それから1週間、瞳は瀬口のペットとして徹底的な調教を受けた。
昼は卑猥なローターを挿入されたまま調教を受け、夜は火照った身体を瀬口に抱かれる。
そんな日々が続いた。
瀬口の快楽に抗することができない瞳は、日増しに従順になっていった。
要求には素直に従い、舐めろと言われればどんな場所でも舐める。
膣での交合ではよがり狂い、肛門での性交さえ受け入れるようになった。
自分の正体と仲間のことを尋問された時だけは、女怪盗の顔に戻りどんな拷問にも口を閉ざすのだが、それを瀬口は大して問題視していなかった。
顔は割れているのだから調べればいずれ解るし、このまま調教が進めば近いうちに吐くだろうと楽観的に考えていたからだ。
この美しいペットを調教し、屈服させる遊戯に、瀬口は夢中だった。
夜、都心からやや離れた丘陵の暗い坂道を、外国製の高級車が静かに上がっていく。
後ろにも似たような車が走っていて、彼らは頂上にある近代美術館の跡地へと入っていた。
シンジケートのメンバーである彼らの目的は、瀬口が開催するパーティーだ。
「本日はお忙しい中、当近代美術館の再建記念パーティーにお集まりいただき、誠に感謝いたします。」
ブランド物のフォーマルスーツを着た瀬口が、ホールの前方で頭を下げる。
テーブルに並べられた酒と料理を前にした男達は、豪華な椅子に座ったまま目を向けた。
「キャッツアイと名乗る盗賊の仕業により、休館を余儀なくされていた当美術館ですが、ご来賓の方々のご支援もあり、営業の再開が決まりました。つきましては皆様へ、私のコレクションをご披露したいと思います。」
瀬口が言うとホールの扉が開いた。
まずスーツを着た銀髪の女が、手綱を引いてホールに現れる。
犬用のリードの先は、もう一人の女の首へと繋がれていた。
「おぉ……」
「彼女があのキャッツアイか」
後ろ手に拘束され、艶やかに黒光る首輪を付けられた女が、足枷の鎖を引きずりながら男達の前へと引き立てられる。
レオタードに浮かび上がる完璧とも言える身体のラインに、男達がゴクリと唾を飲む。
「美人という噂はありましたが、想像以上ですな」
「そうでしょう、そうでしょう。私も捕まえた時は驚きました」
愛想笑いをしながら、瀬口はキャッツハンターからリードを受け取った。
そして男達の前へと引き立てる。
席を立った男達が、瞳をぐるりと囲むように集まった
(み、見られている……)
視線を集めることは慣れている瞳だが、こうして素顔を、しかも父の敵であるシンジケートの前に晒されるとなると、胸の鼓動が激しくなる。
トレードマークの青いレオタードも、腰に巻き付けた黄色い布も、こうなっては男達の目を楽しませるだけの衣装にすぎない。
羞恥のあまり身体は燃えるように熱くなり、熱病に冒されたかのように頭がクラクラする。
「それではこの盗賊、キャッツアイを捕らえた時の状況について説明します。」
瞳の首輪に繋がったリードを握りながら、瀬口は鼻を広げて胸を張った。
「近代美術館を休館して以来、私は芸術を踏みにじるこの悪魔を許すことが出来ず、独自の調査をしておりました」
その言葉に男達はウンウンと頷き、瞳は露骨に眉をひそめた。
父の絵のサインを入れ替え、自分たちの作品として世に出し、金と名声を手に入れたお前達シンジケートこそ悪魔だろうと心の中で呟く。
「そして私は、とある洋館にて罠を張り、部下や武装犬たちとこの女を捕まえたという次第でございます。」
今度は背後でキャッツハンターが舌打ちした。
雇い主である瀬口が功を誇るのは当然としても、さも自分が全てやったような嘘を言われるのは、さすがに面白くない。
「芸術を愛する我々としては、彼女のやってきた事は許しがたい事です。それゆえ今宵は、この怪盗気取りのメスネコに罰を与え、皆様で愉しんでいただきたいと存じます。どうかこころゆくまでご堪能下さい」
一斉に拍手が鳴り、瞳を調教するための道具がホールへと運び込まれる。
瀬口が背後を振り向くと、渋い顔をするキャッツハンターが目に入った。
気分よくスピーチしていた肥満体の男は、さも迷惑そうに顔をしかめると、冷え切った視線を投げつける。
「君はもういいから、犬たちといっしょに外で警備でもしていなさい」
それだけ言うと、野良犬でも追い払うように手を振った、
一礼したキャッツハンターはホールから出て行き、近くにある木箱を思い切り蹴とばした。
ホールの中では、瀬口が得意げに説明を続けていた。
「さて、これから一つゲームを始めたいと思います。題してキャッツ・ハンティング。ルールは簡単で、まずこのメスネコの足枷を外します。そして逃げたところをハンターとなった皆様に捕獲していただき、捕まえた方はメスネコにどんな命令でも出来るといったものです」
ホールの中がざわめく。
世間の注目の的になっている女怪盗を自由にできるというのは、大変な魅力だ。
だが「本当に逃げられたらどうする?」「私達の安全は保障されるのか?」といった声が、所々から湧き上がる。
「もちろん相手は凶悪犯ですので、万端の準備は行っています。まずメスネコを後ろ手で縛める金属製の枷ですが、これは鍵が無ければ絶対に外すことが出来ない特別製です。また足技を封じるため、膣とアナルにはそれぞれローターを挿入しています」
ブゥゥゥゥゥゥン
「ひっ!」
低い音と同時に、ビクッと瞳が腰を震わせる。
その様子を見ていた男達から、下卑た笑いが起こった。
「ローターにはメスネコの体温を感知するセンサーがあり、もし勝手に外せばすぐ判るようになっています。また万が一に備え、メスネコには電気ショック付の首輪を嵌めています。これは大型犬でも一撃で失神させる代物です。また皆様には、捕獲用の武器も支給します。このように安全には細心の注意を払っていますので、ご安心ください」
ホールが沸き返る。
名うての女怪盗を捕獲し、陵辱する宴の開幕に、男達は興奮の極みに達していた。
一方で瞳は、これから始まる残酷なゲームを、絶望と共に聞いていた。
「さて、これから最初のゲームを始めます。今からこのメスネコの足枷を外しますので、皆様は15秒後に追いかけてください」
足枷を外された瞳は、開かれたホールのドアから飛び出した。
後ろ手に拘束された背中に、長い髪をなびかせながら必死に走る。
「は、早く逃げないと」
逃げると言ってもゴールは無い。
だが捕まれば、シンジケートの男達に陵辱されるのは確実だ。
悪夢を少しでも先に伸ばす為、広大な敷地の中に建つ美術館の中を、瞳は必死に逃げた。
ブゥゥゥゥゥン
「はうっ!」
瞳の中でローターが振動を始める。
15秒が経過し、ハンター達の追跡が始まったのだ。
「あっ……くぅっ……あぁん……」
「いたぞ、キャッツだ!」
瞳が振り向くと、警棒を持った男が2人いた。
逃げようとする瞳だが、ローターのせいで素早く走ることが出来ない。
男達を振り切る事ができず、廊下の突き当りへ追いつめられてしまう。
「くっ!」
振り下ろされた警棒を、瞳はかいくぐった。
そして懐に入り、蹴りを浴びせる間合いに入る。
だがその隙に、別の男に背後から警棒で打たれてしまう。
「あうっ!」
背中にズシンとくる痛みを感じながら、よろめく瞳。
2人の男は素人で、力任せに警棒を振り回すだけだ。
普段の彼女ならば、倒すのに20秒もかからないだろう。
だが後ろ手に拘束され、ローターまで挿入された状態では、いかな瞳といえども勝てるわけが無い。
「はうっ……くぅん……うぅん……あうっ!」
快楽の混じった吐息を漏らしながら、瞳は動き回る。
少しでも脚を止めれば、警棒に打たれるからだ。
ローターの振動はますます激しくなり、後ろ手で拘束されているため、バランスもとりづらい。
瞳は何度か転倒してしまい、その度に背中や脚を警棒で打たれた。
「はぁ……はぁ……くぅっ……うぅん……あぁん……」
「ヘヘヘ、体力もアソコも限界みたいだな」
「さあキャッツアイ、大人しく捕まって、俺達と楽しい事をしようぜ」
下卑た笑いをしながら2人の男が瞳を追い詰める。
覚悟は出来ているが、それでもこんな男達に凌辱されるのは御免だ。
ガラス窓を背にした瞳は、後ろ手に拘束された手で鍵を開けようとする。
だがその行動は、背後から聞こえる獣の声により遮られた。
ワンワンワンワン!
「ひっ!」
背後を振り向くと、そこには全身に金属のトゲを付けた武装犬の群れがいた。
瞳が美術館から出られないよう、瀬口が庭に放したのだ。
やむなく瞳は窓から離れ、男達の間を強引に突破しようとする。
だが男の一人に足を引っかけられ、勢いよく転がってしまう。
「あうっ! ひいっ! きゃぁっ! ああっ!」
うずくまった瞳に、代わる代わる男達の警棒が振り下ろされる。
瞳がぐったりして動かなくなると、脇腹を飛ばして仰向けにし、鳩尾に突きを入れた。
「がはっ! げほっ……げほっ……うぇぇ……おぅぇ……」
ビクビクと痙攣する瞳を、男達は笑いながら両脇を掴んで抱え上げる。
そして腕を握り、引きずるようにホールへと連れ戻した。