は誰も反応できなかった。キスメが顔を下に向けると、命の源とも言える核(コア)が、セラーカの手に握られていた

 

「やっぱ弾力があるのは表面だけか。中はさらさら⋯べとべと⋯?いや、ドロッとした感触もある⋯⋯何だこれ?あ、もしかしてこれ愛えk「何やってんすかぁー!?」うおっ⋯!なんだよいきなり、危ねぇなぁ」

 

ルアーナの叫びと頭を叩く軽快な音が森にこだまし、その衝撃でセラーカの手から核が離された

クヴィチがすぐさまキスメを抱き寄せ自身の身体を盾にし、更にルアーナが間に立ち塞がり二人揃ってセラーカを睨み付ける

対して彼女の方は思いっきり叩かれたにも関わらず、特に気にした様子もなくキョトンとした顔をこちらに向けていた

 

「それはこっちのセリフ⋯⋯っ!?いきなり何⋯!?この⋯っ!殺す気っすか!?」

 

「いやいや殺さねぇよ。ただ直に触って確かめたかっただけだっつの。報告書読むだけより、見たり触れたりした方が分かることもあんだろ?」

 

一度に言いたいことが多すぎて言葉に詰まるルアーナに、セラーカが真顔で諭す。まるでいきなり腕を突っ込んだ自分の方が正しいかのような姉の態度に、ルアーナの握りしめた拳が怒りで震え始める

 

「~~~~っ!報告板(仮呼称)で届けた情報以上の事はまだ起きてないっす!ていうか三日前に新しい情報送ったばっかっすよね?読んでないんすか!?」

 

「あー、あの板っきれみたいなあれか。実は一番最初のを読んだ後よ、戦闘中にうっかり壊しちまってな。今手元に無いんだわ。またその報告板?っての中身の情報と一緒に送ってくれよ」

 

「!?こ、こ、ここ⋯!壊したァ!!?アレ一つ作るのにどれだけの費用と技術者の血と汗と涙と努力の結晶が詰まってると⋯!あーもうフザケンナっす!二度と渡さんっす!!大体姉さんはいっつも適当なんすよ!この前だって───────」

 

「クヴィチ司祭長!大丈夫ですか?何やら叫び声が聞こえてきたのですが⋯」

 

「も、問題ありません!持ち場に戻ってください!⋯⋯ご主人様、大丈夫ですか?」

 

「う、うん。僕の方は何ともないよ。核も無事だし。にしても⋯」

 

(なるほど⋯セラーカさんは周りの反応とかそういうの関係無く、自分のやりたいと思った事をその場で躊躇いなくやるタイプって感じかな?)

 

騒ぎを聞き付けてやって来た門番を即座に帰らせ小声で心配してくるクヴィチの頭を撫でながら、未だルアーナとコントのような言い合いを行っているセラーカをキスメは冷静に分析していた

 

「あーもういいだろ。オレは殺す気無かったし、あのスライムも死んでねぇ。それで話は終わりだ。そろそろ本題に入っていいか?」

 

「またそうやって勝手に⋯⋯!はぁ⋯わかったっす⋯⋯それで、ウチになんの用っすか?」

 

言い争いはルアーナが折れるという形で終わったようだ。改めて話したい内容について聞く

 

「おう!実はな────────もうすぐ魔(・)王(・)の(・)封(・)印(・)が(・)解(・)け(・)る(・)らしい」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯は?」

 

「おそらく十年以内⋯⋯いや、下手すりゃもっと早いって言ってたっけか?確か⋯早くて五、六年後くらいだとかなんとか」

 

さらっと言ってのけた報告の内容を受け止めるのに、ルアーナは数秒かかった。ハッとなり、慌ててクヴィチの方に顔を向ける

 

「魔王⋯が⋯復活⋯⋯?でも、姉さん⋯前に死んだって⋯⋯え?」

 

(!?⋯⋯まずい⋯!)

 

「セラーカ姉さん、一旦場所を変えるっす!キスメ殿、クヴィチ姉さんについててもらっていいっすか?」

 

ルアーナは素早く指示を与えると返事を待たずにセラーカの手を引いて移動する

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「何やってんすか!?」

 

「あん?何がだ?」

 

会話が聞かれない場所まで来たところでルアーナは姉の胸ぐらを掴んで詰め寄る。そんな事をされてもセラーカの反応は淡白なものだった

 

「何がって⋯!クヴィチ姉さんは、魔王が封印されてる事を知らないんすよ!?」

 

かつて世界にあった十三の聖王国──────そのうち九つの聖王国が魔王によって滅ぼされ、八人の女神が捕まった

八人の女神は魔王討伐後に救出されたものの、それまでに魔王から与えられた快楽によって身も心も墜とされていた。そして数百年経った今でも神の力はほぼ失われたままで、魔王の存在を今も求め続けている⋯⋯それが今の堕ちた女神たちの現状だった

そんな彼女達に魔王が生きていることを知られれば、何をするか分からない⋯⋯だから捕まらなかった五人の女神は堕ちた八人の女神に「魔王は死んだ」と伝えていたのだ。その八人の中にはもちろん、クヴィチも含まれている

 

「知ってるよ、実は確認したいことがあってな。わざと目の前で言ったんだ」

 

「なんですって?」

 

胸ぐらを掴んでいた腕にセラーカの手が添えられる。会話がしたいなら手を離せということなのだろう。力を緩め手を下ろすと、再び話し始めた

 

「真面目な話をすると、隠すのはもう意味無ぇ。実は魔王の封印が限界だとわかったと同時に、捕らえられてた組に不穏な動きがあった。どうやらオレ達に黙って裏で何かやり始めたらしい」

 

「!?⋯封印のことがバレてたってことっすか?」

 

「それか元から信じていなかったか、魔王の気配を感じ取るような何かを仕込まれてたか、だな。魔王復活の兆しに呼応するように、一斉に暗躍し始めた姉妹⋯偶然とは思えねぇだろ?」

 

「ですが、クヴィチ姉さんは知らなかったみたいっすよ?」

 

「おそらくだが根回しされて無かったんだろ。捕まってた女神の中じゃ一番真面目な奴だからな。オレらにチクって早い段階でバレる可能性を避けたかったのかもしれねぇな。オレがあっち側だったら誘うのは復活させた直後だ。それでコロッと落とせる」

 

(クヴィチ姉さんが隠してる可能性⋯いや、だったらキスメ殿の「体液を吸収することで相手の記憶を読める能力」で看破しているはずっす。それが無いってことは、セラーカ姉さんの予想は当たってる⋯)

 

「堕ちた姉妹とは今までも小競り合い程度の諍いはあった。だがこれからは本格化しそうだ。オレの国程じゃないが、それなりの規模の街を任せられてる姉妹も多いからな。魔王様とやらの為に利用してくる筈だぜ」

 

「⋯⋯人間も巻き込んだ姉妹同士での戦争になるかもしれないって事っすよね⋯」

 

ただでさえ魔王だけで手一杯なのに、姉妹の殆どが敵に回るかもしれないとなると、流石にどうしようもない。そもそも姉妹同士で争う事自体ルアーナには耐え難い事だった

 

(これは⋯どうやら計画の実行を早める必要がありそうっすね)

 

「⋯⋯他の姉さんたちは魔王が復活する事を把握してるんすか?対策とか考えたりは?」

 

今後の人類の存亡を左右する問題だ。少しでも情報を共有しておきたい今、すぐに気を取り直してルアーナは別の質問に移る

 

「全員知ってるぞ。封印に携わったから当然だな。一応教えたら長女(キシュー姉)は「そうか」の一言だけで特に何も言わなかった。元から無口だし、正直何考えてるのか分からん。ま、一番強いし大丈夫だろ」

 

「適当っすね⋯」

 

「根暗な四女(ポトジス姉)は相変わらず自分の国に篭もって魔法魔術を創作中でな、最近スランプ気味らしくめちゃくちゃ荒れてた。魔王の事伝えたら「それどころじゃない」って怒られちまった。七女(キスメガ姉)は衰退した文明の復興に奔走してるが⋯まずあの破綻した性格をどうにかしねぇとだな。「皆をまた沢山治せる(イジれる)」って魔王の復活を心待ちにしてやがったぜ」

 

「えーと⋯つまり誰も対策らしい対策は取ってないんすね?」

 

「いやいや、九女(オレ)は魔王の奴が復活したら一緒に遊ぶつもりだぜ?前はキシュー姉に取られちまったからな。あん時とは色々状況も違うし、少しは楽しめそうだ」

 

魔王と戦った時の事を思い出したのか、セラーカは薄ら笑いを浮かべながら舌なめずりをしている

 

(世界を統治している四女神の内、半分が何考えてるか分からなくて、もう半分が復活を心待ちにしている⋯⋯⋯⋯困った、不安しかないっす⋯)

 

「⋯⋯⋯姉さん。姉妹の方はウチに任せてくれないっすか?」

 

「あん?」

 

「詳しくは言えないっすが⋯計画している事があるんす。もしかしたら何とか出来るかもしれないっす」

 

魔王が復活するのはどうしようもない。だが姉妹の方なら今からでも手が打てる。その方法も成果も、ルアーナは確認済みだ

 

「ほう⋯考えがあるんだな?」

 

セラーカの問いにルアーナは無言で頷く。妹のただならぬ覚悟を感じ取った姉はニヤリと笑う

 

「わかった、なら任せたぜ。あいつらが馬鹿やる前に止めてみせろ。期待してるぜ」

 

「ええ⋯⋯ですから姉さんも、姉さん達も!魔王を絶対何とかしてくださいね?じゃないと世界が大変なので!!」

 

「おう!任せとけって!」

 

(⋯⋯⋯⋯⋯⋯本当に不安だ)

 

「じゃ、用も済んだし戻るわ。フローディアに早く戻るよう伝えといてくれ」

 

「そういえばフローディア殿で思い出したんすが⋯女の子を集めてるみたいな事聞いたんすが、何やってるんです?」

 

「お、気になるか?くく、だが秘密だ!一応お前の活動にも関係してるって事だけ言っておこう。気になるならオレの国に直接見に来るんだな!」

 

「なんすかそれ⋯⋯まぁ暇が出来たら行くっすよ」

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

ルアーナが話し合いを終え元の広場に戻ってくると、そこにキスメとクヴィチの姿は無かった

 

「あれ、いないっすね⋯?おーい!二人共ー!話し合いは終わったっすよー!」

 

すでに街に戻ったのかと思いつつも声を張り上げて呼びかけると、反対側の森から二人が姿を現した

 

「いたいた。お二人共、一体どこに行って─────あー⋯」

 

「ふぅー⋯♡ふぅー⋯♡」

 

まるで急いで着直したかのように乱れた服、上気した頬に口の端に引っかかっている髪の毛とそこから漏れているどろりとした液⋯クヴィチの様子を見た瞬間、ルアーナは何があったのかすぐに察した

 

「おかえりー!あれ、セラーカさんは?」

 

「こっちを散々振り回すだけ振り回して帰ったっす。念の為聞くっすが、そっちは何してたんです?」

 

「それはもちろん 、今回裏で色々頑張ってくれたクヴィチちゃんにご褒美あげてたんだ!ね、クヴィチちゃん?」

 

「んひっ!?♡ん⋯く♡ごきゅ⋯っはぁ♡は、はい⋯♡とても、有意義な時間でした⋯♡♡」

 

お尻を掴まれたクヴィチが嬌声を漏らす。口の中に溜まったキスメの体液を飲み込むと、その味を反芻するように舌なめずりする

長い時を生きている神とはいえ、その見た目はまだ幼い。そんな姉の艶かしい仕草を見せられた妹のルアーナは、こめかみを抑えながら先程の件について話す

 

「⋯⋯あの、クヴィチ姉さん⋯さっきのセラーカ姉さんの発言っすが──────」

 

「大丈夫です。たとえ魔王が健在だったとしても⋯⋯私が魔王になびくことは絶対に有り得ません。だって私に相応しいご主人様はここにいますから⋯♡ただ⋯⋯⋯」

 

「ただ⋯なんすか?」

 

「時々、魔王のことを憂うことはあります。ですがそれはご主人様からキツめのお仕置を貰えるからで、決して魔王の事が忘れられない訳ではありません!そこの所を理解して頂ければと思います」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。」

 

真面目な顔して何を言うかと身構えてみれば、とんでもない告白で一気に拍子抜けする。完全に決別した事を伝えたいのだろうが、突然性癖を開示したようにしか見えなかった。そしてその事に、言った本人は気が付いていない⋯⋯

 

「よく言えました!部屋に戻ったらそこでもご褒美あげちゃうね♡ついでに⋯⋯お仕置の方もね。いつまで経っても魔王の事呟いちゃうから、調教が上手くいってないのかと思ってたのに⋯わざとだったんだね⋯⋯おまんこからスライム吹き出すまで注いでやるから、覚悟しろよ♡」

 

「!?♡ん゛⋯っ♡♡っ♡ひ⋯!♡はひ⋯♡申し訳⋯ありませんっ♡♡」

 

「じゃあ僕らもこの辺で帰るね!」

 

いつもより強めの口調で囁かれたクヴィチは、それだけで軽い絶頂を迎える。そのままおぼつかない足取りで、キスメに支えられながら連れて行かれたのだった

 

「⋯⋯⋯⋯フゥー⋯」

 

後に残されたルアーナは、空を仰ぎながらため息をつく。魔王の復活、堕ちた姉妹の暗躍、四女神の危機感のなさ、計画していた作戦の実行、真面目な姉の末路⋯これから対処しなければならない数々の問題を前に彼女は一言だけ呟いた

 

「人間の頭痛薬って神にも効果あるんすかね⋯⋯?」

 




実はリョシーセの物語とは別に、今回出てきた『奉仕性活シスター』に所属している子を主人公にした話を今書いてて⋯なんなら5話くらいはもう完成してて⋯リョシーセの物語が落ち着いたらそっちも投稿していくよ

新年一発目がまさかのエロ無し回で申し訳ない⋯次はちゃんとエロ書くよ。というわけでおまけ話は主人公11歳の誕生日回。親友のサプライズでついにあの男の子と直接対面するよ
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