ダンまち入れ替わり二次創作 作:Nistlabe
そこは、ベルとリューに与えられた場所だった。
同じファミリアで生活する二人は、もちろんそれぞれの部屋が与えられていたのだが、入れ替わり事件をきっかけにリューが手を出してしまい、激怒したファミリアの主神から、二人部屋に押し込まれるという事態を招いていた。
もちろんそれは、子を思う神の思し召しだろうと見当を付けて二人は感謝したのだが。
それはそれとして、リューは本来の自分の体とは違う、慣れぬ他人の身体でも、この状況の異常を感じ取っていた。
人の気配がしない。時間が、死んだように止まっている。
ともかく用心すべきと得物を取った彼女は、ノックもなしに入ってきた人物に思わず声を上げた。
「ベル……いや」
リューの体は今、ベルと入れ替わっている。ならば、ベルが、本来のベル・クラネルの体で現れるのはあり得ない。
「貴様、何者だ!?」
リューの警戒が一気に跳ね上がる。敵意と殺気に、じり、と相対するベルの顔も真剣なものとなる。
「……あなたこそ、誰?どうしてベルと同じ姿をしてるの?」
既視感。
なにより口調が、どこかで耳にしたばかりだった。眉をひそめ、必死に思い出そうとしたリューは、唐突に、あり得ない答えを導き出した。
「剣姫?」
「じゃあ……あなたは?もしかして……」
狭いベッドの上で、二人の少年が座っている。ふたりとも容姿はベル・クラネルで、それがなおのこと異常な状況を加速させている。
「なるほど……あなたの世界では、あなたとベルが入れ替わったのですね」
「はい。……私の立場では、逆に貴方が入れ替わった、ということですか」
二人の認識の齟齬はあっという間に埋まる。
本来ありえない状況は既に、入れ替わりというマジックアイテムによって、可能性の問題だと確信させられている。
ならば、入れ替わった相手の違いなど、それこそ誤差の範疇なのだろうと、二人は納得していた。
「剣姫、あなたの方のベルは、どんな様子なのですか?」
「ん……入れ替わろうと思えばいくらでも元に戻れるんですけど、そうしたくなくて」
「と、いうと?」
「何度も何度も、私の体のベルを抱いて……妊娠、させました」
「んなっ……!?」
思わずリューは言葉を失う。剣姫はコテンと首を傾げながら、
「私の体を使ってるベルは、とってもかわいくて、それこそ、いくら体を重ねても満足できなくて……気がつけば」
「……それは、さすがに」
言いながらも、リューも思い返せば、似たようなことをやっている。案外こちらのベルを孕ませるまで、そう時間はかからないのかもしれない。
「剣姫、あなたは入れ替わった相手となら誰とでもそういう関係になるのですか?」
「ベルだから、だと思います。あなたもきっと、そうではないですか?」
言われてみればそのとおりである。リューは頷いて、それでもまだ、恥ずかしさからついつい反論を探してしまう。
「ファミリア間で、問題があったのでは?」
「ロキは……怒ってました。私をキズモノにしたって」
「……たしかに見た目だけでは、その通りですからね」
納得するリューを、アイズはじっと見つめる。
「あなたは……ベルを孕ませようとは思わないのですか?」
「は、孕ませっ……!?」
勢いよく、首をふる。
「た、たしかに手を出したのは私ですが、流石にそこまではっ」
「でもベルも、きっと望んでいると思います。そこに愛があれば、どんな神様だって邪魔できないと。私は、そう思います」
なにより、入れ替わったベルはとってもカワイイから、と剣姫は語気を強める。
「私が望めばどんな服もきてくれて、私を喜ばせようと必死になってくれて。そんなベルが、とっても愛おしくて」
「……気持ちは、よくわかります」
昔神ヘスティアが女の子として生まれていたほうが良かったんじゃないか、なんて言っていたくらいなのだから、ベルの本領発揮といったところだろう。
「でも、私は……」
「……あなたは、ベルと体を重ねることに、後悔はしていますか?」
首をふる。そんなわけがない。
アイズの顔が、少しだけ柔らかくなる。
「なら、ずっと体を重ねていたら、いつか、二人の子供ができます。相手を愛した結果としての、本物の愛の結晶が」
元の身体に戻ったときのことを思い出したのか、アイズはベルの体で下半身を優しく撫でる。
リューは少しだけ、アイズが羨ましかった。
そして、自分とベルの血を引いた子供のことを考える。それだけで彼女は、頬が赤くなるのを抑えられなかった。
「ところで、ベルにはどんな衣装を着せたのですか?」
「えっと……主にロキに着せられそうになったメイド服とか、裸エプロンとか、諸々……」
「それは流石に嫌がられるのでは?」
「この間、主導権を取ろうとしてきました」
返り討ちにしましたけど、と淡々と語る剣姫に、たらり、と汗が伝う。
「でも、ベルだから良かった。ベルとじゃかったら、こんなふうな関係は望めなかったと思うから。私は、これからもベルと、喜んで入れ替わると思います」
「……それは、確かに」
タイムリミットを告げるように、部屋がぐにゃりと歪む。どちらともかく、二人は立ち上がる。
「それでは剣姫、ベルとお幸せに」
「……あなたも」
入れ替わった者同士互いのの健闘を祈り、二人は状況に身を任せる。
目を開けた時、ファミリアのホームは元通りになっていた。控えめなノックとともに、自分の姿をしたベルが部屋に入ってくる。
「おはようございます、リューさ……」
言い終えるより早く、少年の体で、自分の体を寝台に押し倒す。
「リューさん……?」
理解が追いつかない、と言わんばかりのベルに、リューがささやく。
「ベル……私達の子供、欲しくありませんか?」
ぼん、と一瞬で紅潮する顔。
でも、そこに否定はなかった。リューはいつもより荒々しく、少年の体で、自分の体を弄び始めたのであった。