触手凌辱ファンタジー 作:山鯨
この森にきてからたぶん数時間。
チ○コの身体、いや、触手の身体となった俺は現在、浅い洞窟の片隅で縮こまっていた。
洞窟は岩肌の露出する山の斜面のくぼみにあって、明かりは外から差し込む日光だけなので、浅いとはいっても洞窟の奥はけっこう薄暗い。
そんな洞窟奥部では外から「グギャ、グギャ」といういくつもの声と多くの足音、そして、近くから「……う、あ」というか細い声が時折聞こえていた。
薄暗い洞窟の中から確認する限り、前者の声は緑色の肌をした汚らしい小人のもので、というか、明らかにゴブリンみたいな見た目をした奴らのものだ。
それで後者は人間の少女らしき人物が漏らすうめき声だ。少女らしき人物はめちゃくちゃな暴行を受けていたようで、衣服はぼろぼろかつ汚れにまみれ、元の形がわからないほどに顔の至る所を腫らして、痛みからか意識が朦朧としているみたいだった。
(うーん)
この状況を端的に言い表すならば、俺はゴブリンの巣に囚われている、となるのだろうか。
ことの経緯は、俺が穴の中に潜り込んでいた雌イノシシがゴブリンたちに襲われた所から始まる。
まず最初に前述の通り、雌イノシシがゴブリンたちに襲われた。
俺が穴の中に入ってもぞもぞしていたせいで、雌イノシシは目立つ声をあげながら身悶えていたので襲いやすかったのだろう。ゴブリンの一匹が草やぶから突如姿を現したと思ったら、錆びて刃こぼれしている鉄製らしき直剣で雌イノシシの頭を一撃し、怯ませたところで後から現れたゴブリンの集団と共にボコボコにしてしまった。
それによって雌イノシシは殺されてゴブリンたちの巣に持ち帰られてしまうこととなり、そして当然、穴の中に入っていた俺も連れ去られることとなったわけだ。
いや、最初は俺も逃げ出すタイミングをうかがっていたんだけど、ゴブリンたちの一匹が雌イノシシの穴から飛び出る俺の一部をずっと握っていたせいで逃げるに逃げられず、結局彼らの巣まで連れられてきてしまった。
それから雌イノシシが巣の外で解体される中、俺は穴の中から引きずり出され、倉庫としても使われていそうなゴブリンたちの巣に放り込まれたという流れとなる。
(うーむ、ヤバい)
それでだ。
こんな状況の中で、俺はある悩みを抱えてしまっている。
それは、近くにいる少女らしき人物を、猛烈に犯したい、という衝動が抑えきれそうにないということ。
すぐ近くに横たわり時折うめき声を上げる彼女は、俺がさっきから少女らしき人物と形容するくらいには、それはもう見るに堪えない暴行を受けていた。
顔面は至る所が腫れ上がり、流血した痕がそこかしこにあって、途切れ途切れの呼吸を漏らす口から見える歯は何本も折れている。四肢は手足が一本ずつ関節が本来曲がらない方向に曲げられ、壊れたおもちゃの人形のようになっていた。
最も手荒く扱われたと思われる女性器と肛門はどちらも大きく裂けて閉じなくなっていて、白い液体が血と混じってペンキが塗りたくられたかのように乾いて固まっている。
(いや、ほんと、まじで、ヤバい)
そんな、直ぐさま救急車を呼ばなきゃいけないような怪我人に対して俺は、極度に性的な興奮をしてしまっていた。ただ、彼女が人間の女であるという事実だけで、今まで生きてきた人生の中で一番興奮してしまっている。
(あば、あばばばば)
少しでも気を抜くと、さっき雌イノシシに対して無意識的に飛びついてしまったように、彼女に対しても飛びつきかねない。いや、感覚的にわかる。絶対飛びつく。
だから俺は人として侵してはならない一線を越えないために、意識を集中して衝動を押さえ込むよう努力した。
けれど、身体の内側から洪水のように氾濫する衝動は、無限に巨大化していって、どんどん頭の中を埋め尽くしていく。
それから、徐々に徐々に意識が白ずんでいき、ついには目の前が真っ白になって――、
(あぁー、ごめんなさーい)
俺はいつの間にか少女らしき人物の女性器の中へ潜り込んでいた。
・・・・・・・・
(あー、出たいのに出られないー)
内なる衝動に屈してしまった俺は、その後無意識的に膣内で蠢いてしまう。
どうにか刺激を緩和しようと、意識的に触手の身体をしぼり、皮から解放されている先端部分から粘液を分泌していく。だが、現在の俺は極度の興奮状態なので、触手の身体はバキバキに膨張し、長さは双頭触手の前方部分だけでも二十センチを優に超えてそうで、太さも二回りを絶対超えて膨張してしまっている。
「うっ、ぐぁ」
故に大きさによる圧迫は、三人称視点で見る限り、傷付き炎症すら起こしていそうな彼女の膣内に大きな苦痛を与えたようで、時折漏れていたうめき声がどんどん漏れ出していく。
(あー! ごめんなさいぃー!)
俺は申し訳なさでいっぱいになって、死ぬ気で粘液を絞り出していった。
十秒程して彼女の膣内が粘液で満たされる。するとどうやら苦痛は緩和されたようで、うめき声は漏れなくなった。
(はぁー、まじで、ほんと、ごめんなさい)
しかしながら、俺の触手の身体による無意識的な動きはどうしても止めることができずに蠢いてしまう。
ぐちゅぐちゅと膣内の粘液がかき混ぜられる音が、静かな洞窟内に広がっていく。
(もしかして、コレもヤバいか?)
はっ、として焦る気持ちを抱えながら、双頭触手の後方部分の先端を上に伸ばし、三人称視点で目をこらして外の様子をうかがえば、都合の良いことに、外にいるゴブリンたちは雌イノシシの肉に夢中になっているようだった。
(お願いだからそのままでいて)
とゴブリンたちがこっちに来ないことを祈ることしかできない俺は、そのまま視界を戻して、一端一息入れることにした。
(はぁ、もう、ほんとに、夢ならさめてくれー)
頭が理解を拒むことの連続で、気疲れが積み重なっていく。
やはり今の俺にできることは、この状況が夢であることを祈るだけだった。
そうして、しばらく無心に祈っていると、
「んっ❤」
という声が漏れ聞こえて、触手の身体にまたあの活力が微量に湧いてきた。
(あ? え?)
「あ❤」
そしてまた、息を漏らすような声が聞こえて、身体に活力が湧いてくる。
(え? マジ?)
この活力というモノについて俺は殆ど理解をしていないが、あの哀しみの童貞卒業経験を経て、わかったことはあった。
それは、雌イノシシが快感を得ているときに、俺も活力を得ているということ。これは経験則による想像でしかないし、素人童貞による妄想でしかないかも知れないが、明らかに快感で悶えている瞬間に俺は活力を得ていた。
だから、その経験則による仮定に則って現状を整理すると、俺が今膣内に潜り込んでいる彼女は快感を得ている、ということになる。
(えぇ?)
この瀕死のような怪我をして、意識が朦朧としている状態でだ。
有り得ないことだと思う。
だが、そうなってもおかしくない、という心当たりはある。
その心当たりとは、俺が触手の先端から分泌している粘液だ。
この粘液を分泌する前と後では雌イノシシの場合でも、今の彼女の場合でも、快感の感じ方で大きく変化があった。雌イノシシの時は潤滑液として優れているのだと思っていたが、もしそうではなかった場合、
(ヤバくない?)
まず間違いなく危険薬物的成分が含まれているわけで、重傷者を簡単にトリップさせるそれが人体にとって危険でないと考える方が難しく、非常に頭が痛くなる。
(あ、あー、知らない、俺はもう知らない、不可抗力です、悪気はなかった)
そうやって頭の中で必死に現実逃避をしていると、いつの間にか身体に溜まっていた活力がまた消失していき、ぶるん、という揺れと共に、俺の触手の身体が真ん中から横に割れた。
(は?)
そうして出来上がるのは、二つになってそれぞれが独自に動かせるようになった二本の触手。それらは切断面からまた体積を急激な速度で増加させていき、元の四十センチ程の長さまで成長していく。
(まじか、まじか)
わりともういっぱいいっぱいになっていた俺は、今見た光景に対してそんな言葉しかこぼせなかったのだった。