触手凌辱ファンタジー 作:山鯨
『いやぁっ! なんなのこれ!?』
「んん!? んひゃあ!?」
『やめろ! この!』
『気持ち悪い!』
『誰か! 助けてぇ!』
そこには地獄絵図のような光景が広がっていた。
森に拓かれた村、多くの家々と狭い道で形作られたそこに、おびただしい数の触手が大量発生している。
触手はただでさえ密度の高い村の中を更に埋め尽くすように氾濫し、そこにいる住民たちを襲っていた。加えて、触手たちは続々と外から村の外壁を越えて侵入してきていて、時を経る毎に数を増していく。
『やめて! いや!』
『んんん! んん!』
『あなた、いやぁ!』
『お母さん! お母さん!』
膨大な数の触手は先端の口から粘液を吐き出してその身に纏いながら、村の住民を数の暴力によって拘束し、彼らが嫌がる様子や拒絶する様子を無視して、口や鼻、性器や肛門へと無理やりに侵入していっている。
無数の触手、つまり分裂した俺は、村の住人たちを集団レイプしていた。
(うあ、え? え?)
それは無意識による行動だった。
分裂したての身体は俺の中で燻っていた欲求とダイレクトに繋がっていて、理性による歯止めが利かず、見境無しに周辺の生物全てに襲い掛かってしまっていた。
森の中にいる小動物はもちろんのこと、触手の身体から伝わる五感で村の方に多くの生物の反応、それも人間の女性がいることを認識すると、反射的に手が出るように身体が向かってしまっていたのだった。
一瞬の気の緩みによる我慢の途切れが、どうやら体内で許容値を超えて溜まっていたらしい活力を消費して、倍の倍、四千九十六体にも触手を増加させたうえで、女体という極上の餌を求めて津波のように村に押し寄せてしまっている。
『うう゛❤ ううう゛❤』
『いやぁ、なに、なんなの!? なんで❤』
『あなた、たすけっ❤』
『やぁ❤ いやぁ❤』
無数の触手により身体を拘束されている村の住人たちは、重傷者すら容易く快感を覚えさせる粘液の媚薬効果によって感じ始めていく。それにより、俺はまた急激な勢いで活力が溜まっていくのを感じた。
村の住人から得られる活力は、昨晩に犯していた少女と女性から得られる活力よりも量は少なかったが、大勢を犯しているせいでその分総量は、彼女たちから得た量を軽く上回るものになっている。
(やっばい)
大変なことをしでかしてしまった。
そして、なによりもヤバいのは、現状に対して、何一つ罪の意識というものを感じられなくなっていること。こうするのは今の自分としては当然のことで、むしろ率先してやるべきだという考えが強くなっていく。
実のところ、触手たちは無意識に動いてはいるものの、結局、動かしているのは俺自身であり、俺が他人を本心では犯したいと望んでいるからこそ、触手の身体は望みに従って動いているのだと、こんな状況になってしまってから理解する。
(やっぱ、殺されとくべきだったのか?)
そう思った瞬間だった。
村の一角を苗床と化して無数の住人を犯していた触手の感覚が、一瞬にして消失した。三人称視点の視界をそちらに向けると、二日前に俺の分裂した身体を燃やし尽くした黒い炎が無数の触手たちを焼いていた。
けれども、あのときとは違い、あまりにも数を増している触手は黒い炎が燃え広がるより先に無事な個体が分裂することで総数を維持してしまった。そうしていると、触手が分裂を続けている間に黒い炎は勢いを失いやがて消えていく。
『やはり、数が多いか』
多くの焼死体が残るその場所には、複数の古着を厚着してその上にローブを羽織る老人の姿があった。腰を曲げる彼は木の杖を持ち、何かを呟きながら顔をしかめている。
『仕方がない、弟子の不始末はワシの不始末でもある』
老人はそう何かを言って、杖を掲げた。
『聖域の担い手たる契約を司りし第四の御遣いよ、更なる対価の支払いを願う。討ち滅ぼすは侵略せしモノ、保護するは囚われの者なり。ぐっ、神秘よ敵を滅せよ』
老人が言葉を発した後、彼の掲げる杖の先端が光を発した。
すると、数を戻して老人の周囲を取り囲み今にも飛び掛かろうとしていた触手たちが、五感の共有や思考による操作も受け付けなくなり、唐突に動かなくなる。
無事だった触手で動かなくなった触手に触れてみると、その身体はとても冷たくなっていて、恐らくは熱を失っていた。動けなくなるほど、生命活動が不可能となるほどに身体から熱を消失させられていた。
そう推測している間に、老人の持つ杖から発せられる光は周期的に強さを増し、その度に熱を奪われていく触手の数が増えていく。どうやら熱を奪われていく範囲が老人を中心として広がっているようだった。
(このまま殺された方が絶対良いよな)
触手が次々に動かなくなる光景を見ながら、俺はそんな風に考えていた。
けれど、今も多くの女性を犯して心地良くなっている俺の身体は、本能は、本心では、到底そんなことを受け入れられず、死ぬのを拒絶してしまう。
俺は自分が死んだ方が良いと考えながら、心の底ではあの老人を打倒したいと願ってしまう。
だからだろうか、気が付くと俺はとんでもない化け物を生み出していた。
それは村の外に留まっていた最初の身体から分裂した新たな触手だった。その触手は分裂した当初は二十センチ程の長さだったが、急激な成長を遂げて倍の四十センチとなり、そして更に成長を続けていく。
成長は留まることを知らず、数秒で長さが二メートルを越え、更に数秒で六メートル、最後には全長が十メートル程にもなり、太さも二メートルを越えるものとなっていた。
最早、その個体はただの触手と呼べるような存在ではなく、巨大なワーム型のモンスター触手だった。
そうして、成長を終えた巨大触手は村の方向に移動を始めると、丸太の防壁なんて軽く越えて、魔法を行使し続けている老人のもとへと這い寄っていく。
「うっ、がっ」
木造の家屋を踏み潰し倒壊させながら迫っていく巨大触手に対して、老人は苦しげな様子を見せながら何かを行ったようだ。それにより、巨大触手は移動が止まる。けれども、巨大触手とはまだ感覚が繋がっており、生命活動が止まった訳ではないようだった。
それから数秒ののち、その場に止まった状態でボロリ、と巨大触手の身体が崩れ落ちて、先端の二メートル程が欠損していく。だが、その欠損は直ぐさま先程の成長と同じ速度で再生を始め、数秒も経たずに元の姿に戻る。
そして、巨大触手は行動を再開して一息に老人のもとへ迫ると――、
先端にある大きな口で老人を丸呑みにした。
巨大触手はそのまま飲み込んだ老人を、体内に生えていた無数の触手で拘束し、彼の穴という穴を犯し始め、
(ダメだ、いろんな意味で見てらんない)
俺は思わず視界をそらした。これが美人の女性だったりしたら欲求から目を反らせなかっただろうけど、老人の男が触手に犯される図は俺の性癖には当てはまらなかったため、そらすことができた。
(はぁ、これからどうなるんだ?)
老人が巨大触手に拘束されたことで、村の中で触手に反抗できる人間はいなくなってしまったようだった。
今ではもう村の中には触手が粘液を纏って蠢く音と、無数の触手に犯される大勢の住人が漏らす恍惚とした嬌声しか響いていなかった。
・・・・・・・・
村の中をおびただしい数の触手が支配して数時間。
村には至る所に触手が苗床を形成して、その内に多くの人間を捕らえていた。
俺はそこで、淫らな欲望に負けて数多の人々を犯してしまっている。粘液を用いて媚薬漬けにし、無理やりに絶頂に至らせ、快感に喘がせてしまっていた。
抵抗できる者がいなくなったことで、触手による快楽の搾取は延々と続けられて、村の中で動く者は触手だけとなり、辺りには不変の静寂が広がっている。
そんな空間に、一つの変化が生じた。
それは、村の中に存在する一際大きな触手から発生した。
全長が十メートルにもなるその触手は、老人を捕らえた巨大触手だ。老人を捕らえた後、巨大触手は活動を止めその場に直立していたのだった。
そして、老人を捕らえて以降微動だにもしていなかった巨大触手は、数時間の時を経て、下部がパクリと割れると、大量の粘液と共に一人の人間を排出する。
「がはっ、がはっ」
その人間は若く美しい容姿の女性だった。長い銀の髪を持つ彼女は古着をいくつも厚着してその上にローブを羽織っている。彼女は地面に這いつくばり、飲み込んでいたのだろう粘液を吐き出していく。
『ワシは、どうなった? 死んだのか?』
美しい容姿の女性は身体を起こしてその場に座り込むと、両手を見つめて驚いた様子を見せ、声をあげた。
『これは、なんだ? どうなっている!』
そんな混乱している様子の女性は、俺の好みドストレートな見た目をしていて、
『くっ、よせっ!』
微睡むような安らぎの中、性衝動に突き動かされた俺は、周囲で蠢いていた触手を彼女に飛び込ませていたのだった。