※この作品はR-18です。

フランスから来た牝猫 BAD END   作:muzineki

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1:敗北

午前零時、一日の始まりと終わりが交錯する静寂の時間帯。

とあるビルの屋上で、二人の女が激しい戦いを繰り広げていた。

 

「たあっ!」

 

青いレオタードを着た長い黒髪の女が、助走をつけた膝蹴りを放つ。

 

「がはっ!」

 

顔面に膝を受けた金髪の女が、ヨロヨロと後退する。

そこへ黒髪の女はアッパーを叩きこみ、さらに回し蹴りで追撃した。

 

「ぐふっ!」

 

吹き飛ばされた金髪の女が、ビルの屋上をゴロゴロと転がる。

そして倉庫の壁へと叩きつけられた。

 

「はぁ……はぁ……今度こそ終わりよ、偽キャッツ!」

 

黒髪の女――女怪盗キャッツアイ、来生瞳は肩で息をしながら歩み寄った。

しかし金髪の女――フランスから来た女怪盗カトリーヌは、薄笑いを浮かべながら立ち上がる。

 

「クックック……残念だったねキャッツアイ、この程度じゃ私は倒せないよ」

 

ダメージなど無かったかのように、カトリーヌは真正面から突進した。

それを受けた瞳は、カトリーヌと両手を組み合わせる。

互いに腕力で押し合う筋力勝負。

カトリーヌは体格差を生かして瞳をグイグイ押すと、ビルの端へと追い詰めていった。

 

「ほらほら子猫ちゃん、このままだとビルから落されるよ」

 

「くっ!」

 

瞳は手を組み合わせたまま長い脚を折り曲げると、カトリーヌの顎を蹴り飛ばした。

そして後退したカトリーヌに拳を叩きこみ、さらに背後へ回り込んで蹴りを放つ。

技のキレ、そしてスピード、筋力以外はあらゆる点で瞳の方が勝っている。

傍目から見れば、圧倒しているのは常に瞳だ。

 

「たあっ!」

 

月を背に跳躍した瞳が、体重を乗せた蹴りを放つ。

顔面から受けたカトリーヌはたまらず吹き飛び、筋肉質の体がドスンと音を立ててコンクリートの床へと叩きつけられた。

 

「手応えあったわ、今度こそ倒したはず……」

 

勝利を確信した瞳が、仰向けに倒れた金髪の女怪盗へと近づく。

しかしカトリーヌは、何事も無かったように勢いよく跳ね起きた。

 

「そ、そんなバカな……普通ならあの一撃で気絶するはず!」

 

唖然とする瞳に、不敵な笑みを浮かべてゆっくりと迫るカトリーヌ。

その圧力に押された瞳は、本能的に後ずさった。

 

「どうしたんだい、仕掛けないならこっちから行くよ」

 

言葉と同時にカトリーヌの鋭いパンチが瞳を襲う。

かろうじて避けた瞳だが、疲労のせいで動きが鈍っている。

もはや避けるのが精いっぱいで、反撃に移る事も、間合いを取ることもできない。

一方のカトリーヌは、息すら乱さず次々と攻撃を繰り出してくる。

 

(な、なんてタフなの……このままでは、負けてしまう!)

 

焦った瞳は、強引に蹴りを放った。

だがカトリーヌはそれを避けもせず、鍛えられた腹筋で受け止める。

 

「痛ぅっ!」

 

まるで大木を蹴ったような痛みに、瞳の美貌が歪む。

カトリーヌはその隙を見逃さず、鋭いミドルキックを放った。

 

「ぐっ!!」

 

鳩尾を蹴られた瞳が息を詰まらせる。

胃を押し上げられる鈍痛に、思わず手で腹を押さえてしまう。

カトリーヌは前傾姿勢になって足を止めた瞳を捕まえると、肩と頭を抱えた。

そして青いレオタードに包まれた肢体を高く持ち上げ、肩車の高さから地面に叩きつけた。

 

「あうっ!!」

 

背中からコンクリートの地面に打ち付けられる瞳。

かろうじて受け身は取ったが、電気を流されたように手足が痺れて動けない。

 

「さあ、そろそろお返しをさせてもらうよ」

 

口元を吊り上げたカトリーヌが、高々と跳躍する。

仰向けのまま動けない瞳の鳩尾に、たっぷりと体重を乗せた膝が突き刺さった。

 

「がふっ!」

 

腹部への打撃に呻き声を漏らす瞳。

あまりの苦痛に息が詰まり、全身が痙攣する。

カトリーヌは大袈裟に脚を振り上げると、瞳の豊かな胸を踏みつけた。

 

「がはっ! がはっ! ぐうっ!」

 

「ほら、誰が休んでいいと、言ったんだい? 反撃してごらん、キャッツアイ」

 

大胆にV字カットされたレオタードの上から胸を踏みつけたカトリーヌが、言葉の一区切りごとに体重をかけて乳房を押しつぶす。

屈辱的な攻撃に、瞳は息を乱しつつも上目で睨みつけた

そしてカトリーヌの足が緩んだ隙にストンピングから抜け出し、立ち上がる勢いのまま両手でカトリーヌの顎をかちあげた。

 

「がっ!」

 

瞳はさらに身を屈ませると、エルボーで追撃する。

思わぬ反撃に怯んだカトリーヌは、たまらず間合いを取った。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

「チッ、しぶとい子猫だね……もう容赦はしないよ!」

 

怒りを爆発させたカトリーヌが、ラリアットを仕掛ける。

瞳は冷静かつ素早く身をかがめると、太い腕を掴んで投げ飛ばした。

相手の勢いを利用し、流れる様に後ろに放り出す見事な早業だ。

だが投げ飛ばされたカトリーヌは、すぐに体制を立て直して襲い掛かる。

 

「だぁぁぁぁぁっ!」

 

鬼のような形相でカトリーヌがタックルを仕掛ける。

気圧された瞳は、とっさに逃げようとする。

だが疲労とダメージの蓄積で、体力はもう限界であった。

脚が思うように動かず、タックルをまともに受けてしまう。

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!!」

 

悲鳴と共に、まるで交通事故のように青いレオタード姿が宙を飛ぶ。

背中からコンクリートの床に叩きつけられた身体は、ゴロゴロと転がり屋上を囲む金網へと叩きつけられる。

俯せに倒れた瞳は、もはや立ち上がることもできない。

 

「ほらほら、もう少し遊んでおくれよ、キャッツアイ」

 

カトリーヌは仕上げとばかりに、瞳の髪の毛を鷲掴みにして立ち上がらせる。

そして棒立ち状態の瞳に、膝蹴りを叩き込んだ。

 

「がはっ!」

 

無防備な腹へ強烈な一撃に、瞳は息を詰まらせる。

 

「がっ! ぐぇっ! がはっ!」

 

容赦のないカトリーヌの膝蹴りが、何度も瞳の腹へと叩き込まれる。

たまらず瞳は膝を折った。

するとカトリーヌは瞳の髪を離し、側頭部をボレーシュートのように蹴り飛ばした。

 

「あがっ!!」

 

ボールのように吹き飛ばされた瞳が、激しく弾んで床を転がる。

しなやかな肢体は倉庫の壁に叩きつけられ、ぐったりと倒れた。

 

「まったく無様だねぇ、だから私と手を組むと言っておけば良かったのに」

 

残酷な笑みを浮かべつつ、カトリーヌは再び瞳の髪の毛を掴んで起き上がらせた。

軽い脳震盪を起こしている瞳は、両腕をダラリと垂らしている。

 

「や……やめて……もう許して……」

 

瞳の口から遂に許しを乞う言葉が漏れる。

彼女に抵抗する力はなく、戦う気力さえも失っていた。

 

「フン、残念だけど許さないよ。アンタに私に逆らうとどうなるか、タップリと躾をしなきゃいけないからねェ」

 

そう言うとカトリーヌは、両手で瞳の首を絞めた。

はっと瞳が気が付いた頃には、つま先が床から離れていた。

 

「がっ! はっ! や……やめて……」

 

瞳はネックハンギングツリーから脱出しようと、脚をバタつかせて必死に悶え暴れる。

だが首を絞めるカトリーヌの手はびくともしない。

それは文字通りの絞首刑であった

 

「ハハハハハ、いい格好だよ、キャッツアイ」

 

高笑いをしながら、カトリーヌはさらに両手に力を込めて瞳の首を圧迫する。

食道と気管が圧搾される音が、瞳の頭に響く。

首絞めから逃れようと必死に抵抗するが、四肢に力が入らない。

脳への血流が遮断されているため、思考さえ失われていく。

 

「がっ……! がはっ……」

 

やがて瞳の口から、カエルが潰れたような声が吐き出された。

両手と両足が、だらりと垂れ下がる。

美貌は苦悶に歪み、だらしなく開いた口元からは唾が溢れ出ていた。

見開かれた目は焦点が合っておらず、ただ涙だけが流れている。

 

「フフン、今日のお仕置きは、ここまでだね」

 

カトリーヌが手を離すと、白目をむいた瞳の身体が床へと落ちた。

失神してしまったらしい。

 

「まったく反抗的な子猫ちゃんだったねぇ。ま、そっちの方が調教する楽しみがあっていいけどさ」

 

そう言うとカトリーヌは、瞳の唇にキスをした。

そして瞳の身体を左手一本で抱え上げ、屋上の手すりまで運んでいく。

 

「まずはその身体が理解するまで、誰がご主人様なのかをタップリと躾けてやる。うふふっ、楽しみだねぇ」

 

カトリーヌは手すりに引っ掛けたロープを握ると、ビルから飛び降りた。

そして瞳を抱えたまま、夜の闇へと消えていった。

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