※この作品はR-18です。

ローリングサンダー BAD END   作:muzineki

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1:捕縛される女工作員

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

息を切らせながら、レイラは薄暗い倉庫へと入った。

大きなコンテナの陰に隠れ、急いでハンドガンに弾を込める。

 

「いたぞ、WCPOのメス犬はこっちだ!」

 

声と同時に、パッと照明が点灯する。

当たりを見ると、三角頭巾を被った男たちの姿が見えた。

マスカーと呼ばれる、秘密結社ゲルドラの兵士たちだ。

 

「完全に囲まれたわね」

 

レイラは自分の失態に舌打ちする。

唯一の出口は固められ、周りも敵だらけだ。

予備の弾薬も使い果たしている、万事休すとはこのことだ。

 

「でも、諦めるわけにはいかない。ゲルドラの真の目的、これだけは本部に伝えなくては……」

 

レイラはそう呟きつつ、ハンドガンを構えて息を整える。

世界の終わりを語り、アメリカを中心に急速に信者を増やす秘密結社ゲルドラ。

その首領にして救世主を名乗る男、マブーの正体と目的を探るのが、世界刑事警察機構、通称WCPOの工作員であるレイラの任務だ。

ゲルドラの恐るべき野望を阻止するためには、何としてでも情報を持って帰らねばならない。

ここで死ぬわけにはいかなかった。

 

「いたぞ、あそこだ!」

 

デューン

 

レイラの耳元を弾丸がかすめる。

それを合図に、マスカー達が一斉に襲ってきた。

 

「くっ!」

 

コンテナの陰から飛び出したレイラは、走りながらハンドガンを放つ。

瞬時に2人のマスカーが倒れるが、数が多すぎる。

マブーの狂信者である彼らは、怯むことなくレイラに襲い掛かった。

 

「たぁっ!」

 

近づくマスカーに、レイラの回し蹴りが炸裂する。

その間に背後から襲われるが、振り向くことなくハンドガンで撃ち倒す。

掴みかかって来るマスカーも、その勢いを利用して一本背負いで投げ飛ばした。

 

「はぁ……はぁ……きゃぁっ!」

 

悲鳴と同時に、レイラの身体が後ろに引っ張られた。

マスカーが彼女の上着を掴んだのだ。

バランスを崩したレイラに、三角頭巾の男たちが一斉に襲い掛かる。

抵抗しようとハンドガンを構えるが、引き金を引く前に右手が捻り上げられた。

 

「は、離してっ!」

 

マスカーの手を振りほどこうと足掻くレイラ。

工作員として鍛えられた彼女だが、男女の腕力差は如何ともしがたい。

すぐに左手も掴まれ、両腕を封じられてしまう。

なおも激しく暴れると、掴まれていた上着をビリビリと引き裂かれた。

 

「きゃぁっ!」

 

白いタンクトップインナーが露出し、レイラが羞恥の悲鳴を上げる。

その隙にマスカー達は、彼女を羽交い絞めにして動きを封じた。

命綱であるハンドガンも手を離れ、カランと音を立てて床に落ちる。

 

「がはっ!」

 

無防備となったレイラの鳩尾に、マスカーの強烈な拳が叩き込まれる。

息が上がっていた所で横隔膜に打撃を受けたため、呼吸ができない。

容赦のない打撃は2発、3発と叩き込まれる。

レイラの口から涎が飛び散り、全身から力が抜けていく。

 

「うぅ……あぁ……」

 

羽交い絞めから解放されたレイラが、がくりと膝を付いて床に崩れる。

マスカー達は手錠を取り出し、レイラを後ろ手にして戒めた。

そして左右から両腕を掴み、2人がかりで引きずるようにして運んでいく。

 

(止めを刺さない……ということは……まさか……)

 

うっすらとした意識の中、拷問の二文字がレイラの頭に浮かぶ。

このままWCPOに関わる情報を引き出すつもりなのだろう。

焦るレイラだが、手足がいう事を聞かない。

ブーツの先を引きずられながら、為す術もなくレイラは基地の奥へと運ばれていく。

 

(しくじったわ……みんな……ごめんなさい……)

 

頭の中でレイラは仲間に謝罪する。

それは苦痛と屈辱にまみれた、孤独な戦いの始まりであった。

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