触手凌辱ファンタジー 作:山鯨
村を苗床に落としてからまた数日が経った。
この間もなにか変化という変化はなく、相変わらず村は触手に覆われており、俺は村の住民たちを犯し続けてしまっている。
当然、村の住民たちは全員今も苗床に捕らえられて、絶頂を繰り返しながら快感に喘いでいた。
彼らは苗床に囚われて以降、ずっと飲まず食わずで、過度な絶頂による意識の喪失以外は不眠不休となっている。けれども、その姿はおかしなことに端から見る限りは健康その物となっていた。
触手に粘液ごと揉まれて身体の汚れが落とされたことで――粘液まみれではあるが――清潔に見える彼らの姿は、粘液の再生効果と生命維持の効果が何かしているのか、みんな血色が良くなっている。それどころか、痩せ型の人物は肉付きが良くなり、肥満型の人物は余分な脂肪が消失して、歳を経た人物の肌つやは若々しさを取り戻して殆ど若返っていた。
食事を取らなくても餓えたり空腹で苦痛を覚えていたりする様子もなく、彼らは苗床に落ちた日からずっと蕩けた表情で快感だけを全身で感じていたのだった。
(やっちゃってる側としては嫌がられる反応をされないのは精神衛生上助かるけど)
それが良いことであるとは言えないよな、と思う。
(はぁ、なんか鬱になりそう)
こう何日も変化のない同じ時間だけが続くと、思考がどんどんと悪い方向に向かっていって病んでしまうような気がしてくる。
まぁ、そんな気がするだけで、触手の身体は誰かを犯していると勝手に幸福感を感じて安らぎにたゆたってしまうから、鬱になるなんてことはあり得なそうだとは思っているけど。
それに、
(感覚もどんどんおかしくなってきてるしなぁ)
村を覆う苗床の中を三人称視点の視界で見渡して、無数の触手が多くの人々を凌辱しているのを見てもなんとも思えなくなっているのだから、尚更鬱になんてなれなそうだと思ってしまった。
(あー、やめやめ)
なんか幸福感でハイになりつつ自らの境遇を嘆くようになりそうだったので、いったん別のことを考えることにする。
(あー)
そういえば、この村について色々わかったことがあったから、あとで考えをまとめようとか思ってたっけ。その後すぐに欲求に突き動かされて元老人らしき美女を犯すのに夢中なってしまったから忘れていた。
わかったことの一つ。それは、この六十人程の人が暮らす村にも男性がいた形跡があること。
この村は俺がやってきたときから、あの老人以外の成人した男性の姿がなかった。村の住人は殆どを様々な年齢の女性が占めていて、後は男女を問わない子供とあの老人だけとなっていた。そのため、最初はアマゾネス的な女性だけの暮らしを送る文化の村だと思っていた。
けれども、村全体を触手に沈めたことで、村の中で男性が暮らしていた痕跡らしき、男物の服装や日用品などを見つけるようになって、実はこの村にも最近まで男性が暮らしていたのではないか、と思うようになった。
それから、だったら暮らしていたはずの男性たちはどこに行ったのか、と考えたのだが、それに答えは出なかった。男手全員で出稼ぎに出たのか、流行病とかで犠牲になったか隔離されたのか。調べようにも俺は会話もできなければ文字も読めない触手なので、調べようがなかった。だからこの件でわかっているのは、この村にはもっと多くの人々が暮らしていた痕跡がある、ということだけだ。
(あとは)
他にもこの村についてわかったことがあって、それは、村の周囲に作物を育てられる農耕地や水産物が採れそうな水場がないということ。つまり、村の周囲には森だけが広がっていて、大勢の人間が暮らしていくための食料を自給できそうにないというのがわかっている。
ということは、まさか森の恵みだけで六十人以上が食べていけるわけもないと思うので、食料を別の場所で安定確保してきているということになり、けれどもそんなことをするより身近で農作物を育てた方が良くないか、と疑問を抱くわけで。
結論として、この村についていくつかわかったことがあったが、同時にわからないことが増えてしまった。
(わからないといえば、この身体もそうなんだよなぁ)
村について色々考えていると、自分の身体である触手についても考えが移っていく。
触手の身体。
体内の活力で分裂したり、ヤバい効能の粘液を吐き出したり、つい先日は怪獣みたいな巨大触手までをも生み出した謎の身体だ。更に言えば、目下の所、老人を若い美人に造り替えた第一容疑者でもある。
この身体についても現状は謎だらけとなっている。
そもそも、何で俺が触手の身体になっているのか、というところから謎だし、活力って実の所なんなの、という疑問があるし、あの巨大触手は一体何だったのか、いまでもよくわかっていない。
(色々気になることはあるけど)
こうして多くの人達の膣と肛門に潜り込んで蠢いてしまっていると、それら全てがどうでも良くなってしまい、あまりの心地良さに全身が眠気のようなモノに包まれてしまう。
こんな状況で数日間も時間を持て余し続けているのに、村や触手について大した情報が集まってないのは、この心地良さの中でだらけてしまっているせいだと思う。
けれど、この感覚は人間の女性を犯したいという強い本能的欲求と同じように、低きに流れて怠けることに魅力を感じてしまう俺には振り払うのに強い理性が必要で、自分をいさめる声がない現状、誘惑を断ち切れないでいるのだった。
(んあー、ん?)
そんな感じに、ただだらだらと村の住人たちを苗床で犯し続けてしまっていると、偶然視界の端に入っていた村から森の中に続く拓かれた道の先で、何かがゆらゆらと動いているのを発見する。
目をこらすように意識を集中して見てみると、それは遠くに見える人影のようだった。人影は無数にあって、どれもが体格が良くガッシリとした恰好をして、こちらに歩いてきているように見える。そして、それらは身体のどこかに武器を携えていて、まるで、何かと戦うための姿をしているように思えて――、
(えっ? マジ?)
駆除されるべき存在である俺は、これから先の展開が容易に想像できてしまい、ないはずの背中に冷や汗が流れる錯覚を覚えたのだった。