触手凌辱ファンタジー 作:山鯨
(うーん)
忍び寄らせた触手による三人称視点の視界で、俺は近付いてくる大勢の人間の様子をうかがっていく。
彼らは三十人程の集団で、全員が男であるようだった。そして、彼らはみな剣や槍、鈍器など、何かしらの武器を持っていて、ガッシリとした屈強そうな身体に革製と思わしき防具を身に着けている。その姿は戦う存在としての威圧感のようなものがあった。
ただし、彼らが持つ武器や防具の多くは、傷付きくたびれている状態で、既にどこかで何かと争った後であることがわかる。
それを裏付けするように、彼らの歩く姿には威圧感の中に疲れのようなものを感じられもして、見ると、集団の後ろの方で引っ張っている荷車には怪我人と思わしき数人の人間が乗っていた。
(これは、早まったか?)
なんか、明らかに俺を駆除しにやってきたという雰囲気ではないことを察する。
『うおーい! 帰ってきたぞ-!』
『生き延びてきたからなー!』
『ハッハッハ! 生きてんぞ!』
『大変なことになってるがな!』
武器を持った男たちの集団は、村が近くなるとそうやって高揚した様子で声をあげ始める。俺にはなにを言っているのか分からなかったが、今は苗床の中で犯されている村の住民たちに対する言葉であることは雰囲気でなんとなく感じられた。
(あー、彼らっていなかった村の男手か?)
現状の知り得ている情報からそうなのだろうと思った。村にいなかった男たちが帰ってきたのだろうと。
ということは、やはり彼らは俺を駆除しにやってきた訳ではなくて、自衛のためだから、と言い訳するように準備したものは大義名分を失うことになるだろう。
(いや、でも)
けれども結局、俺の存在が知られれば駆除しに来ることは明白で、
(……あー! もうわからん!)
当初の想定とは変わってしまったが、俺は村の周辺の森に擬態して隠れていた無数の触手たちを、村の男達らしき集団に向けて襲い掛からせた。
・・・・・・・・
理屈で言えば、俺というヤバい触手は駆除された方が良いのだろうと思う。けれども、それを大人しく受け容れる覚悟というモノが俺にはなくて、俺を駆除しにやってきたと思わしき集団を目にすると、自衛のため、という名目を掲げて全力で迎撃態勢を整えてしまっていた。
苗床の中に溢れていた大量の触手を森の中に擬態させる形で襲撃地点を包囲するように配置し、いつの間にか活力を消費することで生み出せるようになっていたあの巨大触手を四体村の苗床の中に隠して、情報を得るために数体の小さな触手を忍び寄らせていた。
そうして襲撃地点として想定していた場所に男たちの集団がやってきたのを確認すると、俺は彼らに襲撃を仕掛けてしまっていた。
襲撃はまず最初に、村の苗床に隠していた四体の巨大触手が男たちの集団に飛び込むことから始まった。全長十メートル太さ二メートルを超える四体の巨大触手は、村を囲む丸太の外壁を容易く乗り越え、先端の口を開くと襲撃地点にいた数人の男たちを飲み込んだ。
『なんだ!?』
『ゲルト!? ゲルトが喰われた!?』
『魔物だ!』
『なんで村から魔物が!?』
それからすぐ、周辺の森の中に擬態していた大量の触手が襲撃地点に押し寄せていった。触手たちは数にものを言わせた物量作戦で男たちのもとへ雪崩れ込んでいき、粘液をまといながら手脚の拘束と穴への侵入を試みていく。
『くそっ、なんだこいつら!』
『このっ! やめろ! やめやがれ!』
『ぐっ、こいつら!』
『ふざけんなっ!』
襲撃地点は一瞬にして男たちと触手による混戦の舞台となり、そこに再び飛び込んでいく巨大触手によって両者が飲み込まれ蹂躙されていく。
そうして、数分もしない内に三十人を超える男たちの集団は、逃げだせた数人を除く全員が拘束され、やがて村に満ちる苗床の中に落とされていったのだった。
・・・・・・・・
あの男たちの集団を捕らえてからしばらくして。
「う゛っ❤ あああ゛っ❤ ぐぅ゛❤」
俺は考えるのが面倒になり、元老人らしき美女が快感に乱れる姿を見て安らぎを得ていた。彼女は媚薬効果のある粘液を何日にも渡って胃や肺、子宮や腸内に送り込まれ続けたせいで、嬌声を我慢できなくなり、絶頂を迎える間隔も短くなっていた。今も触手に四肢を拘束されながら全身に力を入れて勢い良く潮を吹いている。
その姿はとても魅力的で興奮を覚えるものであり、ダメだと思いつつもずっと見ていたくなっていた。
(頭おかしくなりそう)
この現状が人としてとてもダメなことはわかっている。
他人の人権を無視して監禁と拘束ののちに終わりのない凌辱を行うのなんて、どう考えても一発でアウトな最低な行いだ。
けれど、この触手の身体になってから、その行為がとても心地良くて、なによりも満たされるものとなってしまっている。
頭では拒絶しているのに、身体がどうしても求めてしまう。そのギャップが言動のズレとして俺の思考を混乱させてくるのだ。けれども、なにをどうすればこの強い性的衝動に打ち勝てるのか、未だに見当が付かないでいた。
(はぁ、あの人たちの様子を見に行くか)
このまま考えていてもしょうがないと思い、さっき拘束してしまった集団の様子を見に行こうと決めた。
そうして、三人称視点の視界を動かし、男たちが放り込まれた苗床の一角を見てみると――、
そこには地獄絵図が広がっていた。
「うあっ、ぐぅっ、ううう゛」
「ひぃ、ひぃっ、んぎぃっ」
「うあっ、あっ、あっ、ああっ」
(うわぁ)
それは屈強な身体の男たちが裸に剥かれ、全身を粘液まみれにしながら肛門に太い触手を挿入され、男根を触手の先端の口に飲み込まれている光景だった。彼らは快感に悶える声を漏らしながら、時折口を噛みしめビクリと身体を硬直させたり、身体を震わせながら目をつむって喉をそらしたりしていた。
(うわぁ)
そのあまりにショッキングな光景に、頭が視界の処理を拒んで、まともな言葉が出なくなる。
それから、今見た光景を徐々に認識してしまって――、
(うわぁっー!)
俺は発声器官のない身体で叫んでいた。
叫んで、目の前の光景をなくすべく、すぐそこで苗床の中を泳いでいた巨大触手を操って、全てを飲み込ませた。辺りの触手ごと、拘束された男たちを巨大触手の大きな口に飲み込ませていく。
そして、苗床の中を抉り取っていった巨大触手は十メートルの巨体を蠢かせて去っていく。その際、巨大触手は飲み込んだ触手と男たちの代わりとばかりに後方部分から大量の触手と共に何かを排出していった。
その排出されたものを見て俺は、
(ああ、やっぱり)
なんて思う。
巨大触手が排出していったのは、見目麗しい数人の女性たちだった。彼女たちは全員が魅力溢れる肉体の全身を晒して意識を失っている。
この数日間の間に全く見た覚えのない彼女たちは、たしかさっきの襲撃で一体の巨大触手が飲み込んだ男たちの人数と一致しており、
(そうだったか)
と俺は巨大触手が性転換能力を持っていたことを確信したのだった。