※この作品はR-18です。

FGO.心身疲労がエグいぐだ男の為の特異点発生を確認しました   作:蛇兎ガガガ

10 / 22
第九聖杯:旅行デート・海と花火と寸止め地獄の先で

――――――

立香side

――――――

 

 どういう原理か、聖杯の齎す奇跡か。春の東京から新幹線に乗って約5時間。辿り着いた先は、夏の福岡のとあるホテル前。

 熱く白い砂浜と、広大なマリンブルーの海。板張りの港にクルーザー。近くには観覧車も点在している。そんな絶景だらけの観光地。若い男女が2人、ホテル前の入口に立っていた。

 正確には1人が立った状態であり、もう1人は地に伏している。

 

「……マシュ、あの……」

「……」

「その……ほら、こんな場所だしさ。とりあえず……」

「……」

「……土下座はやめよう。色んな意味で、互いにダメージが大きいから、ね?」

「すいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませ――――――」

 

 新幹線での痴態に嫉妬心で思考が染まっていたというマシュ。目的地の駅に辿り着いた瞬間正気を取り戻すと、顔面蒼白。数秒前まで恋人ムーブで彼の腕に抱き着き恋人繋ぎを満喫していたのが嘘のように3歩後ろを歩き出し、そしてホテル入口で現在に至る。

 まぁ粘度の高い蜂蜜みたいな甘さだったから、少し空気が抜けた分良かったのかもしれないけれど……どちらかと言えばりんご飴が内側から弾けた感じ?

 

「恥の多い人生でした……」

「太宰治!? 良いからほら、他のお客さんに迷惑だから……」

「うぅぅ……己の未熟さが恨めしいです……サソリの火で私を燃やし尽くしてください……」

「(……銀河鉄道の夜?)ま、まぁ誰にもバレなかったんだし。結果的に俺も楽しんでた節があるからさ」

「せんぱい……」

「あーもう、怒ってないから」

「……お仕置き」

(あれ? まさか見せかけの反省で誘われている?)

 ぼそりと言った本音は聞かなかった事にして、熱いのでマシュを引き摺ってでもロビーに入っていく。

 

 

「ふぁぁ……浜辺、綺麗です……」

「でしょ?」

 数分後、受付でチェックインを済ませて、2人は案内された客室から海を見ていた。

 水平線の彼方まで広がる大海原。白い砂浜。マリンブルーの波際は透き通っていて、マシュの瞳に反射して輝いていた。

 その状態で室内も見回す。白一色に統一されたそこは、乳白色寄りの色合いで温かみがあり、ダークブラウンの木組みの天幕ベッドはキングサイズ。バルコニーにもゆったりと座れる椅子があり、高級感も漂わせていた。

 

 だがこのホテル、そこまで値段が張る訳ではなく、一般人でも無理なく泊れるのでとても人気なのである。

「海風が気持ち良いですね、先輩」

「うん……」

「ベッドも広くて……フカフカです!」

(子供みたいにはしゃぐなー……普段からは想像もつかないぐらいに)

 偶に覚醒して角笛を吹いたり独占欲を発揮したりするが、恋人という肩書を盾にあんな過激な行動に出るとは思わなかった。マシュは思考を止めると大胆になるというか。キャパを超える状況になると周囲の目を気にしなくなるというか。

 

 バフッとベッドに身を投げ出すと、ポンポンと自分の隣を手で叩く。誘われたらしい。

(……可愛いからなんでもいいか)

 自分もその横に身を投げ出し、マシュを抱き締めてみる。

「んっ……ふふっ」

「楽しい?」

「楽しいです。それに……」

「おっと?」

 後ろを向いていたマシュが、俺の腕の中でグルッと回転し、顔がこちらに向く。

 視線が直線距離でぶつかり、見つめ合う形になった。

「先輩の顔が、こんなに近いです」

「そうかな……そうだね……」

 

 暫くそのままマシュの瞳を見つめる。

「……やっぱり、マシュって凄い綺麗だと思うんだ」

「そ、そうでしょうか……? 私よりも綺麗な方はいっぱいいらっしゃいますよ? 玉藻の前さんとか、アルトリアさんとか、クレオパトラさんとか」

「どれもこれもレベルが高過ぎて判断つかないかな。そうじゃなくて……なんだろう、恋人フィルター? みたいなやつじゃないと思うんだけど。マシュの瞳って薄紫色でしょ? だからかな、陽の光が入ると、その髪みたいに、桜色がかかるんだ。それがとても……綺麗だ」

「……っあ、ありがとう、ございます……っ」

「うわ、我ながら恥ずかしいこと言った気がする」

「そんなことありません! 真っ直ぐなお言葉、心に染みました!」

 センスが無いから遠回しな言い方ができないだけ。フォローの塩が傷にパラパラと振りかけられる気分だ。

 

「「……」」

 そこで会話が止まって、俺はマシュの、マシュは俺の瞳を見つめ続ける。

 耳には遠く、波の音と夏の海風だけが囁いて。

 感情も何もかも消え失せて、ただ。時計の針が進むだけ。

 心地よく微睡んでいく意識に身を預けそうになるけれど、予定が……

「先輩」

 ふわりと、頭を撫でられる感触。細まっていく視界に、微笑むマシュが映る。

「少しだけ、休憩をしましょう。お休みなさい、先輩……」

「ま……しゅ……」

 今度は、俺が、彼女の腕の中に抱き締められる。

……トクン……トクン……

(……マシュの……鼓動……)

……トクン……トクン……

 静かに、俺の鼓動とリンクしていく感じがする。

 溶ける……溶ける……

「…………」

 

 

――――――

マシュside

――――――

 

 先輩が眠ったのを確認して、先輩が寝やすい様に体勢を膝枕に変えて、改めて部屋を見渡しながら先輩の頭を撫でる。

(本当に良い部屋です……先輩が、私とのデートの為に選んでくれたんですよね……)

 先輩はいつも色んなことに目を向けているから。色んな異聞体の人達や、英霊の皆さんに心を裂いてきた。だから誰か特定の1人の為にこんなに考えていることは余りない。悲しい出来事、怒りを覚える出来事があっても、それを糧にして進むだけの胆力を持っている。

 

 そんな先輩と恋人になれるということは、それだけ凄いことなのだと思うのだ。それと同時に、心を独占してしまえるというのは、とても傲慢なんじゃないかと思うのだ。

 定期報告のついでにカルデア内のパトロールに向かった際に出会った”あの人”に言われたことを思い出しながら、そんなことを考えてしまう。

 

「先輩……大好きです……」

 ”本物”の先輩がこの出来事を覚えているかどうかは分からない。多分、そんなことにはならない。何となくだがそう思う。

 だからこそではないが、先輩とのデートは、私の中の一生の思い出にしたい。私が先輩と恋人だった可能性が確かにあったのだから。その事実だけで十分過ぎる。

「私は……きっと、全てに立ち向かえる」

 あの血と硝煙の荒れ狂う戦場を、恐怖と勇気で歩いて行ける。先輩の盾として、彼の最優のデミ・サーヴァントとして。

 

 正午を回り、陽光が頂点に達して窓からの光が消える。

 室内を吹き抜ける海風は熱い真夏であっても涼し気で……

 

(後1時間……後1時間経ったら起こしましょう……)

 

 それまでは、まだこの寝顔を堪能していたい……

 

 

 

サァァァァ…………

 

「なんというか、夏なのに結構閑散としているんだな。まぁ場所は良いところ取れるから良いんだけどさ」

「近くで見ると更に綺麗ですね……」

「だね。よっと……よし、完成」

 きっちり1時間後に先輩を起こし、私達は午後の海に乗り出していた。

 浜辺にはそれなりに人が点在していたが、騒がしいというほどの数は居らず、どこでも自由に拠点を置ける状況だった。

 

 なので、広い砂浜でもど真ん中辺りにしようと先輩と私で借りたテントを立てたところである。

 2人で完成したテント内に荷物を置き、それぞれ水着に着替える事にする。因みに、水着は事前に準備を言い渡されていたので、この日の為に万全に整えていたのは言うまでもないだろう。

 

 まずは先輩が着替えに行き……あっと驚く。

「先輩……その体は……傷が消えて……?」

「うん、見た目見えないようになってるよね……」

「聖杯を使われたんですか?」

「いやいや、礼装だよ。何でか知らないけど、この水着履いたら消えたんだ。感触は残ってるからそのままなんだけどさ」

「……聖杯による修正力が働いているのでしょうか? 他の客に怪しまれないようにする為に」

 この世界は私の願いによって生み出された亜種小特異点だ。だから私の望んだ通りに力が働いているのかもしれない。つくづく、聖杯とは奇跡の魔法である。

「では、次は私が着替えて来ますね。先輩、是非、楽しみにして頂ければと思います! 今夏のマシュはハイパーです!」

「ハイパーかぁ……そいつは凄そうだ……」

 

 自分の着替えを持って、直ぐに着替え室へと駆け込んだ……

 

 

――――――

立香side

――――――

 

「ふぅ……少し寝たからか、結構頭がスッキリしたかな」

 肩を揺すられ、マシュの囁きと膝枕からの目覚めは最高だった。今日の予定の全てを忘れてそのまま寝ていたかったぐらいには最高。

 しかしそれでは俺が得するだけ。マシュと楽しむ為のデートなのだから、俺だけじゃ不公平である。

「よし、いくぞ」

カシュッ、カシュッ、カシュッ

ぷくっ、ぷくっ、ぷくぷくっ

 なのでこうして、マシュが着替えてくる間に浮き輪やビーチボールの空気入れをし始める。空気入れをひたすら足で押し込む。押せ、押せ。押すのは俺。

 

 というか楽しみが過ぎる。マシュの水着姿。ワンピースにリボンのも良かったし、常夏の水着Ver.2のマシュも可愛かった。特異点でもなければ、毎回疲れ果てるまで一緒に遊びたい。他の英霊も呼んで、皆でビーチバレーとかしたい。俺が死ぬけど。

(今年はどんなのかなぁ……下はパレオとか? またビキニとかかな? 俺そんなに詳しくないけど……)

 

「せんぱーい! お待たせしましたー!!」

(来たっ)

 後ろから元気よくこちらに向かって走って来るマシュの声。俺は至って冷静に、間違っても鼻の下を伸ばさないように顔面を引き締め、スパダリマスターの威厳を損なわないように振り向いた。

「お帰りマシュ」

「はいっ、マシュ・キリエライト。ただいま帰還しました」

「―――――――――」

(く…く……クロスしてるぅぅぅっっ!!!!)

 

 マシュの恰好は、俺の想像の遥か上を行っていた。

 上は首の部分からクロスした黒で、紫のフリルが付いたビキニで、横乳が丸見え。下はローライズ、だと思うけど、二本の帯が腰にそれぞれ引っかかっている。

 可愛いし、セクシーだし、それを着こなしているマシュのプロポ―ションの良さに脱帽である。

 

「先輩……凄い、見てます……」

「うっ……」

「どうで、しょうか……? 私には、大人過ぎましたか?」

(そんな急にしおらしくされたら糖分過多で死んじゃうよ俺……)

 

「いや、そんなことないよマシュ。すっごく可愛い……正直、他の人に見せるのが嫌だってぐらい……エロ可愛い」

「はぅっ……な、なら……良かったです、んぅっ……っ」

「っ? ど、どうしたの?」

「な、なんでもないです!」

 急にお尻を抑えるマシュ。どこかぶつけたのかな?

 いや、なんにしろ熱い。照れ熱い。太陽と合わさって死ぬ。駄目だ。空気入れ替えよう。

「よ、よし。それじゃあ遊ぼう!!」

「そ、その前に」

 空気を変えようとした俺に、マシュは液体の入ったガラスの瓶を差し出してきた。

「その……オイルを塗って頂いても?」

「――――――」

 

 

 

バシャッ! バシャッ! バシャッ! 

ズシャシャシャシャシャシャッッ!!!!

バシャァアアーーーーンッッ!!!

 

「ぷはぁっ! か、勝ったぁっ!! ギリギリぃっ!」

「はぁ、はぁ……流石です、先輩……」

 理性をギリギリ抑えてオイルを塗り、準備体操をした後、マシュが通常の自分がどの程度泳げるが知りたいと言い出したので、2人で浜辺を囲っている浮きの端から端まで。約1㎞を泳いだ結果、数秒差で何とか勝ちを拾えた。

 通常状態のマシュ相手にギリギリというところが情けない話だが、ただの人間の、それも知ろうとの泳ぎでこれなのだから褒めてほしいぐらいである。

 

 しかしマシュは悔しそうな顔はせず、可笑しそうに笑った。

「クスクス……先輩、子供みたいです」

「うっ……誰かに何かで勝てること滅多に無いから嬉しくてさ」

「なら、もう一回やりますか?」

「勘弁してください……体力が持たない……」

 正直後半足が鉛だったし……

 

 

 その後は、よくある海の遊び方。

「よっ!」

「ほっ」

「なんのっ」

「まだです!」

「よく取った、てぇい!」

「んっ、やっ!」

「チャンスッて、んぶがっ!?」

「先輩っ!?」

 ビーチボールでマシュの跳ねる姿を楽しんだり。

 

 

「マシュ、もう少し右……そうそう、そのまま……あ、ちょっと左に反れた。右にちょっと回転して、あ、行き過ぎた」

「す、砂浜に足が取られて中々……シミュレーターで練習もしたのですが、どうして……」

「もう少し……もう少し……そこっ!」

「はぁっ!!」

パッカーーーンッ!!!

「そんな綺麗に割れるの!?」

「沖田さんに教わりましたので!!」

 スイカ割りをしてスイカを近くの子供達に振舞ってみたり。

 

「これが海の家で食べる焼きそば、というものなんですね先輩」

「空腹は最高のスパイスって偉い人が言ってたからね。早速食べてみよう」

「はいっ! もし効果があったら、カルデアの食堂でも広めたいと思います」

「より空腹を求めよって言うの? 何人か怒りそうだね。まぁとにかく」

「「いただきます!!」」

 如何に空腹でも、焼きそばがべらぼうに美味くなる訳ではなかったのを2人で再確認してみたり。

 

 そして……まだまだ遊んで……遊んで……遊んで…………

 

 

「……」

「……」

 最後は水平線に落ちていく夕陽を見ていた。

 夕闇に溶けていく茜色の陽だまりが、今日の終わりを告げていく。

「こんなにも時間を忘れて、何も考えずに遊ぶなんて、初めてでした……」

「頭真っ白になるほど夢中だったね。俺も楽しかったよ」

「先輩の時代は、こうやって恋人は一日を終えるのがロマンティックなんですね」

「定番っぽいかな?」

「いえ、素敵です……」

 肩に彼女の頭が乗る。確かにロマンティックだ。背伸びしただけあって、ドキドキよりもマシュを満足させらえている充実感の方が強い。

 頭を撫でると、嬉しそうに更に体を寄せてくる。

 完全に夕陽が落ちて周囲が闇に飲まれてから……俺は立ち上がった。

 

「……けど、まだ終わるには早いかな」

「え?」

 片し終えたテントを持ち上げ、マシュの手を引く。

 

「花火大会を見よう。マシュ」

 

 

 

 

 

「あの……着てきました、先輩」

「……可愛い」

「―――っ……っ」

 部屋に戻って来てすぐに、俺は予約していた着付け屋にマシュを連れて行った。そして出て来たその姿に、頬の緩みが止まらなくなる。

 紫と黒のグラデーションで、あずき色の帯。牡丹柄の花が散りばめられ、頭にはアサガオの簪が飾られていた。ゆったりとした装い、黒い下駄も履いて愛らしくカコカコと音を鳴らしている。

 何より、日焼けをしているマシュの浴衣姿というのは、想像以上の破壊力があった。

「その、どうやって……?」

「前に地獄の旅館で着てたでしょ? 少し違うけど、基本の形は同じだったからさ。あれの通りにお願いしたんだ」

「なるほど……」

「とにかく、凄く似合ってるよ」

「前は履きませんでしたが、この下駄というのも、赴きがあって良いですね。少しばかり歩き難いのが難点ですが……」

「履きなれないとね。ほら、転ばないように」

「あ、はい」

 キュッと手を繋ぎ、微笑む着付け屋さんにお礼を行ってその場を後にする。着物そのものは俺が買ったものを預けていたので、このままお持ち帰りの予定。

 その足でホテルに戻り、花火会場になっている川の土手にやって来ていた。

 周囲には幾つもの屋台が出ており、シートを広げて買いに行く。

「わぁ……」

「手、離さないようにね」

「は、はい……」

 今一度強く恋人繋ぎを意識して、人混みの中を歩き出す。

 

「あ、射的……」

「やってみる?」

「はいっ」

 むんっと張り切るマシュと一緒に1プレイ。コルク弾を詰めて狙いを定めるは……よし、あのアポロンっぽいヌイグルミにしよう。

タタンッ!!

「「あっ」」

グラ……グラ……ストンッ

「大当たりぃぃ~~~っ!!! カップルさん一発で落とすなんてやるね~~っ!」

「同じの狙ってたのか……」

「みたいです……」

 おじさんのベルを鳴らす音が響く。隣のマシュと顔を合わせて、思わず笑ってしまった。ヌイグルミは無事マシュの腕の中に納まったのだった。

 

「タコ焼き、お好み焼きに串焼き唐揚げ、じゃがバターチョコバナナ……」

「あ、チョコバナナ。宜しいでしょうか?」

「もちろん宜しいよ」

「店主、一本ください……ありがとうございます。では早速……あむっ」

(……ん?)

 マシュはチョコバナナの食べ方が分からないらしく、試行錯誤し始める。

「チョコを舐めて溶かせば良いのでしょうか……? んむ……れろっ、んっ……あむっ、ぢゅるっ……んっ」

「ちょ……っ」

 まるでアレの舐め方で、下半身が反応してしまう。不味い……今日着いてからはずっと耐えて耐えて耐え続けていたのに。

「んぇ、むっ……ひぇんぱい……? ぁ……」

 マシュも俺の顔を見て気付いてしまった。自分がどれだけ卑猥な事をしていたのかを。

「あ、ご、ごめんなさい先輩。そんなつもりでは……な、なかったのですが。その……」

「俺こそ、ご、ごめん。そんな目で見るつもりはなかったんだけどさ……」

 バナナを傾けて横から食べようとするところとか、溶かそうと出し入れしながら舐めるところとか……煽情的過ぎて……

 

 途端に口数が少なくなり、周囲の目もあったのでシートまで戻ることにした。

 他にも色々買いたかったけれど、それどころじゃなかったから。

「ふぅ……」

「先輩……あの」

「なに?」

「……先輩のが」

「え、あっ!?」

 マシュの隣に座ってから気付く。短パンでもわかるほど大きなテントが張られていたことに。必死だったから気付いていなかった。

 それに、彼女の手が乗る。

「マシュッ!? こ、ここではちょっと……」

 ヒュンッ

 止めようとした瞬間、彼女の手の中で聖杯が一瞬で出現、消失した。当然使えば、俺の性欲は……

 

ドックンッ!! ビキビキビキィィ……ッッ❤❤❤

 

「うっぐぁっ……!!?」

「これで、周囲からは認識阻害で私達がただ座っているように見えるだけです。だから、問題ありません……」

「マシュ……っ」

ジジジ……ゴソゴソ……

ぐにゅっ❤

「あぁ……また、凄く硬くなって……❤」

(その姿で、そんな顔されたら……もうっ……)

 浴衣袖の中で弄られる俺の逸物。だが俺のをどう扱うか熟知しているマシュは、俺の悶える顔を見ながら巧みに扱き始める。

 

にゅこっ❤ にゅこっ❤ にゅるにゅるっ❤ ……にちゅっ❤ ……にちゅっ❤

 

(っ、わざと、緩慢な動きで……っ)

「今日一日、私は耐えられなかったのに……先輩はずっと耐えてくれていましたね。だから、凄く楽しいデートでした」

「でしたって……まだ、明日からだって……うっ、ぁっ」

「はい、そうですね……しかしこうも思うんです。予定通りというのも詰まらないのではないかって……聖杯を使い切るまではまだまだありますし。私達の生活はまだまだ続きます。なら、そう焦る必要も無いと思うんです」

 優しく微笑む彼女の顔は、まるで子供に言い聞かせる母親のようで。

 どうしてそんな顔できるのかってぐらい卑猥なことしているのに……

 

ぐちゅっ❤ にゅちにゅちにゅちっ❤❤ ……ズリュッ❤ ズリュッ❤

 

「またカウパーがこんなに出て……先輩の好意はとても嬉しいのですが、私としては……こちらで好意を伝えて頂くことも好きです。確かに体験したかったこと、やってみたかったこと、先輩と一緒にできるのは嬉しいですが……だからといって、こちらを疎かにはしたくありません」

「ふぅ……ふぅ……ふっうぅ……」

「もう下着はグチャグチャ……ですね……」

「マシュが、そんなことするから……っ」

「はい……マシュは悪い子です……こんな公衆の面前で、先輩を欲しいと思ってしまうのですから」

 それは嫌だと、心が叫ぶ。マシュの淫らな姿を、他の奴に見られるなんて。そのマシュを知るのは俺だけでいい。

 後ろ暗い独占欲が、聖杯によって増幅させられてしまう。

 

にぢゅっ❤ にぢゅっにぢゅっ❤ にゅっりっりっりっ❤❤❤

「はぐっ!?」

 亀頭を強く握られ、手の平の中で捏ね繰り回される。マシュの瞳が、至近距離で

「先輩、ホテルに帰りませんか?」

 周囲の喧騒が耳に入らなくなる。マシュの声だけが、脳に響く。

「花火を見終わったら、直ぐにホテルに帰りましょうね……先輩」

 また彼女の右手に、金の杯が出現する。

「マシュ、駄目だ、そんなの、ぉっ!!?」

 

「花火が終わってホテルに帰るまで、射精は禁止です」

ヒュンッ――――――

ミギミギミギィィイッッ!!!❤❤❤❤

「くあ”っ!! あ”ぁ”っ……っ!!!」

 

「っ❤ 分かりますか? 先輩の……更に肥大化してますね……❤❤ そして更に……」

「ま、ぁ”っ」

「ホテルの私達の部屋に帰るまで、私や周囲の女性を襲わないでください」

ヒュンッ――――――

「――――――――」

 

 

ヒュ~~~~……ドーンッ!!!

 

「あぁ……始まりました。凄い……大輪の華……」

にぢゅにぢゅにぢゅっ❤❤❤ ぐっちゅっ❤ ぐっちゅっ❤

ビクビクビクッ!❤❤ とろぉぉ……っっ!!❤❤ ビックンッ!❤

イけない。

 

「あんなにも大きな玉が打ち上がって……衝撃が体を打つのが堪らないです」

にゅごにゅごにゅごにゅごっ❤❤ ついぃぃ~~~~……❤❤

ガクガクガクッ!❤❤❤ みっぢぃっ!!❤❤ ピクッ❤ ピクッ❤

イけない。許して。

 

「綺麗なんて言葉では片付けられない……全てが輝いて……やはり、人の世界は素晴らしい、そう思わせてくれます。この感動は……」

にっぢにっぢにっぢにっぢっっ❤❤❤ グリュリュッ❤ ズリュッズリュッ❤

ビキュッ―――――――――…………ビクビクンッ!❤ ヒクヒクッ❤

イけない。イけない。イけない。射精したい。したいしたいしたい。

 

 

「ああ、凄い……フィナーレですね……華が次々に咲いては消えて……絵画を夜空に描いているよう……永遠に続いて欲しいと思うのに終わってしまう……けれど、この一瞬の景色を忘れることはありません。一生の思い出です」

ズリュッ!❤ ズリュッ!❤ ズリュッ!❤ ズリュッ!❤❤

ちゅこちゅこちゅこちゅこちゅこ―――――――――――❤❤❤❤❤

射精したい射精したい射精したい射精したい射精した―――――――――――

 

 

―――――――

マシュside

―――――――

 

「先輩。先輩? 花火、終わりましたよ?」

「ふぅ”~~~~~~~っっ!!! ふぅ”ぅ”~~~~~~っっ!!!!」

「……っ❤ っ❤」

 花火が終わるまでの1時間。その間、私の手コキで寸止めされ続けた先輩のおチンポは、もういつでも爆発直前。丁度、花火のように破裂したい衝動に狩られている筈だ。

 寸止め回数は数十回に及ぶ。その分の射精欲は溜め込まれ、もう先輩はまともな思考もできていないようだった。

 鈴口からはスライムのようにネバネバのカウパーが下半身をグチャグチャに濡らし、私の手も、先輩のチンポもローション要らず。

 枷を解けば、直ぐにでも近くの女性を強姦してしまう獣と化すことだろう。

 

「あぁ……先輩、こんなにも大粒の汗を流されて……凄く辛そうです。ホテルに帰りましょう。大丈夫、私が支えますから。ゆっくり歩いて、花火の余韻を楽しみながら行きましょうね……」

 そんな先輩に肩を貸して立たせ、私達は歩き出す。ホテルに帰らなければならない。

 

 

 

「ほらもうそこの扉ですよ先輩。もう少し……もう少しですから……」

「ま……しゅ……ふ、ぐぅ”っ! うぅぅ……っ!!!」

(ズボンに擦れるだけで寸止めされているんですね先輩❤ あぁ……私も、もう我慢できません……っ❤)

 先輩に”愛されたい(壊されたい)”欲が心の底からドロドロのヘドロのように溢れ始めている。先輩の独占欲に、性欲に、愛欲に、塗れてみたいと思ってしまう。先輩の暗い部分を、全て曝け出してぶつけて欲しいと願ってしまう。

 その為には、先輩の枷を全て外す必要がある。抑えていた部分を解放する必要がある。

 

 扉の前で、ドアノブを握る直前で、手が止まる。

「はや、ぐ……マシュ……はやくぅ……っ!」

「先輩」

 

 だからまだ足りない。私の願いに届かない。

 

「……は? ま、しゅ……?」

「先輩……私は願います。

 

私が泣いて謝っても、命乞いをしても、先輩が満足するまで犯すのを止めないでください。

 

先輩が私にしたいことを全部してください。私が拒否しても令呪で命令して無理矢理してください。

 

私が気絶しても失神しても叩き起こしてください。24時間365日、どんな状態であろうと先輩が犯したい時に犯してください。

 

そして10杯を残して、残り全ての聖杯を、先輩の令呪に変換します」

 

ヒュンッヒュンッヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンッッ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「――――――――――――!?!?!?!??」

 

ビッキュンッ!!!❤❤❤ ビッキュンッ!!!❤❤❤ ビッキュンッ!!!❤❤❤

バッキッ❤ バッキッ❤ ミッギッギギィィィ~~~~~ッッ!!!!❤❤❤❤

メキメキメキメキキキギギィィィィイッィイッッッ!!!!❤❤❤❤❤

 

 雄々しい所はより雄々しく。凶悪なところはより凶悪に。硬い部分はもっと硬く。

 確実に、絶対に、容赦なくメスを虐められる形に。それは成った。

 

 ただの一般人のメスでは絶対に耐えられない。

 英霊にしか耐えられない最優のオス。私だけのオス。

 

「先輩、お願いです」

 最後は聖杯を使わず、吐息混じりに先輩の耳に囁く。男を誘うサキュバスのように。

 

「いぃ~~~~っぱい…………マシュに、お・し・お・きっ❤ ……してください❤」

 

ガチャッ―――――――

 

夜が始まる……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。