PERSONA5 Osaka's Phantom Thieves 作:ボルメテウスさん
「彼女が、そうなのか?」
「うん、そうだよ」
そう言いながら、千束はなんとか連れてきた紅月カレンを見つめる。
事前にある程度の情報を聞いていたが、その容姿も同世代の女子を見てもかなり美少女なのは分かる。
隣にいる千束が元気な今時の女子高生ならば、カレンさんは珍しいお嬢様を思わせる美少女だ。
「それで、私に一体何の用ですか?」
「あっあぁ、そうだった、実はあんたに聞きたい事があるんだ?」
「私に?」
不思議そうな顔をして見てくる紅月は首を傾げる。
「信じられないかもしれないが、あんたの親父さんはかなり悪い事をしているんだ」
「私達はその事を調べていて」
そう言うと紅月は立ち上がった。
「何を言うかと思えば、馬鹿らしい、そんな
わけがないじゃないですか」
確かにいきなりこんな話をしても信じて貰える訳が無い事は解っている。ならどうすれば……。
「だけど、お兄さんが言っていたんだよ」
「お兄ちゃん? 私を捨てたあの男が?」
「捨てた?」
それに対して、俺達は首を傾げた。
「お兄ちゃんは私の本当の親が溺愛して、私は不要だって捨てられた。だからこそ、私は今のお父さんに拾われて幸せになったんだよ」
カレンさんの言葉を聞いて俺は察してしまった。
つまりカレンさんの父親は最低な奴だということか。カレンさんも父親に対して複雑な感情を抱いているのか、何とも言えない表情を浮かべていた。
それを見た千束もどう思ってるか分からないけど……少なくとも良い感情を抱いていないようだ。
「でも……あの男は生きていたんだよね? だったらっ「死んだよ」えっ」
お兄さんの事を言おうとしたんだろう。
だけど、それに対して、俺は首を横に振る。
「君のお兄さんは、君を助ける為に命を賭けて、死んだよ」
「何を言って」
「私達は、それを聞いて、ここまで来たんだよ」
俺の言葉に続いて、千束ちゃんがそう言った。
「……うそだ」
嘘じゃない。
「……お願いだ、何か、分からないのか」
「……そんなのっ」
カレンさんは、絞り出すように声を出した。
その目からは涙が流れていて、頬を濡らしていた。
俺は拳を強く握る。
そして、自分の唇を切るほど強く噛みしめる。
ああくそ、こういう時に自分が何も出来ないことが心底悔しくて仕方がない。
けれど、それでも、ここで俺が諦めることだけは許されないんだ。
だって、目の前にいる女の子を泣かせてしまった。
「……城」
「えっ?」
「確か、そう言っていたわ」
その言葉に、俺も千束も頷く。
「分かった、カレンさんは、待っていて」
「えっ」
そのまま、俺達はすぐに飛びだした。
その場所は、彼女の父親がいると思われる家。
同時に、そこがパレスだと思われる目的地に向かって。