※この作品はR-18です。

PERSONA5 Osaka's Phantom Thieves   作:ボルメテウスさん

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Don't let that talent bloom

 本来の目的であるオタカラの場所は、未だに分からない。

 

 なので、ここでこのパレスの主である暗殺者と戦う意味は、まるでない。

 

 むしろ、すぐにでも脱出しなければならない。

 

 だが、ここで逃げようにも隙は見せてくれない。

 

「だとしても、どういう事だよ」

 

 パレスの主は、目の前にいるのに、輪郭がはっきりしねぇ。

 

 そう、疑問に思っている間にも、次の瞬間にはパレスの主は動いた。

 

「お前が何者だろうと、死んで貰う」

 

 それはまるで高速で煙が動くような感じだった。

 

 その手に持つクナイは、そのまま俺に向かって突かれていた。

 

「ぐっ」

 

 すぐに手にあるナイフを盾にして、防ぐ事は出来た。

 

 しかし、それだけで攻撃は終わらなかった。

 

 その一撃が無駄だと理解すると共に、流れるようにパレスの主は、その手にあるクナイの軌道を変えて再び攻撃を仕掛けてきたのだ。

 

 今度は二撃目。しかも、さらに速い。

 

 俺は何とか、身をよじってかわす。

 

 パレスの主の攻撃はまだ止まらない。

 

 三撃目は、俺の首を狙っていた。

 

 それを後ろに下がって避けた所で、ようやく攻撃が終わった。

 

「なんだよ、こいつ……」

 

 攻撃が見えないわけではない。

 

 パレスの主の動き自体は、しっかりと見えている。

 

 しかし、それが、煙のように掴みどころがないのだ。

 

 そして何より恐ろしいのは、こちらの手の内を全て見透かされているかのような、そんな動きだ。

 

 先ほどの攻撃を、ギリギリまで引きつけて避けることが出来たのも、実力の差故だろう。

 

「ふむ…… どうやら、まだ本気を出してはいないようだね」

 

 パレスの主が言った。

 

 確かに、今はまだ本気を出していない。

 

 だが、こいつの前では、それも無意味に思えた。

 

 相手の姿が見えず、動きも捉えきれないこの状況では、無理だ。

 

「だとしてもな」

 

 この場で、俺は退く事は出来ない。

 

 ここで、退けば、千束達に被害が出る。

 

 だからこそ、俺は退かない。

 

 次に来る一撃。

 

 それに対して、俺はナイフを手に持ち、防ぐ。

 

 パレスの主からの次々と放たれる攻撃。

 

 最初の方は対処をするのは難しかった。

 

 しかし、徐々にだが、その動きが見えるようになってきた。

 

「なんだこれ」

 

 それは、目の前にいるパレスの主の動きなのか、それとも別の何かなのか。

 

 殺気が籠もった攻撃。

 

 それらが、俺の中にある何かが溢れ出そうになった。

 

 今ならば、このパレスの主も簡単に殺せるんじゃないのか?

 

 そんな事も可能ではないのか。

 

 そう、考えた時に。

 

「バーカ!」

 

「へっ」

 

 聞こえた声、それと共に、俺はナイフでパレスの主からの攻撃を受け止め、後ろに跳ぶ。

 

 それはパレスの主も同じだったのだろう。

 

 同時に俺の腹部に襲い掛かる衝撃。

 

「ぐへぇ!」

 

「何をやっているの、馬鹿! そんな事をしたら、あの人、死んじゃうでしょ!」

 

 その蹴りを放ったのは千束だった。

 

「いや、それは、あれ」

 

 すると、先程までの黒い感情が抜け落ちた。

 

 俺は一体。

 

「命を大事に、それが私達だったでしょ」

 

「……あぁ、そうだったな」

 

 その言葉で、俺はようやく自分を取り戻せた気がする。

 

 これまでにない戦いに、俺もヤバかったからな。

 

「……命を大事にだと」

 

 その言葉にパレスの主の動きも止まった。

 

「そう、あなただって、なんでそんな殺しの仕事をしているの!」

 

 そう、千束はなんと問いかけた。

 

「わっちは」

 

 その問いかけが、俺達の常識を覆す結果になるとは、この時は知らなかった。

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