もうタイトル詐欺でしょこれ。R18展開はどこ……?
なんでこのタイトルでエロよりバトルが多いの……?
まぁいいか!!(普通のポケモン系小説で)よろしくなあ!
良いわけねぇだろ
次回はR18回です。
R18ランキングに上がってましたね。やったあ
それなのにエロ1話だけって恥ずかしくないのか?
申し訳ありませんでした。
黒い閃光。
ナイトバーストが、アーボックの頭に炸裂する。
「──、────!」
弾ける暗黒の衝撃波がアーボックを地面に叩きつけ、反動にクロもまた吹き飛ばされるが、そちらはダメージも少なく、すぐに起き上がる。イーブイもまたそれを見届けて、すぐにこちらへと戻ってきた。
そして。
「シルルルル……」
アーボックもまた、ゆっくりと起き上がる。
とぐろを巻くようにして身体を起こし、傷だらけの身体で、だが未だ、こちらに対する威圧感は弱まることはない。黒い眼光は、俺を真っ直ぐに捉えている。
俺の前に立ち塞がる二匹が、再び臨戦態勢を取る。
「……?」
だが、だが、どこか、その様子は……
「……お前」
アーボックの様子に違和感を覚え、口を開きかけたとき。
「イカリ!!」
三つの足音と共に俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。そして俺が振り向くよりも早く、俺たちの前にモンスターボールが投げられ、それは地面にバウンドすると、赤光と共に二つの巨大な影が姿を表す。
「ウォーグル!!」
「行け、オーダイル!!」
そうして聞き慣れた声と共に飛び出すのは、巨大な翼を広げ強い風を起こして現れる巨大な鷲のポケモン、ウォーグル。また地震のような揺れを伴いその巨躯を持ち上げる、巨大な鰐のポケモン、オーダイル。
「クルルルァッ!」
「グォルルル……!!」
振り返る。
そこにいたのは……
「先生に……か、母さん!?」
「待たせた……が、かなり追い詰めたようだな。
だが、誉めるのは終わってからだ」
「はぁ、随分と早い再会になったわね。
それに……これも因果ってものかしら。
そら、相手は倒れてない、ちゃんと前を見なさい」
そして。
モンスターボールが、再び投げられる。
「ウム、よくぞ一人であやつをここまで追い詰めた」
その言葉と共に、白髪の老人が杖をついて現れる。
モンスターボールから飛び出すのは、山を錯覚させるほどの巨躯はオーダイルと並ぶほど。大陸ポケモン、ドダイトスはアーボックを見て、低く唸り声を上げた。
「ガァァ……!」
「すまんの。遅くなってしもうた。
ワシも森を回っておったが、すれ違っていたようでの」
「リンドウさんまで……!」
「丁度戻ってきていたところだった。
町の避難が終わればまた別のトレーナーも来る」
ジムリーダー、リンドウさん。
かつてアーボックを一人で撃退したのが、この人だ。先生が言う通りなら、もう少し時間を稼ぐだけでいいはずだ。
しかし、今は………
とにかく、確かめたいことがある。
「………すいません、集まって貰って、ですけど。
アーボックへの攻撃は一旦待ってください」
三人は、いや、先生とリンドウさんが俺の言葉に反応する。今は膠着状態、アーボックは様子を見ている。五匹となったポケモンたちも様子を見ている、が……
それにこの感じ、母さんは多分、何か知っている。
「母さん、なんか言うことある?」
「………ない、と言ったら嘘になるけど、
今言うべきことじゃないわね。
この状況をどうこう出来ることでもないし」
「分かった。これから無茶するから、
もし何かあったら、手を貸して欲しい」
「…………はあ、そう。血は争えないわね」
母さんは俺の意図を汲んでくれたのか、溜め息をつく。俺の親、というか、顔も見たことのない親父に関する話はあまり聞いたことがないが、そのことを言っているのはなんとなく分かった気がした。
そして眉を潜めている先生とリンドウさんに、母さんが目を向ける。
「お二人とも、すいません。
ポケモンを下がらせて貰っていいですか?
息子が、やるべきことがあるようで」
「ふむ」
「……イカリ」
「大丈夫です。多分」
目を細めた先生の言葉に、俺は頷く。
それを聞いて、二人はポケモンを一歩、下がらせる。
俺は、前に出る。
警戒を続けるクロとイーブイの間から、先へ。
二匹は驚いたように顔を上げるが、俺はアーボックから目を逸らさないまま、二匹を手で制する。
「クロ、イーブイ、大丈夫。
ちょっと、待っててほしい」
「きゅ……?」「ぶい?」
首を傾げる二匹を置いて、また一歩、先へ。
アーボックは変わらず、俺をジッと睨んでいる。
そう、アーボックは、ずっと俺を見ている。
クロとイーブイ、そしてビークインが相手のときは、彼らを敵として認識していた。だが、あの巣での戦いで、あいつはスピアーたちには目もくれていなかった。実際、あいつには連中は取るに足らない相手なのだろうが………
そして、さっきまではアーボックも疲弊していた。
だからこそ、あの二匹と戦闘を始めた。
問題は、あいつが暴れる理由だ。
どうして俺を追ってくる?
どうして、俺だけをずっと見ている?
一歩、足を進める。
ゆっくりと、その尻尾がゆらりと揺れる。
二歩、アーボックに近付く。
シルルルル、と舌を出して強い警戒を向けてくる。
三歩、手を伸ばせば触れる距離。
やはり、何もない。
敵意こそ向けられているが、アーボックは…………
「何が、怖いんだ?」
俺の何かを、恐れている。
恐怖からくる自衛、そしてその恐怖に立ち向かっていたのは俺とクロだけではなく、このアーボックも同じだ。
強い視線。
先程までは震え上がって動けなくなっていただろうそれは、分かってしまえば、そう恐ろしくはないものだ。直視すればその視線は、微かに震えているようにも見えた。
獲物は、果たしてどちらだったのか。
それは攻撃ではなく、抵抗だったのだとしたら。
そして知るべきは、何を恐れているのかではなく。
「─────────」
「シャアアアアアアッッッ!!!」
ゆっくり、ゆっくりと、手を伸ばす。
その全身を強く震わせたアーボックは、咆哮と共にアギトを大きく開き、牙を剥き出して後退る。後ろでポケモンたち、見守ってくれている人たちが動くのが分かる。
それを後ろに回したもう片方の手で制止する。
「大丈夫だ」
そしてアーボックが動き出すよりも早く、語りかける。
出来る限りゆっくりと、優しく。
「………!」
アーボックはそれに、ほんの一瞬、困惑を見せる。
分かっている。あれだけ暴れて、ここまで追い詰められて、それでも一噛みで即死させられる相手だ。それでもこうして触れられる距離でも、アーボックは動けずにいる。
ゆっくりと、手を伸ばす。
目を逸らさずに、真っ直ぐにその鋭い眼と視線を重ねる。
そうして、そのまま。
「…………うん」
その腹の側面、紫の鱗に、指先からゆっくりと触れていき、最後に、掌全体で触れる。そして指を滑らせて、その紫鱗を撫でながら、改めて、その眼を見つめ直す。
「…………シュウゥウウ」
「ありかとう。それと、怖いことしてごめんな」
その眼を閉じて、アーボックは初めて聞くような鳴き声で、手を受け入れてくれた。元はと言えばこちらが先に敵対する行動を見せたのだ、お礼と、謝罪を告げる。
触れた鱗は、ひんやりとしていながらも熱を持っている。
それを刺激しないように穏やかに撫でながら、アーボックと視線を外していく。
「ふ、ぅ……」
俺も眼を閉じて、息をつく。
と。
「っ、う……?」
突然、意識が薄れる。
視界に、思考に、霧が立ち込めたかのように、靄がかかって薄れていく。強烈な吐き気と寒気が、一気に襲ってくる。
身体がふらつく。
瞼を開ければ、視界に入るものが二重三重に重なって見え、それから、じくじくと突き刺すような痛みが、足から。
あし。
あの、とき、の。
………どくが、まわって、きた、のか。
ま、ずい。
「っ、あ……」
土の臭いがする。
胃がひっくり返って、喉を駆け上がる。
「─────、────」
耳鳴りがする。
耳鳴り、耳鳴り、耳鳴り耳鳴り耳鳴り耳鳴り──────
「…………」
真っ白な天井が、重い瞼を開けた先に広がった。
ここは……確か、アーボックと戦って、落ち着かせて……
それから……
「きゅ……」
視界の隅から、クロが心配そうな顔を覗かせた。
今にも泣きそうな顔だ。身体を起こして、その頭を撫でる。窓からは月明かりと街灯の光が差し込んで、そこから見える景色から考えるに……ポケモンセンターの病室だろうか。
隣のテーブルには俺の鞄と、クロのボールが置いてあった。起き上がろうと、かけられていた布団を取ると。
「……あぁ、足、怪我したんだったっけ」
足首には包帯が巻かれている。
どうやら骨には届いていなかったようで、もう痛みはなく、足を床につけて力を込めても大丈夫そうだ。倒れてしまった理由はスピアーの毒と、体力的に限界だったことだろう。
………そういえば、イーブイとアーボックは………
「……見に行かないと。クロ、行こう」
「きゅん」
クロを連れて、鞄とボールを持って病室を出る。
ポケモンセンターの入口は誰もおらず、電気も消えている。ジョーイさんは休憩中らしく、呼び鈴だけが置いてある。
そして、自動ドアを通って外に出ると。
「もういいの?」
「あぁ。わざわざ待ってなくてもいいのに」
「まさか。息子に『よくやった』の一言くらい
言っておくのが親の努めってもんでしょ」
センターの壁に背中を預けて、そして珍しく煙草を吹かす、母さんがいた。どうやら随分長いこと待ってくれたらしく、その腕にかけられたビニール袋の中にはゴミが幾つかある。
母さんはそこから何かを取り出してこちらに投げ渡す。
受け取って見てみると、おにぎりだった。
「お、たすかる」
「あのイーブイとアーボックなら森の前にいるよ。
大丈夫そうならさっさと行ってやりなさい」
「分かった、ありがとう」
おにぎりの包みを開きながら歩き出す。
と、言い忘れを思い出して、足を止めて振り向く。
「ん? なに?」
「煙草、やめた方がいいよ」
「………はっ」
母さんはそれに驚いたような顔をすると、鼻で笑って、手に持っていた煙草を、近くのスタンドの灰皿に押し付けた。
「気をつけて行ってらっしゃい」
「行ってきます」
走り出す。
潮風の道に出て暫く歩くと、アーボックたちが見えてくる。どうやらアーボックは海を見ているようで、イーブイはその近くで、どこから採ってきたのかモモンの実を食べている。二匹は俺たちが来たことに気付くと、アーボックは再び海へ視線を戻し、イーブイはこちらに駆け寄ってくる。
「ごめん、遅くなった」
「ぶいっ」
「………」
イーブイを隣に、アーボックの元に駆け寄る。
アーボックはゆっくりと身体をくねらせ、俺の正面に立って見下ろしてくる。敵意はないようで、その眼は前とは違って穏やかなものだ。
………アーボックは、俺の何に怯えていたのだろうか。
こんなにも強いのに、何を恐れることがあるのだろうか。
母さんが言っていた言葉も気になる。
「なあ」
「……」
「一緒に行かないか」
鞄から、ボールを取り出してアーボックに差し出す。
何に怯えていたのか、何故こうなったのか。
ただの勘だが、旅の中でなら分かるような気がしたから。
「………シルルル……」
アーボックは俺を一瞥すると、そう小さく鳴いて、その首をもたげて、頭を下ろす。そして、その鼻先でボールを突く。
開いたボールから放たれた赤い光が、アーボックを包む。
ボールはそれを呑み込むと、三度、大きく揺れて。
光を伴って、カチリという音と共に動きを止めた。
「………!? うぉっ、なに!?」
「ぶいいぃっ!」
それを見届けると同時に、イーブイが飛びかかってくる。
イーブイは俺の鞄を器用に開けて頭を突っ込むと、ボールを一つ取り出して地面に着地。
なんと前足でそれを叩き、自らボールに収まりにいく。
そしてそれも三度揺れると、光と共に動きを止める。
「………えぇ?」
いやまぁ、捕まえるつもりだったけどさ。
感傷に浸っていたのを台無しにされた気がするが、二匹分のボールを拾い上げて、ベルトのホルダーに仕舞っておく。
まぁ、何はともあれ、だ。
これで事件は解決した。それにイーブイも捕まえた。
「さて、行こうか」
「きゅおんっ」
俺たちは潮風の道を、再び歩き出した。
─────
─────────
走り出す子供の背中を見届けて、溜め息をつく。
彼の残した悔恨は、子供が連れて行ってくれるらしい。
「………」
煙草の箱を手に取る。
姿を消した彼の居場所だが、なんとなく見当はついている。全く、妻と子供を残して何をしているというのか。
「言っておいた方が良かったかな」
父親を探せと、そう言っておくべきだったのか。
そう考え込んで、首を横に振る。
いずれ会うことになるだろう。
お互いに顔すらも知らずとも、必ず、どこかで。
「………戻ってきたときのために、
部屋の片付けでも、しておいてあげますか」
そうして、母親は煙草の箱を袋のゴミに紛れさせた。