PERSONA5 Osaka's Phantom Thieves 作:ボルメテウスさん
巨大な百足を思わせる姿へと変わった大嶽さん。
彼は、そのまま、俺の顔を見つめる。
その表情は、怒りで隠せない様子。
「俺は未来で起こるだろう悲劇を起こさせない為に」
「それは、大嶽さんの身にも起きたんですか」
「あぁ、そうやぁ!」
それと共に、大嶽さんは過去を語り出した。
「俺の爺ちゃんは天王寺組で極道を張っとった。
そんな爺ちゃんから、多くの事を教えてくれて、義理人情を重んじる任侠集団やった」
「それは、俺も知っています」
だからこそ、こうして俺は大嶽さんの事を信じたい。
「だけど、関東と関西の極道には長い因縁がある。そんな因縁をなんとか無くす為に爺ちゃんは動いていた。
だけどな、東京は、それを裏切ったんや!」
それと同時に、周囲を見れば、そこは血塗れの光景。
「これは、一体」
「・・・このパレスは、大嶽さんの心の中の風景。だからこそ、これは大嶽さんが実際に見た光景でしょう」
親しい人を殺された。そんな憎しみをきっかけだろう。
このパレスは、そんな大嶽さんの憎しみによって作られた。
「俺は、あの時の事を忘れられない。だからこそ、復讐を終えるまで不退転の印として、この百足を刻み込んだ」
そして、その百足こそが、大嶽さんの言葉。
「・・・だとしたら、この戦争で、また増やすんですか」
「なんやと?」
そう、俺は見つめる。
「大嶽さんの憎しみは理解出来ます!だけど、このまま戦争を起こしたら、その憎しみはもっと大きくなります!!」
「誰かがやらなければ、もっと大きくなるんや!」
「世の中で起きとる戦争は大概が恨みの連鎖!だからこそ、誰かが矛を納めんと戦争は永遠に続く!この戦争で、もしも勝てたとしても、その先で」
俺は手を強く握り締める。
「皆と一緒に、笑えますかっ」
「っ」
それに対して、大嶽さんの表情は変わった。
「もしも、前に進む事しかないんだったら、一緒に憎しみすら踏み越えましょう」
「そんなので、乗り越えられると思っているのか」
「俺だけだったら無理ですね、けど、大阪を愛する人が沢山いる天王寺組の皆さんと一緒だったら出来るかもしれません」
そう、俺は見つめる。
「東京の極道を恨む気持ちも分かります。けど、それこそが差別じゃないですか。住んでいる地域だけで、人柄を決めるのは」
「っ」
それは、大嶽さんがよく言ってくれた。
差別を決して許さない。
それがよく言っている言葉だ。
「・・・俺は、自分でも知らない内に嫌いな奴らと似た考えをしていたのか」
「守ろうとする思いが、それだけ強かっただけです」
そう、俺は見つめる。
「・・・まだ、憎しみを消す事は出来ない」
「えぇ」
「けど、戦争を無理矢理起こして、瓜生君達を巻き込むのは間違っているな」
「頭」
そう、大嶽さんの身体は百足から人へと戻った。
「ほんま、君は成長したな、瓜生君」
「大嶽さん」
そう、俺は大嶽さんに近づこうとした時だった。
大嶽さんは、何かに気づいた。
その目は大きく見開いていた。
そのまま、大嶽さんは俺を手で押した。
「っ!?」
それと共に目にしたのは、大嶽さんの胸が、穴が開いた。
「頭ぁぁぁ!!」