深夜0時。天井を見る。
どこまでも暗く、天井にあるはずの蛍光灯すら見えない。
かわりにカーテンの隙間から差し込む月の光が、かろうじて部屋の輪郭を映し出している。
隣で聞こえるすうすうという寝息はサムのものだ。繋いだ手と、触れ合う肩から暖かい体温が伝わって来る。
結局、サムのあの問いかけには『また明日ね』と答えるしかなかった。
私が教えるべきだったのは自慰の方法と、性欲の解消方法。途中からは完全にやりすぎだった。
そもそも、体が元に戻った以上続きをする必要はない…はずだ。サムにはそこを改めて説明しなければ。
そう。元通り…のはず。
ちらりと暗闇の中でサムの横顔を見る。可愛らしい私の部下。
私を見るサムの目は、今までのそれとは異なっていた。明らかに、今まで以上の関係を期待していた。
もし、サムが上司と部下以上の関係を望む事があったら?
その疑問がぐるぐると渦巻き、眠りたい私の頭をかき乱していた。
「私は…」
なんと言うべきだろうか。
それから数日間の勤務はスムーズに進んだ。
私がまた休んでいる間、フレッチャーとジョンが業務を片付けていてくれたようで、朝一で山盛りの書類とご対面ということはなかった。
その上、2人は昼の間も空いた時間で私の業務を手伝ってくれていた。
入れ替わりの件で迷惑をかけてしまったお詫びと、私の残業時間改善のためとのこと。
さらに、業務外の雑務もサムが積極的に手伝ってくれている。書類仕事はできなかったが、正直頼もしい。
いつも通りの業務を、いつも通りの体でこなす。それも時間内に。快適だった。
最後の書類へ判子を押し、ノートPCの電源が切れたのを確認してPCを閉じる。
「ねえ提督、お仕事もう終わりだよね?お部屋、先に行ってていい?」
可愛らしいハスキーな声で現実に引き戻された。
「今日はフレッチャーもジョンも遠征で居ないから…ね?」
サムはいつもの無邪気な笑顔で私に問いかけてくる。この幼気な笑顔の裏に、そうでない別の一面があることは私しか知らない。
「…ええ。いいわ。」
躊躇いつつもそう答えた。当のサムは、私の一拍遅れた返事の意味には気が付いていない。
「Thanks!先行ってるね!」
そう言うと小さい足で走り出し、私の部屋へと入っていく。
いつも通り、灰皿にコーヒーの残りをぶちまけ、ゴミ箱に捨てる。マグカップを洗い物の山に突っ込む。
書類の山を引き出しに突っ込み、執務室に鍵をかけ、灯りを消す。うっすらと、自室のドアの下から灯りが漏れていた。
自室のドアに手をかけ逡巡する。
開けるのには勇気が必要だった。ここは私の部屋のはずなのに。
深呼吸してドアノブをひねり、中に入る。
サムはーベッドにいた。あの時と同じように体育座りで私を待っている。
肌色の濃い、柔らかな頬はいつもより紅潮しているように見える。
部屋に入ってきた私を見てサムは声をかけようとするがー何か言い淀んでから頭を伏せた。
「どうしたの?サム?」
サムの隣に腰を掛けながら、優しく聞いてみる。
「えっと…なんて言えばいいのか、わかんなくて。」
サムは自分の小さな膝に顔をぴったりと付け、目を泳がせている。
「ねえサム、あの夜あなたが言っていた事なんだけど。」
サムの目が私を捉える。
「えっちな事を教えて欲しいってやつ。あれはー」
もう一度サムを見る。彼女の目がしっかりと私の瞳を捉えていたが、私はそれから目を背けた。
「私じゃないほうがいい。と思う。」
「…どうして?」
サムの目を見ることはできなかった。私の決意が揺らいでしまうかもしれない。
「性教育、っていう事なら、教えてあげてもいい。でも、こうやって実際にサムや私の体でどうこうして実際に教えるのはダメだと思うの。」
「どうして?」
「これは本来、恋人や夫婦がするような事なの。少なくとも私達の立場でするようなことじゃない。」
「でも、あの時はしてたよ?」
「あれは緊急時だったから。そうでしょう?もしかしたら一生あのままかもしれない。だから私の体について教えたまで。」
「もうできない、って事?」
「ええ。そう。」
冷静に事実を告げる。そう、このまま特別な関係を引きずるべきではない。サムにとっても私にとってもそれが最善であるはず。
沈黙が部屋を支配した。サムはどういう顔をしているんだろう。私は見ることができない。思わず顔を伏せた。
彼女が悲しい顔をしていたらどうしよう。今まで見たことはないから想像はつかないが、これが最初になるかもしれない。
沈黙に耐えかねた私はサムを言葉で突き放す。
「だから、もしそういう事をしたいなら…好きな人を見つけなさい。それで、その人に教えてもらうの。」
「あなたを一人前の女性として扱ってくれる人。大切にしてくれる人。そんな人を見つけなさい。」
サムはその言葉を聞いてベッドから降りた。これでいい。
…ドアの開く音がしない。顔を上げると、私の目の前に立っていた。
私の心配はどこへやら。悲しい顔なんて全くしていない満面の笑み。
「じゃあ、提督!」
「じゃあって…何が?」
「好きな人に教えてもらえばいいんでしょ?じゃあ提督がいい!」
その屈託のない笑みはその発言が嘘でないことを示している。
正直、この答えは予想していた。
「私、女よ?」
「女の人じゃダメなの?」
駄目では…ない。
「歳、離れてるわよ?サムと私じゃ下手したら母子よ?」
「No Problem!」
これも効かない。
「私は提督のままだから、あなたを特別扱いできない。」
「それでいいよ!」
まあ、そうなるだろうとは思っていた。
「私のどこが好きなの?」
自分の顔から火が吹き出そうなほどに恥ずかしい質問。なんで私はこういう問答をしているんだろう?
「えっとね、綺麗でしょ、大人だし、優しくしてくれるし、一緒にいると楽しいから!」
「あと、わたしのために一生懸命になってくれたところ!」
私が用意した質問はサムを困らせるためのものだったのだが、この質問に対してもサムは容易に答えを出した。
「それは…当然のことよ。あんな事になっちゃったら誰でも一生懸命になるわ。」
そう。これは肉体の入れ替わりがあったからこそ発生した状況。吊橋効果以外の何者でもない。
サムは黙って私の目を見つめ、首を傾げている。私の言葉が理解できていないといった風だ。
「でも、提督はず~っと前から文句ひとつも言わずにわたしのために頑張ってくれたし、今もわたしの事で悩んでくれてる。違う?」
…否定出来ない。
私がサムに抱いていたものは恋愛感情じゃなかった。でもサムの事を大事だと思っているのは事実だ。
部下と上司という関係だけじゃない。任務における信頼とは別に、サムの事を妹か、娘みたいに想っていた。
そしてそれを根拠にサムが私の事を好いてくれているというのなら、その感情は私にはどうしようもない。
私に、サムが誰を好きになるか決める権利なんてない。
「提督は、わたしの事、嫌い?」
私を見上げるその目には、うっすらと、涙のようなものが滲んでいるように見える。
ああ、そうか。この子の中には好きと嫌いしかないんだ。それほどに純粋で幼い。
そして私はこの子を泣かせるだけの度胸がない。傷付けずにこの子を突き放すだけの方法も浮かばない。
私のー負けか。
私は両手でサムの頬を包むと、ぐにゅぐにゅと揉みしだく。
「ふぇ!?提督、どうしたの?」
驚きの方が強かったのか、彼女の涙は引っ込み、頬の赤みが強くなる。
「あなたは強いわね、サム。」
「…?」
サムは私に包まれたまま首を傾げる。
「あなたを嫌いになるはずないでしょう?好きよ。私も。」
サムの額にキスをする。
「Thanks!I love you too!ありがとう、提督!」
そうしてサムはー私の唇にキスをした。子供だと見くびっていたが、こういう所はおませさんらしい。
「タバコ、今日は吸わなきゃよかったわね。臭くない?」
「ん~?もっとしてみないとわかんないかも?」
ああ、なんというか…本当にこの子は強い…。
サムの頭を抱えたままベッドに腰を掛けなおし、再びサムの顔を見据える。
両手に伝わる瑞々しい肌の感触。いつまでも揉んでいたい…。うっとりしていると、サムが頬を膨らませ始めた。
目を見ると怒っているわけではなさそうで、私に揉ませるために膨らませているらしい。
意地悪をしてみたくなった私は、頬をつかんだまま彼女の唇を奪った。
ぴっちりと閉じた小さな口に吸いつき、中に溜めた空気を吸いだそうとする。
頬をぐにぐにと押すとサムはすぐに観念して口を開いた。舌を中に入れ、歯をチロチロと舐めだす。
歯も小さい。乳歯…ということはないだろうが、やはり身長相応。大きく口を開けた時に見える八重歯も可愛らしい突起でしかなかった。
最初はおっかなびっくりといった風に舌を逃がしていたサムだったが、私が舌を絡ませようとすると、その意図に気が付いたのか同じように舌をこちらに向けた。
舌と舌が絡み合う。サムの口も小さいが、舌はもっと小さかった。思わずスズメを連想する。可愛い。
唾液が絡み合う音とともにサムの吐息も大きくなっていく。ふぅ、すぅと甘い息が私の顔にかかる。
ちらりとサムの顔を見るともう真っ赤になっている。もういいだろう。
舌を引き抜くとき、サムの舌が名残惜しそうに私の舌に絡みついた。口内から抜き取った後も、サムの舌だけが寂しそうに口から突き出されている。
「んえ?おわり?」
「今のが恋人同士のキス。また後でしてあげる。」
「はーい。」
「じゃあ、脱ぎなさい。」
「…うん!」
私は裸でベッドに腰かけたまま、同じように裸のサムを膝に乗せ、後ろから抱きしめていた。
私の体にすっぽり収まるくらいに小さい。この前は、私が抱きしめられる側だった。
あの時、サムが嬉しそうにしていた理由がわかる。いつまでも抱きしめていたい、暖かく柔らかい体。
肌と肌が擦れ合い、お互いの体温を確かめ合う。気持ちいい…
「提督?」
「もう少し、このままでいさせて…」
サムの想いに答えた結果とはいえ、私は確実にサムの事を好きになっている。
この可愛らしい体と、幼いながらも快活な心。繋がりたい。繋がってみたい。
私の手がサムの下半身へと伸びていく。
「ねえ、サム。」
「なぁに?」
「1つ、謝っておかなきゃならないの。サムと体が入れ替わった後、私…あなたの体でオナニーをしてしまって。」
「オナニー?って、何?」
「あー、マスターベーションって言えばわかる?」
「あ!それならわかる!」
「ええ。それ。」
私は何を言っているんだろう。これからそれを教える相手に、なんの許しを請うているのか。
「んー、よくわかんないけど、提督なら大丈夫!」
何が大丈夫なんだろう。この無敵の可愛さが怖い。
「じゃあ教えてあげる。」
私はサムの体を抱えたままベッドの上に両足を投げだし、サムに同じポーズを取らせる。
ベッドの上で開脚するサムに二人場織をするような形。
今回は見せつつ教えたほうがいいだろう。私物の手鏡を左手に取り、サムの恥部を映す。
サムの下腹部はやはり細かった。お腹に一切の余分な肉はなく、太ももやお尻の肉も最低限。
ちょっと心配になるくらいだったが、女の子の割れ目ー大陰唇は少しだけぷっくりと膨れている。
右手の人差し指でその膨らんだお肉をぷにぷにと押してみる。柔らかい。楽しい。
「これ、鏡でちゃんと見える?ここが女の子の割れ目ね。」
「おしっこの穴、っていうこと?」
「それはちょっと違うの。この割れ目を開いた先におしっこの穴ー尿道と、男性器を入れるための別の穴があるの。」
私は指をV字に置き、2本の指でゆっくりと割れ目を開く。ピンク色の粘膜が広がる。
小陰唇のヒダはまだ小さく、粘膜と同じピンク色に染まっている。大きく開くと小さな尿道口が見えるが、
未だ何物をも通していない膣口はぴったりと閉じられ、単なる窪みにしか見えない。
「ちょっと上にある小さい穴が見えるでしょう?それがおしっこの穴よ。下の窪みが膣で、ここに男性器を入れるの。」
「一番上にある粒はなあに?」
「クリトリスね。」
名前だけ答える。彼女のクリトリスはまだ包皮に包まれており、その本体は見えない。
「クリトリス…はなんのためにあるの?」
「気持ちよくなるためよ。」
「それだけ?」
「ええ、それだけ。」
「あの玩具を使って?」
気づけば、サムが上を向いて私を見上げていた。紅潮した頬が期待の感情を物語っている。
「あれは…慣れてからでいいわ。今日は手でしましょう。手を出して?」
「うん。」
サムが手を伸ばす。私は右手をサムの小さな手に重ねると、そのまま下腹部へと手を進ませる。
「手のひら全体で、割れ目を包むようにして密着させてみて。」
「こ、こう?」
小さな手が、小さな割れ目にピッタリとフィットする。可愛い。
「そのまま手を上下に擦りつけてみて。そう。」
サムは恐る恐る自分の手を上下させ始める。乾いた肌のすれあう音が聞こえてきた。
「それで、エッチな事を考えるの。サムはどんな事を考えるのかしら?」
「そ、そんなの…わかんない。」
「だったら、あの夜の事でいいわ。サムが沢山気持ちよくなって、おしっこを漏らしちゃったあの夜。」
少し意地悪な事を言ってしまった。少なくとも日常でこんなセリフを彼女の耳に囁いていれば即憲兵行きだろう。
囁かれたサムは耳を真っ赤にして黙り、手を上下させ続けた。
サムの表情が気になった私は手鏡を傾け、サムの顔を見てみる。
彼女は真っ赤な顔のままぎゅっと目を瞑り、夢中になっている。恥ずかしさからなのか、快感からなのはかわからない。
「気持ちいい?」
「なんか、あったかくなってきた…」
それでいい。私は手鏡を捨て、空いた両手をサムの胸に持っていく。
「提督?どうしたの?」
手を止めたサムが困惑した表情で聞いてくる。
「あの時もおっぱいを揉まれて気持ちよかったでしょう?私が揉んであげる。」
「あ、うん、Thanks…」
そう言ってサムは上下運動を再開する。それだけで一杯一杯なのか、余裕の無さそうな反応だ。
宣言通り、サムの胸を揉み始める。揉む、と言っても揉めるほどのものがあるわけでもない。
ほんの僅かについた余分なお肉が、そこがおっぱいであることを示しているのみ。多分、私が同じくらいの年でもまだあったと思う。
サムの小さい胸板は私の両手ですっぽりと覆い隠せる程度だ。手のひら全体で胸を揉むと、肋骨の骨ばった感覚が手に伝う。
乳首の方もまだ未発達で、ほんのわずかに突起があるのみ。二次性徴が来ているかも怪しい。
でも、彼女の胸を揉むのは楽しかった。心臓の鼓動が直に伝わって来る。まだ小さい乳首を指先でほんの少しつねると、鼓動はより早くなる。
気づけば、鼓動だけではなくサムの息も荒くなっていた。肌の擦れ合う音は水音に代わり、吐息に混じって微かに嬌声が聞こえる。
「サム、気持ちいい?」
「うん、気持ちいい…」
ぴちゃぴちゃと可愛らしい水音が耳に響く。最初のリズムをそのまま続けているようだ。言いつけを守る子犬のようでどこか愛らしい。
「サム、気持ちいいならもっと激しくしていいのよ?ほら、ここのお豆さんも…」
左手をするりと割り込ませ、指先でサムのクリトリスを引っ搔いた。
「っ!」
サムの背中がぶるりと震える。私はそれを全身で感じとった。
「ね?ほら、もっと。上の方に手を強く押し付けて、もっと激しくして…」
水音が明らかに変化していく。音は大きく、間隔は狭く。
「もっと擦って?火をつけるぐらいに。」
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ…」
「今のサム、とてもエッチよ。」
耳にささやくと同時に、その耳にしゃぶりついた。
「ひゃっ♡提督、それ、ダメっ!あっ!あーーーっ!?」
絶頂を迎えたサムの全身が震えだす。寒さではない。初めて得る快楽を体が処理できていないのだ。
「~~~~~~~~っ!!!」
ピンと伸ばした可愛い両足に上から足を絡め、両手でサムの胸を抑える。私駄肉がぐりゃりと変形し、サムの背中に張り付く。
汗で濡れたサムのしっとりとした肌に擦りつけ、全身で味わう。肌と肌が滑らかに交じり合う。
サムの小さな心臓ははちきれんばかりに脈打っている。今にも飛び出してしまわないか心配になる。
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
サムの息が少しずつ静かになっていっても、鼓動はそのままだった。胸を抑える手に濡れる感触がある。
汗、ではない。それよりも熱い。目をやると、それは真っ赤な血だった。
サムの顎を持って上を向かせると、鼻から血を垂れ流していた。熱を帯びた目はぼうっとこちらを見つめており、鼻血には気が付いていない。
「大丈夫?鼻血、出てるわよ。」
「え?あ、Sorry...」
ベッドを離れ、机にあったティッシュ箱を持ってきてサムの鼻血を拭く。相変わらずサムは呆然としたまま私の出した手を受け入れている。
この子が鼻血を出すのはそう珍しいことではない。時折勢いよく転んでは鼻血を出していた。
それでも泣くような事はなく、鼻血が出たまま元気よく走り回るような子だった。そんな彼女は今、人形のように大人しい。
こうしてみると、幼さの中にも凛々しさが垣間見える…気がする。身内贔屓かもしれない。
「あ、あの、提督…」
「なに?」
「ご、ごめんなさい、お漏らししちゃったかも…」
サムはそう言って後ずさる。彼女の下腹部があった場所はぐっしょりと濡れた上、垂れた鼻血がシーツのそこかしこに滲んでいる。
濡れてはいるが、量としてはそこまででもない。
「サム?手をどかして。」
サムは絶頂したときのまま、両手で恥部を隠していた。彼女が恐る恐る手をどかすと、透明な液体が糸を引く。
「これは多分潮吹きね。おしっこではないから安心して。」
「しお?」
「鯨の潮吹きがあるでしょ?あれと似てるからそう言うの。」
「…しょっぱいの?」
思わず、ふふっと笑ってしまった。この子といると退屈しない。
「気持ちよくなると潮が出て来るの?」
「そう。気持ちよかった?」
「…うん。」
元気のいい返事。ではなかった。珍しく恥ずかしがっているようで、頬を赤らめながら視線を下に向けている。
「満足した?」
うん。と返ってくると思っていた。しかしサムは視線を下にしたままうんともすんとも言わず。黙っている。
「サム?」
「続き、してほしい。」
再びサムが顔を上げる。まだ鼻血が出ているようだが、本人は気にしていないようだ。
「続きって?」
「えと、あの時、わたしが提督の体だった時にさ、提督、わたしの体に何か入れてたよね?あれもしてほしい。」
「バイブの事?でもあれはサムの体にはちょっと…大きいと思うわ。まだ指だって入れてないのだしー」
「じゃあ提督の指でいいよ!」
「私の?」
「子供を作る時はさ、Dickを入れるんでしょ?でも提督には無いし。」
「この先、私じゃなくて男の人と付き合うのかもしれないのよ?初めては取っておいたほうがいいわ。」
「だから!初めてするなら提督がいい!」
その瞳はまっすぐに私を見つめている。熱に浮かされるわけでもなく、靄がかかっているわけでもない。
普段から見せるきらきらと輝いた力強い眼差し。それが私の心を貫いている。
「…わかった。まず鼻血拭きなさい。拭いたらベッドに寝て。」
こうなることは予想はしていた。いや、予想していたのではなく、期待していたのかも。
右の手のひらをじっと見る。細い指。折り曲げて指の先を見る。爪は…大丈夫。切ってある。
「じゃ、始めるわね。」
サムはベッドで仰向けに寝転び、足をぴたりと閉じている。両手は胸におろしているが、前を隠しているわけではなかった。
胸の上で組まれている両手にそっと左手を載せると、両手越しに、サムの鼓動が伝わって来る。
「よ、よろしくおねがいします!」
彼女の柔らかだった体はぎこちなく震えている。体も、そして心も緊張で張りつめているようだ。
寝ているサムの唇にキスをする。ほのかに血の風味がした。
「痛かったら無理しないでいいからね。私の指でも、今のサムには大きいと思うから。もしかしたら血が出ちゃうかも。」
「大丈夫!そのくらい平気だから!」
口ではそのように強がっているが、彼女の両手が一瞬強張ったのが左手から伝わって来る。
私は彼女の両手を握ったまま、右手で割れ目に触れる。
サムの恥部は既にぐっしょりと濡れている。前戯の必要はないだろう。中指を割れ目に沈め、愛液をたっぷりと絡ませる。
そのまま指の腹でぐりぐりと割れ目の中に侵入し、尿道を探り当てた。
「あっ!そこ、おしっこの穴!」
「わかってる。ああ、我慢できなくなったらしちゃっていいわよ?」
「uh...」
サムが顔を真っ赤にする。ここまでの関係になってもお漏らしを見られるのはやはり恥ずかしいようだ。
尿道の回りをひとまわりさせると、指先を下の方へ向かわせる。ゆっくりと、少女の幼いくぼみに這わせていく。
膣口に入るーかと思ったその時に、小さな穴が抵抗を見せた。両側の筋肉が締め付けているような間隔ではない。
未踏の小さな洞窟。その中にはたっぷりと溢れていたはずの愛液も未だ浸透していない。閉じているのではない。まだ開いてすらいない。
私は中指の先でずるずると膣口を擦り始めた。愛液を浸透させ、こじ開けるために。
中指で壁を擦り上げる度に、サムの胸が大きく膨らみ、呼吸が荒くなっていく。
顔をちらりと見ると、何も言わず私ににこりと微笑む。いつもの笑顔ではない。ちょっと無理をしたような作り笑い。
しかしそこに苦痛のようなものは感じ取れない。多分、サムもどういった顔をすればいいのかわからないのだろう。
「どう?痛くない?気持ちいい?」
「うん…気持ちいい。かな?提督の指、あったかい…」
サムは組んでいた両手を解き、私の左手をつかんだ。
「ね、提督。わたしのおっぱい、また揉んで?」
彼女の言う通りに、平らな胸を手のひらで大きく撫でる。小さな両手が左手に絡みつき、言葉もなくもっと、と私の手を急かした。
「そんなに気持ちよかった?」
「気持ちいいってわけじゃないけど、なんかこう…安心する!」
サムは目を瞑り、私の手に体を委ねている。その姿はお腹を見せた子犬のようで、体を擦り上げるほどもっと、もっとと体を捩らせる。
気が付けば、右手の中指は第二関節ほどまで割れ目に埋まっていた。血はー出ていない。普段あれだけ動いているので、処女膜はもう切れているのかも。
私は指で中をほじくり返すのに加え、手のひらでサムのクリトリスを刺激し始める。
「んっ、それ、イイ…♡」
サムの両手に力が入り、両足がピンと伸びる。力加減は問題ないようだ。
それもそのはずだ。この前までこの体は私のものだったのだから。この体で自慰だってした。
もう一度、私のものにしたい。サムの体を、全てもらってあげたい。
深さを確認する。中指はもうすべて入り切っていた。
「ねえ、サム?」
サムはもう答えなかった。両手で口を抑え、嬌声を必死に抑えようとしている。
そういうことなら。つい意地悪をしたくなる。私は両手を止めた。
「…え?提督?なんで止めるの?」
サムは口から手をどかし、こちらを見つめる。その瞳には涙が滲んでいた。寂しさ、悲しさ。そんなものが涙に混じって浮かんでいる。
「サムの声が聴きたいなあ、って。我慢しなくていいのよ?」
「えと、その、なんか、どうしても恥ずかしくなっちゃって…」
「ねえサム、私がずーっと無言でサムにエッチな事をしたら、どう思う?」
「それはちょっと…怖いかな?」
「それと同じよ。サムが黙っていたら、私も何か変なことしちゃったかな?って不安になるの。」
この行為自体が変な事なのだが、そこはどうでもいい。私は、サムの声を聞いていたい。
「ん…わかった。」
「いい子。」
胸を撫でていた手でサムの頭を撫でる。髪はもう汗でぐっしょりと濡れていた。
「じゃあ最後、口でもしてあげる。足、開いて?」
寝転んだまま開脚し、ガニ股にさせる。すかさずその間に位置を移した。
再び右手の中指をゆっくりと挿入する。きゅっと膣壁が閉まるが、締め付けているというよりは、ぴったりと私の指を掴んでいるような感覚。
手のひらを上に向け、中指を曲げて上部の膣壁を擦る。
「ふぁ…」
今度は左手で、クリトリスを撫でる。親指でピンと弾くと、愛液が指へと飛び散った。
「提督、それ、気持ちいい…」
包皮に包まれていても、もう女性器としての性感は備わっているようだ。そのまま、サムの可愛らしい貝を口に含んだ。
「それっ!すごい!て、提督、すごい!」
ちゅる、ちゅると愛液を啜りながら舌でクリトリスを愛撫する。指の運動も欠かさない。
「イイ!気持ち、いい!あっ♡提督、すごい!今、わたし気持ちいい!」
手持無沙汰な左手を、自分の下腹部に這わせる。そこはもう、サムの事を言えないほどの大洪水になっていた。
愛液が陰毛に絡みつき、ひどいことになっている。それでも私は手を這わせ、そのまま指を3本、自分の膣口に挿入した。
サムのクリトリスをしゃぶりながら、サムと自分の割れ目を蹂躙する。多分、今の自分はひどく醜い恰好に違いない。
それでも、サムとつながりたい。その一心で両手を動かした。
「あっ!あっ!あっ!あっ!」
そろそろ、いいかもしれない。私はサムに2本目の指を挿入する。2本目は容易く受け入れられた。
そのまま、2本の指でサムの女性器を持ち上げる。同時に、クリトリスを勢いよく吸い上げた。
「あああああっ!な、なにか来る!」
サムの体が硬直する。可愛らしい小さなお尻がきゅっと閉まり、膣が痙攣する。
口の中にサムの潮が広がった。甘いように感じるのは私の頭が狂っているせいだろう。
私はサムに構わず食らいついた。私はまだイってない。
「提督!それっ!ヤダ!続けるのヤダ!」
ずりずりと後ずさるサムを追いかけながら、両手をさらに加速させる。サムに入れた指は上へ上へと押し上げて、サムの潮をすべて出し切らせる。
自分に挿入した指はさらに増やす。4本。私もまだやったことはなかった。出し入れすると同時に、腕をクリトリスに擦りつける。
絡まった陰毛がクリトリスに絡みつき、快感を生んでいる。ゴリゴリと暴力的な音が自分の下半身からなっているが気にしない。
「ヤダ!ヤダ!おしっこ出ちゃう!あっ!」
瞬間、サムの体が震える。快感ではなく、身震い。
それと同時に口の中に生臭く、しょっぱいものが流れ込んでくる。勢いよく流れ込んできたそれは、私の呼吸を阻害するには十分だった。
「ん!ぐっ、げほっ!うぇっ!」
それでも手は止めなかった。酸欠で頭がぼうっとし始め、心臓がひっきりなしに胸板を叩いている。
そして、私にも限界が来た。雷が落ちたように全身が固まり、少し遅れて快楽の波が私を襲う。
口に含んだサムのおしっこをゲホゲホとまき散らしながら、体を抱え込んで快感に耐える。
「っ!あああああああああああああああっ!」
サムの笑顔。女性器。指。胸。私の乳首。唇。粘膜の擦れあう音。様々なものがフラッシュバックする。
「あっ!あああああああああああああああああああああ!!!」
それは嬌声というより、咆哮だったかもしれない。とにかく、叫び終わった頃には喉がガラガラだった。
快感が引いたあとも、まだ余韻で体が痙攣している。すごいものを体験してしまった。
「えっと、提督?大丈夫?」
サムは心配そうな、あるいは怖いものを見る目で倒れた私を見下ろしている。ちょっと、引かれたかもしれない。
「はあ、はぁ、あぁ…大丈夫、よ。うん。」
息も絶え絶えに答える。
「そ、そう?よかったぁ…」
先ほどまでの嬌声と絶叫はどこかへ行ってしまった。今は二人、お互いにただ息を切らしている。
私は倒れたままティッシュを適当にごっそり掴むと、そのまま口を拭いていく。流石に、サムのおしっこ塗れのままでは格好がつかない。
拭き終わった頃、私の視界をサムがゆらりとふさいだ。
「わたし、すっごく気持ちよかったよ!えっと、お漏らししちゃうまでしてくるのはちょっとビックリしたけど…」
「そう。よかった。」
「わたしの初めて、貰ってくれてありがと!Thanks!」
サムの小さな口が、私の口を塞ぐ。
「う、なんか変な味…」
「あなたのおしっこの味よ?」
「あ、やっぱり?ごめんなさい。」
そうしてまたしばらく、お互いに息を荒くしたまま余韻に浸る。
「ねえ提督?」
「何?サーうぶっ!?」
サムが、いきなり私の上に倒れこんできた。いや、抱き着いてきた。小さな体とはいえ、不意打ちで飛び込んでこられてしまい呻き声をあげる。
「提督のはじめての相手って、もういるの?」
そんな事はお構いなしに、サムが聞いてくる。目には再びキラキラとした輝きが戻っている。
「…言わないとダメ?」
「聞きたい!」
「あなたの知らない男よ。数年前、この仕事に就く前。今はなんの関係もないわ。」
「そっかー…」
サムの声がトーンダウンする。
「そんなこと知ってどうするの?」
「わたしも提督のはじめてになりたい!って思ったんだけど、初めてじゃないんだぁ…残念。」
「あっ!でもやっぱそういう所、大人の女性って感じがしてスキ!」
そう言ってサムは笑顔のまま、私の胸に顔を擦りつける。柔らかい胸に顔を埋め、鼻息を荒くするその姿は完全に子犬のそれだ。
「初めてはもうあげられないけど、サムになら上書きされてもいいかな。」
「上書き?」
「サムのその腕を、私のに…入れて欲しいの。」
心臓が、再びその鼓動を荒げている。サムにもそれは伝わっているだろう。
「そ、そんなの入るの?」
「この前は入ったわよ?あの時みたいに、もう一度私を貫いてほしいの。」
「う、え、えっと…」
流石のサムでもそれは気が引けるらしい。つい先ほど、指で処女を散らした彼女が腕と言われて怖気づくのは当たり前だろう。
「ね?ほら、サム…」
私は寝ころんだまま、片足を上にあげた。両手を割れ目にかけ、そのまま2本ずつ指を入れる。
そうして挿入した指を、ゆっくりと左右に広げていく。限界まで広がると、部屋の乾いた空気が入り込んでくるのがわかる。
サムは、私のそんな痴態をただ見つめていた。陰毛に囲まれ、限界まで広げられた女性器。サムにはちょっとグロテスクに映るかもしれない。
「サムが嫌なら、それでいいわ。」
「い、嫌じゃない!」
きっぱりと首を横に振り、否定した。
「い、嫌じゃないけど、凄い…わたしのと全然違う…」
「ちょっと気持ち悪くない?」
「ん、ちょっとビックリしたけど。なんかこう…エッチな気がする。このビラビラ?すごい…」
サムは関心したほうな顔で私の女性器を眺めている。
「ねえサム、触って?」
「えっ!あ、うん!」
サムは恐る恐る指を突き出すと、私の膣壁をなぞった。少し、くすぐったい。でも気持ちいい。
「ねえ…私、もう我慢できないから、入れて。」
「えっ、で、でも、これ指は入っても腕は…」
「私がガイドするから。ほら。」
左手で女性器を開いたまま、右手でサムの腕を握る。
「指を伸ばして、そう…それで、指を一か所にまとめて。」
サムは私の言う通りに、指を円錐のようにまとめる。それを確認すると、ゆっくりと膣へと誘導する。
サムの、小さい爪が入ってくるのを感じる。肌に比べてつるつるしているのですぐわかる。
5本指とはいえその先端はかなり小さく、指先だけは案外すぐに入った。これだけでも満足感がある。
「全部、入ったけど…」
「もっと、もっと奥に入れて。」
「う、うん。」
ゆっくりとサムが腕を入れるにつれ、次第に圧迫と刺激が強くなる。先ほど入れた自分の指4本、それとはくらべものにならない。
意外に思ったのは、サムの手をそこまで温かく感じないことだ。まあ、私の体温の方が高いのだろう。内臓にも近いのだし。
大きくなる圧迫感は、私の粘膜をより強く、より大きく擦り続ける。
「ねえサム、もっと…小刻みに動かして。横にねじったり。」
サムが腕を捩じると、これまでにない快感が襲ってきた。
「あっ♡」
「え?あ、ごめんなさい!」
サムが手を引き抜こうとするが、腕を強く握ってやめさせる。
「抜かないで!もっと、もっと強く入れて!」
「だ、大丈夫なの?」
「サム。私さっき、サムが嫌だって言ってもし続けたでしょ?」
「え?う、うん。」
「だから、私にやり返していいわ。私が何か言っても、私が倒れるまでしていい。」
「…う、うん。」
まだちょっと引いているようだ。まあ、いきなりサムにこれをさせるのはハードルが高いのは確かだが…。
「私はサムにして欲しいの。私はサムを信じてるし、サムも私を信じて。ね?」
「…わかった!」
決心したサムは早かった。私の誘導なしに、腕を進め始める。
ゴリ、とサムの骨ばった手が私の膣を進む。苦しい、という気持ちと同時に気持ちよさも湧いてくる。
実際に処女を散らすまで、太いほうがいい、なんてものは都市伝説だと思っていた。一度体験するともうやめられない。大きいものを入れる感覚。
粘膜の感覚は薄くなり、次第に膣の奥底が熱くなってくる。子宮の回りにある性感帯。サムの手がそれらを押しつぶし始めている。
「サム、もっと!もっと!」
「んっ…!今、引っかかってるのがあって…あっ!」
ズン、とお腹に大きい衝撃が来た。一瞬、パンチでも食らったのかと思った。
当然ながら違う。下半身を見ると、サムの手が手首まで飲み込まれているのがわかる。
私の腹の中、腸のある部分はじんわりと違和感を訴えている。その違和感は…快感だった。
燃え上がるような熱と高揚感が頭にまで上がってくる。そこで気が付いた。この違和感は子宮だ。
人間の子宮は思っているよりもずっと可動域が広い。サムの手に押し出された子宮が、私のへそのあたりにまで到達している。
「あっ、はっ―」
声が出ない。サムに押し出され、肺の中の空気も出てしまったようだ。
ふー、ふー、という獣のような吐息を吐きながら、なんとか呼吸を整える。多分、うまく喋れない。
「提督?これ、奥まで入ったの?」
入っている。そうだ。私の子宮が、性感帯ごと蹂躙されている。熱い。苦しい。気持ちいい。
熱が私の頭を溶かす。なんとかして、サムに言葉を伝えなければ。熱い。熱い。熱い。
「ねえ、サム。」
「私のこと、壊していいから…もっと気持ちよくして。」
私はどんな顔で言ったのだろうか。多分、笑顔だと思う。だってサムも笑顔で答えたから。
サムがなんと言ったのかはわからない。聞こえなかった。次に聞こえたのは私の下半身から流れる悲鳴だった。
「あがっ!サム!もっ…もっとお!」
両手を顔で隠し、叫び声を抑える。こんな汚い顔と声、サムには見せられない。
サムは、私に教えられるまでもなく腕を前後運動させ、私に快感を与え続けた。
前後に動き、時折ひねる。それだけでもう十分だった。膣が擦れる感覚と広がる感覚が波のように襲ってくる。
グラグラと頭が上下に揺れる。腕の前後で揺らされているのか、自分が揺れているのかわからない。
目を瞑り、すべての感覚を下半身に集中させる。サムの小さい手が、私の体に包まれているのがわかる。
むき出しになったクリトリスが、乾いた空気に擦られて淫らに揺れているのもわかる。
しかしそこへ、唐突に温かい風が吹いた。あとで聞いたところによると、サムが息を吹きかけてみたらしい。
当時の私は何もわからず、ただ未知の快感に体を捩らせていた。そうしてサムが、その小さい口で、私のクリトリスを含んだ瞬間、飛んだ。
全身が引きつり、轟音で流れる血液とともに快楽が全身を駆け巡る。熱に浮かされた脳はパチパチと白い電撃で私の視界を埋める。
「あっ!ああああああああああああああああああ!!!!」
全身を溶けるような熱さと快感が襲い、汗と涙が滝のように溢れ出る。女性器がビクビクと痙攣し、愛液を垂れ流しているのがわかる。
すべての体液を放出しきっても、快感は止まらない。私の体を2周3周し、止めどなく私を飲み込んでいく。
私は、快感の渦へ落ちていった。
少しして、痙攣が収まり、全身の快感が引いてくる。熱はそのままだった。
「っはあ…ふぅー…」
意外にも、息は透き通るように静かに、そしてゆっくりと吐き出せた。心臓の鼓動もゆっくりと戻っていく。
「ん、抜けな…わっ!」
サムが濡れた手を抱えながら後ろに転ぶ。私の膣からようやく手が抜けたらしい。
手が入っている感覚も、抜けた感覚も感じられなかった。ついに私の膣はバカになってしまった。
重い頭を引きずるようにして、ゆっくりと起き上がる。まず、自分の下半身を確認した。
「うわっ…」
自分でもドン引きするほどの惨事になっていた。シーツはもはや用を為さず、ベッドの深くまでぐっしょりと濡れている。
棚の小物や壁紙にも飛沫が飛んでいるようで、湿っていたり、濡れていたりしている。
自分の指を膣に入れてみる。指2,3本ほどのスペースがぽっかりと膣に空いており、しばらく閉じそうにない。
膣の感覚も、かなり鈍い。感じられない、という程ではないが、全体的にしびれている様に感じる。
「すごい…それ、元に戻るの?」
起き上がったサムを見ると、同じように私の女性器をまじまじと見ていた。
ぶつけたのか、それとも私の姿に興奮してくれたのか、また鼻血を出してしまっている。
そんなサムが急に愛おしくなって、襲った。
両手で小さな頭を掴み、顔に寄せる。驚くサムに構わず唇を奪い、そのまま吸い上げた。
血の味。足りない。唇から鼻へと移り、キスの嵐を浴びせる。
「提督!くすぐったいよ!」
両手で無理矢理顔を突き放される。それに構わず、今度はサムの指に吸いついた。
「んもう…提督、赤ちゃんみたい。」
呆れたような、怒ったような笑顔。本当に可愛らしい。私は指を離すと、サムを抱きしめた。
「あーもう!気が変わったわ!どこまでも一緒にいてあげる。」
「ホント!?」
「ええ、あなたは私のモノよ。サム。誰にも渡さない。」
「えへへっ、わたしも!提督にずーっと、ずーっとついていくからね!あっ、でも住むのはアメリカにしよ?」
「気が早いわね、あなた。」
「えへへ。」
サムが私を抱きしめ返す。サムの鼓動と、私の鼓動が重なる。とても温かい。
初めは私が教えるつもりだったのに、なんだか私の方が教えられたような気がする。
切っ掛けは体が入れ替わっただけ。でも今は…心で1つになれている。交じり合っている。
この子でよかった。そう、心から思う。
朝。気分のいい朝。のはずだった。
私はあのあと、サムをお風呂に入れて自室に帰した。一方私は、悲惨な事になっているベッドの片付けから始めねばならなかった。
一応、マットもシーツも洗濯可能なもので揃えられているが…あの時間帯に洗濯などすれば当然バレる。
とはいえ昼間にあんなデカいものを運べば当然バレる。結局のところ、私が風呂場で手洗いする他にない。
深夜になんとか洗濯を終えても、乾くのは明日明後日の話。幅が足りない硬いソファでなんとか2,3時間眠りにつけたという有様だ。
なんの事前準備もしていなかった昨日の自分が恨めしくなる。
「提督、どうかされましたか?ずっと暗い顔をされてますが…」
遠征から帰って来ていたフレッチャーが、淹れたてのコーヒーを机に置いてくれる。
「ああ、ありがとう。いや、昨日変な夢を見ちゃってね。眠れなかったの。」
「それはいけません。今日はわたくし達が代行しますのでー」
「いや、いいの!フレッチャーとジョンも遠征から帰ってきたのは今朝でしょ?こんな所にいないで、自室で休みなさい。」
「ですがー」
「サムがいるからいいの!コーヒーとか、サムにやってもらうから!」
「そう、ですか?わかりました…では、お休みを頂きますが…」
フレッチャーの歯切れが悪い。
「どうかした?」
「いえ、提督がサムを頼りにされるのって、珍しいなと。入れ替わった時に何かあったのですか?」
「ええ、まあ…あの子も、ちゃんと私の役に立とうとしてくれてたんだな、って。そう実感したの。」
「そう仰ってくださるなら、サムも喜びます。ありがとうございます、提督。」
「いいの。じゃあ、休んでなさい。おやすみ。」
「はい。では失礼いたします。」
フレッチャーは一礼すると、執務室から自室へと戻っていった。離れていく足音の代わりに、走ってくる足音が聞こえる。
「Good morning!提督!おはよう!」
部屋に響き渡る大きな声で、サムが挨拶をしてくる。寝不足の頭に響く声が、なぜか気持ちいい。
「おはよう。サム。」
挨拶を返すと、サムはそのままドタバタとこちらに歩み寄り、顔をずいと私の目の前に持ってくる。
綺麗な瞳、キューティクルな水色の髪、膨らんだ頬。可愛らしい。
意図がわからないでいると、サムが私の唇にキスをした。
「えへへ、おはよう!」
私はサムにキスを返す。
「おはよう。私のサム。」
「えへへ。」
何かおかしいのか、サムはそのままニコニコと私に微笑む。思わず、私も顔が綻んだ。
「じゃ、今日は私がお手伝いするから!何でも言ってね!」
「そうね…朝ごはんお願いできる?コーヒーはもうあるから。」
「All right!まっかせて!」
そう言って給湯室に駆け込んでいくサム。直後にけたたましい音がしたが、気のせいということにしておく。
ぐっと背伸びをする。サムの体よりずっと長い腕。
顔をぴしゃりと叩き、眠気を吹き飛ばす。心なしか、肌艶が戻った。ような、気がする。気がするあだけかもしれない。
でも、気がするだけでもいいと思い始めた。
もう自分の事や、サムの事で悩むことはない。私達はもう1つになれたのだから。
そう考えると、何もかもが吹き飛んだ気がした。
「…あっ!お皿!」
何かが割れる音がした。気のせい!