PERSONA5 Osaka's Phantom Thieves 作:ボルメテウスさん
「さて、話と言っても、何を話せば」
そうしながら、まさかのパレスの主と話をする事になるとは。
俺達ですら予想外の出来事に困惑を隠せなかった。
「それじゃ、聞きたいんだけど、なんで暗殺者のような真似を」
「それしか、わっちには生きる術を知らなかったからだ」
「生きる術を」
それに対して、千束は少し暗い表情をしていた。
「わっちにとって、生まれた場所は文字の読み書きよりも、殺しの技術を叩き込まれた。
そんな場所で育てられたからこそ、わっちにとっては、周囲は敵でしかない」
「そんな所が、この日本で」
「ないとは言えないだろう。この世界、裏では幾らでもあるからな」
戸惑う俺達とは正反対に、杉元さん達を始めとした数人はまるで納得するように言う。
「そう、だから、わっちにはこれしかない」
そう、パレスの主は、自分のクナイを見る。
歪んだ欲望。
そう思うのは、間違いはないだろう。
すると。
「それは、あなたのやりたい事なの?」
「なに?」
すると、千束は反対に問いかける。
「だから、わっちにはこれしか」
「これしかって言うけど、それはやりたい事じゃないでしょ」
そう、千束は笑みを浮かべる。
「私は、そうだなぁ、ビールガールっていうのも興味あるんだよねぇ。野球観戦をしている所で売るのって、結構面白そうだし」
「それ、この前渋谷さんが言っていたけど、盗撮されやすいから気をつけろって」
「天王寺組の花見っていうのも興味あるからねぇ」
「天王寺組内で戦争が起きるから止めておけって、大嶽さんに言われたばっかりだろ」
「もぅ、龍臣は文句ばっかり!だったら、龍臣は何をしたいの!」
その言葉に対して、俺は不敵な笑みを浮かべる。
「決まっているだろ、世界一のメロンパンを作る事だぁ!」
「そこは喫茶店だろう、てめぇ!」
「だって、俺、メロンパンが大好物なんだよ!」
そう、俺と千束は互いに言い合う。
「なんだ、それ、そんな下らない事で」
「下らないとは言うが、果たしてそうだろうか?」
すると、ここまで話に入ってこなかった犬牟田が呟く。
「僕にとって、この場所に来る事は意味はある。それに対して彼らは下らないなどを言う。
だけど、他人からしたら、それは下らなくても、自分には価値があると思えば良い」
「そういう事!あなただって、やりたい事はあるでしょ!」
そう、千束は言う。
「出来る事じゃなくて、やりたい事」
「・・・やりたい事か」
すると、パレスの主は呟く。
「・・・やりたい事など、今まで、考えた事はなかった。だが、そうだな、とりあえずは」
パレスの主は、その手にあるクナイを、俺に投げる。
それは殺すのではなく、投げ渡す事。
「これは」
「お前らがオタカラという奴だろうな。わっちがやりたい事は決まった」
「それは、本体も同じなの」
それに対して、笑みを浮かべる。
「わっちにとって、やりたい事。それは人を殺す事ではなく救う事」
すると、その姿が徐々に変わっていく。
そこに立っていたのは、蛇。
「我は汝、汝は我。これまで隠れていた千代女は今、戻るとしよう」
その言葉と共に消えていった。
「これは、実に興味深いな」
同時に、犬牟田の姿も変わっていた。
というよりも、ボディスーツにパソコンがついているような姿。
「・・・お前、何時の間に」
「自分の心を解放する!なるほど、なかなかに面白いじゃないか!」
「というよりも、これって、これまでにないパターンだけど」
そうしていると、パレスが崩れる音がした。
「ふむ、そうそうに脱出せねば」
「あぁ、もぅ、こんなのもうこりごりだからね!」
そうしながら、俺達はすぐにこの場を脱出する事にした。