触手凌辱ファンタジー 作:山鯨
あの男たちの集団を捕らえて、おそらくは強制的に性転換させてしまったことを自覚してしばらく。
(はぁ)
この身体になって以来、なんだかどんどんヤバいことになっている現実から目を反らしたくて、俺は何の変哲も無い地面だけを見ながら身体が感じてしまう安らぎに身を任せていた。
(なにも考えたくない)
村を苗床が覆い尽くし、その中で大勢の人間と様々な動物を凌辱しているという事実を忘れてしまおうと無心になろうとする。
変わらない視界の中で、身体は心地良さに包まれ安らぎと満足感で満たされていた。けれどもそれで積み重なった心労が癒されることはなく、寝ることもできないので、悲しいことに現状のやらかし具合を忘れることはできなかった。
(んー)
そんなことをしていたら、身体の感覚にちょっとした違和感を感じる。指の爪先に何かが引っかかる感覚というか、意図せず物に触れてしまった感覚というか。
正しく言語化するなら、どこか遠くの場所の、自分の意図しないところでまた勝手に触手の身体が分裂して、好き勝手に何かの生物を凌辱しているような感覚がする。
(んー?)
そんな感覚がしていた。のだけど、村の苗床を三人称視点の視界で見渡しても、何か大きな変化というのは見当たらない。感覚的にわりと大きな変化が起きていてもおかしくはないように感じているのに。
見れば、村の中は相変わらず膨大な数の触手が蠢いており、触手によって形成された苗床の中で村の住民たちが全身の穴という穴を犯され、半狂乱となって甘く甲高い嬌声をあげている。
でもその光景はこの数日間変わらないもので、変化を挙げるとすれば、ついさっき凌辱される人数が増えてしまったくらいだ。
(んー、えっ?)
感じ取った違和感が気になって、分裂した触手の視界を次々に共有していき、その出所を調べていたら、思い掛けない所に視界が共有されて原因が見つかる。
そこは俺が占領してしまっている村から、体感的には少し離れている場所だった。
その場所は村の周辺と同じように辺り一帯が切り拓かれていて、視界の通る広場となっている。そんな広場の中央に、どこか場違いに思えてしまうレンガ造りの大きな建築物があった。
白いレンガで造られた背の高い建築物。
村の住居と比べて豪華な造りのその場所で、なぜか、触手の身体が大繁殖していた。
建物の入り口にある大きな木製扉は開け放たれていて、そこからは無数の触手たちが蠢き中から外に押し流されている。そんな有様なので当然内部にも膨大な数の触手が蠢いており、今も分裂を繰り返している様子だった。
(え?)
こんな場所があったということすら今の今まで知らなかったのに、なぜか居座っている村からそれなりに離れた場所にある謎の建物で、触手が大分裂を起こしていた。
(謎だ)
とか思っていたら、あっ、と視界に映り込んだ数人の人間を見て察する。
「うあっ、はぁ、あああ!」
『ああ神よ、どうか、どうか、ん゛ん゛ん゛』
「うぶっ、んぐあ、んぐぐぅ」
その人間たちは、村にやってきたさっきの集団の一員だ。あの襲撃の際に数人逃げ延びていたのだが、この場所で分裂した触手に囚われてしまったらしい。逃げ延びる際に彼らだけ魔法らしきものを使っていて、服装もだぶついた特徴的な物を揃って着ていたので印象に残っていた。
そして、そういえば彼らの後を数体の触手が勝手に追っていっていたな、と今になって思い出す。
(あー)
数人の男性が全身を触手に絡め取られながら、苦悶の表情で何度も射精させられている姿を見てしまい、彼らから結構な量の活力を得ていたのを感じると、なんか逆に冷静になって、
(触手って結構離れても五感は共有するんだな)
言うことは聞いてくれないのに、なんて思った。
それから、見なかったことにするか、なんて考えて、
(ん?)
レンガ造りの大きな建物の地下にまで、五感を共有する触手が存在していることに気がつく。それも、建物内で蠢く触手より遥かに多くの数が地下空間で何かの生物を凌辱しているようで。
(……はぁ)
なんか、また厄介なことになりつつあることを感じて、俺は思わずため息をこぼしてしまったのだった。
・・・・・・・・
結論から言って、背の高いレンガ造りの建物の地下には、高さが三メートル程の長い洞窟が広がっていた。
洞窟は奥に長く広がっていて、進んでいくと二手に道が分かれていたり、行き止まりや小部屋に辿り着いたりしている。そして小部屋の先には下に降りるための下り坂があって、そこを進むと、また奥に洞窟が広がっていた。調べた限り少なくとも三階層はそうなっていて、それよりも奥には触手が進んでいなかったが、まだ先がありそうな感じだった。
洞窟の内部は光源がないのになぜか明るくなっていて、そこには以前遭遇したゴブリンと思わしき生物が棲息していた。彼らはまた触手の餌食となって簡易的に作られた苗床に拘束されている様子だ。
要するに、
(ダンジョンじゃん、これ)
レンガ造りの建物の地下には、ダンジョンが広がっていた。