次の日の深夜、南東京美術館。
そこで目玉となる展示品『冬の涙』と呼ばれる宝石が盗まれる事件が発生した。
犯人は、キャッツアイと名乗る女盗賊。
停電で警備員が混乱している隙を狙っての犯行であった。
「キャッツアイを探せー!」
刑事の声とパトカーのサイレンが、夜の街に響き渡る。
静かなはずの夜の街は、喧騒に包まれていた。
1時間後、警察の追っ手を撒いた瞳は、逃走用のスポーツカーを走らせていた。
行き先は、市街地から遠く離れた古びた野球場。
共犯者カトリーヌとの待ち合わせ場所だ。
「どうやら無事に逃げ切れたようだね」
バックネットの前で待っていたカトリーヌが、瞳を出迎える。
瞳は胸の谷間からダイヤモンドを取り出すと、カトリーヌに差し出した。
「お望みの物よ、確認して」
「うん、確かに冬の涙だ、約束どおりいただくよ」
ダイヤモンドを確認すると、カトリーヌは懐にしまった。
「私が警備を混乱させていたとはいえ、こうもあっさりと盗み出すとはね、さすがキャッツアイだ。やはり私の目に狂いは無かったよ」
「お褒めの言葉はいいわ、それより約束よ、姉さんと愛を帰して」
「わかっているよ」
そう言うとカトリーヌは、瞳の足元にメモと鍵を投げた。
メモに住所と手書きの地図が書かれていた。
「アンタの姉と妹はその倉庫にいる、鍵はそれさ」
「間違いは、無いでしょうね」
「もちろんだよ、だってアンタと手を組むための保険は、まだあるからね」
そう言うとカトリーヌは、スマートフォンを瞳の前に突き出した。
はっと瞳の動きが止まる。
そこにはダイヤを盗んでいる瞳の姿が映っていた。
「……!!」
「これをアンタの恋人に見せたら、一体どうなるんだろうね?」
「汚い……」
「フフフ……画像はこれだけじゃないよ」
続いてカトリーヌは、別の画像を出した。
それはディルドーに貫かれ、淫らによがっている瞳の画像であった。
「そ、それは……」
「恋人の正体が女怪盗で、しかも本性はこんな変態。刑事の恋人がそれを知ったらどんな反応をするか、興味深いと思わないかい?」
瞳の顔がサッと青ざめる。
そして次の瞬間、カトリーヌに飛びかかった。
「消してっ!」
スマートフォンを持つカトリーヌの右手に、瞳が掴みかかる。
「おや、懲りずにまだ私と戦る気かい?」
カトリーヌは力に任せて瞳を振り払うと、蹴りを放った。
かろうじて手でガードした瞳だったが、その威力に身体ごと吹き飛ばされる。
「ホラ、かかってきな、今日こそ誰がご主人様なのか、その身体に教えてやるよ」
そう言うとカトリーヌは人差し指で、おいでおいでと誘う。
立ち上がった瞳は、助走をつけ高々と跳躍した。
そして打点の高い飛び蹴りを炸裂させる。
「きゃぁ!」
しかし倒れたのは、蹴りを当てた瞳であった。
右手一本で受けたカトリーヌは、地面に転がった瞳を悠然と見下ろしている。
そしてもう一度おいでおいでと指で誘う。
「ホラ、今度はガードしないであげるよ」
唇を噛んだ瞳は、カトリーヌめがけて突進する。
そしてパンチとキックの連打を繰り出した。
「やぁっ! たあっ! せやぁっ!」
息もつかせぬ連続攻撃が、カトリーヌの全身に突き刺さる。
だがカトリーヌは手を腰に当てたまま、余裕の笑みを崩さない。
「そんな腰が引けている攻撃、いくら受けても同じだよ」
カトリーヌは正面を向いたまま右足を上げると、無造作に蹴りを放った。
いきなりの蹴りに対処できず、瞳はまともに食らってしまう。
「がはっ!」
くの字に曲がった瞳の身体が、真後ろへ飛ぶ。
鳩尾を蹴られた衝撃で呼吸ができなくなり、苦しそうに咳き込んでいる。
「アンタ、この前の夜より弱くなっているよ、そんなに私が怖いのかい?」
「くっ!」
瞳は地面に手を付くと、逆立ちの体勢から蹴りを放った。
しかしカトリーヌはそれを手で受けると、瞳の足首を掴む。
「遊びは終わり、ここからは躾の時間だよ」
カトリーヌは瞳の足首を掴んだまま回転し、ジャイアントスイングを始めた
「キャァァァァッ!!」
棒切れを振り回すような勢いで、瞳の身体が振り回される。
そして勢いがついたところで、カトリーヌは瞳を放り投げた。
「きゃぁっ! あぁっ!」
遠心力で飛ばされた瞳の身体が、ゴロゴロとグラウンドを転がる。
すぐに立ち上がった瞳だったが、回転で平衡感覚を失い足元がふらついている。
そこへカトリーヌが突進し、右手を突き出してラリア―トを仕掛けた。
「あうっ!」
カトリーヌの太い腕をまともに受け、瞳の身体が吹き飛ばされる。
再び地面に倒れた瞳の腹に、カトリーヌは膝を落とした。
「ぎゃっ!!」
「これはご主人様に逆らった罰だよ、ギブアップは無いから覚悟しな」
カトリーヌは潰れた瞳の背中の上に座ると、両足を脇に挟んで折り曲げた。
「ギャァァァァァァァァァァァァァッ!!」
深夜の野球場に、逆エビ固めで背中を反らされた瞳の絶叫が響く。
両足を掴んだまま、カトリーヌは更に力を入れた。
身体の柔らかい瞳とはいえ、背中を逆に曲げられる痛みには耐えられない。
技を外せない瞳は、ただひたすらに悶え続けた。
「がっ! がはっ!」
次第に苦しそうな呻きが、瞳から漏れるようになった。
背中を不自然に曲げられている上に、カトリーヌの体重により胸部が圧迫されているため、呼吸困難に陥ったのだ。
「もう限界かい、つまらないねェ」
カトリーヌは舌打ちすると、瞳の両足を離して技を外した。
ごろりと地面に転がった瞳は、身体を震わせ苦しそうに呼吸をしている。
「この程度では終わらせないよ、アンタにはもう少し躾が必要だからね」
カトリーヌは右足を大きく上げると、瞳の鳩尾を踏みつけた。
「がはっ!」
苦しそうに呻く瞳の腹に、さらにカトリーヌは体重を乗せる。
瞳はカトリーヌの足首を掴んで抵抗しようとするが、全く動かすことが出来ない。
「がはっ! がはっ! ぐぇ……」
「ふふふ、苦しいかい、でも休ませないよ」
カトリーヌは瞳の髪の毛を掴んで立ち上がらせると、強引に抱き寄せて首に手を回した。
そしてコブラツイストをかけた。
「キャァァァァァァァァッ!!」
凄まじい力で全身を締め上げられ、瞳が絶叫する。
首筋から肩、背中、腰と上半身のあらゆる箇所が悲鳴を上げ、瞳の目から涙が流れる。
「も……もうやめて、許して……」
涙目でカトリーヌに許しを乞う瞳。
心はもはや完全に折れていた。
カトリーヌは技を解いて瞳を突き飛ばすと、平手で打った
バシッ!
「ひ、ひいっ!」
頬を打ち鳴らされた瞳の口から、情けない声が漏れる。
パンチやキックに比べれば威力は低い。
しかしカトリーヌに呑まれていた瞳は、その一撃で固まってしまった。
「ご主人様に逆らった罰が、この程度で終わるわけが無いだろう。アンタが自分の立場を理解するまで、今日は徹底的にやるよ」
「い、いやぁっ!」
ツカツカと歩み寄るカトリーヌに、瞳は後ろ向きになって逃げ始める。
もはや彼女に戦意は無い。
あるのはカトリーヌへの恐怖だけだ。
「ほら、逃げるんじゃない!」
瞳を追いかけたカトリーヌは、背中にドロップキックを炸裂させた。
「ギャァッ!」
背後からの打撃にバランスを崩した瞳は、無様にゴロゴロ前転して転倒する。
そんな瞳に近寄るったカトリーヌは、キックの乱打を浴びせた。
「がっ! あうっ!!」
頭に、背中に、脇腹に、脚に、カトリーヌの蹴りが何度も突きささる。
キックの嵐から這って逃げようとする瞳だが、カトリーヌに背中を踏みつけられてしまう。
「はうっ!」
「逃がさないよ、キャッツアイ」
カトリーヌは俯せの瞳に馬乗りになると、両手を彼女の顎の下に差しこんだ。
そして顎を思いきり持ち上げる。
「ギャァァァァァァァァッッ!!」
キャメルクラッチで背中を弓なりに反らした瞳が悲鳴をあげる。
力任せに引き絞られた身体は、90度近くにまで曲げられた。
その激痛により瞳の折れた心はさらに砕かれ、遂に禁断の言葉を口にしてしまう。
「も……もうやめて……降参よ……あなたには逆らわない……何でも言う事聞くから……許して……」
涙を浮かべ、屈服の言葉を吐く瞳。
だがカトリーヌは許さず、更に強く瞳の身体を引き絞る。
「キャァァァァァァァァッ!!」
「止めて欲しいのなら、これからは私の奴隷になると誓うんだよ」
「わ、わかったわ……ど、奴隷になります……だから……許して……」
そこでようやく、カトリーヌは技を解いた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「全くバカな野良猫だね。最初から素直に従っていれば、痛い目に会わずに済んだものを」
口元に笑みを浮かべながら、カトリーヌは瞳の頭を踏みつけた。
「あうっ!」
「これからは私の奴隷になって、何でも言う事を聞く。そのことに間違いはないね、キャッツアイ」
カトリーヌは足に体重を乗せ、瞳の頭をグリグリと地面に押し付ける。
「は、はい……間違いありません……これからは奴隷として……カトリーヌ様の言う事は……何でも聞きます……」
瞳が誓うと、頭を押し付けていた感触が消えた。
ホッとした瞳だったが、カトリーヌは休むことなく冷酷な命令を下す。
「だったらそのカワイイ舌で私のブーツを綺麗にするんだ、それで今回の件は許してやるよ」
「……!!」
瞳の顔が凍り付く。
あまりに屈辱的な命令だった。
カトリーヌのブーツを目の前に、瞳は金縛りにあったように動きが止まる。
「ふぅん、できないのかい」
「あうっ!」
カトリーヌの重いローキックが、瞳のわき腹に突き刺さる。
打撃に息を詰まらせた瞳が、横向きになって悶絶する。
さらにカトリーヌは、つま先で瞳の乳房を蹴った。
「キャァァァァ!!」
「どうやらまだ、躾が足りないようだね」
「や……やめて!! 舐めるわ、舐めますから許してください!」
瞳はのろのろと身体を転がすと、カトリーヌの足元に腹這いになった。
そしてカトリーヌの足に顔を近づけ、遠慮がちに舌を出す。
「ん、ちゅ……ぺちゅっ」
控えめに出された舌先で、瞳はカトリーヌのブーツを舐め始めた。
「そうそう、私がもういいと言うまで続けるんだ、止めたらお仕置きだよ」
「は、はい……ちゅっ……ん……れろ……れろ……」
苦い土の味が、瞳の口内に広がる。
死にたくなるような屈辱だった。
だが2度目の敗北は、瞳の心を完全に打ちのめしていた。
荒い息をつきながら、懸命にカトリーヌのブーツに舌を這わせる。
「……ん……ちゅぶっ……」
つま先から側面まで、瞳は丁寧に舌を這わせた。
右足が終わると、今度は左足。
時を経るごとに、瞳は靴を舐めるという行為に慣れてきた。
靴の先端を咥えて唾液を塗し、唇で口づけながら側面へと移動してゆく。
「なかなか上手いじゃないか、その調子で、次はここを綺麗にするんだ」
カトリーヌは足を擡げて、靴裏を瞳の顔に押し付けた。
さすがに躊躇する瞳だったが、観念して靴裏を舐める。
「んぅぅ……ん……ちゅ……れるっ……」
泥と砂の苦い味が口腔に充満する。
吐き気のあまり、意識に霞がかかってきた。
人間扱いされない事を、甘んじて受けなければならない屈辱。
それは、瞳が靴裏を全て清め切るまで続けられた。
「よし、終わりにしていいよ」
「はぁ……はぁ……っく、ぅ……」
屈服の儀式を終えた瞳は、地べたに座り込んでいた。
口内に残る砂と泥が与える吐き気はまだ残っている。
すぐに気分は落ち着かなかった。
瞳は胸に手を当てて、ひたすら呼吸を整えていた。
「よく頑張ったねぇ、今回はこれで許してやるよ」
カトリーヌは瞳に近づくと、指で顎を持ち上げた。
泥と砂にまみれた瞳の顔は、完全に怯え切っていた。
「いいかい、今日からアンタは私の奴隷だよ。呼び出しがあったら、何があってもすぐに私の所へ来るんだ。もし逆らったら例の画像はアンタの恋人の所さ、わかっているね」
「は、はい」
ほとんど反射的に瞳は頷いた。
卑屈になり、カトリーヌに媚びるような態度になっている自分が情けなくなる。
だが勝てない事を思い知らされた瞳は、もはや金髪の女怪盗に逆らえなくなっていた。