チビ殺し 作:時村ニレ
14年後 都内 某所
その時の夜蛾正道は、一級術師で、独り身で、呪術高専東京校の学長だった。
ついでに『上層部の決定で無期限拘束されかかったものの、五条悟のおかげで生を得る』という経験を過去に得ていた。五条悟にある種守られながら生きていたようなものだったから、『五条悟が居なくなればドサクサで生命を狙われる』という流れも、必然のものだった。
夜蛾の死刑執行人になった楽厳寺嘉伸は、京都校の方の学長だった。
保守派の重鎮で、業界の経験が長い老爺で、そうでなくとも自校の学生を守るために死刑執行人に手を挙げるような性格の呪術師で、……そして、今、都内の路上に死に瀕する夜蛾の遺言を、たった一人で聴いていた。
――肉体の情報から魂の情報を複製するんです
その情報を呪骸の核に入力する
それだけでは駄目なんです
――相性の良い三つの魂を宿した核を一つの呪骸に…
お互いの魂を常に観測させるんですよ
俺のおぼろげな視野や聴覚からでも、楽厳寺学長が息を吞むのが分かった。
『肉体の情報』が誰の肉体であるのか、『三つの魂』が誰の魂であるのか、楽厳寺学長にも心当たりはあるはずだ。
業界歴が長い者は皆知っている。あの事件にまつわる、おおよその事を。
あの女の補助監督の裏切りのこと、俺の子ども達の死、俺達の手による『処刑』、ついでに派生した一族の醜態と破綻。……それらの情報の要旨は、当時の補助監督達の間で晒し上げられるように文書回覧されたのだから。
そう、あの子は、パンダは、俺の呪いの産物だ。あれから妻とも離別して独り身になった俺が、あの3人の子らから生み出した呪い。
――俺は、語りたいだけの『言葉』と『呪い』を目の前の学長に遺して、意識を手放した。
どこかで、俺に駆け寄って慟哭する『息子』の声が、残響のように微かに聴こえた気がする。
14年前、食堂でなんてことのない会話を交わしていたあの一家は、もう高専のどこにもいない。
謝辞
あにまん掲示板での連載中、拙作を読んで下さった読者の方々、特に安価やリクエストの募集に応じて下さった皆様方に厚く御礼申し上げます。(特に序盤~中盤では、物語の方向性を固める上で極めて重要なアイディアを頂きました)
作者のリアル事情により終盤部分がだいぶ駆け足となりました。頂いたアイディアの全てを十分に消化できなかったことは本当に残念ですし、重ね重ね申し訳なく思います。
このような形で終わってしまった拙文ですが、お楽しみ頂くことができたのでしたら幸いに存じます。本当にありがとうございました。
この作品をどのタイミングで知りましたか?
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あにまんで連載中に知った
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あにまんで完結後に知った
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ハーメルン掲載中に知った
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その他・答えたくない