PERSONA5 Osaka's Phantom Thieves 作:ボルメテウスさん
「それで、犬牟田の言われた通りに、ここに来た訳だが」
俺達は、犬牟田に言われた通り、指示された人物のパレスへと訪れる。
訪れたパレスは、これまでのパレスとは雰囲気があまりにも違った。
「これは、なんというか」
「あまりにも寂しい景色というか」
一言で言えば、その場所はあまりにも殺風景過ぎた。
周囲には、何もなく、ぽつんと一つのあばら屋がある程度。
「なぁ、ピーちゃん、聞きたい事があるんだけど」
「なんだ?」
「パレスって、確か」
「あぁとてつもない歪んだ欲望を持つ人物が認知世界に形成する自分だけのテリトリーだ。だが、このような場所は」
そのパレスの様子は、ピーちゃんもさすがに驚きを隠せなかった。
これまでの悪党とは違い、その欲望は、あまりにも無欲というよりも。
「欲望がなさ過ぎると言うべきか」
「おそらくは、自分には何もないと考えているんだろうな、その暗殺者は」
「えっ」
そう、話していると、後ろから声が聞こえた。
「犬牟田、なんでここに!?」
「いやぁ、知識だけじゃなくて、実体験したくてね、こうして着いてきたんだ」
犬牟田は何事もないように言っているが、この場ではあまりにも無防備だ。
「お前な、ここは、本当に危険? な場所だぞ」
「まぁ大丈夫だろう。君達もいるし」
「……」
その言葉に対して、俺達は頭に手を当てて呆れるしかなかった。
「それで、暗殺者というのは、どこにいるんだ?」
「それは、あそこの小屋の中だよ」
犬牟田が指差す先には、確かに小さな木造の建物があった。
「それなら、早速、中に入ってみるとしようか」
「嫌、だから」
そう、犬牟田が歩きだそうとした瞬間、俺は何かを感じた。
すぐに犬牟田を後ろに投げると同時に、その違和感の正体が理解した。
「なっ」
先程まで地面だった場所。
そこは落とし穴だった。
周囲を見渡せば、それらは全て罠へと変わっていた。
「なっ、これって一体」
千束も、その状況に驚いていたが、それよりも、俺達の目の前には、異様な光景が広がっていた。
「なるほど、これがパレスの正体か」
「なに?」
それに対して、俺は思わず首を傾げる。
「殺し屋というのもあるが、周囲は全てが敵。自分の居場所などないと考えている。
おそらくは、そんな歪んだ認知によって、出来たのが、このパレスだろう」
「それって、つまり」
「この殺し屋にとって、安心出来る場所なんて、どこにもない。だから、全てが罠のような世界で生きている。そういう認識だろうな」
「そんな」
それは、これまで相手をした悪党とは違う認知。
ある意味、歪んではあるが、それはあまりにも悲しすぎる世界。
すると、こちらに気づいたのは、おそらくは、このパレスの主と思われる存在。
「あれは」
そこに立っているのは、月を思わせる着物を身に纏った般若。
その般若が、俺の方に顔を向けると、ゆっくりと近づいてきた。
「貴様は怪盗か」
ゆらりと、こちらに目を向けると共に。
「っ」
「ここで始末する」
急接近すると共に、俺に斬りかかる。
俺はすぐに、受け止める。
「ぐぅ」
その殺気に、俺は受け止め、圧される。
だが、相手は女性とはいえ、かなり強い力を持っている。
このままでは、押し切られてしまうかもしれない。
しかし、それでも。
「くそぉ!」
負けられない。
ここで負けたら、何のために、ここまで来たのか分からないから。