※この作品はR-18です。

転生チート転生者   作:五郎。

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よろしくお願いします。


手駒たちの個性と襲撃

 

 手駒と肉オモチャを確保してから3年が経ち、10歳になった。

 

 この三年の間に俺たち4人の関係性が気安くなったり、俺が鋏ちゃんにやっていることが他の手駒2人にバレたりしたが、関係が壊れるほどの大きな出来事はなかった。

 

 

 それと1番初めに俺に近づいてきた手駒1号のサカヤ オトコちゃん。

 

 個性については容姿通り動物系の『山羊』だと思っていたのだが、名前の漢字を知ってから少し疑問が浮かんできた。

 

 俺は坂屋 乙子だと思っていたのだが、酒屋 音子と書くらしい。

 

 …………何系の個性なんだろうなぁ。

 

 必ずしも名前に個性関連の言葉が入るわけではないのかと思っていたけど、意味有り気な漢字が入ってくるとそれも怪しくなる。

 

 身体的特徴に関連しない発動型だったりするのか? 

 

 そう考えてみると音子ちゃん、脚力が特別あるとかじゃないし、動物系っぽくは無いんだよな。

 

 もう少しいろいろと試してみる必要があるかもな。

 

 …………酒でも飲ませてみるか? 

 原作でも酒関連の個性のヴィラン、いっつも飲んでいるみたいだったし、何か自覚を促すのに使えるかもしれない。

 

 下の名前の音に関連する個性の可能性も含めて、色々考えておこう。

 

 

 音子ちゃんの個性について考察したついでに俺の個性『必中』についても、今更ながら説明しよう。

 

 個性『必中』

 

 変則的な念動能力だ。

 

 触れたモノから、手を離すことで発動させる。

 

 触っていたモノを俺が見ている標的に向かって飛ばし続けることができる。

 追尾弾の様にすることができるわけだ。

 

 ただし、この能力には物体を加速させる力はない。

 

 …………いや厳密にいえば運動の向きが変わっているから加速はしているのだが、そういう事ではなく。

 

 ゆっくりと投げたボールはそのスピードを維持しながら、標的に向かっていくというわけだ。

 スピードアップしたりはしない。

 コントロールの補助にはなるが、球速や球威の助けにはならないのだ。

 

 俺がどれだけ力もうが、唸ろうが、気合を入れようが加速しなかったので、もうそういう制限があるモノとして受け入れた。

 

 もう一つの制限として「個性を使用中、標的を見続けないといけない」というのもあり、こちらはまだやり様があるのだが…………。

 

 

「加速させられない」という制限が結構使い方を限定してくる。

 

 

 まずこの個性を戦闘に使おうと考えたとき、俺は弓矢に『必中』を使おうと考えた。

 

 だがしかし。

 

 意気揚々と無限収納(ストレージ)から取り出した弓に矢をつがえ、手を離すときに『必中』を使用した。

 

 その瞬間すごい勢いで弓の方が顔面に飛んできて、俺は盛大に鼻血を吹き出す羽目になった。

 

 よく考えればわかることだった。

 

 弓矢は、矢から『手を離した後に』加速する。

 その矢が加速せずにいるのなら、弓の張力は自分をぶん殴ることに使われるよね。

 おれって、ほんとバカ。

 

 指切り落としたりしなかった分良しとしたけど…………。

 

 夜にこっそりやってた練習だったから、手駒にバカを晒さずに済んだし。

 

 同じようにパチンコとかも無理だと理解した。

 

 

 

 結局最後にはダーツを武器にすることにしたんだけど、手投げだから威力の問題がある。

 

 数でゴリ押すしかないかな

 

 それか完全に急所狙いをするか。

 …………少年紙の能力バトル漫画でやっていい戦い方じゃないんですが…………。

 眼球にダーツが刺さって死んでいる敵キャラとかなかなか無いだろうな。

 

 …………まぁ、原作ヒーロー勢ならだれもが余裕で対処できそうなんですがね。

 

 身体能力も素で高いんだよなぁ、この世界の人間。

 

 見てからキャッチ余裕でした、とか言いそう。

 

 グヌヌ、もっと使い方を考えないとなぁ。

 

 

 

 まぁ、俺の個性についてはそんな感じだ。

 

 音子ちゃん以外の手駒の個性についても、分かっていることをおさらいしようか。

 …………俺の個性とのコンビネーションを思いつくかもしれないし。

 

 

 鋏ちゃんの個性は指が刃物になっていて、それを伸ばすことができるというものだ。

 

 刃物の方に痛覚は無いようで、伸ばした分を折ったりしても大丈夫らしい。

 

 俺とのコンビネーションを考えるとしたら、刃物を作ってもらって俺が飛ばすとか? 

 …………持ち手なくて危ないんだけど。

 

 まぁそんなことせずとも念能力抜きなら俺よりも強いだろうね。

 距離にもよるだろうけど。

 

 

 そして映ちゃんの個性は前にも説明した通り、自身の視界の設置。

 

 設置可能数は自身の眼球の個数と同じ2箇所までで、設置した視界は常にその場所を移し続けるため、目の前は見えなくなる。

 

 定点カメラのような使用感の遠視能力ってところだ。

 

 オンオフが効くなら俺も欲しかったところだ。

 

 本人の気質もあって、いつも何かしらを盗み見ているみたいだ。

 盗撮魔の様な奴なのである。

 

 職員に勉強を教えられている間以外は、ほとんどいつでも両目分、2箇所に個性を使用しているのでこいつも鋏ちゃんとは別の意味で要介護者だ。

 

 片目分は使わないでおけよ……、俺らとつるむ様になる以前は普通に生活していただろうがい。

 

 まぁこのように個性は非戦闘系だが、悪用方法はいろいろ思い浮かぶモノだ。

 戦闘補助にも使えるだろう。

 

 

 

 こいつら手駒3人組をどう上手く運用するか、そこも自分の個性同様に考えなきゃいけないところだ。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

 

 

 自分の個性について人に試す機会は存外早く訪れた。

 

 すごく珍しいことに、マジメに施設職員の授業に出ていたある日のこと。

 

 授業内容が光る子供が生まれた以降の、異能者が広まりつつある社会についての内容だったから面白くて聞いていたのだが。

 

 

 …………ガチャンッ!! 

 

 

 その音と共に、窓際で暖かな日差しを受けていた俺にガラスが降り注いできた。

 

 咄嗟にオーラを纏って身を守ったが、気が抜けていたので背中からドッと冷や汗が吹き出した。

 

 教室にいたガキ共の半分は、悲鳴も上げずに急いで席を立って逃げ出した。

 

 危機管理意識たけぇな、おい。

 

 そして残りの半分は施設職員の方に目をやって指示を待っている。

 

 …………こっちの方が年相応か。

 

 

 俺といつもつるんでいる手駒3人はすぐさま俺の方に寄って来て、特に音子ちゃんは涙を浮かべて怯えている。

 

 なにやら外から複数の人間が叫んでいる声が聞こえてくる。

 

 いきなりモノを投げて窓を割ってきたってことは、結構過激な反異能団体か、周辺の住民の過激なデモ活動か…………。

 

「あ、中君! どうしようどうしようどうしよう!!! 私たち、殺されちゃう!?」

 

「いや、さすがに? でも、原作から行くと、あり得るのか?」

 

「い、いやっ! 助けてっ!」

 

 ガクブル震えて、抱き着いてくる音子ちゃん。

 ぶっちゃけ、治安の悪さ的にこの反応は正しい。

 

「…………まだ園の中には入ってない見たいっすねぇ。他の子囮にして、今のうちに逃げちゃいます?」

 

 そう言ってゲスい提案をしてくるのは、映ちゃん。

 

 俺らの中じゃ一番この施設に仲の良い子が多いはずなのに、その提案はどうなんだ? 

 

「わ、悪い奴は刺す! 中とみんなを守ってあげる!」

 

 気丈に宣言するのは、鋏ちゃん。

 

 自身のコンプレックスであるはずの指の刃物を広げて見せているが、その先端は震えている。

 …………ビビってますねぇ。

 

 彼女は性格的に、戦闘に向いてないしな。

 

 

「お前ら、命の危険はないから安心しろ」

 

 そう言うと、俺の手駒以外のガキ共、それに職員も俺の方に注目して話の続きを待っている様子だ。

 …………職員が何をオロオロしてるんだよ。

 

「この施設は別に金があるわけじゃないから、襲われるとしたら反異能思想によるものだ。…………分かんないかな? つまり相手に異能持ちがいないってコト。武装してるかもだけど、そこまで危険じゃない」

 

 

「「おぉー!!」」

 

 周囲の奴らは感心したような声を上げているのが、俺にとっては危なくないってだけ、なんだけどなぁ…………。

 

「…………いまだに声が聞こえてくるし、職員も役に立たなそうだから、俺が何とかしてくるわ」

 

 そう言うと、職員は顔を引きつらせながら

 

「あ、あまり怪我させないように…………」

 

 とだけ言ってきた。

 事実上の黙認って感じだな。

 

 さぁって、久しぶりの弱い者いじめ兼能力実験だ! 

 

 

 

 表に出ると、予想以上の人間が集まっていた。

 50人以上は居るな。

 

 そのうち施設側の人間はたったの5人程度で、どうにか説得しようとしているが、火に油。

 正義は我らに在りと、ヒートアップしている。

 

 まぁ、無個性の方が多いうちはその通り、そっちが正義だろうさ。

 数が逆転してからたっぷり迫害してやる。

 

 だがまずは今できるお楽しみだ。

 

 

 

「皆さん、聞いてください! 僕もこの施設で生活させてもらっている子供です! ここから外に出たこともありません! 他の子供たちみんなそうです! ここで細々と生活することを許してください!」

 

 そうやって、なんとか哀れっぽく振舞う。

 

 

 ……いややっぱりできてないわ。

 俺、大根役者だもん。

 

 その証拠に、集まっている大人たちは俺の方を睨みつけ、今にも殴りかかってきそうな様子だ。

 

 よっぽど棒読みだったかな? 

 煽っているように聞こえたかもしれない。

 

「お前らみたいな保菌者が、我々の生活圏に居るってだけで、ゾッとするんだよ! なぁ、そうだよなぁ、みんな!!」

 

 ヘルメットを被り、鉄パイプを持った男が集団の先頭でそう宣言する。

 

 すると後ろにいた集団もガヤガヤと耳障りな叫び声をあげて、それを支持している様子を見せる。

 

 

 良かった良かった。

 

 まともな良識を持った人間なら、子供に厳しく当たってこないからな。

 これなら俺の望む展開に持っていけそうだ。

 

「おうおうおう!! それならどうすんだよ、非異能者共が! 平日のこんな時間から、ここに来れるってことは無職のウンコ製造機なんだろ、どうせ。それなら黙って家でピコピコゲームでもしとけや、カス共!!」

 

「クソガキがっ!!!」

 

 そう言って、先頭の男が突っ込んでくる。

 

 あ・ありがてぇっ……! 涙が出るっ……! 

 期待通りの反応だ!

 

 勢い込んで突っ込んできた男の体に一瞬触れて離すと、鉄パイプを振りかぶった格好のまま、反対方向に吹っ飛んでいく。

 

 

 手で触れて、離す。

 

 

 たったそれだけの動作で俺の『必中』は発動する。

 

 そしてその速度は手を離した時の速度を維持する。

 

 つまり相手が勢いよく突っ込んできたときにタッチすれば、反対方向に設定した標的に向かってぶっ飛ばすだけで、視覚効果抜群の反撃になるわけだ。

 

 

 そのまま標的にした街灯めがけて飛んでった男が、衝撃音を立てながらぶつかり、地面へと倒れ込む。

 

 いい速度だったおかげで、ダメージも十分。

 

 そしてそのおかげで、調子に乗っていた集団も静まり返っている。

 

「手加減してあげたんだけどなぁ? うん、次の人はもっと優しくしてあげるよ」

 

 手招きしてみせるとさらに動揺は広がり、捨て台詞も吐かずにそのまま集団は解散していった。

 

 

 完全に集団が去ったのを見送ってから、未だにこちらをうかがう施設職員に対して

 

「早くそこのゴミ、病院に連れてけば? さすがに人死にはまずいんじゃないの?」

 

 と言ってやってからようやく、俺が吹っ飛ばした男は病院へと運ばれた。

 

 反異能の奴らも仲間なら回収してやれよ。

 

 病院で死んだりしないよね? 

 この世界の無個性者の耐久力が分からないから、不安だ。

 

 流石に人を殺したら施設から追い出されちゃう。

 

 

 




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