FGO.心身疲労がエグいぐだ男の為の特異点発生を確認しました 作:蛇兎ガガガ
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立香side
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「ふぅ……」
春先の温度から、夏の湿度を感じ始めた頃。昔よく着ていた、一番キマっていると勝手に思っている私服を引っ張り出していた。
「デート……かぁ」
場所は駅前。聖杯を使って異空間を広げられると思ったのか、マシュは東京以外にも行きたいと言い出し、俺はそれを快く了承。待ち合わせをしようということで、即席はマシュは自分の住まいを作り、一時別れる事に。
そして今日、待ち合わせの時間1時間前に俺はこの場に来ていた。因みにマシュはこれまでの経過をダヴィンチちゃんに報告してくる予定で、その後に来る手筈になっている。
そして、朝からずっと、ドキドキが止まらない。
(あー……早く時間になれぇ~……っ)
緊張する。凄く、もの凄く緊張する。
これまで幾多の戦場に赴き命のやり取りをしてきたけれど、そのどれとも比類することができないほど緊張している。心臓がひたすら高鳴り続けている。
だって、人生で初めてのデートなのだから。
『先輩と、遠出デート……してみたいです』
などと言われて、浮かれない男など居ない。断じて。
なんだかんだ、現在俺とマシュは爛れた生活を送ってしまっているが、それはこの特異点の所為であり、マシュは俺のサポートをしてくれているに過ぎない。
こんな特殊な環境でなければ、きっと俺たちは最後の最後まで、互いの気持ちを。恋心を明かすことはしなかっただろう。例え、そうだとわかっていたとしても。口にはしなかったと思う……
その気持ちを確かめ合うフェーズがあったから、俺はマシュを求めることができた。だからマシュに言わせてしまった負い目の方が大きいのだ。
「後、30分……」
夢見ていた訳じゃなかった。否、色んな障害が有り過ぎて、想像できなかった、という表現が正しいかもしれない。
ただの一般人の俺が、マシュとデートをする。何のしがらみも無く、ただただカップルとして振舞える日常。そんな幸せがあるなんて在り得ない。俺にそんな幸せは”許されない“と勝手に思い込んでいた。
多分、今までで一番情けない俺を更新していると思うとやり切れない。マシュは、ここにきて俺をずっと引っ張ってくれているというのに。
「……15分前」
だから、今日は俺がリードしてみせるんだと張り切っていた。色んなデートプランを考え、マシュがどうしたら喜んでくれるだろうかとひたすら思いながら雑誌を捲った。
店の予約もしたし、デート先のスポットも丸暗記した。所長へのレポート提出の数百倍吟味したと思う。プレゼントだって……
「すぅ~~~……はぁ~~~……」
もうすぐ来る。ここは家から一駅離れた場所。だから、マシュもあの改札口からこっちに来る筈だ。よし、覚悟完了。今日の俺はマシュのスパダリだ。
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マシュside
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「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
(早く会いたい、早く、早くっ!)
電車を出た瞬間、体は羽のように軽く跳んでいた。ダヴィンチちゃんへの報告を負え、一目散に先輩の待つルームへ向かい、勝負服を着込んで教えて貰ったメイクもして。どうにかこうにかギリギリで着いた約束の場所。時間は5分前。
この改札を出れば、もう直ぐそこに先輩が待ってくれている。それを考えるだけで胸が苦しくなるほど高鳴っていた。
夢に何度見たか分からない。どれだけシミュレートして、どれだけ知識を溜め込んだのか数えきれない。先輩との、本当に二人きりのデート。誰にも見られない、男の子と女の子が、恋人同士がする自由を約束されたデート。
そこには痛みは無い。苦しみは無い。ただただ甘い、甘い時間だけが流れる。まるで蕩けたチョコレートの海に飛び込むかのような……いや、これは詩的過ぎる。スイート過ぎて恥ずかしい。
とにかく、私と先輩の、初めてのデートなのだ。粗相があってはいけない。作法は十二分に学んだのだ。それを発揮しない手はない。
「―――っ! ……ふぅ……」
改札出口に辿り着き、ようやく足を止めて息を整える。ほんの少し汗ばんだ肌を持ってきていたタオルで拭き取り、何度も見直した自分の顔を、もう一度手鏡で見直し、笑顔を作って確認した。よし完璧。今日の私は完璧だ。
『なら、マシュに俺のお勧めを紹介してもいいかな?』
私の我儘に笑顔で応えてくれた先輩を思い出し、頬が緩む。だらしない、駄目だ。完璧な恋人。完璧な彼女……先輩の彼女……
「………………はっ! いけませんっ、んっんっ」
落ち着いて改札を出て、ゆっくりとした足取りで角に立ち、少しだけ顔を出して、待ち合わせの場所を除いてみる。
「……」
(居た……)
黒いワイシャツに薄いアウターを合わせ袖を捲り、下はスッと伸びたグレーのボトムに革のブーツ。そしてワインレッドフレームの眼鏡を掛けていた。
(……………………)
普段は見られない、先輩の私服。時計をジッと見つめている。きっと、私がそろそろ来るだろうって、待ち合わせ時間を確認してくれている。
先輩はギャップが激しい。戦闘の際は凛々しく、それ以外ではとても温和な童顔で笑ってみせるから、皆その温度差で親しみ易い。それに英雄にとっては戦場は常在。肝が座れば座るほど頼りになる。先輩はそういう意味で”恐れない”人だ。
けど今の先輩は、その両方を兼ね備えているように見えた。少し背伸びしている感じも見受けられるが、それが私の為に選んだ服装なのだと思えば1億マシュポイントを進呈せざるを得ない。
(っと、いけない。早く合流しないと)
幾ら時間があると言えど有限なのだ。1秒だって無駄にできない。
最後にもう一度自分の姿を確認する。白い茶色のスプライトが入った袖無しワンピースに、上から薄い赤色のパーカージャケットを羽織り、下は少しだけ底の厚いスニーカーでフォーマルに決めた。派手にする必要は無い。自然に、自然に……
(よし、行くのですマシュ。今日は勝負の時!)
「せんぱ「ちょっといいかな?」……え?」
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NOside
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マシュが角を曲がって立香に合流しようとした瞬間、それを遮るように数人の男が出て来た。明らかに遊んでいる感のある容姿。焼いたのであろう小麦色の肌。戦闘向きではない作られた筋肉。全てが女を捕まえる為に用意されたものだと分かる。
作り笑顔で近付いて来た男達に、想い人へ声をかける瞬間を狙われ出鼻を挫かれたマシュは、咄嗟にそれに応えてしまう。
「な、なんでしょうか?」
「すいません、ちょっと道に迷ってて」
(すっげぇ上玉じゃん……っ、外人かと思ったら日本語通じるし。ラッキー♪)
「君詳しそうな顔してたからさ。良かったら案内してくれない? 直ぐそこの筈なんだけど、道が入り組んでるみたいでさぁ?」
(さっさと裏路地連れ込んで眠らせて、ラブホで一発してぇーわー。めっちゃ良い声♪ 鳴かせ甲斐ありそうだわぁ)
考えは下衆そのもの。他者を食い物にする原始的な生物である。
そしてそんな男達の舐めるような気持ち悪い視線を感じた少女は、スンッと感情を失くした顔になり、抑揚のない言葉で断った。
「あの、申し訳ありません。私、急いでいるので。そういった相談は駅のサービスカウンターをお勧めします。私もここは初めてなのでお力にはなれません。それでは」
律儀に一礼してその場を立ち去ろうとするが、二人の男は逃がさないように並走して歩いてくる。
「いやいや、そんな事言わないでくださいよ。なんなら一緒に探そう? お金あるからさ、お茶でもしながらゆっくりさ?」
「どうせパパ活待ちとかなんでしょ? 俺等が代わりに付き合ってあげるよ。おっさんよりマシでしょ?」
「はは、そりゃそうだ」
「ほら止まってよ。もしかしてパパ活好き系? 太パパ? 金持ってるならもっと楽しい場所にも案内してあげれるけど?」
(ぱぱかつ……? それは、どういう活動なのでしょうか?)
「お、止まった」
聞き慣れない単語を耳にしてしまい、思わず足が止まる。それをOKと受け取ったのか、少女の腰に手を回そうとして、
ガシッ
立香の手が、その腕を握り上げた。
「あ?何だおま『ミシミシミシミシ』――――いっでぇぇええっっ!?!? いだだだだだだあっっ!?!?」
「は、おい? 何が……っ!?」
「……」
掴まれた男の手首は骨の軋む音が聞こえるほどの力で握られ、血管は止まり、手は青く染まっていく。男の方が大柄だというのに、立香のその体からは想像もつかない、まるで万力のような力が働いていた。
「先輩……っ」
「つ、連れが居たのかよ。あいででででっ!!」
「俺の……俺の彼女に何か用ですか?」
努めて冷静に。笑顔を張り付けて威圧する。一切手加減無く握っているので男は青褪めて膝を突いた。
「―――っ!」
「わ、悪かったよ! 何もしない! もう行くから離して! ギブッ! ギブッ!」
「……? 先輩、どうしてこの方は何かを欲しがっているのでしょうか?」
「いや、そういうんじゃないから……どうぞ。行ってください」
手を離すと、べったりと手の跡が残った手首を見て顔まで青くなる男とその相棒は、目の前の得体のしれない青年の雰囲気に圧倒され、謝りながらその場を逃げ去った。
「はぁ……ビックリしたぁ」
大きく息を吐く。まさかのトラブル。
本当は彼女とのカップルのこてこて待ち合わせ構文を言い合いたかった。その男子の憧れは、モテる彼女のナンパを助ける、というアグレッシブ待ち合わせにグレードアップしてしまった。
流石に一般人と殴り合うのは気が引けたので喧嘩になったら少女をお姫様抱っこして逃げるつもりだったが、思いの他男達が”弱くて”助かった、というのが本音だった。
「先輩……ごめんなさい、私……」
「大丈夫マシュ? 別にマシュは悪くないよ。全く、いつの時代もあいいうナンパは無くならないもんだね。いや、お約束みたいな典型だったけれど」
「あぁ……ナンパだったのですね、今のは」
(しつこい道案内を頼んでくる二人、ぐらいにしか思ってなかったのかな?)
しかし、少女は、少しだけ不快気味に胸を隠すように自らを抱いた。
「確かに、その……嫌な視線を受けました。そういう手合いだったんですね。聖杯で作られた異空間。小特異点とはいえ、油断していました……」
「いや、俺こそこうなる前に声をかけられたら良かったんだけど……」
「そ、そんなことありません! それに、こうなったお陰で……かっこいい先輩を、見られましたから……」
「っ……」
ちょこんと小指を掴まれ、照れ顔で微笑まれてしまい、顔が沸騰しそうになる。
いつもなら守られる側で、守られてばかりで、男らしいことを何一つできていなかった。サーヴァントと人間は違う、それでも情けなさを感じてしまうのはしょうがない事。だから、今自分の力で助けられた事に、ほんの少しだけ救われた。
とりあえず一瞬で臨界点を突破しそうな鼓動を抑えて、改めて顔を向き合わせる。
「じゃあ……お待たせ、マシュ。デートに……出発しよう」
「はい、先輩!」
二人は手を重ねて歩き出した……
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マシュside
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先輩に連れられて歩き出した昼前。私達はまず東京駅に向かいそこから新幹線に乗っていた。切符は先輩が持っており、行先は秘密とのこと。
なので、道中は買っておいた駅弁という物に舌鼓を打ちながら窓から見える景色を楽しむ。勿論新幹線に乗るのも初めてなので、非常に緊張したが、思いの外揺れず安心している。
ガチガチになっていた私を、先輩がずっと手を握ってあやしてくれていたのもあるが。こんなスピードの出る乗り物に、大勢の一般客が乗る、という現実を受け入れるのも大変でした。魔術無しでここまでの事ができる科学に驚愕するばかりで……
「ほら、あれが富士山。久しぶりに見たなぁ……」
「……綺麗です。写真だと青く見えていましたが、実際には岩肌の色ですね。それに頂上に雪も積もっていません」
「青く見えたのは空の色を少なからず反射していたからかな? それに日本は季節ごとの寒暖差が大きいからね。寒くなり始めるとまた雪が積もって、マシュが見たみたいな富士山になると思うよ」
「なるほど……確か麓には大きな湖がありましたよね?」
「うん、北麓の方に五つ。えーと、本栖湖、精進湖、西湖、河口湖、山中湖があるよ。一番有名で観光客が多いのは河口湖かな? 確かフェリーがあって、湖の真ん中から富士山の全景を見られるんだ。多分だけど、マシュが見たやつもそこから撮られたんじゃないかな?」
「なんと! ……その」
「帰りに寄る?」
「はい、是非お願いします!」
遠出デートは日程を決めていない。ただ最初の数日は先輩のリードで行くことになっている。だからそれ以降は全部私の自由。もしくは二人で行きたい場所をその都度相談して決める事になっている。
先輩もそこまで国内を頻繁に旅行していた訳ではないので、そういう意味で新鮮さが2倍である。
「何度も日本の地には特異点として足を運んでいましたが、こうして現代の風景だけが広がり続けていると、全くの異世界に感じてしまいますね」
「うん、俺も思った。マシュとは違う意味だと思うけど、その……凄く楽だ」
「はい。カルデア程ではないにしろ、人の営みが清廉された生活空間や施設が揃っていると、昔との差が歴然でしょうから。あ、だからと言って、あの生活も素晴らしいものでしたので」
「あれはあれで楽しかったよね」
トイレを探す必要が無い。どこでも泊まれる。食べ物を狩らなくていい。いつでもシャワーを浴びれて、ベッドで寝られる。現代のこの国では何気ないことなのに、過去の経験から、それを“普通ではない”と認識しそうになってしまう。
こういうのもノスタルジーと呼ぶべきなのか。だが、そんなのは旅のスパイスだと考えれば、実は楽しむ要素にしかなっていなかったと思うのだ。
「わっ!」
「おっとっ」
そう耽っていると、通路を走っていたのであろう少女が、私達のところで躓いた。
それを先輩が優しく腕でキャッチすると、少女の体が干された布団のようになる。先輩の腕で足が浮いてしまっていた。
「大丈夫? 走ったら危ないよ?」
「……う、うん」
「ぁ……」
少女の顔が先輩の方に向くと、その表情、雰囲気と言うべきものが変わったと感じた。明らかに男性へと向ける顔付きで、頬を赤らめている。トロンとした瞳は、子供の顔を、少女に、女性に一瞬で各上げているような。
その一瞬の機微を感じ取り改めて見ると、少女は先輩の腕をいっぱに抱き締めながら「ありがとう……」と言って顔を綻ばせる。先輩に頭を撫でられると、まるで猫のように頭を自分から擦り付けて……っ。
「もう、何しているの? すいません家の子が……」
「……っ」
そこに母親らしき人物が現れるが、先輩が一瞬ギョッとする顔になる。そして私も。
その母親はなんというか、若々しい小麦色の肌で、胸元のばっくり開いたVネックの黒シャツを着ていた。それが頭を下げたことで谷間が強調され、通路で狭いので先輩の顔の目の前に差し出される形になったのだ。
先輩は何とか視線を反らし、少女から腕を引き抜きながら言う。
「あ、いえ。元気なお子さんですね」
「この子ったら、実家の近くにある遊園地が好きで。朝からずっとはしゃいでるんですよ」
「はは、そうなんですね。君、遊園地はどんなのが好きなの?」
「え? えーと……お、お化け屋敷!」
「お化け屋敷か。それはまた珍しい」
「こ、怖いけど楽しいから。お兄さんが一緒ならもっと楽しい……かも?」
「そう? 嬉しいな」
「またこの子ったら……すいません、夫が単身赴任な所為か寂しがり屋なんです。ほら、もう着くんだから行きましょうね? 向こうでお父さんに肩車、してもらうんでしょ?」
「あぁっ」
先輩の腕から引き剥がされて残念そうな少女は、頭を下げる母親と一緒に出口の方に向かって行ってしまった。先輩はこちらをずっと見続ける少女に対して笑顔で手を振っていた。
「ああいう親子も久し振りに見たなぁ……マシュ?」
「……ズルです」
「おっと?」
私はまだ、今日先輩と触れあっていないというのに。”私の先輩”に色目を使って、口説いて、女の子の気持ちを晒して。
ああ、先輩にいつも誘っているサーヴァントの方々の気持ちが、今なら明確に理解出来てしまいます。私は、今猛烈に……
「先輩」
「う、うん?」
「女の子、可愛かったですね。母親の人もお綺麗でした」
「そ……そうだ、ね? どうしたのマシュ? 目が、怖い……よ?」
「そんな事はありません。いつもの私ですよ、先輩」
「そ、ソウデスネ」
「……はっ」
……いけない、抑えなければ。先輩を萎縮させてしまっている。私は先輩の最優のデミ・サーヴァント。こんなことで狼狽えるなど有り得ない。大丈夫。クールであることが大事だとジル・ドレェさんも言っていた。
「申し訳ありません、ちょっと気持ちが昂りました。改めて旅行デート、たのしみ――――」
「お兄ちゃんっ!」
「えっ」
気持ちを無理矢理整理して笑顔を見せようとした瞬間、少女が戻って来た。先輩はやはり優しく迎えてしまう。
「さっき助けてくれたでしょ? お母さんがお礼を言っておきなさいって言ってたから。ありがとう!」
「あ、ああ。なるほど。どういたしまして」
「そうだ、ちょっと耳貸して?」
「こう?」
「あ、せんぱ―――」
「これお礼ね!」
――――ちゅっ
「い―――――――――――」
「なっ……」
「それじゃあね!!」
あっと言う間だった。少女が先輩の頬にキスをして走り去っていく。
頬の赤くなった先輩が照れた表情で私を見た。
「あ……あははは、最近の子ってあんなにマセてたっけ? 吃驚したねマシュ……マシュ?」
「……」
ヒュンッ
「何でいきなり聖杯出したの!?」
「先輩の腕を拘束し、私の声、音。体を先輩以外から認識阻害します」
ヒュン
「ちょ、あっ!?」
――――――
NOside
――――――
「マシュ、い、いきなりなんで……!?」
ここは新幹線の中。他にも多くの乗客が乗っている。俺達の席の隣にも談笑している会話が聞こえてくるほど近くだというのに。
「先輩、先輩の優しやその笑顔は、先輩にとっての美徳だと思います。しかし、それを見て嫉妬する人間がいる事実に目を向けるべきなのです」
「……」
まさか。まさか……
「い、今の女の子に……マシュが嫉妬したってこと?」
「……っ」
ガッ
「うおっ!? い、いきなり掴まないで、ぐっ!?」
カリカリッ❤ にゅぐにっ❤
「余り大きな声では控えましょう先輩。私は大丈夫ですが、先輩のは普通に聞こえてしまいますから。もしバレたら大変です」
ズボン越しの逸物を掴まれ、微動だにできなくなる。
そして少女は彼の耳に口を近付けて、静かな声で、脳が蕩けそうな程の甘ったるい色艶で囁いてくる。
「おっきぃ……ですね。聖杯を使った所為で、ガッチガチに硬いのが、大きなテントを張っていますよ先輩? 先程の、美人の子持ち奥さんの事を思い出しているんですか? 結構胸、大きかったですよね。私よりも大きくて、謝った時に谷間も見えてましたし。あそこに入れたらきっと気持ち良いですよ? どう思いますか?」
「そ、そんなこと……別に見てなんか、くっ!?」
ぐにぐにぐにっ❤ コシコシッ❤ カリッ❤ カリカリッ❤❤
「けれど、ここ、おチンポさんはピクピク反応してますよ? それに先程の女の子にあんな熱烈なキスされて……きっと一目惚れの初恋です。罪作りだと理解されてますか?」
「いやマシュが弄るから……それに、さっきの女の子に特別な感情なんて、うぁっ」
「ふぅぅ~~~っ❤」
「~~~~~っ!」
口ごたえをしようとする先輩の耳に、息を吹きかけて黙らせる。更におチンポは硬く、今にもはち切れんばかりだった。
「こんな密室の中、沢山の方が乗っているというのに、おチンポさんは今直ぐ精液を撒き散らしてスッキリしたがってますね先輩? こうなったら大変です。そこら中に居る女性の穴という穴を犯さないと治まらないかもしれませんね❤」
グリッ❤ にぢっ❤ にぢっ❤
人差し指で亀頭の中心、鈴口の部分をにじると、染みが広がる。切なそうなに溢れるそれを指から手の平まで広げて裏筋全体を撫でられる。
にゅりりぃぃ~~~~……❤❤❤
「く、あっ、うぅっ」
「こんな公共の場ですが、仕方ありません先輩❤ 不肖、このマシュ。先輩の精処理用デミ・サーヴァントとして、恋人として、先輩のおチンポさんをスッキリさせて頂きたいと思うのですが……」
「こんな所で出したら……」
「大丈夫です。先輩が目立ちさえしなければ誰にも分りません。安心してチンポ出して、グチュグチュされて白いのビュゥーーってしておしまい、です❤」
「……っ」
「先輩……どうされますか?
どちらにしろ、逃げられない。二人でスる分には素直になれるが、人前でヤる趣味は無いのだ。多少乱暴でも、感性はノーマル寄りなのだから。
それでも口は動いてしまう。駄目だと頭で拒否しても、誘われた言葉が脳を浸食し、オスとしての欲望を吐き出させてしまう。
「シテ……欲しい……っ」
「……はい❤」