PERSONA5 Osaka's Phantom Thieves 作:ボルメテウスさん
「改心させる相手って」
眼前にいる月詠さんの言葉に、俺は思わず聞いてしまう。
「決まっている、大嶽だ」
「大嶽さんをっ、けど」
それが一体、何の解決になるのか。
「大嶽自身が、抱いている怒り。
私が見る限りでも、戦争のきっかけになるには十分過ぎる程の怒りだ。その怒りは、既に戦争を起こす為の準備をしている。
つまりは、奴を改心させれば、それで解決する」
「だけど、それでもしも大嶽さんの言うように戦争が始まってしまったら」
「だが、可能性としては十分にあり得るだろ」
「それは」
その言葉に、俺は、迷ってしまう。
確かに月詠さんの言葉には一理ある。
もしも、大嶽さんを改心させる事が出来れば、それで戦争を防ぐ事が出来るかもしれない。
けれど、それでもしも防ぐ事が出来なければ。
「いやぁ、大嶽の頭から言われて、少し様子見をするようにって言われたけど、まさか瓜生君を唆す存在が本当に現れるとはなぁ」
「っ」
そう、俺達が話していると、そこから現れた影。
その人物は。
「戸狩さんっ」
そこに現れたのは戸狩さんだった。
「瓜生君、そこにいる女の言う事を真に受けてはいけない」
「よく言う、まさか、貴様とこうして会う事になるとはな」
「こっちこそ、まさかお前が東京から送られた刺客だとは思わなかったぜ。まぁ、今では、あの組織と、俺は無関係だがな」
そう、2人は既に互いに武器を取り、構えていた。
「瓜生、もしも、戦争を止めたければ、大嶽を改心させるんだ」
「いいや、戦争を起こす事こそが、いずれ平和に繋がる!だからこそ、大嶽の頭の案に乗るべきや」
互いに目の前にいる相手に殺気を送りながら、俺の方に判断を促す。
どちらを選ぶべきか。
未だに、どうするべきか分からない。
どうすれば。
『やりたい事を最優先だよ』
「っ」
同時に思い出したのは千束のいつもの言葉。
それを聞いた瞬間、俺は。
「決めた、俺は大嶽さんのパレスに行く」
「瓜生、貴様ぁ!」
戸狩さんからしたら、俺が行おうとしているのは裏切りの行為に近いだろう。
その顔は怒りに染まっており、真っ直ぐとこちらを睨んでいた。
「だけど、改心させる為じゃない」
「なに?」
だが、次の俺の言葉に、今度は月詠さんは疑問に思った。
「パレスの主は、その心に押さえ込んだ欲望の象徴だ。
つまりは本音の塊だ。
大嶽さんが、どんな思いで東京と戦争を起こそうとしているのか。
それを知る為に、話し合う時間は、あまりにも少ない」
「だから、大嶽の頭のパレスに行って、その本音と聞き出すという事か」
「えぇ、その時にならないと分かりませんから。何よりも」
俺は同時に思い浮かべたのは、大嶽さんとの想い出。
怖い見た目に反して、ユニークな人物であり、仁義を重んじている。
差別を激しく嫌っている彼が私利私欲の為に戦争を起こそうとは思っていないのも分かる。
「だからこそ、腹の探り合いのないパレスで話し合いたい」
「そんなの、俺が許可するとでも」
「だったら、戸狩さん。あなたも着いてきて下さい」
「なんやと?」
その一言に、戸狩さんは戸惑いを隠せなかった。
「俺が大嶽さんに対して、危害を加えない事を、最後まで見届ける為に。もしも、改心させるとしても、あなた方に対しては、正々堂々とやるつもりです」
そう、真正面から言う。
「・・・アホやないか、本当に」
戸狩さんは、そう言う。
「けど、迷って何にもしないのは困るからな。良いだろう。俺が見張って、大嶽の頭の考えをしっかりと知るが良い」
「最も、瓜生をやるようだったら、わっちが貴様をやるがな」
「やれるもんやったら、やってみるかぁ」
戸狩さんの説得にはなんとか成功する事が出来た。
これによって、これまでにないパレスの攻略へと向かう事になった。
しかし、この時、俺達は知らない。
これが、悲劇の引き金となる事を。
この場にいる全員が。