PERSONA5 Osaka's Phantom Thieves 作:ボルメテウスさん
俺の名前は瓜生龍臣。
「俺は不死身だぁ!!」
「うぎゃぁぁ!!」
「えぇ」
眼前で傷だらけになりながらも、シャドウを殴り飛ばしている知り合いに対して驚きを隠せない高校生だ。
先日の誘拐犯達は、女性を拉致・監禁し、殺害したり海外の人身販売ルートに流す半グレの集団だった。
だが、俺達がオタカラを盗んだ事によって、奴らのリーダー格は自首。
それと共に、警察はそれらのルートを洗い出し、無事に女性達は保護された。
「本当に無事で良かったぁ」
「いや、それは良いけど、お前はお前でサボるなよ千束」
そう、俺はバイト中にもかかわらず、思いっきりサボっている千束に思わず突っ込む。
俺達は現在、移動式喫茶店であるリコリコにてバイトを行っている。
本来、喫茶店ならば店を構えているべきかもしれないが、この周辺では公園が多く、そこで休憩している人達に向けて出す事になっている。
「それにしても、怪盗団ねぇ」
俺は、そのままスマホを見ている。
先日の一件で利用させて貰ったが、その怪盗団に関しての情報を探っている。
秀尽学園高校で主に自身の受け持つバレー部の生徒に対する虐待や性的な嫌がらせを頻繁に行っており、バレー部の生徒たちにはいつもアザなどの怪我が絶えなかったらしい。
「本当に嫌になるなぁ」
「いや、お前こそ、サボるなよ」
「うわっと!?」
そう、俺がスマホを見ていると、後ろから思いっきりチョップをされる。
俺は思わず頭を抑えながら、上を見上げる。
「杉元さん」
そこには、現在、この移動式喫茶店であるリコリコの店長を行っている。
俺よりも年上であり、その顔には傷があって、過去には色々あったのがよく分かる。
「だけど、店長、今、お客さんはいませんよぉ」
「だからと言って、サボっている所を見られたら、お客さんも来ないだろ。
そうだよねぇ、ピーちゃん」
そう、俺達に注意をした後、そのままピーちゃんの方へと猫撫で声で言う。
その様子を、見ていると、俺達は思わずジト目出見てしまう。
杉元さんは、信頼できる大人であるのは間違いない。
「・・・にしても、怪盗団ねぇ」
「杉元さんは、どうなの?」
すると、その話題が出た事で、千束はそのまま杉元さんに詰め寄る。
「さぁな、改心という方法自体分からないからな。それに、悪人がそんな簡単に心を入れ替えるとは思えないしな」
それと共に、まるで実感を持つように杉元さんが言う。
この移動式喫茶店を行う際に、俺と千束は免許を持っていない事で困っていた際に、面接してきた。
その顔もあり、最初は俺も千束も困惑していたが、店長は、彼が信頼出来る大人だと言った。
だけど。
「・・・」
「また、あの顔をしているね」
「あぁ」
杉元さんは、時々、何かを思い詰めたような顔をしていた。
彼の過去に、一体何が起きたのか。
それを俺達は知らない。
そもそも、本人が話そうとしないんだったら、それを行うのは駄目だろう。
「あぁ、そんな事を言っている間にもお客さんだよ!」
「おっと、本当か、いらっしゃい!」
そう、俺達が雑談していると、お客さんが入って来た。
すぐに、看板娘である千束が対応し、前に出る。
「というよりも、俺達って、客の前に出れないよな」
「店長曰く、怖がるらしい」
そう、俺達はため息を吐きながら、呟く。
「そう言えば、知っている。
警察寮で最近、脅迫状があったの」
「脅迫って、どういう事?」
その言葉に俺達は困惑する。
「始まりは一通の手紙が送られて来た事からだった。
その手紙には、女性警官に対する脅迫状を送られた」
「だけど、女子寮への被害が多くなっているらしい。
しかも、あの日を皮切りに女子寮の人間が謎の失踪を遂げるようになったらしいよ」
その話を聞いて、俺達は驚きを隠せなかった。
「もしかしたら」
「龍臣、これ」
そうしていると、千束はスマホを見せた。
そこには、先程までの事件に関係しているだろうキーワード。
「千束、これは?」
「日頃、女性差別をしている有名な人の名前。
それとその人がよく行き来している雑居ビルに、その際に呟いた単語だって」
「さすがだな」
普段から千束の高いコミュニケーション能力もあり、この手の噂から話題を抜く事は簡単に行える。
「龍臣」
「あぁ、杉元さん!俺達、少し買い出しに行ってきます!」
「えっ、おい、お前達って、ピーちゃんまで!」
俺達はすぐにその場所へと向かって走り出す。
場所はここからそんなに遠くない。
そう、俺達が向かった先は雑居ビル。
だけど、そこは。
「なにこれ」
「・・・」
そこはまさしく処刑場。
そう言えるような不気味な場所だった。
「女性警官を粛正する場所、己が正義だと言わんばかりの場所だな」
「腐っている」
俺がそう言っていると共に、俺達は瞬く間に怪盗衣装を身に纏っていた。
「これって」
「既に警戒されているようだ、気をつけろ!」
そう、言っている時だった。
「おいおい、こんな所で、何をしているんだぁ」
それと共に聞こえた声。
見ると、そこにいたのはシャドウだろう。
だけど、そのシャドウの目は明らかに可笑しい。
「こいつは、前の奴とはどこか違う」
「どうやら、何や薬をやっているようだな」
「何を言っているんだお前ら、まぁ、どっちでも良いよ。お前達も警察の味方なのかぁ、だったら」
「っ」
それと同時だった。
奴はふらついた脚で、こちらに来ていた。
それと共に、その手にあるナイフは真っ直ぐと千束に向かっていた。
「死ねよ」
「やられるかよ」
すぐに、俺は蹴り上げる。
だけど、あまりダメージはない様子だった。
「ちっ、だったら」
そう、俺はペルソナを発動させようとした。
先程まで、俺達はバイトをしていた為、手持ちには武器はない。
だからこそ、対抗するにはペルソナしかない。
だけど。
「動きが大きいぜ」
「なっ」
そんな俺に対して、奴はすぐに接近していた。
ペルソナを召喚しようとした隙。
それを狙った動きでナイフが俺に襲い掛かる。
ナイフが俺の腹に刺さるその瞬間だった。
「やらせるかよぉ!!」
「えっ!?」
飛びだしてきた影。
それは、なんと杉元さんだった。
「杉元さん!」
杉元さんは、そのまま俺達の前に飛びだして、そのナイフを腹部で受け止める。
「杉元さん、何を!!」
「お前達こそ、何をやっているんだっ、さっさと逃げろ!」
そう、俺に向かって叫びながら、シャドウを睨み付ける。
「俺の邪魔をするなぁ!」
「させるかよ、俺はっ不死身だぁ!!」
それと共に、なんと杉元さんは生身でシャドウを殴り飛ばした。
腹部から血が流れており、危険だ。
「不味い、すぐに病院に行かないと」
「いや、それは出来ないようだ」
見れば、入り口が塞がれている。
「とにかく、安全な場所へ、移動しないと」
「あぁ!」