※この作品はR-18です。

手持ちのメスポケモンとHしながら旅をする   作:青い灰

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今回R18展開はありません。
普通にバトルものでは……?




2話 バトル、卑怯とは言うまいな

 

 

 

「旅に出ます」

 

「そうかイカリ、表に出ろ」

 

 

怖っ!?

スクールの朝一番で職員室に向かい、先生に告げるといきなり昔の不良の喧嘩の始まりのような鋭い言葉を返される。薄縁メガネがキラーン、と輝き、表情こそ笑ってはいるものの声音が笑っていない。

先生は立ち上がり、職員室からグラウンドへ直行する扉を指差して俺を見下ろす。

 

 

「えっマジすか……」

 

「大マジだ。旅に出られるか試験を始める。

 申し訳ありません、午前中の授業を

 バトル観戦に変更させて頂きます。

 生徒は教室の窓に番号順に整列してください」

 

 

メガネの先生はデスクの放送用のマイクにスイッチを入れ、そう学校中に放送する。ガチじゃん……

え、なに? 今から俺イジメられんの?

メガネ先生はマイクを切ると、再度俺を見下ろした。

 

 

「そう怯えるな。

 ただのポケモンバトルだ。手加減はする」

 

「ハイ」

 

 

怖ぇよ。

何はともあれ、俺はメガネ先生と共に、職員室にいる他の先生たちから見守られながら外に出るのだった。

 

 

 

 

 

 

───────

 

 

 

 

 

────1時間前。

 

 

旅の準備を終わらせ、母さんに挨拶をしようとして、階段を下りる。と、既にそこに母さんは待っていた。

どうやら待ち伏せしていたようだ。

 

 

「おはよう。それじゃあ」

 

「待ちなさい、先生たちにも挨拶はしたの?」

 

「いや、まだかな」

 

「じゃあしなさい。ジムリーダーさんにもね。

 バッジ集めてリーグにも挑むんでしょ?」

 

「ん、分かった」

 

 

いつものような、簡単なやり取り。

俺は帽子を被って、親父のリュックバックを背負い、玄関でランニングシューズの紐を締める。

そして、振り返る。

 

いつもの家と、いつもの母さん。

何も変わりはしない、俺の帰る場所。

 

 

「いつでも帰ってきなさいね。

 ここはあんたの家なんだから」

 

「そうすぐに帰らないって」

 

「ベソかいて戻ってきたら笑ってやるわ」

 

「まさか」

 

 

いつもの、ふざけたやり取り。

扉に、手をかける。

 

 

「行ってきなさい。よい旅を」

 

「行ってきます」

 

 

足を、踏み出す。

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

「……ルールは手持ち一体のみ、一対一。

 勝利条件はどちらかのポケモンが倒れたら

 倒れたポケモンのトレーナーは敗北だ、いいな」

 

「はい」

 

 

場所は、グラウンド。

お互いに場所につき、モンスターボールを構える。

メガネ先生は相変わらずの威圧感だ。

 

 

「私に勝てたらスクール支給のベルトではなく

 本物のトレーナーのベルトを差し上げよう。

 しかし負ければ、校内のトイレ掃除を一週間」

 

「負けないのでトイレ掃除は当番でいいですよ」

 

「その意気だ。

 〝勝利に迷うな、されど油断するな〟。

 こちらはその足元を掬ってやるとしようか」

 

 

メガネ先生が言うのはうちのスクールのバトル心得。そして先生はボールを取り出し、こちらへ向ける。

 

 

「では、始めるとしようか。

 出番だ、シザリガー」

 

「えっ」

 

「シガァアッ!!」

 

 

えっ手加減するって言わなかった?

校舎側から歓声が聞こえて、そちらに視線を向ければ生徒やら先生たちがこちらを見ている。つーか待て、ヘイガニならともかくその進化先のシザリガー?

このメガネ狂ってんの? ていうかまさか……

 

 

「ヘイガニ道場の……」

 

「あぁはい、あれは私が故意に作ったものだ。

 あそこのヘイガニのほぼ全員が

 このシザリガーの部下みたいなものでな」

 

「バトルジャンキー量産されてたのそのせいかよ。

 授業であそこ使ってたのもそれか……」

 

 

元よりシザリガーは攻撃性が高い。

その影響を受けたのか、川沿いのヘイガニたちは妙にバトルに意欲的だった。目があったらみずでっぽうを撃ってくるくらいに。しかも律儀に一匹だけで。

 

……見た感じ、オスのシザリガーか。

何度か生え変わったのだろう、特に右の鋏が大きい。恐らくクラブハンマー、シェルブレードなど物理技が脅威だ、どうにか対処しなければ。

 

 

「行くぞ、クロ」

 

「きゅおぉおんッ!」

 

 

ボールを上に投げ、クロを出す。

着地と同時に強く鳴き、姿勢を低くした臨戦態勢だ。こういう時の切り替えが良くて助かる。

 

 

「作戦通りにな」

 

「きゅおんッ!」

 

「ほう、何か作戦でも?」

 

「流石にただで送り出してはくれないでしょ」

 

「それもそうだ。

 ではシザリガー、れいとうビーム」

 

「うわいきなりかよ……!

 クロ、集中して回避しろ!」

 

 

早速シザリガーに命令が下され、シザリガーは両手の鋏を前に揃え、鋏を大きく開く。その鋏の間に冷気が収束、下から上へ、れいとうビームが放たれる。

対するこちらは近づかなければ攻撃手段がない。故に特殊技は絶対に避けなければ。それにもしも氷付けにされれば間違いなく無防備なところをやられる。

 

クロは咄嗟に横に跳び、それを回避する。が。

 

 

「薙ぎ払え」

 

「クロ、ジャンプ!」

 

 

着地の瞬間、上を向いていたシザリガーの鋏が正面へ降ろされ、そしてその両腕を大きく広げる。言葉通り両腕の鋏から薙ぎ払うようにれいとうビームが周囲の地面を凍らせていく。

それをクロに指示、ジャンプさせてそれを回避する。

 

 

「素早いな、なら近接で叩こうか。

 シザリガー、シェルブレード」

 

「ッガァ!」

 

「っ高………! 来るぞ!」

 

 

シザリガーが高く跳躍し、その両腕に水を纏わせる。だが見上げるほど高い跳躍とは、なんて脚力だ。

しかも今日は晴天、日光が眩しく上空のシザリガーを捉えきれない。クロよりも目が届く俺が正確な指示を出さなければならないか。

 

 

「クロ、最低限で回避する」

 

「きゅおっ!」

 

 

シザリガーの落下に合わせ、指示を待たせる。

周囲の地面は凍結し足場が悪い、下手に回避すれば、言葉通りに足を掬われる。だが凍結した地面も何かに利用出来ないか、探る。

そして。

 

 

「今!」

 

「きゅおぉっ!」

 

「追撃しろ、シザークロス」

 

「飛び越えろ!」

 

 

ギリギリで横に跳び回避したが、すぐにシザリガーは両腕の鋏を大きく振りかぶる。ゾロアはあくタイプ、むしタイプのシザークロスを食らえば不味い。しかしトレーナーの動揺はポケモンにも伝わる、出来る限り冷静に、その動きから最善の回避を選択して伝える。

 

クロは命令通りにシザークロスの直前に跳んで回避、シザリガーの上を取る。

 

 

「ガ……ッ!?」

 

「っ───!」

 

 

やはり、シザリガー。

その窪んだ眼窩は正面や横を見ることに特化し、また水中の流れに逆らいながらも泳ぐのに適したものだ。

しかし、そうであれば。

 

その姿形では、真上は見えまい。

 

 

「みだれひっかき!!」

 

「こきゅあぁあぁッ!!」

 

 

必ず、ここで落とす。

クロは前足の爪を振り上げ、その頭部に振り下ろす。が、硬い。やはり甲殻を撃ち抜く威力が足りない。

 

 

「ガァ、ッ……!」

 

「けど、効いてるだろ!?

 まだまだ、みだれひっかき!!」

 

「シェルブレード!!」

 

「(はぁ!?)」

 

「シガァアァアッ!!」

 

「ぎ、ゅ」

 

 

しまった!! 選択をミスった!!

一撃入れたんだから位置を把握されるのは当然だろ!

クロの胴体をシザリガーの右の鋏が打ち、強く地面に叩きつけられる。

 

最悪だ、クロは大丈夫か!!?

 

 

「クロ!! ッ、悪い、まだ立てるか!?」

 

「きゅ、おっ……!」

 

 

ひどいキズ……!

クソ、やっちまった、この大馬鹿野郎が!!

だがまだその視線は生きている、まだやれるか。

 

作戦を、視線で伝える。

 

 

「しまった、ついやってしまった。

 ……………ん?」

 

「きゅ、う……っ」

 

「クロ」

 

 

そして、ポロポロとクロが泣き始める。

それにシザリガーとメガネ先生は目を見開き驚く。

 

 

「きゅう、ううう……」

 

「なっ……ちょっ、なにも泣くことは……!」

 

「ガッ!?」

 

「先生……」

 

「先生ひどーい!!」「泣かせたー!」

 

「先生あんまりですよ!!」「やりすぎー!!」

 

 

それには教室の生徒や先生からもヤジが飛ぶ。

すぐさま完全したブーイングの嵐に、先生は目の色を曇らせて……そして、気が付いた。

 

 

「ッ!!? まさか……!? シザリガー!!」

 

「シガッ!?」

 

「シザー────!!」

 

「おせぇ!! クロ!!」

 

 

先生が勘づき、そして技を命令しようとした瞬間。

名前を呼ぶ。

 

 

 

うそなき。

 

 

 

事前に打ち合わせていた最終手段。

信頼は地に落ちる代わり、確実に相手を倒すもの。

そしてそれは、相手の技の出で完結する。

 

 

 

 

「ふいうち!!!」

 

「くぁあぁッ!!」

 

 

 

 

泣き止んだクロが、謎の命令に動揺する隙。

そこに素早くクロが懐に潜り込み、その爪を振るう。

 

 

「シ、ガ……ッ!!?」

 

 

鋭い爪の一撃が、シザリガーの顎を撃ち抜いた。

その身体が持ち上がるほど強力な一撃、シザリガーは高く打ち上げられ、そして背中から地面に落ちる。

そして足がピクピクと動き、そしてそれも、止まる。

 

……終わった。息を吐く。

集中が途切れて、軽くめまいがするようだ。

すっっっげぇ緊張した。

 

硬い甲殻が覆うのは上部や鋏だけ。

甲殻の薄い位置、下からの攻撃には弱い。

いわゆる急所というやつだ。しかしまさか一撃とは。

 

 

「卑怯とは、言いませんよね」

 

「あんな卑怯な手を教えたつもりはないんだが」

 

「言わないでください」

 

「卑怯者」

 

「ぐあぁ……」

 

 

胸に突き刺さる言葉に思わず唸る。

とはいえ、メガネの先生も思った以上にさっぱりした表情だ。先生はボールにシザリガーを戻し、こっちに歩いてくる。

クロもまたこっちに走り寄り、足元へ。

 

 

「とはいえ、見事だった。

 旅の厳しさを先もって教えておこうと

 思っていたんだが……見事に策に嵌められた」

 

「シザリガーはどうかと思いますよ」

 

「一度は叩きのめしてやろう、とな」

 

「コワー……」

 

 

どうやらマジなようで軽くドン引く。

そして、先生の握手に応じる。力つっよ。

 

 

「……次は負けないぞ。

 戻ってきたとき、改めて全力でやろう」

 

「ははは……戻ってきたとき、ってことは」

 

「あぁ、ほら。

 支給のものは返せよ」

 

 

そうして先生はどこから取り出したのか、ホルダーが六つあるベルトを差し出してくる。それに俺は慌てて自分のベルトを取り外し、それを受け取り装着する。

……なんだか、もう一人前になったような気分。

高揚するこの気持ちは、きっと紛れもない本物だ。

 

 

「……よし」

 

「ここまでやるとは思いもしなかった。

 本当に、よく頑張ってきたな」

 

「いえ、先生たちとクロのお陰です」

 

「……そうか。その気持ちを忘れるなよ。

 それと、お前の努力があったのも事実だ。

 ゾロアもお前のことを深く信頼してる、

 それが何よりもの証左だ」

 

「……………」

 

「? どうした?」

 

「い、いえ……ありがとうございます」

 

 

思いっきり視線を逸らしてしまう。

信頼され、いや、うー………ん……これは……いや……

クロも分かっているのか、じとりとした視線が横顔に突き刺さる。うーん、旅はしないでそういうところでしっかり矯正した方がいい気がしてきたぞう。

 

いや、やめよう。

やりたいことをやるんだ、俺は。

 

 

「じゃあ、ありがとうございました。先生」

 

「大したことはしてない。バッグは持ってるな。

 モンスターボールと卒業証書を持っていけ。

 身分証明になるだろう。教室に戻るぞ」

 

「はい」

 

 

 

──────

 

 

 

「イカリ! バトル、凄かった!」

 

「ほんとだよ! 卑怯極まりないね!」

 

「心抉られるわ。ありがとう」

 

 

校舎の入り口、教室での挨拶を済ませ、その後。

幼馴染みの二人、少し片言の男子と楽しそうな女子に詰め寄られ、さらっと心を抉られる。そら卑怯だけど先生もシザリガー出してくるのどうかと思うよ。

 

 

「でも旅に出たいとは言ってたけど

 急ぎ足だね、何かあったの?」

 

「んー……なんとなくかな。ほんとに。

 二人はどうするんだ?」

 

「僕たち、もうちょっとしてから」

 

「一緒に旅に出ようって思ってるんだ。

 すぐ追い付くからね」

 

「あぁ、バトルでもしよう」

 

「今日の卑怯、見せられると、ちょっと」

 

「勘弁して欲しいなー」

 

「あれっ俺の気遣いは?」

 

「あははっ、冗談だって」

 

 

こっちも、いつもと変わらない会話。

だって同じように旅をするならまたどこかで会える。そんな確信にも似た何かがあるから、かもしれない。

ふと、スマホを確認する。

 

 

「……ジムリーダーのところに行かないと。

 それじゃあ、行ってくるよ」

 

「気をつけて」

 

「じゃあねー!」

 

「あぁ、またどこかで」

 

 

 

そうして俺はスクールと別れを告げる。

さて次は、ジムに向かおう。

バッジはまだ少し早いが、挨拶だけでもしないと。

 

 

 






R18小説の姿か、これが?

イカリ
割と視界が広い。卑怯とは言うまいな。

ゾロア
きみ強くない? 臆病とは一体……

シザリガー
4つ目の技はつじぎり。
あくタイプなのに嘘泣きに動揺しちゃダメでしょ

先生
メガネが本体とか噂されている人。
スパルタだが生徒からの評判は良い。ドS。


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