「んん……」
目が覚めて、ベッドから起き上がろうとする。が、両側から僕にしがみついている存在がそれをよしとしない。
「かのんちゃん、すみれちゃん。起きて。お仕事遅刻しちゃうから」
「んぅ、むにゃむにゃ……おとちゃん……」
「すぅ……すぅ……おと、は……」
僕の両隣で寝ている2人の女性。オレンジ髪の方が澁谷かのんちゃんで、金髪の方が平安名すみれちゃん。2人とも、高校時代から僕の大切な友達で……今は、恋人だ。当然、2人も恋人がいるのか? と問いただしたくなる気持ちもわかる。なんなら僕が1番聞きたい。なんとか腕を動かして2人を揺さぶると、どうやらパッチリと目を覚ましたみたい。
「ふわぁ、音羽おはよう」
「んん……あ、おとちゃんおはよー」
「おはよう。ね、起きたなら腕を離して……」
「だぁめ。おとちゃん、いつものして?」
「音羽。今日は私からよね?」
2人揃って、こっちに顔を寄せてくる。その瞳は、キラキラ輝いていて僕に何かを期待しているみたい。
「もう。おはよう、すみれちゃん」
「ちゅっ……ふふっ、ありがとう音羽♡」
「あぁーあ、今日はすみれちゃんからかぁ」
「すみれちゃんの方が先におはようを言ってくれたから。ほら、かのんちゃんも」
「んむっ……えへへっ♡」
そう。2人は毎朝、僕におはようのキスをねだってくる。僕としては断る理由もないから、別にいいんだけれど……その順番で、毎朝のようにケンカが始まってしまうのだ。ほら、今日も。
「これでまた、私が本妻に1歩近づいたわね」
「昨日は私だったもーん。それに、一昨日はおかえりのちゅーだってしたんだよ?」
「はぁ!? アンタ、抜け駆けはなしって約束でしょうが!」
「でもすみれちゃん、お仕事から帰ってきてすぐベッドに倒れてたから……」
「あのぉ。僕を挟まないで、続きは2人で……朝ご飯作ってくるから」
「あぁ! ごめんね、おとちゃん!」
ベッドから降りて、部屋から出てドアを閉める直前まで2人の言い合いは耳に入ってきた。本当は仲良しな事は知ってるけど、如何せん毎日言い合いを聞いていると気が滅入ってしまう……もっとも、この現状は僕のせいなんだけど。
あれは、6年前の事。桜が舞い散る卒業式の日、結ヶ丘の裏庭で僕は2人の女の子に告白された。無論、それがかのんちゃんとすみれちゃんだ。聞けば、この2人はどっちが僕と付き合うかを巡ってずっと競っていたらしい。それも1年生の頃から。あの時差し出された2つの手を、僕は……どちらも取らなかった。決められなかった。僕にとっては、どちらも同じように大切な人だから。僕はひとまず、告白の答えを保留にした。それが不味かったんだろう。
大学に上がってからは、毎日のように2人に言い寄られた。今日はどっちとデートをするのか、どっちの方が好きなのか、どっちと正式に付き合うのか。答えをはぐらかし続けて4年、周りの視線に刺されながらも僕は社会人になった。お父さんの会社で、作曲の仕事に携わる事になったのだ。そのタイミングで一人暮らしを始めたんだけど……ここで予想外の出来事が起きた。かのんちゃんとすみれちゃんも、僕の自宅に転がり込んできた。幸い、1人で住むには広すぎるぐらいのスペースだったからそれはよかったんだけど。働き始めてからも、2人の言い争いは続いた。
「おとちゃーん、今日の朝ご飯なにー?」
「目玉焼きと、昨日の残りのお味噌汁温めてるよ」
「わぁい! 私、おとちゃんが作る目玉焼き大好き!」
かのんちゃんは、著名なシンガーソングライター。
「ほら、かのん。お皿準備しなさい」
「わかってるよぉ。あ、すみれちゃん。牛乳残り1パックしかない」
「そういうのは早めに言いなさいよ……今日買ってくるから」
すみれちゃんは、各メディアに引っ張りだこのタレントさん。
「よし。すみれちゃん、お味噌汁運んでって」
「はぁーい」
「私、お肉が1番多いヤツね」
「はいはい……かのんってば、いつまで食べ盛りなのかしら」
「それじゃぁ、手を合わせて」
「「「いただきまーす」」」
3人の声が、食卓に響き渡る。これが、僕達の当たり前になっていた……これが、良くない事だって、本当はわかってる。どちらの気持ちも大切にしたい。2人のどちらかでも悲しむ顔なんて見たくない。でも、この現状が……1番、2人にとって不誠実な事。2人の気持ちを、蔑ろにしている事。
「ん、おとちゃんどうしたの? 難しい顔してるけど」
「え? あぁ、ちょっと考えごとをね」
「あら、いよいよ私を選ぶ気になってくれたのかしら?」
「えぇ!? そんなぁ! おとちゃん、私だよね?」
「もう、2人とも。その時はちゃんと言うからね」
なんて言いつつも、果たして『その時』とはいつ来るのか。僕はいつまで、無責任なままでいるのか。ご飯を食べ終わっても、僕はその事について考え続けていた。
「ご馳走様でした。かのん、今日仕事は?」
「早めに終わると思う。あ、牛乳私が買ってこようか?」
「そう。よろしくね」
2人は支度をして、玄関へと向かう。僕も仕事用の鞄を持ってそれについて行った。
「それじゃあ音羽……行ってきます」
「んっ……」
「あ! またすみれちゃんの方が先!」
「かのんがグダグダ支度してるからでしょ」
「むぅーっ。おとちゃん、私もちゅー♡」
「うんっ。ちゅ……」
「ちゅぅっ……えへへ。それじゃ、おとちゃんも気をつけてね!」
「……うん。2人も、ちゃんと帰ってきてね」
「もう、何それ。変な音羽」
「そんな事言わなくっても、ここは私達の家だもん。もっとも、もうすぐ私とおとちゃん2人の家になる予定だけど~?」
「あ、言ったわねかのん。駅まで競争よ!」
「あ、ズルい! すみれちゃん、待て~!」
すみれちゃんの煽りに乗って、かのんちゃんも駆け出す。
時々考えてしまう。いつまでも答えを出せない僕に愛想を尽かした2人が、ある日突然帰って来なくなってしまうのではないか。それはイヤだ。僕にとってはもう、2人がいる生活が当たり前になっていた。でも、2人にとっては、世間にとってはそうじゃない。僕はいったい、どうしたいのか、どうすればいいのか。
***
「ただいまぁ。はぁ~、疲れたよぉおとちゃん……」
「おかえり、かのんちゃん。お疲れ様」
「ほんっとに。でもでも、明日からお休みだもん♪ 楽しみだね!」
仕事帰りのかのんちゃんを介抱しながら、彼女の話に耳を傾ける。そう、明日からは3連休で3人とも長いお休み。
「明日からおとちゃんとずっと一緒♡ なにしよっか?」
「あら、私を忘れて貰っては困るわね?」
「げ、すみれちゃん……」
「音羽♡ 当然、この連休で私と愛を育むのよね?」
「もぉーっ! すみれちゃんばっかりズルい! 私もおとちゃんと一緒がいいもん!」
「あ、あはは……」
2人にも仲良く過ごして欲しいのだけれど。でも、こうして仲が良い2人がいがみ合っちゃうのは……僕のせい、なんだよね。
「だったら……今晩、どっちが音羽を満足させるかで勝負しない? 勝った方が3連休で音羽を独り占め出来るって事で」
「むっ。望むところだよ! おとちゃん、今夜は寝かさないからね♡」
「うんっ……え?」
僕が考えごとをしている間に、勝手に話が進んでいたらしい。
「ふふっ♡ 最近ご無沙汰だったものね。それに、3人揃っては初めてかしら?」
「ちょ、ちょっと待って。僕まだ何も」
「よぉし! それじゃ、お風呂にレッツゴーだよ!」
「ま、待ってぇ~! その前に晩御飯!」
僕の手を引くかのんちゃんを慌てて、なんとか食卓の席へとつかせた。
***
冷たいシャワーを浴びながら一人考える。これまでも、何度もかのんちゃんやすみれちゃんと身体を重ねてきた。でも……僕は、心から2人との繋がりを感じられているのか。勿論2人の事は大好きだ。でも、こんな曖昧な気持ちでいつまでも2人と肉体の繋がりを持ってていいのか。
「お~とちゃんっ。お風呂一緒にいい?」
「へっ!? か、かのんちゃん! 僕まだ身体洗って」
「いいのいいの♪ 私が洗ってあげるからさ」
そう言って、浴室のドアを開けて現れたのは、一糸纏わず白くて綺麗な肌を晒したかのんちゃんだった。ああ、最悪だ。一体いつから僕はこんなはしたない人間になってしまったのだろう。かのんちゃんとすみれちゃんを女性として意識し始めてから、僕の下半身は否応なしに“そういう時”になると反応してしまう。
「あれ、おとちゃんかがんで……ふぅん♡」
「や、やめてかのんちゃん。僕……」
「いいの。私、嬉しいよ。おとちゃんが私の裸で興奮してくれて」
僕の後ろに回ったかのんちゃんは、そのまま僕をギュッと抱きしめる。僕達を隔てるモノは何もない、それ故にかのんちゃんの柔らかな感触がダイレクトに僕を刺激してくる。
「なぁに抜け駆けしてんのよ」
「あ、すみれちゃん。へへ、朝の分のお返しだよ」
そうこうしている間に、すみれちゃんも入ってた。流石に3人ともなると浴室にも狭さを覚えてきた。それは、かのんちゃんも同じだったらしい。ぐいぐいと距離を詰めてくるすみれちゃんにかのんちゃんが食ってかかる。
「ちょっと、すみれちゃん! お風呂狭くなっちゃうでしょ!」
「いいわよ、私も音羽とくっつけば解決でしょ」
そう言って、今度は前から僕に抱きついてくるすみれちゃん。当然、すみれちゃんも何も着てない、産まれたままの姿で僕に密着するから、前後の両側から柔らかな感触に押し潰されそうになってしまう。
「ふふ、もう硬くしちゃって……待ちきれないのね、音羽♡」
「すみれちゃんっ。触っちゃ、やっ」
「もぉ~すみれちゃんせっかち過ぎ。おとちゃん、こっちはちゅーしよっか♡」
振り返ると、かのんちゃんの顔が目の前にあって、僕はかのんちゃんの唇を迎えざるを得なくなる。すみれちゃんに下を触られながら、上はかのんちゃんに貪られて……正直、もう果ててしまいそうだった。
「っと……ここで終わったら世話ないわね」
「ぷは、そうだよすみれちゃん。ぜぇんぶ、こっちで飲み込まなくちゃダメでしょ」
唇を離して、お腹の辺りをさするかのんちゃん。その仕草すら、“その時”を想起させて僕にとっては興奮材料になってしまう。
「それじゃあおとちゃん、お風呂から上がって待ってて。あ、勿論服は着ちゃダメだからね?」
「私達も身体を洗ってからすぐ行くから」
そう言われて、僕は浴室から放り出される。今晩も、シちゃうんだ。いいのかな、こんな気持ちのままで。
「……よくないよね」
そうして僕は、ある一つの決心をした。
***
寝室のベッドに腰掛けて、僕は考える。言うんだ。言わなきゃならないんだ。それが、どんな結末を呼んでも……僕は後悔しない。
やがて、かのんちゃんとすみれちゃんが寝室に入ってくる。薄明かりの中でも、2人が一糸纏わぬ姿でこちらに迫ってくるのがよくわかる。
「やっほー、おとちゃん! 上がったよ!」
「それじゃあ音羽、始めましょっか」
「う、うん……でも、その前に一つだけいいかな?」
「えっ、どうしたの?」
両側に腰掛けた2人は、不思議そうな目で僕を見つめてくる。そんな2人を……僕は、両の手を使って抱き寄せた。
「ひゃ。お、おとちゃん?」
「音羽……?」
「ごめん、かのんちゃん、すみれちゃん。僕は……僕には、2人の内どちらかを選ぶだなんて……できない。僕にとってはもう、この3人で一緒にいる事が当たり前になっちゃったんだ」
僕は続ける。2人の顔が怖くて見られないけど、感情のままに僕は僕の心の内を吐き出す。
「わかってるんだ。2人は、僕に自分を選んで欲しい。それが世間にとっても“普通”なんだ。でも、でも僕は……2人とも、大好きだから。2人にも、仲良くしていて欲しいから。だから……」
「もういいよ、おとちゃん」
僕の言葉を制止したのは、かのんちゃんの声と、柔らかな感触。横からそっと、抱きついてきたかのんちゃんのぬくもりだった。
「ごめんね、おとちゃん。私達、自分を選んで欲しいって考えるばっかりで……おとちゃんの話、全然聞けてなかったね」
「かのん……まぁ、アンタの言い分もわからなくないわね」
かのんちゃんに次いで、すみれちゃんも僕に抱きつく。2人のぬくもりが直に伝わって、心が温かくなってくる。
「音羽……私は音羽が好き。かのんもその気持ちは一緒よね」
「うんっ、勿論だよ」
「だったら、音羽が望む幸せを叶えてあげたいって思うのも、それが“普通”よね」
「すみれちゃん……うん」
「音羽。もしまた音羽の“普通”を貶すようなヤツが現われたら、私達がなんとかしてあげるわ。だから音羽、もう一度あなたの考えを聞かせて?」
「僕は……僕は、かのんちゃんとすみれちゃんといつまでもずっと一緒にいたい。この3人で、幸せになりたいんだ」
「よく言えました。かのんっ」
「うん」
2人は何かを目で合図したのか、次いで来たのは両頬に落とされる柔らかな感触……2人の唇だった。
「ちゅ……2人同時なんて初めてだよね?」
「えぇ。お互い、どっちが上かってずっと張り合ってたから。今日からは“2人”で、音羽の事満足させちゃいましょっか……♡」
「うんっ、そうだね♡」
「……え」
さっきまで、平和に話していたハズなのに。いつの間にか、薄明かりの中に光る2人の眼光は、獣のようなモノに変わっていた。
「それじゃあ、音羽……♡」
「おとちゃん……♡」
「「今夜は、寝かさないから♡」」
***
ぴちゃ、ぴちゃと薄明かりの中に淫靡な水音が響き渡る。横たわった音羽は、かのんとすみれ、二人から同時にされるがままに全身のあらゆる部分をついばまれていた。二人が同時に口付けした部分に電流が走るような錯覚を覚え、音羽の内包する熱はどんどん高まっていた。
「ん、かのんちゃ、すみれちゃ、くすぐったい」
「ちゅっ……ちゅぱ……ふふ、おとちゃんが私達のモノだって印を、全身に刻まなきゃね」
「ちゅるっ……そうね。音羽、こっちも……」
先程まで音羽の胸元を吸っていたすみれが、音羽にキスをねだった。音羽もそれに応え、すみれと舌を絡める。その間もかのんは、音羽の身体に印をつけ続けていた。
「ぷはっ……次はかのんの番ね」
「ありがと、すみれちゃん。ほら、おとちゃん。ちゅー」
次いでかのんと音羽。立て続けな口付けの応酬、混じり混じった唾液は未知の味覚へと変異し、それだけで音羽は、3人が一緒になれたのだと幸せを覚える。
「ぷは……ねぇ、すみれちゃん。私達もキスする?」
「はぁ? なんでよ」
「おとちゃんに、私達がもうすっかり仲良しだよってところを見せて安心させてあげないと」
「成る程ねぇ……ま、いいんじゃない? それじゃ、かのんの唇も頂いちゃうわね」
「きゃー♡」
「え、ちょ、2人とも?」
音羽が感慨に浸っていると、不意に自分の胸の上でかのんとすみれが接吻を始めた。音羽は女性同士の接吻など初めて目にする。かのんとすみれ、目を閉じて2人が互いの熱を交換しあっているその光景に、音羽は疎外感を感じながらも、不意に知らない熱がとくんと、自分の中に湧き出したのも感じていた。
「ぷは……ふふっ、おとちゃん興奮してる♡」
「わかりやすいぐらいにガッチガチね♡」
キスが終わったかと思うと、かのんとすみれの興味は一気に音羽の下半身へと向けられる。音羽の性欲自体は希薄だが、それに反して音羽の愚息は通常の一般男性よりもやや大きい。そんな音羽の愚息に2人の手が這い寄り、添えられる。それだけで、音羽の身体はビクンと上下に跳ねてしまう。
「ふふっ。相変わらずおとちゃんって感度いいよね。それに、すっごく大きくって」
「こんなのがいつも、私達の中にねぇ。それで、かのん。どっちが先に音羽としましょうか?」
「うぅーん……さっき、キスはすみれちゃんが先にしたよね?」
「キスとそっちとじゃ大違いでしょうが!」
「あ、あの。2人とも。喧嘩は……」
音羽の言葉を受け、2人はハッとする。先程までは仲良くキスまでしていたというのに、また音羽を巡って争ってしまっては、音羽の願いを蔑ろにしてしまう。
「そうだったわね。ごめん、かのん……」
「ううん、大丈夫。そうだっ、じゃんけんで決めない?」
「ふふっ。そういえば、事あるごとに私達はじゃんけんしてたわね。音羽とのデートの順番を決めたり、どっちが先に音羽に告白するかだったり」
「まぁ、大半はお互い無視してたけど。それじゃ、行くよ! じゃーんけーん」
「「ぽん!」」
かのんが出したのはチョキ、そしてすみれが出したのはパー。結果は火を見るより明らかであった。
「やったぁー! 私の勝ち♡」
「ぐぬぬ……仕方が無い。しばらく出来なくなるだろうし、ここは勝っておきたかったのだけど」
「……え? すみれちゃん、それどういう意味?」
「そうだ、音羽には言ってなかったわね。大丈夫、挿入れる時に教えてあげるわ♡」
すみれの言葉の意味がわからず、音羽の頭にハテナが浮かぶ。そんな音羽には構わず、すみれは音羽を抱いて仰向けにした。そして、かのんは音羽の上に跨がり、かのんの秘裂が音羽の剛直へと添えられた。
「それじゃ、おとちゃん……挿入れるよ?」
「う、うん。あの、すみれちゃん。さっきの言葉の意味って」
「あ、そうそう。そうだったわね、私達、今日は本気で音羽との子を孕む気でいるから」
「さっきそういうお薬飲んだんだよね。お腹の中に赤ちゃん来てくれるまで止めないよ?」
「えっ。ちょ、2人とも!? 僕、なんも聞いていな」
「……っつ。ひぁ。入っ……たぁ……」
音羽の制止は効かず、かのんは腰を下ろして自らの秘裂に音羽の剛直を迎え入れた。
「子供の事は前から話してたわよね? 私達の勝負が終わったら、子供欲しいわねって」
「そ、それは聞いてたし……僕も、欲しいとは思ってるけど」
「決着は付かなかったけど、勝負は終わったから。それじゃ、動くねっ♡」
「あっ。ちょ、かのんちゃん。待ってぇ」
かのんの目は本気だった。地に足をつけて腰を上下に動かし、膣内の蠢動で音羽の愚息に刺激を与える。
「ふーっ♡ ふーっ♡ 絶対、おとちゃんの子供産むのっ」
「うっ……ふぅっ……はっ……かのん、ちゃ」
「はむっ♡ ちゅっ♡ じゅるるっ♡」
かのんは音羽の発しようとした言葉を制止する為に、音羽の唇を塞ぎ、舌を入れ込んで貪る。その様相たるや、まさしく獣。愛おしい雄を求め迎え入れ、自らの遺伝子を残そうとする雌のそれであった。
「かのんの勢いやっば……そんなの見せつけられたら、私も……んっ♡ ムラムラしてきちゃう……」
そばで見ていたすみれも、かのんが音羽に腰を打ち付ける音に香り、結合部から跳ねる水音、そして目の前でまぐわいを見せつけられて昂ぶっていた。自身の秘裂をなぞり、滴る水を掬って音羽に見せつける。
「ほら、見て音羽。私もこんなに濡れてる。音羽の赤ちゃんの素が欲しくて、音羽との赤ちゃん欲しいってナカが鳴いてるの」
「すみれちゃん、どいてっ……今は私の番っ……」
「はいはい。そんな怖い顔しなくても」
すみれがかのんの前から退き、かのんの顔が音羽の目の前にさらけ出される。目にハートでも宿っているのではないかというその勢い、だらしなく舌を垂らし、ヨダレを滴らせるそれはおおよそ上品と言えるモノではない。だが、音羽にしか見せないであろうその表情に、音羽の中で煮えたぎる熱がぐらぐらとその勢いを増していく。
「おとちゃんっ。好き、好きなのっ」
「んっ、僕もっ。僕も好きぃっ」
「おとちゃんのせーし、ナカにちょうだいっ! 私におとちゃんの赤ちゃん、産ませてっ」
「はあっ……僕と、かのんちゃんの、でしょっ?」
「~~~~っ♡♡♡ ヤバッ、イぐっ。イっぢゃうっ♡」
ズドン、とかのんが腰を打ち下ろし、激しく痙攣する。それと同時にかのんの蜜壺は未だかつてないぐらいに蠢動し、音羽へと射精を促した。それに受け応えた音羽の愚息は、どくどくと強固なまでに濃くなった胤をかのんの膣内へと放つ。一瞬でかのんの内側は音羽の白濁で染められ、かのんの頭は多幸感と快楽で満たされる。溢れ出た快が潮となって吹き出て、その勢いで音羽の愚息も抜け落ちた。
「はあっ……はぁ……」
「かのん、ちゃぁ……」
「……ふふっ♡ 今までで、一番気持ち良かったよ」
「うんっ。ありがとう」
音羽の横へと寝転がったかのんは音羽と顔を見合わせ、手を繋ぐ。かのんの表情は、先程までと打って変わって柔らかいモノへと変わっていた。最愛の人と繋がれた、それだけで音羽とかのんの間に幸せな空気が満ち満ちて……
「……何勝手に良い雰囲気になって終わろうとしてるのよ」
かと思いきや、そんな音羽とかのんの間に、ヌッともう一人の最愛の人、すみれの顔が差し込まれる。音羽の方を向いて、かと思うと音羽の唇にキスがねじ込まれた。
「ちょ、すみれちゃん! 余韻ってもんがあるでしょ!」
「ダメ。今夜は音羽忙しいんだから。変わりなさいったら変わりなさいっ」
すみれはくるり、と音羽を180度方向転換させ、音羽がかのんに背中を向けて横たわる形にする。
「それじゃ、音羽……私のお腹のナカもいっぱいにしてね♡」
すみれは音羽の愚息に手を添え、上下しながら再びキスをする。音羽の体内に再び熱が蓄積するのにそう時間はかからず、音羽の愚息はすぐに硬さを取り戻した。
「ふふっ。回復も早くてステキ……これなら本当に一晩中楽しめそうよね♡」
「す、すみれちゃ……」
「ふふっ、大丈夫。すぐに気持ち良くさせて上げるか、らぁっ」
すみれも音羽の上に跨がって、自分の内側に音羽を迎え入れた。
「ほらっ、すんなり入っちゃった。んっ、音羽と早く繋がりたいって、音羽と赤ちゃん作りたいってウズウズしてたのよ♡」
「すみれちゃん、までぇ。そんなこと」
「ねっ。音羽も、欲しいでしょ。私達との赤ちゃんっ。だったら、音羽も、腰、動かしてぇ」
「そんなの……そんなのっ。決まってるよっ!」
音羽の出した答えは。音羽は俄にすみれの尻を掴み、自身の下半身を打ち付けた。
「お゛っほぉ♡ やば♡ 初めて音羽から、求めてくれたわねっ♡ はい、ご褒美♡」
すみれは再三、音羽と唇を重ねる。その間も音羽はすみれを突き上げていた。一方、そんな二人の様子を見ていたかのんはと言うと。
「ずっ、ずるい! 私もおとちゃんに、その……激しく、突かれたいっ。んぁ」
少し残念そうな顔をしながらも、再び音羽を求め始めた蜜壺を慰めようと、自らの秘裂をかき乱していた。
「大丈夫よ、またかのんの番にして貰えればいいじゃないっ。ね、音羽?」
「うんっ。かのんちゃん、にもっ。してあげるからねっ」
「ホント? やったぁ♡」
そんなかのんを見かねてか、すみれと音羽が声をかける。そして、そのかのんの番とやらも少しずつ近づいてきていた。
「う゛ぅっふぅ♡ これやば、壊れちゃうっ。イぐっ。音羽も、イって♡ 私に音羽の赤ちゃんミルク、全部飲ませてっ」
「うっ。すみれちゃ、僕ももうっ」
そうして、音羽は一際強くすみれを突き上げる。その瞬間、すみれの快は臨界に達し、蜜壺が激しく収縮して音羽の剛直を締め上げる。それに伴い、再び音羽は射精してすみれの内側を自身の色で染め上げた。がくがくと身を震わせ、すみれはだらん、と音羽に覆い被さった。
「はぁっ……はぁ。音羽、嬉しいわ」
「すみれ、ちゃぁ……はむっ」
「ひゃんっ。もう、音羽ったら……甘えん坊さんなんだからぁ。赤ちゃんの分も残しておきなさいよ」
音羽は自身の前に垂れ下がった音羽の乳房へとしゃぶりついた。それにすみれの母性がとくんと高鳴るのであった。母性が訴えるままに、すみれが音羽の頭を撫でようとしたところで……
「……すみれちゃん達、いつまでそうしているの」
「げっ、かのん」
「げってなにさ、げって! ほら、おとちゃん。こーたい♡」
それを制止する様に、かのんがすみれの手を掴んだ。
「私にもすみれちゃんにしたみたいに……激しくしてねっ」
そうして再び、かのんと音羽が一つになる。
「ほら、音羽。まだまだイけるわよね?」
かと思えば、すみれが音羽の愚息をしゃぶって、再び音羽とすみれが繋がる。
「おとちゃん♡」
「音羽♡」
「はぁっ……はあ……」
かのん、すみれ、かのん、すみれ……代わる代わるまぐわい、そうしてカーテンの向こうから朝日が昇り始めたころ。
「う゛っ……はぁ……もう、動けない……」
全身に体液という体液を浴びた音羽が、クタクタになって横たわっているのであった。
「ふふっ、おとちゃん。とっても気持ち良かったよ……」
「私もよ。今までで一番幸せだったわ……」
そんな音羽に両側から、かのんとすみれは蜜壺から白濁を溢れさせながら抱きついていた。音羽は虚な目をしながらも、そんな2人の腰に手を添える。
「僕、もう寝るから……おやすみ……」
「うんっ。私も寝るわ」
「おやすみなさい、おとちゃん。すみれちゃんもね」
「えぇ。おやすみ、音羽、かのん」
そうして、3人して夢の世界へと落ちて行くのであった。
***
「……あ、すみれちゃん。今、絶対お腹蹴ったよ♡」
「ホント? 私も最近活発なのよねぇ♡」
「はぁ~、どんな子が産まれるんだろう? 可愛くて元気な子かなぁ」
「私に似て、お淑やかで優雅な子がいいわね」
「……」
どうも、東音羽です。あの後、どうなったかと言うと……一晩中、に意味があったのかはわかりませんが、あの夜を経て2人のお腹の中に新しい命が宿りました。今は2人ともお仕事を休んで、家でゆっくりとお腹の中の赤ちゃんの面倒を見ています。
「ごめんね、2人とも。今日も仕事行かなくちゃで……」
「大丈夫! 今日はね、ちぃちゃんが来てくれるの」
「ホント、頭が上がらないわよね……ま、アンタは安心して、この子達のミルク代を稼いで来て頂戴」
一方僕はと言うと、仕事を休むわけにもいかず……こうして、かつてのLiella!のメンバーにお手伝いを頼みながらの生活を続けています。
「うんっ……わかった」
「それじゃ、おとちゃん」
「音羽」
「「いってらっしゃい」」
2人から両頬にキスを受けて、僕は今日も玄関のドアをくぐる。
「……よしっ。今日も頑張らなくちゃ」
そして僕は、今日もまた一歩踏み出すのであった。