PERSONA5 Osaka's Phantom Thieves 作:ボルメテウスさん
俺の名前は瓜生龍臣。
「おぉい、龍臣、そろそろ学校の時間だよぉ」「あぁ分かっている」
現在、移動式喫茶店リコリコのバイトを行っているどこでにでもいる普通の高校生だ。
幼い頃、俺の親父は俺と母さんを捨てた。
親父の事など、思い出したくもない。
だが、そんな俺を育ててくれた母さんは幼い頃に亡くなってしまった。
そんな時に、俺を拾ってくれたのは、リコリコの店長であり、千束のお父さんだ。
「今日も良い天気だなぁ」
「龍臣、時々おっさん臭いよ」
「えぇ、いきなり辛辣な言葉を言うなよ、千束!?」
そう、俺が言った言葉に対して千束はこう答えたんだ。
「だって、龍臣って、他の男子と比べても明らかに爺臭いじゃない」
「えっ……? 俺、そんな風に思われてたのか?」
「うん、なんかさー、落ち着きすぎっていうか。なんだろうなぁ……。そう、老成してるというかさ。もっとこう、少年の心を忘れないというか、そういう感じにならないのかなぁ~」
「……俺は別に、普通の人間だと思うけどな」
「ふぅん、そっか。ならいいや」
「いやいや、その辺の話、聞かせろよ」
「えぇ、面倒くさいよ」
俺はそう言って肩を落とした。
「まぁ、帰りにたこ焼きを奢ってくれたら、教えても良いかなぁ」
「またたかる気かよ、たく」
そう、苦笑しながらも、この日常は俺にとってはかけがえのないものだ。
そんな考えをしていた時だった。
スマホで何か音が鳴った。
「んっ?」
聞こえた音に対して、俺は気になり、見る。
それは、先日、いきなり入っていたアプリ。
「これって?」
「昨日言っただろ、突然入った変なアプリって」
「うぉ、なかなかに不気味だねぇ」
それが一体何なのか、俺には分からない。
「それにしても、この周辺って、あれじゃない、誘拐事件が多い」
「誘拐って、確か」
「そう」
ここ最近、この街では連続誘拐事件が起きている。
未だに警察はその連続誘拐事件の犯人を見つける事が出来ずにいる。
その最中だった。
「……」
「んっ」
ふと、聞こえた声。
それは誰かの名前だったのだろうか。
俺は、どこか自然とその名前を呟く。
「あそこの廃ビル」
「おぉ、なんだかいかにも悪役のビルって感じだね、まるで市場みたいな感じで」
千束がそんな事を呟いた時だった。
何か、奇妙な感覚に襲われる。
それは、俺だけではなく、千束もだった。
「「えっ」」
同時に、俺達は二人揃って、その光景に驚きを隠せなかった。
先程まで、廃ビルだったはずのそこは怪しげな市場へと変わっていた。いや……違うか。
ここが元々そう言う場所なのか。
そして、目の前には──
フードを被った一人の男が立っていた。
身長は高く、体格も良い。
しかし顔は見えない。
何より不気味だと感じたのはその男から感じる雰囲気だろう。
得体の知れない恐怖を感じるのだ。
まるで蛇のような冷たく鋭い視線でこちらを見つめてくる。
「ククッ、こんな上物の獲物がいるとはなぁ」
聞こえた瞬間、周囲には黒づくめの男が現れた。
それと共に、俺に向かって殴る。
「龍臣!」
そう、俺を心配して、千束は叫ぶ。
だが、そうしている間にも千束は、その男達に捕まる。
「千束っ!」
俺は思わず叫んでしまう。
だがそんな叫びなど聞こえていないかのように、千束はその男達によってどこかへと連れていかれてしまう。
それを黙って見送ることしかできなかった。
どうしてだ? なんでこうなったんだ? 俺はただ、あいつと一緒に居たかっただけなのに……。
なぜ、こんなことに……。
千束を連れ去られてしまった。
もうどうすることもできないのか。
悔しさで手を握り締めた瞬間だった。
『このまま、何もせずに拒絶するのか』
それと共に聞こえた声。
それが、一体何なのか、分からない。
「ぐっ」
それと共に襲い掛かる頭痛に襲われながらも、その声が俺に問いかけ続ける。
『穏やかな日々の象徴となる彼女を連れ去られる。また、その日々を奪われても良いのか』
「良い訳あるかぁ!」
俺はそのまま頭を抑えながらも、立ち上がる。
それと共に、俺は千束を襲っている奴らを見る。
千束は抵抗して、制服はボロボロだ。
このまま連れ去られたら、どんな目に遭わされるかわからない。
そんなことは分かっている。
「俺は、もう、壊されてたまるかぁ!」
『良かろう、その声を聞き届けた』
同時に、俺は、そのまま足に力を込める。
『我は汝、汝は我! これより、その刃で、全ての悪を斬り裂け』
それと共に、俺は叫ぶ。
それに会わせて、俺の身体は青い炎に包まれる。
「なっ」「龍臣」
同時に、千束を拘束している奴らを、俺の後ろにいた奴が斬り裂く。
「これは」
「さぁな、俺も分からない、けど一つだけ分かる」
それと共に、俺は後ろにいる奴を見つめる。
「こいつはもう一人の俺、そうだろ、ナマハゲ」
そう、ナマハゲは両手にある包丁を天高く掲げる。
そんなナマハゲに対して、黒づくめの男達は動き出した。
奴らは、その姿を変え、怪物に変わっていく。
「一体何が」「分からないけど、今はここを乗り切るぞ」
同時にナマハゲは、そのまま包丁を握りしめ、怪物達に襲い掛かった。
ナマハゲの包丁による一撃は鋭く、怪物達は簡単に斬り裂かれていく。しかしそれでも数が多く、次から次に襲い掛かってくる。
「この数は」「一気に片付ける、ナマハゲ! フレイ!!」
その叫びと共に、ナマハゲの包丁が振り下ろす。
それと共に、放たれた青い炎が黒づくめの男達の体を包み込む。
「千束、今のうちに逃げるぞ!」
「えっうん!」
俺達は黒ずくめの男達に見つからないようにその場から急いで離れることにした。
あいつらはおそらく、俺達があの場にいることを知っていて狙ったに違いない。
だとすれば、もうこの場所にはいられない。
一刻も早くこの場から離れなければならない。
「ふぅ、なんとか逃げられたか」
俺は、そう息を荒げながら言う。
「一体、さっきのは何だったんだろうか? というよりも、龍臣の格好も戻っているし」
「んっ、本当だ」
それと共に、俺は自分の格好を改めて見る。
俺の今の格好は学生服に戻っており、先程までの黒い格好ではない。
「結局、あれは一体」
「認知世界の事だな」
「「……えっ?」」
聞こえた声、それに対して、俺と千束は思わずその声がした方向を見る。
そこにいたのは。
「……文鳥?」
「うわぁ、可愛い!」
そこにいた文鳥に、俺も千束は各々の反応は違った。
「我が名はピエルカルロ、異世界の住人である」
「……ピエロ?」「カエル?」
「全然違う」
俺達が同時に言った言葉に対して文鳥は普通に突っ込んだ。
「異世界の住人って、さっき言ったが、もしかしてさっきの何か知っているのか?」
「あぁ、勿論だ、それについて知りたければ、我と契約するが良い」
何やら、偉そうな文鳥だと、俺はどうするべきか悩んでいた時だった。
「それじゃ、詳しくお願いね、ピーちゃん!」
千束は、まるで何事もなかったように文鳥に笑顔で言う。
「「……ピーちゃんって」」
それに対して、俺も文鳥も同時に声を出してしまった。