PERSONA5 Osaka's Phantom Thieves 作:ボルメテウスさん
俺の名前は瓜生龍臣。
「美味いな、この肉、美味いなっ」
「おぉ、ピーちゃん、なかなか良い食べっぷりだなぁ」
「……えぇ」
文鳥ことピーちゃんが肉をもりもりと食べている光景を見て、引いてしまったただの高校生だ。
先程まで、俺達は謎の空間へと迷い込んでしまった。
その時、俺はなんとかその場を脱出する事は出来た。
そんな俺達に話しかけたのは、この文鳥ことピーちゃんである。
「それで、ピーちゃん、さっき言っていたけど、あの場所は一体?」
「あれはパレスとは、認知世界の事だ」
「認知世界?」
それに対して、俺も千束も思わず首を傾げてしまう。
「文字通り、人々の「認知」によって成り立つ異世界。心の世界とも呼ばれる。
大衆がそれをどのように認識しているのかが重要視されている場所だ」
「認知って、つまりは」
「そう認識していると言う事か」
それは俺にとって、千束と一緒にいる場所が居場所だと認識しているような感じだろう。
「あぁ、そして、先程の場所はより強い場所だ。とてつもない歪んだ欲望を持つ人物が認知世界に形成する自分だけのテリトリー。
その人物が執着している場所を認識している形へと変貌させ、己が主として君臨する。主である金眼のシャドウは自分が認識している通りの格好をしている」
「シャドウ?」
「さっき、お前がペルソナで倒した奴らの事だ。まぁ、あくまでも認知上の存在だ」
「だけど、なんで俺達があんな所に」
「もしかしたら」
そう、千束が俺のスマホを見る。
そこには先程の不気味なアプリ。
そして、そこには。
「廃ビルに市場」
「なるほどな、あの廃ビルを市場として認知している。
そして、そこから聞けば」
「あそこには、誘拐された人達がいるっ、すぐに警察に言わないと」
そう千束はすぐに言うが。
「そう簡単に出来るか?」
「どういう事なんだ」
それに対して、ピーちゃんが言う。
「あれだけのパレスを造り出した奴だ。その程度で捕まるとは思えない。むしろ、それを知らせた瞬間、お前達は現実で殺されるだろう」
「だったら、このまま放っておけというの!」
ピーちゃんの言葉に対して、千束は思わず叫ぶ。
だが、ピーちゃんは首を横に振る。
「現実世界では現実世界の。認知世界では認知世界のルールがある」
「認知世界のルール」
そう言うとピーちゃんはすぐに俺のアプリを起動させる。
すると、先程の空間へと再度繋がる。
「幸い、お前にはペルソナ使いとしての力がある。それがあれば、あのパレスの中へと侵入出来る」
「そのペルソナってなんだ?」
先程から聞く限りだと何かの力のようだが。
「ペルソナとは、簡単に言えばもう一人の自分だ。心の奥底にある反逆の魂の象徴であり、それを使えばシャドウと戦えるはずだ」
「ペルソナ、だとしてもパレスに入って、どうするの?」
気になるのは、そこだ。
先程の話を聞いている限りだと、パレスにいるも奴を倒した所で。
「パレスは主にとっての欲望の根源オタカラを核としており、これを奪われると歪んだ欲望が消え去り、現実世界にて改心する。この改心は何らかの要因によって歪んだ欲望のみを取り去る事が出来る」
「それって、つまり」
「オタカラを手に入れれば、誘拐事件をなんとか出来るかもしれないんだな」
それを聞くと、俺は立ち上がる。
「龍臣、行くの」
「あぁ、勿論だ」
今回の1件をそのまま放っておくのは嫌だ。
何よりも千束をここまで酷い目に遭わせた。
だったら、俺も黙っていられない。
「ピーちゃん、教えてくれ、オタカラの居場所を」
「ふむ、了解した」
それと共に、俺達はパレスに向かう事にした。
「千束、なんで着いてきたんだ」
「そんなの、決まっているよ、私だって」
「え?」
「お前を失いたくないからだよ」
「──っ!?」
千束の顔が真っ赤に染まる。
その顔を見て俺は自分の言った台詞を思い出して恥ずかしくなってしまう。
だけど、本当だ。
「だから、今は外で待っていてくれ」
「幸い、このパレス自体、それ程難しくない、早々と向かうぞ」
そう言ったピーちゃんの言葉に従い、俺はパレスへと向かう。
「千束はそのまま帰ってくれよ!」
俺はそう叫ぶなり駆け出した。
廃ビルの中は、ピーちゃんの言っていた通り、かなり単純な場所である事はすぐに分かる。
シャドウがうろついている様子もない。
この部屋には人の気配はない。
俺達は手分けして部屋の中を調べてみる事にした。
俺は一番奥の部屋を見る。
「これは」
「まさか、ここまで簡単に見つかるとはな、よっぽどの自信があるようだな、だが」
「これ、どうやって取るんだ」
半透明で、とても掴む事は出来ない。
「あとはこれを認知させるべきだが、どうやって行うか」
そう考えている時だった。
何か、騒いでる声が聞こえてきた。
それはどうやら俺の方に向かっていない。
それは。
「あれはっ千束っ」
「まさか、着いてきていたのか」
見れば、ビルの外で千束が何かから逃げていた。
シャドウがっ
くそっ! もうここまで来たのかよ!? 俺は急いで階段を駆け下りて外に出る。
するとそこには──黒い服を着た男達がいて、その一人が千束の腕を引っ張っていた。
俺は慌てて走り寄って、千束の手を掴む。
「させるかぁ! ナマハゲ!」
その叫びに合わせて、ナマハゲが現れ、その包丁をシャドウを斬り裂く。
「大丈夫かっ千束!」
「龍臣、私は」
「話は後だ、今はっ」
そうしているとシャドウの一体がナマハゲに攻撃する。
その一撃を食らい、俺は腕を押さえる。
「ぐっ」
「ペルソナとペルソナ使いのダメージはリンクする。ある程度は緩和されるけど、気をつけろ」
ピーちゃんの言葉を聞きながらも、俺は立ち上がる。
「このままやられてたまるかよ」
「っ」
それと同時に千束は立ち上がる。
「私だって、これ以上は嫌だよ」
「千束」
それと共に千束もまた立ち上がっていた。
「私だってね、この日常が大好きなの、だから今、やりたい事は、そんな日常を守りたいから!」
その叫びと同時だった。
千束もまた、あの青い炎が灯る。
「これって、まさか」
「ペルソナ使いとして、覚醒したのか」
それと同時だった。
千束の姿もまた変わった。
俺の身に纏っている衣服と似た黒だけど、その格好は制服だ。
同時に千束の後ろに現れたのは、ペルソナだった。
「我は汝、汝は我、全ての厄災をその弾丸で撃ち抜く私の名はカラミティジェーン」
「カラミティジェーン、良いねぇ、やるよ龍臣」
「まったく、こういう時はノリノリなんだからな」
そうしながらも、俺もまたナマハゲを出し、構える。
シャドウ共はすぐに俺達に襲い掛かろうとする。
だが、千束のペルソナであるカラミティジェーンが、それよりも早く、撃ち抜く。
「行くぜ!!」
その隙を、ナマハゲの斬撃によって、全てを斬り裂く。
ナマハゲの斬撃は、黒いスーツの男達の肉体を、上半身と下半身に分けながら斬り裂いた。
「とりあえず、今は脱出するぞ」
「でも」
「まずはそれから、とりあえずなんとかする方法が分かったから」
「分かった!」
その言葉と共に、俺達はパレスから脱出する。