※この作品はR-18です。

Melody of wakaba's Fashion   作:白羽小鈴

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出会い

「だ、だめです。命を無駄にしちゃあ」

そんなとんでもない一言で彼女との出会いは始まった。

 

「どうすっかな・・・これから・・・」

俺は歩道橋の上でうなだれる。ファッションデザイナーを目指し大学に通いもう4年。卒業が迫り就職活動を終わらせなくちゃいけないのにそれすら未だに終わっていない。そもそも卒業できるかが問題だ。単位は十分にある。問題は

(全然閃かない・・・)

卒業制作の為の作品ができないのだ。3年の終わりにとある事件がありそれ以来服を作れなくなってしまい就職活動もままならない状態になってしまった。救いなのはその事件の事で教授たちは同情的で色々助けてもらってはいる。けど・・・卒業できても就職はもうダメかもしれない。なんの為に服を作ってるのか分からなくなってしまった。服が作れないそんなやつを雇うアパレル会社なんて無い。といって服関係以外で就職なんてもっと無理だろう。ふと歩道橋から近くのビルに掲載されている看板を見る。そこ描かれたのは最近有名な女優。昔はテレビに映る女優を見て自分ならこういう服を仕立てるのにと思い行動し作品を制作していたがそれもできない。有名な女優なのだからもう他の女性を見ても服を仕立てるなんて不可能だろう。

(結局俺は何がしたいんだろう・・・)

生きている意味が分からなくなってしまっている。そんな時

「だ、だめです。命を無駄にしちゃあ」

そんな叫び声と同時に思いっきり腕を引っ張られて後ろに引かれる。そして

むにゅ~

今までに触った事の無い柔らかさの物が腕に押し付けられる。突然の事で何が起こったか分からず慌てながら振り返るとベレー帽をかぶった女の子が俺の腕にしがみついている。

「だめです。いくら辛くても死のうなんて。事情は知りませんが死ぬのはダメです」

涙目で必死に叫んでいる。死ぬ?誰が?

「は?いや・・・え?」

数秒硬直しやっとなぜこうなってしまったのか理解するあ~彼女はきって俺がここから投身自殺をしようとしているように見えたから必死に止めてるのか・・・

「大丈夫。死のうとかそんな思ってませんから」

必死な彼女に向って笑って言う。落ち込んではいたし生きる意味を失っていたが流石に死のうとは思ってはいない。絶対に

「ほ、ホントですか?」

「ああ、ホント」

「・・・・・ふ~良かった~」

それを聞いて知らない女の子は安堵の表情をうかべその場にペタンと座りこむ。

「だ、大丈夫?」

そんな女の子に向って手を差し伸べる。

「あ、ありがとういございます」

女の子は俺の手を掴むが

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・?」

なかなか立ち上がろうとしない。もしかしてさっき座り込んだ時どこか痛めたのかと今度はこっちが心配していると

「ごめんさない。安心したらその・・・腰が抜けちゃって」

顔を赤らめ恥ずかしそうにしている。初対面にも関わらずこんなにも心配されるなんて・・・人を信じられなくなっていた自分にとって彼女には悪いがこの光景微笑ましく。

「ははっ」

思わず笑ってしまった。

 

「少しは落ち着いた?」

結局あのまま放って置くわけにもいかず腰が抜けた彼女が立ち上がる事ができるまで待ち心配してくれたお礼を兼ねて近くの喫茶店に入り腰を落ち着かせる。

「はい・・・ごめんさない。私が勝手に勘違いしてあんなに取り乱してそれで今度は助けてもらうだけじゃなくこうして奢ってもらっちゃうなんて」

「いいよ。あんなにも必死に止めようとしてくれたんだから。ごめんね。勘違いさせるような事しちゃって。でもそんなに切羽詰まった様子だったかな?」

自分的にはそんなにまで思い詰めていなかったのだが

「いえ。下の道を歩いてたら歩道橋から今にも身を投げ出しそうだったのでそれで慌てて様子とかは全然」

まさか下からあそこまで走ってきてくれたなんて。お人よしというかなんというか・・・

「そうだったんだ。看板を見ててね。でも勘違いさせるような事をしてたのは事実だね。改めてごめん。そしてありがとね」

(それにしても・・・)

あの時は突然の出来事で全然顔を見る余裕が無かったが改めて彼女の顔を見る。

(かわいいな)

こんなにかわいらしい女の子は滅多にいない。服のデザインの関係で雑誌のモデルなんかも実際に見たことがあるがそれ以上の可愛さだ。それこそさっき見ていた女優なんかよりも良いと思える。それと同時に

(俺こんなかわいい子と二人っきりでお茶してるんだ)

大学の学部は学部だから女性が多いが特に親しい女性の友人はいない。まして女性とカフェにしかも二人っきりで居るのは初めてで今更ながら緊張してくる。

「そういえば君って大学生?」

緊張を和らげるまめとりとめのない話題をだす。

「は、はい大学一年生です」

「そっかじゃあ同じ大学かも」

そう言って自分の大学証を見せる。

「あっホントですね。へ~ファッションデザイン学科の方だったんですね。じゃあ将来はファッションデザイナーさんなんですね。すごいです」

「いえいえ。まだ卒業してませんから。そもそも卒業できるかどうかかなり危うくて・・・」

「ご、ごめんさない。知らないのに勝手な事・・・やっぱり就職難しいんですか?」

「それもあるし・・ちょっと服の事で色々と悩んでて」

「そうなんですか・・・でもやっぱりすごいです。お洋服とか作れるんですよね。もしかしてその服もご自分で?」

「まさか・・・そもそも作ってるのは女性用の服ばっかりですよ」

そう言って彼女の今度は身体を見る。

バーン

(でっか)

改めて見るとおっぱいがすごい。こんなに大きな胸の女の子生まれて初めてみた。

「あ///」

俺の視線に気づいたのか顔を赤らめて胸元を隠し身をよじらせて身体を見せないようにする。

「ご、ごめん。ずっと見ちゃってデリカシーに欠ける事を・・・・」

「違うんです。その・・・ファッションデザイナーさんにこんな服見られたくなくて・・・ひどい恰好ですよね」

「あ~」

納得してしまう。確かに彼女の着ている服は大きな胸のせいでダボダボで太って見えてしまうし違和感があるし。色も大学生にしては地味だ。

「この胸が大きすぎてかわいい服なんて着れませんし。同じ学年のお友達はみんなオシャレしてかわいい服を着てるのに私はこんな・・・あっごめんなさい。こんな愚痴言っちゃって・・・」

シュンと凹んでしまう。そんな彼女を見ていたたまれない気持ちになってしまう。素材はとてもいいのにもったいない。彼女をじっとみる。胸が入らないためにゆったりサイズの服を着ている。そうなってしまうと必然的にウエストも同じになるので太ってるという印象を与える。お腹を出すというファッションもあるがそれは彼女の性格からして無理だろう。そうだな・・・俺ならまずコンパクトに仕上げて・・・

「ん?」

今自然と彼女の為のファッションをコーディネートする事ができた。最近はそんな事できなかったのに。自然と考えられた。

!?

ふと俺はある考えを閃く。彼女の為の服なら仕立てられるんじゃないのか?最近全然服を仕立てられなかったのに彼女ならできた。彼女が来たい服が無いと言っていた。それならいっそ俺が作ればいいんじゃないか。

「ど、どうかしましたか。怖い顔をして」

「あ、ごめん。少し考え事を・・・」

そうだ。卒業制作の服を彼女の為に作ればいいんじゃないか。題材として彼女に喜んでもらえる服。巨乳な子でも着れる素敵な服を・・・

「あのさ・・」

そんな案が閃き彼女に提案しようとするが寸前で止めてしまう。

(落ち着け俺。出会って間もないのに作った服を着てくれないかなんて言ってもOKを貰えるわけないじゃないか。そもそも服を作るにはスリーサイズとか女の子の大事な事を聞く事になってしまう。そんなのセクハラだと言われるに決まっている。喜んでもらうはずなのに悲しませてしまうかもしれない」

「どうかしました?」

「いや・・・その・・・」

言っていいのか悪いのかどうしたらいいのか迷ってしまう。

「あ、あの・・・」

そんな俺の態度を見て彼女は意を決したように声を出す。

「わ、私なんかでお役に立てるのならなんでも言ってください」

「な、なんでも?」

「は、はい。あ、でも無理な事はできませんからね」

どんなお願いを想像したのか真っ赤になり慌てふためく。でも彼女まなざしは真剣でそんな彼女の目を見て俺は意を決して言う。

「じゃあ。もしよかったら。君に合う服を作ってみるから俺が作った服を着て意見とか聞かせて欲しいな・・・なんて」

そうは言うがだんだん不安になり言葉はどんどん小さくなっていく。

・・・・

彼女はきょとんとした顔だった。やっぱりいきなりそんな事言うなんておかしいし拒絶するに決まっている。

「やっぱりごめ・・・」

謝ろうとした時

「そんな事ですか。はい。喜んで」

俺の考えとは真逆で彼女は笑顔で答えてくれる。

「え?いいの」

「はい。デザイナーさん志望なんですよね。制作のお手伝いになるのなら喜んで。むしろ私の為の服なんて光栄です」

「光栄なんてそんな・・・まだ学生だから市販のとは違うよ。そもそも実を言うと最近ちょっとごたつきがあってそれでなんていうか・・スランプになっちゃって服ができなきなっちゃってて。何よりも服の仕立てだからスリーサイズとか測るとか聞く事になるんだよ」

「それならなおさらです。スリーサイズを知られるのは恥ずかしいですけど。お仕事だから当然ですし。なによりもスランプだというのにも関わらず私の為に作るって提案してくださったんですよね。その思いを無駄にはしたくありません。スランプ脱却のために私が出来る限りの協力をしたいと思います」

まさかの快諾に驚く。まさかこんな令和の時代にこんなピュアピュアな子がいるなんて思いもしなかった

「じゃ・・・その・・・お願いしてもいい・・・かな?」

「はい」

にっこりと笑顔を浮かべた。

「じゃあよろしくね。え~とそうだ。まだ名前聞いてなかったよね」

「そ、そうでしたね。まだ名前言ってませんでしたね。若葉です。神乃原若葉です」

「これからよろしくお願いね。若葉ちゃん」

「はい。こちらこそよろしくお願いしますね。先生」

「先生?」

「だってファッションの先生になるんですから。先生でいいかなって」

「先生か・・・先生なんてそんなまだ未熟だけど・・・いや。若葉ちゃんが喜んでくれるように頑張って先生になるよ」

こうして俺と神乃原若葉ちゃんと出会った。

 

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