ダンまち入れ替わり二次創作 作:Nistlabe
醒めぬ興奮に身をゆだねる。
未知の快感。それも、本来なら味わえるはずもない快感である。
ベル・クラネルは豊穣の女主人の名物ウエイトレスである、リュー・リオンを抱いていた。人も寄り付かない暗い路地に、何時置かれたかもわからないベンチの上で、店から抜け出した格好のまま。
「クラネルさ……ベルっ! キモチイイでしょう!?」
どこか懇願するような口調で、自分の快楽を相手にも押し付けようと、名前を連呼するのはおかしなことに『ベル・クラネル』その人であり、生娘そのままに弄ばれるリュー・リオンも、いつもと違って興奮を隠そうともしない。
「ダメっ、ダメですリューさん! 僕達、体が入れ替わった状態なんですよ!?」
「だからこそです、ベル!」
エルフの首筋に顔を埋めながら、年下の少年は叫ぶ。
「あなたの体になった今なら! 私は、潔癖エルフではなくなる! 愛しいあなたと、こうして、愛し合うことができる! ベル、お願いです! もっと、もっと感じて……!」
短く切られた鈍色の髪が揺れ続ける。ヘッドドレスが外れそうになる。スカートの中で愛撫される太腿が、未知の女性の体を興奮に導き、熱くなる体の芯から、おもらしにも似た感覚に襲われる。
「ベルっ。ああっ、ベルっ」
自分の名前を何度も呼びながら、華奢なエルフの体を抱くラビット・フッドは、大先輩の体を知り尽くしているかのように振舞い、巧みに攻め立て、喘がせ、互いの興奮を高めていく。
「感じてください……興奮してください、ベル! 手を握ることもままならない私では、ついぞできるはずもないこの、思いを!」
頼りなく腰が揺れる。エプロンドレスやスカートの端に、小さな染みが浮かび上がる。
エルフの体から解放された途端、肉欲を求める己に、リューは何とも言えない思いを抱える。人の体で、自分の体に欲情して、恥ずかしくないのか――もしも彼女を糺すものがいれば、返す言葉もなかっただろう。
しかし今のリューには、この行為は明確な愛があってこそだとわかる。エルフの矜持も、それを肯定する。
だからこそリューは、自分の体になったベル・クラネルを貪る。元に戻ったら、手すら繋げなくなる自分になってしまうことを恐れて。ひたすらに、アマゾネスのように、ある意味素直に好意を示すことができる種族らのように、好意に一縷の望みを託す。
そんなリューの葛藤を、背中を向けていても、ベルにはわかっていた。だからこそ彼は、自分よりも大きく感じていた、きめ細かで華奢な彼女の腕を動かし、自分の手にしっかりと絡めた。
「っ……!?」
その瞬間、大きく心臓が跳ね、リュー・リオンは、射精した。先程よりも、今までのどの時よりも興奮が冷めないまま、衝動に任せて。
「ベル……」
呟きが、消える。誰よりも、人の心に寄り添うことが得意な彼は、エルフの体を巧みに操り、そっと口づけを落とした。
「ああ、ベルっ!」
歓喜の声を上げ、それを許された証と思ったリューは、再び活力を取り戻した少年の体で、以前の自分が軽蔑した肉欲を、情欲を肯定し、底なし沼のようなそれに身を委ねていった。