夜が明け、次の街を目指すリョシーセ達の旅は順調に進んでいた
「────────という訳で、お願いする仕事は魔物との性行為だけじゃないっす。瘴気によって変質した獣や植物の駆除もお願いするつもりっすよ」
「そういう依頼なら、わたしも力になれそうね。魔法で一掃してやるわ」
「はいはい質問!ゴブリンともいつかヤったりするの?確か孕んだらダメだったよね?」
「そうっすね。ゴブリンについてですが─────」
今後の依頼についての打ち合わせをしたり─────
「集中、集中ぅ⋯⋯むむむむむ⋯⋯!」
「うん、指先に魔力がちゃんと集まっているわ、いい感じね。⋯ところでリョシーセ、肩に虫が付いてるわよ」
「え、嘘どこ!?あ⋯⋯⋯あー!?」
「はい、もう一回最初から。まだまだ集中力が足りないみたいね♪」
「むぐぐ⋯⋯ずーるーいー!」
魔力の少ないリョシーセの修行を行ったり─────
「─────それじゃ、挿れるわよ⋯⋯っ♡ぉ♡⋯やばっ♡締め付けすご⋯♡」
にゅち⋯♡にゅぐぐ⋯ぐ⋯⋯♡こつっ♡
「ん、ぐ⋯⋯ぎ⋯⋯!♡んぅ゛っ!♡⋯⋯っはぁ♡はぁ♡はぁ♡⋯⋯ねえ♡これ、もう少し細くできたりとか⋯♡」
「ん⋯♡ミミックの幼体を♡取り出せる広さも⋯はぁ♡確保しないと、だからぁ⋯♡っ♡」
「だ、だよねぇ⋯♡おっ、だめ♡動かないでっ♡イク♡イク⋯っ♡今っ♡身じろぎ禁止⋯⋯イぐっ♡♡♡」
プシィィイっ♡♡♡ジョロロロロロ♡♡♡⋯⋯
ミミックとの交尾に向けて特訓を行ったり─────
ぬちぬちぬちぬち⋯⋯♡♡♡にゅぐっ♡にゅぐっ♡ぐりゅっ♡⋯⋯
「んぶ⋯⋯♡ふっ♡ぉ⋯⋯─────おぉぉおおっ♡ほっ♡おぉっ♡あ゛ー⋯っ♡」
「あーあ。声、出ちゃったねぇ。じゃ、罰ゲームしよっか♡」
「⋯⋯っ♡わ、わかった⋯っす♡⋯⋯⋯⋯ウチは、ケツ穴をチンポでホジられて気持ち良くなっちゃう変態⋯⋯です♡どうか⋯この変態女神のザコ穴を⋯⋯あなた様の雄々しい肉棒で⋯⋯♡ごりごりと擦りあげっウォオ゛ッ!?♡♡おっほぉおおおおおっ♡♡♡♡イ♡♡イ゛かぜてっ♡♡くださ────ンオ゛オオオ゛ッ♡♡♡」
ごちゅ♡ごちゅ♡ごちゅ♡ごちゅ♡ぐりゅっ♡ぐりゅぐりゅぐりゅ♡♡
「よく出来ましたー!こうやって無理やりイかされて、恥ずかしーい台詞を言わされたりするかもだからねー♡今のうちに言い慣れておけば、魔王の隙を突くことが出来る⋯⋯かも?あ、イく時はちゃんと宣言するのを忘れずにね、ルアーナお姉ちゃん♡」
ぐりぃ⋯♡♡ドチッ♡ドチッ♡ドチュッ⋯⋯⋯♡♡プシィイイイッ♡♡♡プシャアアア⋯⋯♡♡♡
「は⋯い゛っ♡イクっす♡妹チンポでケツ穴の壁ごりごり削られてイクっす!♡いくいくイクイグ⋯⋯っ!♡♡イグッゥウオっっっ!?♡♡♡⋯⋯⋯っほぉおぉぉ⋯⋯⋯⋯⋯♡♡♡♡」
その裏で、キスメによるルアーナの肛門強化特訓が行われたりしながら、馬車は目的地へと進んで行った。そして────────
「─────あ、ルアーナお姉ちゃん!もしかしてアレ?」
「そうっすね。⋯⋯お二人とも、見えてきたっすよ!あれが目的地の風と歌の街、『フータ』っす!」
幌馬車の上で揺られていたキスメが、目の前に現れた光景を見てルアーナに声を掛ける。ルアーナは頷いた後、馬車内で寛いでいたリョシーセとベケスに呼びかけた。呼ばれた二人が馬車から身を乗り出し、彼女の指差す先に目を向ける。森に囲まれた街道を抜け、丘から見下ろした先に目的地はあった
二人の故郷と同じく、大きな壁に囲まれた街。壁の外には畑が広がっており、所々に民家と思しき建物が見える。近くまで来ると農作業に勤しむ人や休憩ついの雑談に花を咲かしている人達が見え、のどかな風景が広がっていた
「わぁ、すごーい!こんな大っきい畑、初めて見たよ!」
「そうね。壁の外にあるけど、魔物に荒らされたりしないのかしら?」
「一応畑の更に外側にも簡単な柵や見張り台は建ってますが、この辺りも魔物は殆ど出ないんすよ。ウチらは“大穴”から一番離れた外側を沿うように移動してるんで、お二人の街と同じくらい安全っす」
「へーそうなんだ。⋯⋯あれ?ねぇ、何か聞こえない?」
「え?⋯⋯⋯本当ね、確かに聞こえるわ。これは⋯歌?」
中心の街を目指す馬車に揺られながら風景を眺めていると、リョシーセの耳が微かな音を拾った。耳を澄ますとどうやら音の正体は歌で、街の方から響いているようだった
「街の外まで聞こえるなんて⋯何かお祭りでもやってるのかな?」
「⋯いえ、この時期にお祭りを行うほどの行事はなかった筈っすが⋯⋯」
「!ねえ、見てあれ。街の入口の方⋯馬車が沢山停まってるよ」
キスメが指差す方を見ると、街の門の傍、道の左右に大量の馬車が停められていた。ざっと見ただけでも七、八台はある。どれも馬は繋がれておらず、荷台部分だけだった
街の入口まで来ると、近くに立っていた門番がにこやかな顔で話しかけてきた
「騎士様、ようこそ風と歌の街へ!歓迎します!この街へはどのような目的で?」
「特別騎士ルアーナです。街の近くにある攻略済みダンジョンの視察に来ました」
ルアーナが門番に紙を手渡し、門番がそれに目を通す
「はい、確かに確認しました。でしたら街の宿屋までの案内人を─────」
「いえ、前にも来たことがあるので、案内は結構です。それより門のそばにある荷台について聞いても?」
丁重に断りを入れた後、ルアーナが門の前に放置された馬車について聞く。すると門番の顔がさらに明るくなり、興奮した様子で話し始めた
「ああ、あれですか。歌姫の歌を聞くために滞在期間を延ばした旅商人のものですね!馬の方はこちらで預かり世話をしています」
「歌姫、ですか?」
「そうです!ほら、今もかすかに聞こえてくるでしょう?これが歌姫ミミ様の歌です!」
「────────何ですって?」
「ですから歌姫ミミ様の歌です!聴いてると心にスっと入ってくるような、ずっと聴いていたくなる歌声をしてるんですよ!毎日決まった時間に歌っているので、騎士様も機会がありましたら是非!近くで聞くとまた違いますよ!」
「⋯わかり、ました⋯⋯」
馬車が再び動き出す。門を抜け、宿屋を目指して街道を進んでいく。話に聞き耳を立てていたリョシーセ達は顔を見合わせた
「聞いた?歌姫だって!」
「あそこまで推されると近くで聴いてみたくなるわね。後で行ってみましょ」
「だよねだよね!ねぇ、ルアーナちゃんも一緒に─────ルアーナちゃん?」
「⋯⋯⋯⋯え?あぁ、はい。そうっすね⋯⋯是非とも、近くで聞いてみたいっす⋯⋯」
◇◆◇◆◇◆
「外、暗くなってきたね。夜になる前にたどり着けてよかったよ」
その後、目的の宿に辿り着いたリョシーセとベケスは、宿泊の手続きを済ませたあと「この後の予定について話し合いたいから部屋で待ってて欲しい」というルアーナの言葉に従い、部屋で彼女がやってくるのを待っていた
「そうね、ベッドなんて久々⋯⋯でもないわね。キスメのベッドめちゃくちゃ快適だったし」
「ルアーナちゃんの手料理も美味しかったよねぇ。移動も馬車でだし⋯⋯特に苦労はしてないね」
「まあ目的地までが長いんだし、道中楽ができるのはいい事よ」
「─────おかーさーん、どう?ちゃんと人間っぽく見える?」
そんな雑談をしながら過ごしていると、ルアーナより先にキスメが自分の身体を確認しながら部屋に入ってきた。どうやら街に入った時点で行っていた人間への擬態が、今終わったようだ。リョシーセがキスメの頭からつま先まで眺める
「んー?⋯うん!ちゃんと人に見えるよ。話には聞いてたけど、凄いねぇ」
その姿はリョシーセと同じ褐色の肌と銀髪で、髪は腰まで伸びており、毛先には薄赤色のグラデーションが掛かっていた。触れてみるとぷるぷるとした弾力はあるものの、人間の肌と遜色はない。リョシーセが全身を眺めて確認したがどこにもおかしな所は無かった
褒められたキスメが腰に手を当てて胸を張る
「ふふーん、そうでしょそうでしょ凄いでしょ!⋯⋯ところでおかあさん、本当にコレ貰っていいの?」
そう言ってキスメが広げて見せたのは、リョシーセが院長先生から新しいのを貰う前に身に付けていたマントだった。キスメの言葉にこくりと頷く
「うん!院長先生から貰って増えたしね。何着かある内の、一番綺麗なのを選んだよ。それなら身体の大部分を隠せるし、正体を隠す手助けになるかなって」
「ありがとう!嬉しい!ふふ⋯おかあさんの匂い⋯♡」
「ちゃ、ちゃんと洗ったからね!?石鹸でゴシゴシと!お日様に当てて乾かしたから!ついでにいい香りのする花の蜜を塗りこんだりもしてるから、臭くないよ!」
「⋯⋯ふふ⋯おかあさんと石鹸とお日様といい香りの花の蜜の匂い⋯♡」
「大分薄まったわね⋯⋯にしても、こうして色が着くと分かりやすいけど、やっぱり顔はリョシーセに似てるわね」
「ん?うん、僕を構成している大部分がおかあさんの情報だからねー。あ、でもママの情報もちゃんとあるからね!顔がおかあさんに「似てる」のだって、ママの情報も混ざってるからだし。魔法の知識もちょこっとだけあるんだよ!」
「じゃあ、キスメもベケスちゃんみたいに魔法が使えるの?」
「ううん、それは無理みたい。知識を頼りに試してみたけど、火とかは出せなかったよ。身体の魔力を上手く操れないっていうか⋯⋯でも、スライムだからか水系の魔法っぽいのなら記憶を頼りに再現できるよ!」
「そうなの?なら今度わたしと手合わせしてくれないかしら。魔法を使う相手とはまだ戦ったことが無いのよね」
「うん、いいよ!」
「─────お待たせしましたっす。ハァ⋯⋯」
ベケスとキスメが手合わせの約束を交わしたところで、部屋のドアが開きルアーナが部屋に入ってきた。兜を取り、ため息をつきながら近くの椅子に腰を下ろす
「おかえりなさい、ルアーナちゃん。⋯⋯何かあったの?」
「はい、まぁ⋯⋯いくつか確認したい事が増えまして⋯⋯。それでその、いきなりで申し訳ないのですが⋯⋯⋯⋯明日行うはずだった実験を一日だけ延ばしていいっすか?」
二人は顔を見合わせる。元々余裕を持って出発した旅だ。一日二日滞在を延ばしたところで問題は無い
「うん、全然いいよ!この街の観光もしたかったしね。ね、ベケスちゃん」
「そうね。実は、さっきまでリョシーセと滞在期間を延ばす事について話し合ってたの。わたしが実験に使っていた魔草や触媒を孤児院送ってくれてた店がこの街にあるから、そこに寄ってみたくって」
「そうそう!あと、噂の歌姫の歌も聴いてみたいし!」
提案を快く受け入れてくれた二人に、ルアーナが感謝を伝える
「ありがとうございますっす⋯⋯っと、ついででいいんでもう一つ頼み事を聞いてくれないっすか?」
「頼み事って?」
「大した事じゃないんすが⋯⋯その噂の歌姫の歌を聞いた感想を、後で聞かせて欲しいんす。ウチは明日、別件の用事で聴けないので」
「そっかぁ、それは残念だね⋯⋯うん、わかったよ。ルアーナちゃんの分までしっかり聴いてくるね!」
二人はそれくらいならと、これまた快く引き受ける。そして今度はキスメを誘う為にそちらに視線を向ける
「キスメは明日どうするの?」
「人の姿になったんだし、せっかくだからわたし達と一緒に行かない?」
「─────ふふ、ふふふ⋯⋯」
そのキスメの口から、笑い声が漏れ出ていた。その異様な様子に二人が訝しげな顔をする。そして顔を上げた彼女は、両手を頬に当て、恍惚とした表情を浮かべていた
「キ、キスメ⋯⋯?」
「おかあさんとデート、ママとデート、ダブルデート⋯!ああでもダメ、僕にも仕事がある⋯⋯明日を全力で楽しむ為には今晩のうちに済ませないと⋯⋯徹夜だなぁ。眠る必要ないからいいけど⋯⋯フフフフフフフフ────────」
唐突に、キスメが立ち上がる。その顔には、先程まであった恍惚とした表情は無く、まるで死地に赴く覚悟を秘めた戦士のような凛々しい顔付きに変わっていた
「おかあさん、ママ、ルアーナお姉ちゃん、ごめん!今から行ってくる!明日のデートまでには必ず間に合わせるからー!」
そしてそのまま、部屋を飛び出しどこかへと走り去ってしまったのだった
「な、なんか随分と張り切ってたね⋯⋯たぶんあれだよね?無害なスライムを街周辺に放つっていうキスメのお仕事」
「そうっすね。本来は二人の実験の間にやってもらう予定だったんすが⋯⋯」
「街を回る時間ができたから、明日の為に今仕事を終わらせに行ったのね。明日の予定の話、ちゃんと聞いてたのかしら?」
「あはは⋯⋯明日キスメが来たら、また話そっか」
話が一段落ついたところで、ルアーナが立ち上がる
「とりあえずウチの話したい事は以上っす。今日はお疲れ様でした。明後日の実験、どうかよろしくお願いしますっす」
「はーい!おやすみ、ルアーナちゃん」
「おやすみなさい」
「はい、おやすみっす」
恭しく礼をし、兜を脇に抱えルアーナも部屋を退出する。残った二人は食事を済ませ、旅の疲れを癒す為に思い思いにゆったりと過ごした後、眠りについた
◇◆◇◆◇◆
─────カランコロン⋯⋯
次の日、リョシーセ、ベケス、そして爆速で仕事を終わらせてきたキスメの三人は街の魔法店へと訪れていた。店内に入ると、来客を知らせるベルの心地良い音が響いた
「おぉー、何やら怪しい植物や鉱石がびっしりと並んでるよ。これ全部魔法の触媒なの?」
「ポーションの材料も混ざってるけど、大抵そうね」
そう言ってベケスが箱に入った鉱石の一つを手に取る。所々青くなっていて、青い部分は水面のように波打っていた
「例えばこの鉱石。これを加工して杖先に取り付けると、水系の魔法の補助をしてくれるの。効果時間を延ばしたり、威力を底上げしてくれたりね」
「へぇー」
「いらっしゃいませぇ」
鉱石について説明を聞いていると、店の奥から声が聞こえてきた。見ればリョシーセ達と同じくらいの女の子が、カウンターから顔だけを出してこちらに笑いかけていた
「こんにちは!私はリョシーセ。こっちはベケスちゃんとキスメだよ。あなたはこの店の人?」
「はいぃ、キュリナって言いますぅ。店の人といっても、半年前に引退したおばあちゃんから譲り受けたばかりなんだけどねぇ」
にへらとした笑顔に間延びした喋り方、可愛らしい顔立ちと相まっておっとりした印象を受ける少女だ
「こんにちは、キュリナ。わたし達、別の街からこの街にやってきたんだけど、幼い頃からこの店から仕入れた商品にお世話になってたのよ。だから、そのお礼を言いに来たの」
「そうなんだぁ。そういうのはまだおばあちゃんがやってくれてるんだぁ。おばあちゃんが聞いたら絶対喜んでくれるよぉ。伝えておくねぇ」
キュリナが両手を合わせ、嬉しそうに微笑む
「ありがとう、よろしく頼むわね。⋯⋯じゃあ次は買い物の件なんだけど、初心者のこの子でも扱える杖と、火の加工石あるかしら?」
「初心者用ですねぇ。はいぃ、ありますよぉ。うーん、リョシーセちゃんの体格で初めてなら、片手で扱えるのがいいかなぁ⋯⋯少し待っててねぇ」
少し考える素振りをした後、彼女がカウンターの奥へと姿を消す。待っている間、リョシーセは期待を込めた眼差しを隣の親友へと向けた
「ねぇねぇ、ベケスちゃん。初心者用ってもしかして、私に?」
「ええ、そうよ。いい機会だから言っておくけど、例のお仕事が終わった後も特訓は続けるつもりよ。前にも言った通りあんたの魔力総量は他と比べて少ないから、せめて平均くらいまでは鍛えるわよ。まぁ、あんたは嫌がるでしょうけど、今後も似たような状況のお仕事が来ないとは限らな─────!?」
対してベケスは反対されると予想していたのか、こちらを見もせず言い訳のように理由を捲し立てた。当然、自分の向ける眼差しには気付いていなかったため、抱き着くことでそれを止める
「そんなことないよ!ベケスちゃんから魔法教わるの、すっごく楽しいもん。それに魔法剣士って昔から憧れだったんだよね!いや、私の場合は魔法盗人か。とにかく、杖をプレゼントしてくれるって事だよね?ありがとう!」
「⋯⋯⋯⋯ふ、ふーん⋯⋯そ。い、嫌じゃなかったのね。なら、良かったわ⋯⋯それならもっとこの子に合う魔法を教えた方が良さそうね⋯⋯」
「ふふ、おかあさん達楽しそうだなぁ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ん?」
そんな二人の会話を耳だけで聞きながら、キスメが一人店を物色していると、視界の端で見覚えのあるもの─────いや、自身の中に記録としてあるものを見つけた気がし、そちらへと視線を向ける
「こ、これは⋯⋯!?おかあさん、ママ!コココ、コレ!?」
少し驚いた後、すぐさまソレを手に取ると二人へと見せた。ソレを見せられた二人も、スライムの少女と同じように驚きの声を上げる
「こ、これって⋯⋯!?」
「何でこれがここに⋯⋯?」
キスメが持ってきたもの⋯⋯それはかつて二人の処女を奪った男、ロキリスが使っていた『媚薬入りの香炉』だった。見間違いかとその香炉が置かれていた棚に目をやると、媚薬入り香炉と書かれたラベルが貼られていた。間違いなく、あの時使われていた香炉と同じ物だった
「お待たせしましたぁ。リョシーセちゃんにぴったりの杖、見つかったよー。あ、それ⋯⋯」
なぜ魔法店にこんな物が置かれているのかと困惑していると、そのタイミングでキュリナが杖を片手に戻ってきた。三人が囲んで持っている香炉を目にした瞬間、困惑の入り交じったにへら顔のまま黙り込んでしまった。額には大量の冷や汗が浮かんでは流れ落ちている
「キュリナちゃん、これって─────」
「あのぉーそれはぁ⋯⋯み、皆にはまだ早いって言うかぁ⋯⋯⋯⋯」
何か言いたげなリョシーセに対し、キュリナが歯切れの悪い口調で目を逸らす
(この反応⋯⋯「知ってる」わね。使い方も、その効能も⋯⋯嫌な予感がしてきた。まさかとは思うけど────────)
「ねえキュリナ。あなた⋯⋯ロキリスって名前に聞き覚えある?」
「!?⋯⋯な、何でその名前を⋯⋯?」
ロキリスという名前を聞いた瞬間、キュリナの反応が目に見えて激しくなる。疑いが確信に変わったことで、リョシーセは喜びを表し、ベケスは深いため息をついたのだった
◇◆◇◆◇◆
「────────つまり、店にやってきたそのロキリスって男に、香炉の売り込みをされて⋯⋯」
「効能を確かめるついでに成り行きでヤっちゃった♡ってわけだね!」
「うぅ⋯⋯はいぃ⋯⋯♡」
「あぁ⋯⋯⋯⋯」
リョシーセとベケスは、ロキリスとの関係を話せる範囲で話した上でキュリナと彼の関係について聞いた。お互い話し終えたところで、ベケスが頭を抱える
「どうしたの?まるで嫌な予感がそのまま丸々当たったみたいな顔してるよ」
「よくわかってるじゃない⋯⋯街で別れた時にわたし、あいつにこの店の事を紹介したのよ。探し物が見つかるかもしれないからって⋯⋯つまり、キュリナが襲われたのはわたしのせいなのよ。院長先生から店の人は高齢の女性って聞いてたから、完っ全に油断してたわ。まさか直前で代替わりしてたなんて⋯⋯⋯⋯」
そう言ってベケスはキュリナに向き直り、頭を深々と下げる
「謝って済む事じゃないけど⋯⋯ごめんなさい。わたしのせいで、あなたにとって取り返しのつかないことをさせてしまったわ」
「ああ、謝らないでくださいぃ!ベケスちゃんはなんにも悪くないですからぁ。そ、それにその⋯⋯私、元々人見知りで⋯⋯接客とか苦手だったんだけど⋯⋯ロキリスさんから接客の仕方や商売のノウハウを教えて貰ったりして⋯⋯その出来事がきっかけで、他人と接しやすくなったところもあるから⋯⋯だから全然気にしてないんだぁ。むしろ、助かってる!って感じだよぉ」
そういう彼女の表情は、いつものにへら顔に戻っていた。どうやら本当に気にしてないらしい
「⋯⋯⋯⋯そう、なのね⋯⋯ごめんなさい。どうやら逆に気を使わせちゃったわね」
ベケスが顔を上げたところで、リョシーセが両手をパチンと合わせる
「よし!お互い納得したね。じゃあその話は終わり!ねえねえキュリナちゃん、おにーさんが次はどこに行くかとか、何か言ってなかった?」
「あ、はいぃ。えっとねぇ⋯⋯『鍵の結晶』っていうのを探してたみたいだけど、この街には無かったってすっごい嘆いてたんだぁ。だから、原材料を加工してその鍵を造ってる鍛冶屋を探したらどうかって提案してみたの。そしたら「知り合いに鍛冶師がいるからそこに行って確かめてみる」って⋯⋯確か、『鉱山街』ってとこに行くって言ってたよぉ」
「鉱山街⋯⋯知ってるよ!世界中のありとあらゆる鉱石がそこで掘ることができるって街だね。確か地図で言うと⋯⋯」
「地図ならあそこの壁あたりに掛かってるよぉ」
キュリナの言う通り、店の壁の一角に世界地図が吊り下げられていた。リョシーセが歩み寄り、鉱山街の位置と自分の通るルートを照らし合わせる
「えーと、鉱山街は海を越えた先で⋯⋯ルイワ聖王国寄りのルートかぁ。うーん、行くなら寄り道になっちゃうね」
「キュリナの話なら大体半年前でしょ?もうとっくに鉱山街には着いてるでしょうし、目的の物があったにせよ無かったにせよ、街には留まっていないんじゃないかしら」
「そうだよねぇ⋯⋯ま、動向が分かっただけでもいっか!ありがとね、キュリナちゃん」
「いえいえ、お役に立てれたようで何よりだよぉ」
─────カランコロン⋯⋯
「ありがとうございましたぁ」
会計を済ませた三人は、キュリナに手を振りながら店を出た。買い物袋を手に持ちながらキスメが今後の予定を尋ねる
「ベケスお姉ちゃん、この後はどうするの?」
「一度宿に戻って荷物を置いたら、歌姫って呼ばれてる人の歌を聞きに行く予定よ。聞けばこの街の名物らしいじゃない」
「宿から店までの道中でも色んな人達が噂してたよね!いやー楽しみだなぁ」
楽しそうにする二人を横目に、キスメが顔を少し逸らす
「歌、歌かぁ⋯⋯もしかして、そこに何か秘密があるのかな?」
「あら、どうしたのよキスメ。歌について何か思うところでもあったの?」
「ううん!歌を聞けば人間の事、もっと学べるかもしれないなって。僕も行きたい!行っていい?」
「うん、もちろんだよ!一緒に楽しもうね!」
「うん!────────あれ?」
三人が宿に向かうために歩き始める。だがその途中でキスメが足を止め、店の方へと振り返った
「あれ⋯⋯キスメ、どうしたの?」
「二人共ー!早く行きましょー!」
何か気になるものでも見たのか聞こうかしたところで、背後から大声で呼ばれる。見れば少し離れた所でベケスが手を振っていた
「はーい!⋯⋯何でもない!はぐれたらマズイし行こう、リョシーセお姉ちゃん」
キスメはリョシーセの手を取り駆け出した。その際、魔法店の方をチラリと見る
(今キュリナちゃんの店に入ってった人、入る前に表札をいじってたみたいだけど⋯⋯店員さんだったのかな?)
◇◆◇◆◇◆
─────カランコロン⋯⋯
リョシーセ達三人が去った後、カウンターで事務作業をしていたキュリナの耳に来店を知らせるベルの音が届く。入り口に目をやると、この店の常連である青年が立っていた。片手を上げ、キュリナに挨拶をする
「や、キュリナちゃん。アレある?」
「いらっしゃいませぇ。はいぃ、ありますよぉ」
そう言ってカウンターから回り込み、ある商品の前でキュリナが止まる。彼女が手に取ったのは、あの媚薬の香炉だった。元の場所に戻り、香炉をカウンターの上に置く
「そうそう!これよこれ─────で、さ⋯⋯」
青年がじっとキュリナを見つめる。その視線に気付いた彼女の顔が、にちゃりと歪んだ
「もう⋯⋯♡また、ですかぁ?♡」
「いやいや!新商品に不備が無いか、ちゃんと確かめないと。大丈夫、しばらく人は来ないよ。店の表札を清掃中に替えといたからさ」
「っ⋯⋯♡そうですねぇ♡新しい商品は⋯⋯『お試し』♡しないとですねぇ♡」
(結局、あの子には言えなかったなぁ⋯⋯ごめんねぇ、ベケスちゃん♡ロキリスおにーさんにハメられたあの日から私⋯⋯すっかりハマっちゃったんだぁ♡♡)
キュリナが振り返り背後にあった扉へと手をかける。その際、青年を横目に見ながら自身のスカートを捲り、履いていた下着を見せ付けた。青年の股間の膨らみが、徐々に大きくなる
「っ⋯⋯!?」
「あれぇ?♡おかしいですねぇ、まだ香炉は使ってないはずですが⋯⋯♡これは本当に不備があるかもしれません♡奥の部屋で、念入りにぃ♡確かめないと、ですねぇ♡♡♡」
それを見たキュリナが更に妖しく笑い煽りを入れる。そして媚薬の香炉を手に取ると、青年と共に奥の部屋へと姿を消した。扉が完全に閉まる。その後すぐに水に濡れた何かがぶつかり合う音とくぐもった嬌声が扉の奥から店内へと響いたが────────それを聞いた者は誰もいなかった
そういえば前にロキリスに店の紹介してたなって事を思い出し彼の動向の説明ついでにクズ描写出すかーで誕生したのがこの話&キュリナちゃん
ロキリスから言葉巧みに誘われ流され処女を奪われ、無事媚薬香炉セックスにハマり自分が引き継いでから初めての来客だった青年とセフレ(将来結婚)になったりしたけど、ロキリスから教わった通りに接客したら客足が増えてそれなりに繁盛したので本当に満足してるよ
次回ようやくミミック回