鏡に映った顔をじっと見つめる。
その顔はとてもひどいものだった。
ろくに美容室にも行けず伸びっぱなしの黒髪、隠す事すら諦めたあまりにも深い目の隈、やや吊り上がった無愛想な両目は充血して真っ赤になっている。
唇に触れてみると今にも切れそうなくらいに乾燥している。今日はいつも使っているリップがどこかへ行ってしまった。これで3本目だ。
頬も同じで、指でつつくと乾燥した肌がいくつもの細かな皺を作り始めた。指を離せば元に戻るのはまだ救いがあるが。
目の前の惨状に目を瞑りたくなったか、あるいは単純に疲労か。気づけば手鏡を投げ出して机に突っ伏していた。
31歳、海軍中尉。
正直言ってキツい仕事だ。自分より一回り以上若い少女に軍規やら常識やらを叩き込む一方で、上には仔細を1から100まで書類で報告せねばならない。
さらに悪い事に私の勤務地は民間船舶の往来も活発だ。危険が少ない海域とはいえ、艦娘による哨戒は必須。
哨戒のスケジューリング、通過する船舶の登録確認、帰還した艦娘からの報告内容を確認して提出…どれだけ時間があっても足りない。
この道を選んだ時に多少の覚悟はしていた。
遠い親戚の遊び人…もといクソ野郎との縁談を蹴った時点で、代わりにどんな責め苦でも負ってやると意気込んだはずだった。
今や実家でただ寝転ぶだけの生活が恋しくなっている。
顔を横に向け、机に置いてあるタバコの箱に手を伸ばす。いつもの手つきで1本取り出し、ライターで火を付ける。
机に突っ伏したまま大きく吸い、深いため息と共に煙を吐く。灰皿に灰を落として…そこまでで力付きてしまった。
起き上がるのも面倒臭い。灰皿のタバコがジリジリと燃えるのを黙って見続ける。
ゆらゆらと煙が揺れるのを見る。煙は揺れている。思った以上に揺れている。
揺れているのは私の視界かもしれない。どうでもいい…
「熱っ!」
灰皿に置いたままの手に熱さを感じ、手を引っ込める。形を綺麗に残したまま1本のタバコが燃え尽きていた。
コーヒーの残ったマグカップを片手に、タバコの残骸を見る。
ゆっくりと止まることなく燃え続け、上げた煙はすぐエアコンの風にかき消される。残ったのは灰だけ。
誰かさんの人生のよう。まあ、実際指が焼けるのに気が付かなかったら灰の仲間入りだったのだが。
マグカップを傾ける。灰色の燃えカスが真っ黒な液体で塗りつぶされた。
「ふぅー…」
重い両手で自分の頬を叩く。ハリのないべちゃりとした音が響いた。
あまりにも思考が負の方向に渦巻くので、もう今日は何も考えず寝る事にする。
書類を無造作に机の錠付きの段に放り込み、鍵をかける。灰皿の中身をゴミ箱にぶちまけ、マグカップは給湯室の洗い物の山に突っ込んだ。
分厚いファイルを片手に廊下に出て、そのまま慣れた足付きで扉を蹴って閉め、また鍵をかける。
最後に残ったファイルは資料室から持ってきたものだった。忘れる前に戻しておかねばならない。
フラフラと暗いままの廊下を、資料室へと向かって歩き出した。
資料室へ向かう途中、ふとトイレに寄りたくなってきた。
執務室に併設されている自室のトイレはもう遠い…近くにある共用トイレで済ませればいい。
そう考えてトイレに向かったのだが、不意に足音がした。歩きではなく、走っているようだ。
こちらに向かってきている。すぐ先の曲がり角からだ。廊下は真っ暗で何も見えず、音でしか判断ができない。
こんな時間、こんな場所で騒がれても迷惑だ。注意しようと曲がり角から顔を出した。
瞬間、水色のなにかが見えた。水色、丸く、揺れて、かわいい…
そこで、記憶は途切れた。
次に目覚めた時はもう朝だった。窓から入ってくる朝日が目に染み入る。
目が痛いが、それよりも頭が痛い。内側からではなく、外側から圧迫されるような鈍痛。
痛みを堪え、ゆっくりと目を開ける。ぼやけた視界。目を擦り、目の前にある黒いものに目を凝らした。
…そこには昨日見た顔があった。自分自身の顔。黒髪、吊り目、ひどい隈、真っ赤な瞳。ああ、それと左の泣きぼくろ。
左?
私の泣きぼくろは右にある。鏡で見ているのであればそれは右に見えているはずで…
「提督、大丈夫?」
"私"の顔がそう喋っていた。私は喋っていないはずなのに。
目の前の顔は心配そうにこちらを覗き込んでいる。私は頭痛でしかめっ面をしているはずなのに。
わけがわからないまま、自分から声を出した。
「どういうこと?」
私の出したその声は、自分の声ではなかった。
"私"がどこかから手鏡を拾い、そのままこちらに鏡を向ける。
そこに居たのは私ではなかった。
鎮守府に所属する私の部下、サミュエル・B・ロバーツ。
「なんで?」
私の発声と、鏡に映る青髪の少女の唇は完全にリンクしていた。
「それで、あなたは誰?」
目の前に映る"私"に問いかける。
「えっと、わたし!サムだよ!サミュエル・B・ロバーツ!」
そう言って彼女はニコリと笑った。黒い隈に満面の笑み。ちょっと不気味だった。
「提督、昨日わたしとぶつかったの覚えてる?」
「昨日?」
そう、昨日…廊下の曲がり角で、何かを見て…
頭がズキズキと痛む。思わず頭に手をやったが、普段の感触とは違った。頭になにやら団子がある。
私は目の前の"私"から手鏡をひったくり、自分の頭に向ける。
そこに写っていたのはやはりサムの水色の髪だった。左右に一つずつ団子のある可愛らしい髪型。
今度は首元に鏡を向けた。血色がよく瑞々しい肌。細い首。
そこから下は鏡を使うまでもない。かけられていた布団を剥がし、首から下を見る。
よくある水玉模様のパジャマを着た私の体は、少女そのもののサイズだった。
手足も、背丈も、肩幅も。いつも見ていた景色とはまるで違う姿だ。
自分の手で顔をペタペタと触る。こちらも普段とは全く違う。艷やかでハリがあり、指に吸い付くかのようだ。
「提督?大丈夫?」
ずいと顔を近づけてきた"私"の頬を指でつつく。昨日つついた時の感触と全く同じ、カサついて潤いの少ない肌。
今度は自分の頬を指でつつくが、目の前にある"私"の頬とも、記憶にある昨日の自分の頬とも違う。
「本当に…サムなの?じゃあ、私がサム?」
「うん、そうみたい!」
目の前のものが受け入れられない。夢を見ているのではないか?見ているとしたらどこからが夢?
周りを見てみる。そこは鎮守府の医務室で、自分はベッドに寝かされていた。
私はパジャマ、"私"は昨日着ていた上下のスーツ。他には誰もいない。
必死におかしい所がないか目で探す。夢ならばおかしい部分が他にもあるはずだ。
椅子、ベッド、窓、棚、ドア、デスク、パソコン、天井、床。
おかしい所は何もない。私が把握している医務室と何一つ変わらなかった。
ただ一つ、自分達の姿が入れ替わっていること以外は。
現実を除々に把握していると、ドアが開いた。
「提督…?」
ドアから顔を覗かせたのはフレッチャーだった。サムと同じ部隊で、たまに秘書艦業務も手伝ってくれる、私の部下。
「目が覚めたのですね!?」
慌ただしく部屋に入ってきた彼女は、そのまま私の両肩を抱いて、こちらをジロジロと観察している。
「その前に確認したいのですが、本当に提督ですよね?お名前、伺ってもよろしいですか?」
「北山蛍子、階級は中尉。一応この基地の司令官よ。」
落ち着いて答える。
「はぁ、ご無事で何より…いえ失礼、ご無事ではないかと思いますが…」
「だから言ったでしょフレッチャー?本当に入れ替わったんだって!」
「ええ、本当に信じるしかなさそうね…」
フレッチャーは深刻そうな顔で考え込む。対照的に、"私"はどこか呑気に微笑んでいるように見えた。
フレッチャーはしばらく考え込んだ後、こちらを向いて話し始めた。
「提督。もうお気づきとは思いますが、提督とサムの体が入れ替わったようです。」
「昨日、サムが共用トイレに向かう途中、提督とお会いして…その時にぶつかってしまったようなんです。」
「私もその場を見たわけではないのですが、サムが共用トイレで自分の姿を見た時は提督の体になっていてー」
「不思議に思って元の道を辿ると、廊下で眠っている自分の体、つまり今の提督を発見したと。」
「わたくしはその時起きていて、というかわたくしがお部屋のトイレを使っていたのでサムが共用トイレに向かっていたのですがー」
「帰ってきたはずのサムは提督の体になっていて、提督が意識のないサムの体に入っていた。ということなんです。」
「ここまで、ご理解頂けましたか?」
「ええと、うん、多分…」
フレッチャーの淡々とした報告。いつも生真面目でやり手な彼女にそう言われると信じるしかない。
たとえそれが肉体の入れ替わりという荒唐無稽なものであったとしても。
現実を突きつけられ。様々な思考が巡る。
入れ替わったとしてどういう原理で?戻れるのか?そもそもお互いの怪我は大丈夫なのか?
これを大本営に報告するとしてどう報告する?向こうが信じるのか?
サムの派遣元、米海軍へも報告せねばならない。下手すれば外交問題に発展するのでは?
「ひとまず、私とサムの怪我の具合は?サムはピンピンしてるけど大丈夫なの?」
「うん!All Righー」
「サム?あなたもまだ精密検査は済んでないのだから安静にしていなければダメよ?」
「う、ごめんなさい…」
フレッチャーは"私"、もといサムを叱ると再びこちらを向いた。
「二人共、ぶつけた箇所は腫れていますが今の所皮膚の内出血だけで済んでいます。明石さんに頼んでレントゲンも取ってもらいましたが、骨折はありません。」
「明石が…待って、今この事は誰が知ってるの?」
「提督とサム以外、ですね?サムと同室のわたくしとジョンストン、工廠の明石さんのみです。」
「今何時?」
「マルハチサンマル。提督は体調不良ということで鎮守府の業務はわたくしとジョンストンで代行しています。」
箝口令を敷くのは簡単そうだ。秘書艦殿の的確な措置に胸を撫で下ろす。
それと同時に、別の心配も湧いて出てくる。
「これは…どこかに報告した?大本営とか。」
「まだどこにも。というか、ご報告のしようがなくて…」
「明石の方はどこかに報告するとかは言ってた?」
「いえ、明石さんも同じ状態です。それとなく類似の事象が無いか探ってくるとは仰っていましたが。」
「ということは明石もこの事象については全くの無知?」
「そうなります。」
もう一度考える。初動はフレッチャーのおかげで問題はない。ないが、解決方法が不明という根本的な問題が残っている。
医療行為で治せるものなのか?それともバケツでもぶっかければ治るのか?もう一度頭をぶつけるか?
まず出来るものからしていくしかない。
「ねえフレッチャー、解決方法なんだけどもう1回頭をー」
「駄目です。」
「え?」
「もう1回ぶつければ治るかも、ですよね?駄目です。」
きっぱりと、先回りで否定されてしまった。
「今回はたまたま打撲だけで済んでいますが、提督は人間です。艦娘と頭をぶつけるなんてリスクが高すぎます!」
「いや、私の方は遠慮しなくても…」
「提督がよくても!わたくし達が駄目です!」
「じゃあ高速修復材は?」
「明石さんに頼んでいつでも使えるようにしてあります。ただ、精密検査に影響が出るかもしれないので検査の後にして欲しい、と。」
「そう…ね。検査の準備は?」
「間もなく完了予定です。念の為、提督から先に受けていただきます。」
「ありがとう、フレッチャー。助かるわ。」
「いえ。元はと言えばわたくし達が原因なのです。本当に申し訳有りません。」
「…ごめんなさい。」
フレッチャーとサムが頭を下げる。
頭を下げる少女達に申し訳無さを感じ、慌ててフォローする。
「いいのよ。悪気が無かったのは伝わってきたし。あなた達を責める事なんてしないわ。」
フレッチャーとサム、そして自分自身にもそう言い聞かせる。
それでもやはり二人共責任は感じているのか、声を返すことはなく黙りこくる。
「ストレッチャー、持ってきますね。提督はそのまま横になっていてください。」
気まずさに耐えかねたのか、フレッチャーはそう言って部屋を出ていってしまった。
残されたサムが私の顔を覗き込んでくる。
「提督、ホントに大丈夫?痛くない?」
「大丈夫。ちょっと痛いけど、たんこぶが出来た時ぐらいの痛みしか無いわ。サムはどう?」
「わたしも…同じくらい。」
そう言うとサムはまた黙ってしまった。
「いつもの元気がないわね、サム。」
「えっ?」
「私が起きた時はいつも通りに元気いっぱいだったのに、急に静かになっちゃったじゃない?」
「うーん、それは…」
サムは眉をひそめる。くたびれた成人女性にはよく似合う表情だ。私もいつもこんな顔なのかも。
「えっと、最初は提督が起きて、ちゃんと無事だってわかって、嬉しかったんだけど…」
「フレッチャーと提督がちゃんとお仕事の話をしだして、ちょっと不安になってきたの。わたし、ずっとこのままだったら皆にも迷惑かけちゃうでしょ?」
うなだれたサムの頭に腕を伸ばし、頭を撫でる。
「入れ替わっちゃったのは私も驚いたけど…入れ替われるって事はもう一度入れ替わっちゃえばいいのよ。きっと大丈夫。」
「だから、いつも通り元気なサムで居てほしいな。」
今の自分の腕はとても小さい。その小さい手が、暗い顔をした成人女性の頭をくしゃくしゃと撫でている。
サムに元気になってもらいたいというのも本心だが、正直、今にも泣きそうな自分の顔をずっと見せられるのも辛い。
「うん、そう…そうだよね!きっと戻れる、よね?」
サムはニコリと笑う。私がこんな顔をしたのはいつ以来だったか。
「それにしても…」
もう一度自分の手を見つめ直す。とても、とても小さい。普段この腕に艤装が握られているとは信じられないほどに。
そのまま手で二の腕や太ももも触ってみる。やはり心配になるほど細い。
フレッチャーやジョンストンはこれほど細くはないのだが、ジョン・C・バトラー級の特徴なのだろうか?
「どうかしたの?どこか痛いの?」
「ん、サムの体ってやっぱり細いなって。」
肩、バスト、腹、いずれの部位もほんの僅かな脂肪が表面についているだけだ。
全体的に肌触りは柔らかいが、少し押し込むとすぐ骨の感触が浮かんでくる。
腰もまた小さい。パジャマの下にも起伏は一切なく…
一切?
もう一度腰の周りをパジャマの上から探る。あるはずの感触がない。
「サム…パンツはどうしたの?」
「え?いつも履いてないよ?」
「いつもって…え?本当に!?」
「うん、だって過ごしやすいし!」
上体を少し起こし、パジャマの下をめくる。そこには真っ更な少女の秘部が顕になっていた。
「ちょっと待って!いつもって本当にいつも!?出撃した時も!?」
「うん、そうだよ?」
目の前の無垢な少女は何が悪いのか全く理解していない顔だった。
この鎮守府での任務は民間船舶の護衛も含まれるわけで、その場合は船員達から彼女の姿が見えるわけで。
そして近海ならともかく遠洋であれば波が高いわけで。彼女のミニスカート程度であればいつでも捲れてしまうわけで…
「サム。私達が元に戻ったら…パンツを履くようにしなさい。」
「えー?なんで?」
「なんでも何もないです。とにかく履きなさい。いいわね?」
「はーい。」
「ま、今はいいわ。後でパンツ持ってきて頂戴。」
「わたし、パンツ持ってないよ?」
持って、ない?
履いてないし、持ってもいない??この子は裸族か何かなのか???
「一応聞くけど、フレッチャーとジョンストンは…」
「二人は履いてるよ?」
その言葉を聞いて安心する。アメリカ海軍の風紀は私が想像したような最悪の状況ではなかったようだ。
「じゃあ、二人にお願いしてパンツを貸してもらえる?」
「うん、わかった!」
元気よくサムが返事をすると同時に、コンコンとノックの音がする。フレッチャーが戻ってきたようだ。
「入っていいわ。」
「失礼します。提督、ストレッチャーを持ってきたのでー」
フレッチャーの声を遮り、サムの大声が響く。
「フレッチャー!提督がフレッチャーのパンツ欲しいって!」
医務室内の空気が一瞬で凍った。
フレッチャーは顔を真っ赤にして硬直しており、サムはいつものニコニコとした笑顔でフレッチャーを見つめていた。
「ちょ、ちょっと待って!これはサムが誤解しててー」
「はい。て、提督がお望みとあれば、わわ、わたくしのパンツぐらい…」
フレッチャーは涙声でそう言いながら、震える両手をスカートに伸ばし始める。
「ストップ!ストップ!違うの!私が欲しいのは替えのパンツ!自分で履くの!」
「はっはい!今すぐ脱ぎますから!」
頭の中まで沸騰しているフレッチャーは聞く耳を持たず、パンツをずりおろし始める。
言っても無駄だと判断し、止めようとベッドから降りた。はずだった。
踏み出した私の左足は、思っていたよりもずっと短かった。床があるべきはずの位置にはなにもない。
焦った私は左足を踏み外し、そのまま前に倒れ込む。右足でふんばろうとするが、こちらも踏み外した。
あれよあれよと前に倒れ続け、目の前のフレッチャーへと勝手に前進していく。
ぶつかる、と思った瞬間、私の頭を柔らかいものが受け止めた。
「て、提督…?」
すぐ上からフレッチャーの声が聞こえた。私の顔は、フレッチャーの豊満なバストに受け止められ、そのまま挟まれている。
この体は私が思っている以上に軽いらしく、自分の突進を食らったはずのフレッチャーは微動だにしていない。
体格の差か、あるいは胸部装甲の差か…
「わ、わた、わた、わた…」
フレッチャーは相変わらず錯乱状態のままだ。
「提督?フレッチャー?大丈夫?」
こちらを心配したサムが歩いてくる。なんだか嫌な予感がした。
『あっ』
私とサム、声に出たのは同時だった。
サムは自分自身の、思っていたより長い足を持て余した。自分の左足に自分の右足をひっかけ、こちらに倒れ込む。
私の小さな体で支えることなど当然できるわけもなく、倒れ込んだサムと一緒に押し倒されたフレッチャーに挟まれる。
成人女性の体重を感じながら、ああ…そういえばサムってこんな子だったなあ…と思い出す。
「姉さん?サム?何してんの?」
気がつけば、ドアの前にジョンストンが立っていた。私の部下で、フレッチャーの姉妹艦。
フリーズしたままのフレッチャーと、顔をぶつけて悶絶しているサムを見る。
「いや、まあ、ちょっとね…」
説明する気力も起きない。
「えっと…提督がフレッチャーのパンツが欲しいって言ってて…」
「はぁ!?」
数秒前の私の選択を後悔する。自分で説明するべきだった。
「あっ!ジョンのパンツでもいいって!」
「えっ…あなたそういう趣味だったの!?」
小さな手で、水色の頭を抱えた。先が思いやられる。
結局のところ、精密検査でも異常は見つからなかった。
医療方面での解決が望めないとなると、今日できるのはあと一つだけ…高速修復材による入渠。
とはいえ、これで解決するとは正直思えない。
艦娘同士ならまだ望みがあったかもしれないが、片方はただの人間だ。作用するはずがない。
しかしやるべき事はやっておかねばならない。今やこの体は借り物なのだから。
「はぁ…」
虚しいため息が浴場に響く。
今、私はサムの体のまま入渠している。湯の色は高速修復材の濃い緑に染まっており、一人サイズの湯船に沈む自分の体も見えない。
手桶で緑色の湯を掬い、頭にかけてみる。ただお湯が頭を流れる感覚があるだけで、何かが起きた様子もない。
サムとぶつけた部分を触ると、まだじわりと痛む。高速修復材は効いていないようだ。
明日からはどうなるのだろう。私はまだデスクワークだから大した影響はないが、サムは違う。
この小規模な鎮守府における貴重な戦力の一人を、哨戒のスケジュールから外すことになる。
ただでさえキツいスケジュールなのに、サムの穴をどうにかして埋めなければならない。
しかしいつまでもサムを外したままであれば報告を受けた大本営が不審に思うはずだ。
その前に正直に報告すべきか?艦娘と精神が入れ替わりました、とバカ正直に?
そうすれば、少なくともこの鎮守府を守る事はできる。だけど、サムはどうなる?
サムが入っているのは私の肉体。30を超えた生き遅れの体。若々しい艦娘達の肉体に比べれば枯木と言っても過言ではない。
そして体が人間である以上、前線から遠ざけられ、人としての生活を過ごすことになる。
サムは幼くは見えるが、自分の使命に誇りを持っているし同僚との絆も深い。一人だけ後方に下げられるのは望まないだろう。
そもそも、人間として扱ってくれるかすらはっきりとはわからない。
艦娘の精神と人間の肉体を持った存在。間違いなく唯一無二。
人体実験…は流石に行き過ぎた妄想かもしれないが、ありえないとは断言できない。
「はぁ~~~~~何も考えたくない…」
情けない独り言を吐き出し、天井を見つめた。
立ち上る湯気を力なく眺めていると、更衣室の方から物音がする。
この姿のまま誰かと会うのは不味いので、入渠する艦があればフレッチャーかジョンが呼びにくる手筈だ。
おそらく誰か来るのだろう、そう思い天井に目を戻すと更衣室の扉が開いた。
「あっ提督!湯加減どう?」
全裸のサムがそこにいた。前も隠さず、手ぬぐいを頭に乗せたままこちらに向かってくる。
「ちょ、ちょっとサム!なんであなたがここにいるの!?というか前隠しなさい!」
「え?でもこの体、提督のなんだから提督が見たって問題ないでしょ?」
きょとんとした顔でサムが答える。
いや、確かにそうなのだけれど。問題は裸を見られることではない。
むしろ私が私の肉体を客観的に見てしまうことが問題なのだ。
私は普段、艦娘達の体を見ている。だからこそ、自分の体がコンプレックスだった。
半端に背の高い可愛げのない体、タワシのような濃い陰毛、ちょっと弛んできた腹の肉、ハリを失ってきた胸。
鏡では見ていたが、やはりこうして他人の目から見た時の光景を突きつけられると実感してしまう。
そんな私の冷めた目をよそに、サムは洗い場のシャワーで体を洗い始めていた。
「…それで、なんであなたがここにいるの?私はいつも自室のお風呂に入ってるから、誰かに見られたら怪しまれるわよ?」
「高速修復材試すんでしょ?だったらわたしも入らないと!」
それは…確かにそうかもしれない。私だけ入るより、両方同時に入った方がまだ可能性がある。
「じゃ、早く体洗いなさい。」
「うん!」
そんなわけで、私は今サムと一緒に高速修復材入りのお風呂に入っている。
…なぜか、サムに後ろから抱きかかえられながら。
「なんでこうなってるの?」
「え?こうした方が入りやすくない?」
「確かにそうだけど…」
浴槽のサイズは1人分だが、女性と子供1人ずつであれば余裕はあった。
ただ体を折り曲げねばならなかったので、じゃあこうすればいいよ!とサムに急に抱きかかえられ、そのまま入り直したのだ。
硬い湯舟とは違う、生々しい肉体が背中にある。"私"の肉体はすっぽりと私自身を包んでいる。
当のサムはニコニコしながら私を見下ろしていた。
「お風呂、好きなの?」
「うん、好き!でも今日は…提督と一緒だからもっと好き!」
「私と?」
意外な答えだった。たしかにサムには懐かれていたが。
「だってー。前は提督に一緒にお風呂入ろうって言っても断られたし。」
「そんな事あったかしら?」
「あったよ?でも提督、いつも忙しいからって断ってたじゃない。」
そういえば、そんな事もあったかもしれない。言われて思い出す。
「でも、お風呂ならフレッチャー達といつも一緒じゃないの?」
「フレッチャー達とは別!一回、提督と入ってみたかったの。」
「どうして?」
「だって、提督の体綺麗じゃない?もっと見たいもん!」
「私の…体が?」
サムの手をほどいて振り向く。鏡で見るいつもの自分の体がそこにあった。
「わたし達が小さいのもあるけどさー、提督って背が高くてスラっとしてるし、綺麗な黒髪でしょ?美人さんだよ!」
「そんなの…ただ歳を取っただけよ。」
「うーん、でも艦娘ってほとんど成長しないし、わたしから見るとかっこいい大人の女性!って感じがして羨ましいなー。」
今まで考えもしなかった。確かに…この子達はほとんどが10代程度の肉体年齢しかない。
駆逐に到ってはよくて10代前半がせいぜい。成人の肉体にはまだ追いつかない年頃だ。
子供が大人に憧れるように、この子達も私のような成人に無意識の憧れがあるのかもしれない。
一方で私は、彼女達の若さを羨んでいた。自分の年齢を、人生を卑下していた。
「それに…多分だけどフレッチャーよりおっぱい大きいし!」
そう言いながら、サムは自身の胸を揉みしだく。
「うーん、うん。フレッチャーのも揉んだ事あるけど、やっぱり大きいよこれ!」
目の前で、かつての私が神妙な顔つきで自身の体をまさぐっている。
「ぷっ…ふっ、はははははははははは!」
あまりの荒唐無稽さに、思わず笑いが出てしまった。
「提督?どうしたの?」
「いや、ごめんなさい。私ってほんとくだらないことで悩んでたんだなって。」
「何か悩みがあったの?」
小さな手をサムの頬にあて、ゆっくりと撫でる。
「サムのおかげで解決したわ。ありがとう。」
「そう?どういたしまして!」
再び彼女は満面の笑みを見せた。幸せであることがダイレクトに伝わってくる、いい笑顔。
サムのおかげで、ほんの少し自分が好きになれたかもしれない。
緊張が緩んだ瞬間、体がふらついた。医務室の時のように足を踏み外したわけではない。
そのまま力なくサムに倒れかかる。
「大丈夫?」
頭がぼうっとしていて体の先々の感覚が鈍い。手足に力が入らず、頭はまるで石のように重い。
口のあたりが濡れる感触がして、手で拭うと血が出ていた。鼻血だ。
「ごめん、湯あたりしたかも…」
長風呂は嫌いではなかったが、サムの肉体の小ささを見誤っていた。
これだけ体格に差があれば熱が周る時間もより早いのだろう。
「体は元に戻らなかったし、上がったほうがよさそう…」
「じゃ、わたしが運んであげる!」
サムが自分を抱えながら湯船を出る。いつも勇ましく頼りになる子ではあったが、体が変わってもそれは変わらないらしい。
安心してサムに体を預けた。
「提督、コーヒーのおかわり、いる?」
「いえ、いいわ。自分でやる。」
「じゃあ、サンドイッチのお代わりは?」
「いいの。この体だとあれだけで足りたわ。」
「えーと、じゃあ…」
サムは自分の体に似合わない、鯨のプリントされた可愛らしいエプロンを着て執務室の中をウロウロしている。
私とサムが入れ替わって3日目。時刻は13時を過ぎたあたり。
結局のところ元に戻る方法は見つからなかった。今は明石の調査待ち。それまでは日常の業務をこなすしかない。
いつまでもフレッチャー達に頼るわけにもいかず、いつも通り自分が艦隊運営を行い、サムは休暇を取るという形になった。
昨日と一昨日は自分が感染症にかかって体調を崩しダウン、今日の時点で回復はしたものの、当面は感染のおそれがあるため、
フレッチャーとジョンストン以外は執務室への入室を禁ずる…というのが表向きの発表だ。大本営にもこれで通す。
万一誰かに見つかってもごまかせるように、お互いに普段着ている服装と髪型で過ごしている。サムはどこからかエプロンを持ってきたようだが。
唯一、何もやることのないサムが暇を持て余し、こうやって自分の世話を焼こうとしている。
ただ…今のサムにできることはほとんどなかった。元気がありすぎてちょっと空回りしてしまう気は元からあったがー
体が入れ替わってからというもの、元の体のサイズとのギャップのせいか、あちこちに体をぶつけ、転び、カップと皿を割っている。
「もういいわ。私は一人でも大丈夫だから。」
「う~ん、じゃあわたし、何をしてればいいの?」
サムに聞かれて、考えてみる。
艦隊運営の手伝い。ムリ。サムにそんな経験は無いので任せられない。
出撃…多分ムリ。艤装が反応するかもわからないし、艤装のテストに明石の手が割かれる以上負担の方が大きい。
鎮守府内での雑用。ムリ。私の体で執務室の外を歩き回られれば他の子にバレる。
身の回りの世話。不要。これ以上カップを割られるとコーヒーも飲めなくなる。
「うーん…何もないわね。」
それを聞いたサムは、見るからに残念そうな顔をする。
「そっか…ごめんなさい。何も出来なくて。Sorry.」
「いいのよ。気持ちだけで嬉しいから。」
それでもまだ何かやりたいという気持ちが収まらないのか、両足をモジモジと動かしている。
「私の事を考えてくれるなら、自室で休んでて頂戴。その体、働き詰めですっかり疲れてるから。」
「提督の部屋で?」
「ええ。暇ならあなたの私物をフレッチャーに持ってきてもらう?」
「ん、そうします。Thanks!」
慣れない足取りで、併設した自室へ入っていく。執務室との直通の扉だ。
机の上の資料に目を戻し、書類の文字を眺めながら、ペンを手に取りくるりと回す。が、ペンは手からするりと抜け落ちた。
体の入れ替わりで支障が出ているのはサムだけではない。私も同じだった。
まず、ペンが大きい。大きいというよりは手が小さい。必然的に元の体とは違う持ち方になるので、筆跡や筆圧が普段と異なってくる。
ペンだけではなく、キーボードも同じ状態だ。いつもの感覚でタイプすると意味不明な文字列が打ち込まれる。
棚の資料を出し入れする時は背が足りないし、椅子から立とうとすると逐一ふらつく。
そういった細かな障害や手間が、ただでさえ厳しい業務を圧迫させ、フラストレーションを貯めていった。
サムを部屋に引っ込ませたのは、私がそうやってストレスを貯めていく様を見せたくなかったというのもある。
とはいえ、これはもう慣れる以外に方法はない。ただでさえサムが抜けて人手が居ない以上、自分の管轄で業務を滞らせるわけにはいないのだ。
そんな事を考えながら、おもむろに机の上に置いたタバコへと手を伸ばしていた。
「あっ…」
これで何度目だろうか。提督になってからというもの、タバコはすっかり慣習と化してしまっていた。
イライラした時に吸う。眠気覚ましに吸う。休憩の代わりに吸う。口が寂しいので吸う。寒いから吸う。
なにかにつけてタバコばかり吸っていたせいか、この体でも自然と指が動いてしまう。
ただ、この体はあくまでサムのものだし、肉体年齢的にも吸うのはあまり健全とは言えないだろう。
私はタバコの箱を取ると、そのまま引き出しに強引に突っ込み、勢いよく閉めた。タバコの代わりにコーヒーで紛らわすことにする。
17時。おかしい。何かがおかしい。
仕事は遅々として進んでいない。ペンでもキーボードでも誤字脱字が頻発し、書類の内容も目に入ってこない。
それなのに、私は全くストレスを感じていない。むしろ高揚しているような気がする。
眠気覚ましが足りないのかと、再びコーヒーを淹れに行く。椅子から降りた瞬間、足元がふらついて危うく倒れる所だった。
ぬるめのコーヒーを淹れ、その場でマグカップの中身を飲み干す。もう1杯注ぎ、机へと戻った。
…私はどの書類を見ていたんだっけ?
完全に忘れてしまった。仕方がないのでまたコーヒーを口に含む。
頭は相変わらず霧がかかったように考えはまとまらず、なぜか心臓だけがバクバクと動いている。
またコーヒーを口に含む。マグカップの中の漆黒の液体を覗くと、そこには水色の髪をした、可愛らしい少女の顔が映っていた。
少女の顔は左右にゆらゆらと揺れている。コーヒーが揺れているのではなく、自分自身が揺れている。
まるで酔っぱらいのように。
…酔っぱらい?
答えを見つけた気がする。頭の中が徐々にクリアになってくる。
今日、コーヒーを何杯飲んだ?普段何杯飲んでいる?
思い出せないが、かなり飲んだということだけは覚えている。タバコの代わりにもしていたのだから。
小さな子供の体、コーヒー、酩酊、それで繋がった。この体はカフェイン酔いを起こしている。
アルコールほどではないが、カフェインにも酩酊作用がある。アメリカ人はカフェイン酔いをしやすいというのをどこかで聞いた。
それが本当かは知らないが、少なくとも大人より子供の方が酔いやすいのは間違いない。私はその実例の1つというわけだ。
「ふふふっ…」
口が勝手に笑い出す。当たり前だ。ただでさえ体のギャップに悩んでいた所に、酩酊した状態で仕事が進むはずがない。
「あ~~~バカバカしい!」
マグカップを置き、書類を投げ捨て、全体重を椅子の背もたれに乗せる。
いつもはギイギイと悲鳴を上げる椅子も、今日は少し鳴いただけに留まった。
もう今日の仕事はやめだ。こんなので進むはずがない。
椅子の背もたれを後ろに倒し、足を机の上に投げ出して寝転ぶ。
普段、こんなはしたない格好はしないがもうどうでもいい。この高揚感が為せる技といったところだ。
机に足を投げ出しただらしない格好でうとうとしていると、エアコンの送風が下半身をくすぐった。眠気が吹き飛ぶ。
眠気が吹き飛ぶのには理由があった。それは、このスカートの中。
スカートの前面をつかみ、めくる。そこにあったのは、幼い少女の割れ目。
サムは普段からパンツを履いておらず、持ってもいない…なので、私が履くものすらなかった。
当然、どこかから調達しなければならなかった。しかしこの鎮守府においてはまさにそれが問題だった。
全国の海路を哨戒で網羅するためにはどうしても基地を点在させる必要がある。
そんな理由で、民間人すら住んでいない離島や、人っ子一人いない避難区域内に作られた鎮守府はいくつもある。ここはその1つ。
備品として下着の申請はしたものの、緊急を要するような荷物でもなく、配送は後回し。早くても次の定期便が来る一週間後と言われてしまった。
最終手段としてフレッチャーとジョンストンに借りることが出来ないか頼んでみたのだが…
『いや、ない。他人にパンツ貸すわけないじゃん。しかも上官によ?』とはジョンの言葉。
『そ、そうですよね…普通に考えればパンツの貸し借りなんてありませんよね…』とはフレッチャーの言葉。
パンツを履くのはサムの体とはいえ、中身は自分。確かに、思春期真っ盛りの彼女たちからすればお断りだろう。
私が逆の立場に置かれたとして、急にパンツを貸せなどと言われれば困惑もする。
そのような深い理由があり、自分はノーパンだった。
割れ目に小さい手が伸びていく。再び思考に霧がかかり、心臓の鼓動が早くなる。
そういえば、最近シていない。いつもより仕事が溜まっていたからだ。
自分の手が、少女の足の付け根にまで到達する。
ダメじゃないか?タバコがダメなんだから、これもダメだと思う。
ゆっくりと、指をスライドさせる。指で小さな割れ目を感じ取った。
いや違う。サムも私の体で好きにしているのだから、私も好きにしていいはずだ。
指を手前に引き、クリトリスを探す。割れ目とは異なる小さな小さなヒダにぶつかった。
中指を割れ目にぴたりと密着させ、前後させる。
下半身にじわりと温かい感覚が広がった。酔いのせいではない。
初めて自慰をした時の事を思い出す。確か中学生の頃で、同じように指で擦り付ける事から始めていたっけ。
するすると乾いた手で擦り続ける。まだ快感と呼べるだけの反応はない。ただ、体が熱を帯び始めている。
書類が崩れるのにも構わず、足を広げた。息が荒くなっていくのを感じる。
普段、こんな所ではしない。するはずがない。でも今は執務室から出ることは出来ないし、自室にはサムがいる。
そう、これは仕方のないこと。そう言い聞かせながら、指を擦り続ける。
中指の先に、滴がつくのを感じる。指を割れ目に押し付けると、中の蜜が溢れ出た。
サムのような小さい子でも、その気になれば出るらしい。そのまま蜜を指に絡め取り、割れ目を擦り続ける。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ。」
思わず声が出てしまう。この体は次第に女としての快感に目覚めつつあった。
割れ目は熱を帯び、クリトリスを包む包皮が硬さを主張し始めている。
指で割れ目をなぞると共に、左右からクリトリスを包皮ごと撫でる。
物足りなくて、指を2本に増やした。クリトリスを指で挟み、扱き上げる。
このまま、指を折って中までめちゃくちゃにしたい。でも、それは駄目だ。最後の一線だけは守る。
元の体でしていた時はもっと激しかった。でも、今の体ではこれだけでも気が狂いそうになるほどに気持ちいい。
子供の体が敏感なのか、自分の体が慣れてしまったのか。それとも、サムが敏感なだけか。
溢れ出た蜜がアナルにまで滴るのを感じる。水音は部屋に響くほど大きくなっていた。
指を折り曲げ、中へ…挿れるのをこらえ、代わりにその爪をクリトリスに立てた。
乱暴に爪の先で擦り始めるが、潤沢に溢れた蜜がその暴力的な摩擦を快感へと変える。
「イっ…!」
絶頂の瞬間、我に返った。机の上に散らかる書類、パソコン、キーボート、マグカップ、その他諸々。
机にかけていた足で、思い切り机を蹴る。同時に上体を起こし、両手で秘部を抑える。
「~~~~~~~っ!!!!!」
両手が濡れる感覚がした。
「ふぅっ!ふぅ、はぁ…」
両手を見ると、ひどい有様だった。吹いた潮を全て受け入れることは出来なかったようで、椅子も濡れている。
机を床を確認したがそちらは無事だった。ひとまずなんとかなりそうな被害範囲ではある。
「私、なにやってんだろ…」
そう呟いた瞬間、自室の扉が開いた。
「提督…?」
「な、なに!?」
急いで椅子に座り直し、スカートを元の位置に戻す。
見られただろうか?それとも聞かれた?机を蹴ったのもまずかった?
サムの顔はほんのりと紅潮し、息も少し荒い。やはり今のが見られていたのだろうか?
「提督、わたしの体…おかしいの。」
「えっ?」
「部屋で見つけた本、何冊か読んでみたの。そしたら、なんだかお股が痒くなって…」
とりあえず、自分の行為は見られていなかったらしい。
しかし、別の不安がよぎり始める。本?
「本って、何の本?」
「えっと、小説…かな?本棚の、戦史とかが置いてある所にあったの。」
小説、戦史の横、それは…私的な本の置き場所だった。俗にいう、オカズ。
「ラブロマンスだと思って読んでたんだけど、その、エッチな事も書かれてて。」
「読むのはやめたんだけど、ずっとお股が痒くて、なんか、透明なおしっこみたいのでパンツも濡れちゃって…」
「わたし、いつもの体だとそんなの全然起きなかったから、わからなくて…」
サムの目には涙が浮かんでいた。
私は…最近、シていなかった。サムの体で解消したとして、元の自分の体で解消したわけではない。
熟れた体に貯まり続ける性欲。ここで適当にはぐらかしても解決はしないだろう。
最悪、フレッチャー達に相談されたらどうなる?問題は解決するかもしれないが、私との関係が非常に、非常に気まずいものになるのは裂けられない。
「私が…」
そう。
「私が、教えるから…」
そうだ。
「部屋にいらっしゃい。」
そうして、覚悟を決める。
サムは自室に入るとぐずり始めた。自分の中にあるわけのわからない欲求がよほど不安らしい。
「ごめんね、提督、変な事言って。」
「構わないわ。」
自分は来客用の椅子を出し、サムと対面して座る。
「それでね。サム。その…」
「性教育は、どこまで受けてるの?」
「せい、きょーいく?」
目の前の成人女性の肉体は、涙目のまま首を傾げた。
「えっと…赤ちゃんがどこから来るかは知ってる?」
「コウノトリさんが運んでくるって、フレッチャーが言ってた。」
あの子か。いや、そんな気はしていた。彼女はしっかり者ではあるがサムには割と甘い。性教育がまだ早いと考えているのだろう。
「それは、違うの。赤ちゃんは…お母さんのお腹の中から産まれるのはわかるわね?」
「うん。」
「赤ちゃんは…コウノトリが運んでくるんじゃなくて、お母さんのお腹の中でつくられるの。」
「どうやってお腹の中にできるの?」
この子は本当に何も知らないらしい。言葉を選びながら、出来るだけ穏便に教育しなければ。
「お母さんの女性器に…お父さんの男性器を挿れるの。」
「女性器って、ここ?」
サムは自分の股を抑える。
「そうよ。そこは穴になっているでしょう?そこに、男の人の男性器を淹れるの。」
「男性器って、Dickのこと?」
サムの口からDickという単語が出てくるとドキっとする。
「え、ええ、そうね。」
「…入るの?」
「そう、入れると…赤ちゃんが出来るの。入りやすくするために、女性器からは液体が出てくるの。」
「液体?」
「今、サムのお股から出ているものよ。」
「勝手に出てくるものなの?」
「なんというか…エッチな気分になると、勝手に出てきちゃうものなの。サムはあの本を読んだのよね?」
「うん。」
そう言うと、サムは件の本をテーブルの上に置いた。
書店のカバーをかけたままの、外見からは何の本であるかわからない、官能小説。
漫画やAVでもよかったのだが、あまり目立ちすぎるようなものは持ち込みにくかった。例えプライベートな空間でも。
「そういえば、なんでこの本を読み始めたの?」
「わたし、何も出来ないから。本を読んで勉強すれば提督のお仕事を手伝えるかなって。」
あまりにも、あまりにも健気な答えだった。
サムの性格からして悪気のある行為ではないことは確信していた。しかし、それにしても、だ。
これから自分がすることへの罪悪感で胸がいっぱいになる。
「それで、私は…その…エッチな気分になりたい時に、これを見てるの。」
「提督、子供作るの?」
「いえ、作らないわ。でも、大人になるとたまにそういう事をしたくなるの。エッチな気分になって、子供を作る練習をする、みたいな。」
「どうして?」
直球の質問が来る。
「…子供を…作る練習が、その…気持ちいいからよ。」
これに関してはどうしようもない。これ以外の説明が浮かばない。
時間が経てばサムもいずれ理解するかもしれないが、その時は何年後になるか。
「気持ちいい、っていうのが、よくわかんない。これ、いつ治るの?ずっとこのままなの?」
サムの真剣な眼差しが、自分を捉える。もう逃げられない。
「一度、その、子供を作る練習をしてしまえば…収まるわ。」
「どうすればいいの?」
ああ、ダメだ。これ以上はぐらかすのは無理だ。
自分が、責任ある大人として、あるいは体の持ち主として、教えるしかない。
「…服を脱いで、ベッドに上がりなさい。私が…教えてあげる。」
ベッドにあがったサムは、下着姿のまま体育座りでこちらを見つめている。
見た目は大人の女性そのものだが、背中を小さく丸めて震えるその姿は子供そのものだ。
「下着も脱がなきゃダメ?」
彼女は今、シンプルなスポーツブラとショーツを着ている。朝に私が教えたものだ。
「ええ。上下両方よ。」
サムは顔を赤くして俯いた。
「…サム?」
「恥ずかしいから、提督も一緒に脱いでくれる?」
「裸なら昨日お風呂で見せてるじゃない。それにその体って私の体よ?」
「なんていうか、それとこれとは違うっていうか…」
「なんだか、こうやって提督に見られてると体が熱くなっきて…恥ずかしいっていうか…」
サムにしては珍しい反応だった。
常に元気いっぱいで、失敗を恐れない。パンツの件もそうだが、中破で服がボロボロのままでも鎮守府を走り回る子だった。
そんな子が生まれてはじめて羞恥というものを見せている。羞恥心とは肉体の方に宿るものなのだろうか?
「わかった。私も脱ぐわ。」
そう言って私も同じように制服を脱ぐ。
といっても、この子の場合はノーパンノーブラなので上下をポイと脱ぎ捨てるだけなのだが。
「アメリカさん、よくこの服を許したわね…」
「どういうこと?」
「こっちの話よ。さ、始めましょう。」
サムに体育座りをさせたまま、後ろに回り込む。
不本意ではあるが、オナニーを覚えさせて1人で解消させるのが一番いいだろう。
私の体とサムの体は身長差がそれなりにある。サムが体育座りで、私が膝立ちでようやく同じ程度だ。
後ろからサムの大きい右手を掴む。
「…やり方を教えるわ。人差し指を出して?」
サムは恐る恐る指を突き出す。
そのままゆっくり右手を下ろさせ、彼女自身の割れ目まで持っていく。
「サムのここ、割れ目があるわよね?人差し指を一番上の部分に持っていって…」
「モジャモジャでよくわかんない。」
…それもそうだ。サムの視点からなら尚更だろう。
そういえば、自分でするときも見ながらしているわけではなかった。
長年の経験と感触だけでやっていたので、それを違う視点でレクチャーするのは難易度が高い。
「提督?」
「ええっと…ごめんなさい。説明が難しいわね。」
どうする?まさか今の私の体で実演するわけにもいかない。
うだうだと考えているうちに時間だけが過ぎていく。
「ねえ、これって子供を作る練習?なんでしょ?」
「ええ。そうよ。」
「Dickがなくて練習できるの?」
「出来るわよ。だいたい皆指を入れてると思うけど…」
「わたしも、これから入れるの?」
そう言うと、サムは差し出した指をまじまじと眺める。
「ちょっと、怖い、かな…」
「あなたぐらいの年頃の子ならまだしないかもね。でも、私の体なら大丈夫よ?」
サムは自分の言葉には反応せず、ますます難しい顔で指を眺めている。
「提督の指でしてほしいな。」
「えっ?」
自分の指でするということは、それはつまりオナニーなどではなく…
「わたし、怖いの。これがわたしの体ならえいっ!ってやっちゃえると思うんだけど、提督の体を傷つけるのが怖くて…」
彼女の思いやりが自分の中の良心と理性に突き刺さる。
良心を取るならば、サムの願い通りにすべきだ。理性を取るならば、サムに1人でやらせるべきだ。
「わかった。わかった。私がやるわ。」
結局、良心を取ってしまった。
「ただ、最初だけよ?次からは自分でやりなさい。」
「OK!」
…とは言えどうしたものか。二人羽織のように後ろから手を伸ばして、というのは無理だ。前に周るしかない。
前に回り込んだ私は、サムに体育座りのまま足を開かせた。小さい体でその間に潜り込む。
そのまま、サムのへその下あたりに手をぴったりと付ける。
「提督の手、あったかい!」
「あなたの手なんだけどね…」
そのまま、手を下へと移動させていく。
「見えなくて心配なら、こうやって探り探りやっていけばいいわ。」
手が陰毛に触れる。既に愛液がいくらか出ているようで、ゴワゴワした陰毛の奥でねっとりとした液体が糸を引いていた。
「こんな風に、えっと…お股からつゆが出てくるの。濡らした方が安全だから、終わるまで拭かなくてもいいわ。」
そのまま陰毛の下に見えるクリトリスまで指を持っていく。クリトリスの皮は完全に剥けており、やや大きめの豆が顔を見せている。
私のクリトリスは…そこまで大きくない。と、思う。サムがこのあたりについて詳しく突っ込んでこないことを願う。
それなりに使い込まれ、ビラビラと外に突き出した小陰唇を指で愛撫しながら、手に愛液をなじませる。
濡れた手でクリトリスをキュッキュっと撫で、愛液を塗りたくる。
さっきからサムが静かだ。ふと彼女の方を見ると、サムは頬を赤くしたまま、ぼうっとした目で私を見つめている。
「…サム?」
「えっ?あっ!ごめんなさい!ぼーっとしてた!」
「痛くない?大丈夫?」
「No Problem!」
彼女の言葉を信じることにする。
そのまま、指でクリトリスを刺激し続ける。撫で、擦り、挟む。
その間もサムは無言のまま、私の指を見つめていた。
「気持ちいい?」
「なんか…ぼーっとしてくる。これが気持ちいいって事なの?」
どうも刺激が足りないらしい。
サムの言葉を鑑みて、指先にやや力を込めてクリトリスを弾いた。
「痛っ!」
「あっ…ごめんね、強かった?」
「うん、ちょっと…びっくりした。」
まずい。力加減がわからない。
自分でする時であれば自分で力加減を調整するだけだが、他の人間の性器を適切な加減でいじるのは至難の業だ。
サムにとっては始めての感覚なだけに、私が普段感じている快感を快感だと認識出来てない可能性もある。
どうしたものかと考え、本棚の下にある鍵付きの棚に目を向けた。
「あれ、使ったほうがいいか…」
「ねえ提督、それなぁに?」
「そうね…大人の玩具、というやつよ。」
棚から取り出したのは、私物のバイブだった。クリトリスや乳首に当てて使う吸引式タイプ。
玩具の刺激であれば力加減などは関係ないだろう。
「Adult Goods?」
「そうね。というかそういう言葉は知ってるのね。」
「この前、フレッチャーとジョンがそんな話をしてたよ?」
今のは聞かなかったことにしよう。
「とにかく、これを使うわ。」
サムの横に座り、バイブのスイッチを弱で入れる。小刻みに揺れる玩具にサムは若干興味を示したようだ。
「それ、どうやって使うの?」
「ここを見て。」
陰毛をかき分け、割れ目の上部を露出させる。大きく主張するクリトリスを指でつまみ上げた。
「この豆みたいなの見えるわね?このお豆さんを…」
ゆっくりとバイブを近づける。
「このバイブの穴に入れるの。」
吸引式バイブの穴が、サムのクリトリスを吸い込と同時に、サムの体がビクリと大きく揺れた。
「びっくりした?」
「う、うん…さっきより…なんかフワフワする。」
サムの息は少しずつ荒くなっていった。握る拳には力が入り、足のつま先は可愛く丸まっている。
「ん…」
サムが身じろぎしながら、腰を引く。私はそれに合わせてバイブをクリトリスに押し付け続ける。
小さな玩具に責められて及び腰になっている成人女性の肉体。なんだか滑稽だった。
じれったいので、サムの背中を手で制した。彼女の力なら容易に振り払えるはずだが、それを受け入れて下がるのをやめた。
彼女の顔は今や真っ赤に染まっていて、口ではぁはぁと呼吸をしている。
割れ目からは露が溢れ出し、ベッドに染みを作りつつある。
「ね、サム。これを見て。」
ベッドについた染みを指差す。
「あっ、その…ご、ごめんなさい。」
「大丈夫。これが出ちゃうのが自然なの。」
「…おしっこが出るのが普通なの?」
「おしっこじゃないわ。子供を作る時に出てくる潤滑液。洒落た言い方だとラブジュース、なんて言うわね。」
「Love Juice…」
それを聞いたサムはしばらく考え込むように黙ってしまった。調子に乗ってサムに変な言葉を教えてしまったかもしれない。
はぁ、はぁというサムの呼吸音と、ヴヴヴという駆動音が部屋に響く。
しばらくすると、サムがまた身じろぎをしだした。
また腰を引くのかと思いきやー今度は自分の腰を前に出している。
それだけではない。バイブを持つ私の手を両手で掴むと、ゆっくりと力を込め、バイブをクリトリスに押し付けた。
「ねえ、提督、これが…気持ちいい、ってことなの?」
だらしなく開いた彼女の口から、荒い息とともにかすれた声が漏れ出る。
「サム?今、どういう気分?」
「ふわーっとして、ぼーっとして、でも、胸だけはすごくドキドキして…」
「それが『気持ちいい』よ。」
目の前の少女は肉欲という概念を知ってしまった。こんな形で知る事になってしまったのは申し訳なく思う。
でも…その罪悪感とは別に、心の奥底で静かに燃える感覚があった。それは、さっき執務室で激しく燃え盛っていたもの。
私の肉欲。目の前の光景は私のそれに火をつけるには十分だった。
私は…自分の肉体に自信がなかった。目の前にある若さと魅力を兼ね備えた肉体に圧倒され、老いていく自分の姿を醜く思っていた。
だが、それは私の目から見てそうだっただけなのだ。サムは私の事を魅力的な大人だと思っていてくれた。
そして今、私はサムの目を通して自分の肉体を見ている。確かに、目の前の肉体は美しい。
いや、肉体が美しいのではなく、快感に悶えるその姿が美しいのかもしれない。
どちらにせよ、今までの私の視点でそう感じることはなかった。
他人から見た自分の姿。それを知る事ができたのはある意味、入れ替わりのおかげだ。
「…督、提督!」
サムの声で現実に引き戻される。
「ごめんなさい、何か言った?」
「寂しいよ…」
「寂しい?」
「気持ちいい、気持ちいいけど、寂しいの…。何かが足りないっていうか…」
彼女は相変わらず肩を上下させながら、はぁはぁと切ない息を漏らしている。
目には涙が浮かび、私の手とバイブを抑える彼女の手は汗でぐっしょりと濡れていた。
「…わかった。じゃあ、この玩具、持っていて。」
サムにバイブを握らせると、もう一度棚を開く。
私は別の玩具を取り出した。挿入式、オーソドックスな男根を模したバイブ。サイズは少し大きめ。
棚を閉め、サムの方へ戻るとサムは吸引式バイブを夢中で股にこすりつけていた。
力強くグリグリと、回すように動かしている。自分で気持ちのいい箇所を探しているのだろう。
「ハッハッハッハッ…」
吐息はもう喘ぎ声に変わっていた。サムはすっかりクリトリスの虜になっている。
ベッドに仰向けになり、足をピンと伸ばし、目を瞑りながら両手でバイブを押し付けている。
サムがこちらを見ていないのをいいことに挿入式のバイブを足の間に挿し込み、スイッチを弱で入れた。
その駆動音は、吸引式のバイブのものと大きくなった水音でかき消されている。
茂みはヌラヌラと愛液に塗れ、ベッドのシーツに滴り落ちている。これ以上潤滑液は要らないだろう。
バイブを割れ目の下、膣口のある方へヌルリと挿し込む。
「えっ?」
サムが気がついたようだ。目を開け、こちらを見ている。
「提督、何してー」
バイブをサムの膣口に挿し込む。少々の抵抗はあったが、愛液とバイブの振動でするすると入っていく。
「ああああっ!」
バイブを引き抜く。大きく揺らしていたサムの手は快感に打ち震えるかのように揺れながらも、まだ自身のクリトリスを抑えていた。
「提督、それ、すごっ!」
そのまま乱暴にまた挿し込む。何度も、何度も。
不思議な感覚だが、サムの感覚が私にも共有されている気がする。どこを突けば、どう感じるかがわかった。
今、私は見慣れた自分の秘部を、自分の手で蹂躙している。
その光景は頭の心の中にある記憶を呼び起こし、過去の快楽を反芻している。
私の体は私が一番よく知っている。どうすれば気持ちよくなれるか。
「ごめんね、サム。こんな事して。」
右手にバイブを保持したまま、左手でサムの胸を揉みしだく。私の小さい手では十分に収まらないほどに大きい。
柔らかい駄肉を潰し、その頂点、乳首を指で刺激する。爪を立て、乳輪をカリカリと引っ掻く。
成人女性のぷっくりと膨らんだ乳首は、刺激により更に硬度を増した。
「そ、それ、気持ちいいかも…」
「じゃあ、これは?」
乳首を手のひらに収めると、そのまま強めに握る。
「ひっ!気持ち、いい…」
「あなたも将来はこんな乳首になるのよ?そんな時にブラジャーをつけてなかったらどうなるかしら?」
爪で刺激するのをやめ、今度は指先でフェザータッチ。擦れるか擦れないかのギリギリを責める。
「うー…さっきのが…いい。」
「さっきのって?」
「ちょっと、強く握るやつ。」
サムが乳首を握りつぶすよう懇願してくる。
「元に戻ったらパンツだけじゃなくてブラジャーもしなさい。約束したらしてあげる。」
「…うん。」
約束通り、再び手のひらで乳首を握る。彼女は強い刺激の方が好きらしい。私もだ。
そのまま乳首を刺激していると、サムは片手でバイブを持ったまま、もう片方の開いた乳首に手を伸ばした。
私がしていたのを真似て、自分で乳首を扱き始めている。
ここまで教えれば、もう十分だろう。
最後に左手で乳首をきゅっと握り、胸から下半身へと左手を伸ばす。
サムが掴んでいた吸引式バイブのスイッチに左手を重ねる。同時に右手で挿入式バイブのスイッチにも指をかけた。
そして、バイブを奥深く、同時にスイッチを強に入れる。
「っっっっっっっっぁぁぁああああああ!」
サムがひときわ甲高い悲鳴を上げ、足を反り返らせる。中に浮いた腰はまた後ろへと下がろうとするが、容赦なく追撃をかけ、バイブをねじ込む。
「何かっ…漏れ、ちゃう!」
サムを始めての絶頂が襲った。背中をも反り返らせ、頭と両足だけで自分の体を持ち上げ、ビクビクと痙攣する。
私の両手が生暖かいもので満たされる。これは…潮吹きだけの量ではない。本当の意味でも漏らしてしまったようだ。
秘部はサム自身と私の両手で抑え込んでいるため、吹き出した潮と尿は手の隙間からそこかしこに吹き出し、まるで噴水のように拡散する。
その噴水が枯れ、サムの体の痙攣が収まってようやく、彼女の体の硬直も解けた。
ボスン、という音とともにベッドにサムの体が落下する。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ…提督っ…すごい…」
心あらずといった表情で天井を見つめている。サムは両手をだらりと横に広げ、握りしめていたバイブを放り出す。
ヴヴヴという駆動音がサムの割れ目から聞こえるのに気がついた。まだ入れっぱなしのままだ。
小さな指で中に入り込んだバイブを掴み、引き抜く。
「あっ!はぁ…はぁ…」
余韻の最中、サムが小さな悲鳴を上げる。
サムの胸は大きく揺れ、息を荒げている。それと同様に、割れ目もまだピクピクとうごめいている。
「可愛い…」
つい口から零れ出る。それは私の本心だった。今まででなら、自分の肉体に向かって自分で可愛い、など言えなかっただろう。
これは感謝の言葉でもあり、サムへの純粋な好意でもあった。
サムの大きな額を、私の手で拭う。本当に小さい、今の自分。手のひらを見つめてみた。
そして、ある事を思いつく。
まだ言葉を発せないサムの足を開かせる。抵抗はない。
まだヒクヒクと揺れる彼女の割れ目を見て、自分の手をそこにかざした。胸がどんどん高鳴っていく。
この手なら、入るのではないか?
潤滑液は十分、一度絶頂を迎えて緩みきっている。そして、サムのこの小さい手。可能性はある。
サムの…私の肉体の乱れる様を想像する。サムの手に貫かれ、犯される想像をする。
そうだ。これはサムを犯すわけではない。自分の体を好き勝手犯すだけに過ぎない。
そこにいるのはサムだと叫ぶ良心を押し留めているのは、好奇心と肉欲。鼓動がドクドクと胸を叩く。
気がつけば、シーツが血で濡れていた。私の出した鼻血だ。
ここまで来て、ここまで見せられて、我慢なんて出来ない。
「サム…。」
「…なぁに?」
「あなたのこと、好きよ。」
「ふぇ…?」
自分の小さな右手を、そのままサムに突き刺した。
指3本はすぐに入った。小指と親指はキツい。手のひらを筒のように丸め、なんとか入らないか試行錯誤する。
「てっ!提督!?な、なに!?」
挿れられたサムは足をばたつかせ逃げようとするが、きゅっと締まった膣は手を離さなかった。
右手は…そのままでは入らない。ネジを巻くかのように、そのままぐるりと横に回転された。
「んんんんんんんんっ!?」
サムは何をされているのかわからないようだった。構わず、今度は逆方向に周す。
「提督っ!なに!?なんなの!?」
横に回すと、少し前進したようだ。同じように回しながら進めていく。
「すごいっ!提督、これっ、すごい!」
手を進めるにつれ手に対する締め付けが強くなっていく。ビクビクと動く膣壁は、まるで心臓の鼓動のように脈打つ。
だが、まだ足りない。私は顔をサムの下半身に近づける。
クリトリスを見つけると、舌でそれを舐めてみる。
「っっっっっっっっっ!」
サムの声にならない嬌声の代わりに、私の頭をサムの両手が抑えた。私の頭を、バイブと同じように扱うようだ。
クリトリスに舌で吸い付く。少ししょっぱい。サムの手が私を抑えているため、舌だけでなく顔全体でクリトリスを愛撫した。
その一方で右手も進める。一度完全に止まってしまったため、ほんの少し引き抜く。
手を回し、十分に拡張させると…再び付きこむ。今度は奥までいったようだ。子宮らしき塊を指が押し込んだ。
その瞬間、口の中に温かいものが広がる。今ので絶頂したらしい。頭を押さえつけられている以上、飲み込むしか無い。
代わりに、右手での責めを活発化させる。右手をずるりと引き抜く。引き抜こうとする。
膣が右手をきつく締め上げ、離さない。引きちぎる勢いで力を入れると、観念した膣がずるずると右手を離し始める。
すっぽ抜ける瞬間…再び暴力的に押し込んだ。奥まで、一気に。
「あああああああああああああっっ!!!!」
そのまま握った拳で子宮をグリグリを押す。
「もっと!提督!もっと!」
見かけによらず、サムは暴力的なのが好きなのだろうか、それとも私の肉体がそうなのか。
とにかく、サムの要望に答えて一心不乱に責め続ける。
サムの恥部と私の顔は、何がなんだかわからない体液が洪水のように溢れている。
膣を犯している右手はグボン、グボン、とおよそ挿入音とは思えない怪音を発していた。
出し入れをするたびに蜜が飛び散り、私の右手は肘から先がぐっしょりと濡れている。
膣の締め付けは厳しく、右の手のひらの感覚はなくなりつつある。それでも、サムの嬌声は右手がそこにあることを示していた。
そして最後はあっけなく訪れた。
「っっっっっっっっっっうううううううううう!!!!!」
サムがガタンと起き上がり、私の頭に覆いかぶさる。手だけではなく、上半身全てで私の頭を抑え込んだ。
両足もまた、今度は反り返るのではなく足を曲げて私の頭と右手を逃さない。
膣の硬直はすさまじいものがあった。右手が押しつぶされるかのような激しい痙攣が、数分も続いたかのように思える。
私が解放されたのは、サムが力なく仰向けに倒れた後だった。
顔を上げ、刺さったままの右手を引き抜く。引き抜こうとしても未だに膣が食いついてくる。
「ひぐっ、あ、ああっ…」
手がズルズルと引き抜かれる度、サムの口からも声が抜けていく。
引き抜きおえた右手を見ると、愛液だけで指先がふやけていた。
「今の、すごかった…」
横を見ると、サムが上体を起こしていた。その顔は下半身と同じように緩みきっている。
「ごめん、ちょっとやりすぎたわ。」
「えへへ…わたし、気持ちよかったよ。」
そう言うと、サムはにこやかに笑う。そんな余裕はもう無いだろうに。
サムは微笑みながら、両腕で私の体を包む。そのまま力なく私を抱きしめた。
「あったかい…」
私も、サムの体に腕を回す。こころなしか、いつもより肌のツヤがいいように感じた。
そのまま、二人でぼうっと過ごしていた。
「っくしゅん!」
サムが大きくくしゃみをする。流石に真っ裸は冷えるようだ。
シーツもびしょ濡れで、お互いに汗だかけ。そろそろ片付けようかと思ったが、サムが声をかけてきた。
「提督、また一緒にお風呂入ろ?」
「いいわよ?今度は背中流してあげる。」
「私も!」
もう、深いことは入ってから考えてしまおう。
そうしてベッドから降りると、後ろから抱えられる。
「ちょっと、私は歩けるわよ?」
「えへへ、いいのいいの!お風呂そっちだっけ?」
サムは入ってきたドアとは別のドアを指差した。私個人に当てられている1人用の浴室と更衣室だ。
サムは私を抱えたまま、更衣室のドアを開ける。更衣室は、自室の床よりも一番低い。
「あ、サム。ここ段差あるから気をつけてね?」
「えっ?」
一瞬、遅かった。
私が注意を言い終えた時点で、既に視界は斜めになっている。
横目で床を見る。撥水処理をされた硬そうな床板が見える。コンクリート打ちでないのは不幸中の幸いだ。
サムを見る。驚いたような表情でこちらを見つめており、目が合った。ゆっくりと、ゆっくりとサムの頭が近づいてくる。
もはや全てを諦めて、目を瞑る。
「えっと、それで…」
「提督は元に戻られたんですよね?」
椅子に座ったフレッチャーが問いかけてくる。
私は再び、医務室のベッドに寝ていた。3日前と違うのは、隣にサムも寝ている事だった。
手鏡で自分の顔を覗く。酷い隈―それでも入れ替わる前よりはかなり薄くなったーのある、成人女性の顔。
隣のベッドを見ると、サムの顔をもったサムがすやすやと寝息を立てている。
あの後は私が先に目が覚めた。更衣室で二人倒れており、私は元の体に戻っていたのだ。
なんとかサムに服を着せ、医務室に運んだ。私の髪や体はボロボロに汚れていたので言い訳が大変だった。
経緯はともかくとして、私達の体が元に戻ったということは信じてくれているし、あの夜の行いは隠し通せた。
その後は再び検査の山。丸一日かかり、夜になってようやく解放されたのだ。
「この通り問題ないわ。ぶつけた所はまだちょっと痛いけど。」
「それにしても、またサムが…。提督、本当に申し訳有りません。」
「いえ。いいのよ。今回は結果オーライだったわけだし。サムの事も責めないであげてね。」
「はい。…ひとまず今日は経過観察もあるので、こちらでお休みくださいね。」
「ええ。悪いけど残りの仕事、お願いね。」
「はい!では、わたくしは失礼します。Good night.」
フレッチャーが部屋の電気を消し、退室する。真っ暗な部屋の中、もぞもぞ動くものが私の布団に入ってきた。
「サム?起きてたの?」
「えへへ、バレちゃった?」
布団の中から、サムのまん丸な顔が飛び出した。そのまま私の横に寝転び、手を繋いでくる。
「あなたしか居ないじゃない。どう?体は大丈夫?」
「うん!大丈夫!元に戻って元気100倍だよ!」
いつもどおりの明るいサムの笑顔。暗くてもその笑みは光って見える。
「それはいいけど、なんでこっち来たの?2人だと狭いじゃない。」
サムの横顔を見ると、少し顔が赤らんでいた。
「その、提督と一緒に寝たいかなって。」
「…いいわ。」
「Thanks!」
サムは私の腕を抱きしめ、頭を私にくっつけてくる。可愛らしい吐息が私の頬にかかっていた。
「ねえ、提督。」
「なぁに?」
「昨日みたいにさ、わたしに…色んな事、教えて欲しいの。」
横目でサムを見る。その顔は真っ赤になっていて、視線は熱を帯びていた。
今までのサムで見ることはなかった顔。いや、昨日に見た顔だ。あの時の、淫らに乱れていた時の顔。それが今サムの顔に再び表れていた。
無垢な瞳は、じっと私を見据えている。少女の小さな両手が、腕を掴んで離さない。
彼女の荒い息が私の首筋にかかっているせいか、体中がゾクゾクし始めていた。
「色んなことって?」
意地の悪い顔をしながら、そう返した。
「…えっちな、こと。」
サムは私の肩にもたれかかり、顔を隠そうとしている。しかし、瞳はこちらを見つめたままだ。
心臓がバクバクと動くのを感じる。私のも、サムのも。
サムの性教育はまだ終わらないらしい。