触手凌辱ファンタジー 作:山鯨
(あー)
あの後、つまりは、言うことを聞いてくれない触手の身体たちが巣にやってきたゴブリンを無惨に凌辱したあとのこと。
ゴブリンたちの巣はとんでもないことになってしまっていた。
なんて言えば良いのか、肉の海と言うのか、無数の触手が蠢く地獄と言うのか。
いや、そうだ、そういえば相応しい言葉があった。
苗床だ。
捕獲した獲物を生きながらえさせ、延々と栄養を搾取するための、触手による触手のための巣。
ついさっきまではゴブリンたちの巣だったこの浅い洞窟は、今ではもう更に分裂して数を百二十八体に増した触手の巣になってしまっていた。
そして、そんな苗床を生み出してしまった俺は現在、ゴブリンたちと全面戦争を迎えてしまっている。
(やべー)
「ギャガガ!」、「グガガ!」、「ゲギャギャ!」、「グギャギャ!」
洞窟の入り口を複数のゴブリンたちが取り囲み、その内の数匹が奇怪な声をあげて飛び掛かってくる。
俺はそれに対して分裂した触手をそれぞれ十数体飛びつかせて迎撃しようとするが、向かってきたゴブリンたちに「グギャギャ!」と簡単に木の棍棒で振り払われたり、つかみ取られてそのまま握り潰されたりしてしまう。中には一口で喰われたりもしている始末だ。
けれども、触手を潰されても痛みはない。分裂した身体とはどこから得ているのかわからない視覚や聴覚、触覚なんかを共有できるのだが、なぜか痛みは伝わってこないようになっているようだった。
だから、分裂した触手を潰されても痛手はない。体内に活力が残っていれば自動的に減った触手は補充されるようだから、本当に痛手というものはなかった。
そう、痛手はない。
ないのだが、痛手がないだけで、現状を打破できる力もない訳で。
(あー、許して、くれないよな)
俺はこの状況を、かれこれ体感で十数分は続けている。
洞窟を取り囲むゴブリンたちは何かを警戒しているのか、それとも遊ばれているのか、こちらに襲いかかってきても迎撃に出した触手を潰すだけで奥には入ってこなかった。
おかげで俺は今も殺されずに済んでいるので助かってはいるのだが、いつゴブリンたちが全力で殺しにくるのかという不安が付きまとっている。
さっきのゴブリンを捕まえたときのように超反応かつ自動的に分裂した触手たちが動いてくれれば良かったのだが、それが起きたのはあの時だけで、現状では自分で触手たちを操作しなきゃ動いてくれなくなっていた。
だから俺としてはゴブリンたちが諦めてくれるまで耐え忍ぶという行動しか取れなくなっていて、それ故のこの十数分となる。
ただし、この状況を解決する手段がないわけではなかった。
(おお! きたきたきた、いけいけいけいけ!)
この状況を解決する手段、それは数の暴力だ。
さっきはたしか十数体ほどの数でゴブリン一匹を捕らえることができていた。ならもっと多い数、現在の個体数からさらに分裂して二百体を超える数ならば、外のゴブリンたちを制圧できるんじゃないか。
そんな半ばやけくそな推測を元に、俺は体内に溜まっていた活力が一気に消失したのを感じた瞬間、少女の膣に潜り込んでいる俺だけを残して、他の全触手をゴブリンたちに突撃させる。
たった今分裂したことで二百五十六体となった身体を一体を残して全て飛び込ませた光景は、まるで巨大な肉塊が爆発したかのようだった。
そして、俺はもうがむしゃらに洞窟を取り囲むゴブリンたちの身体に触手を取り付かせて、粘液を吐き出しながら彼らの穴に潜り込んでいく。二百五十五体の身体を同時操作するのなんて到底無理だから、突撃と潜り込むことだけを強く意識して、ひたすらゴブリンたちの穴に飛び込んでいった。
(はぁ、はぁ、どうだ?)
十秒ほどの時間が経過したのち、俺は三人称視点の視界でゴブリンたちがいた方を意識する。
身体を動かすことに全神経を集中していたから、この瞬間まで視界を意識することは無理だった。だから今ようやく全力特攻の結果を見ることになるのだけど――、
(うぇ)
そこには、あまりにも酷い光景が広がっていた。
空を木々の枝葉が覆う、山の斜面と森の境目。
その地面に散乱するチ○コのような見た目をした無数の触手たち。
そして、散らかる触手の中に横たわる緑色の肌に粗末な腰蓑だけを着けたゴブリンたち。彼らはみな口と肛門から粘液を溢れさせて多くの触手がねじ込まれた姿で、身体をびくつかせながら地面に倒れていた。しかも、そんな状態で全員が股間を大きく隆起させていて、中には射精している者すら――、
(うぇっ)
やめよう。
正気を保てなくなりそうだ。
(……とりあえず、なんとかはなった、と思いたい)
もう一度辺りに広がる惨状を見れば、自分がゴブリンたちとの全面戦争を制したことを実感する。
倒れているゴブリンの数は九匹。洞窟の入り口を取り囲んでいたときはもう少しいた気がするので、もしかしたら逃げた個体がいるのかもしれない。それでも大多数のゴブリンは制圧できたはずなので、仮に逃げた個体がいて再び襲われても対処はできそうだと思う。
(やっと、助かった)
現状を認識して一息つく。
最初に巣に戻ってきたゴブリンをなんとかしたと思ったら、すぐに他のゴブリンたちも戻ってきてしまい、続けさまに命の危機に陥るという、ここ一連の流れは本当に心臓に悪かった。
だから、しばらくはなにも考えずにゆっくりしたい、と思っていたのだけど、
(あー、まじか)
これは触手としての本能なのか、危機が去ったと思ったら、急激にまた強い性欲が湧いてきてしまった。
その証拠に、若干しなびていた少女の膣内にいる触手はムクムクと太さと堅さを取りもどしていき、膣を満たしている粘液をどろりと少女の膣口から肛門、尻肉を伝って洞窟の地面へとこぼしていく。
また洞窟の外に散乱していた触手たちも勝手に活動を始め、動けなくなった個体以外は身悶えしているゴブリンたちに群がり、空いていた耳や鼻なんかに潜り込んでいっている。
『あっ❤ また❤ 気持ちいのが❤』
(ん?)
触手による刺激が再開したからだろう、少女が声を漏らす。けれど、その声には今までの単なる漏れ出た声とは違う、なにか言葉のようなものが含まれているように思えた。
『あっ❤ あっ❤ 好き❤ これ好き❤ 気持ちっ❤』
(いや、ていうか)
『また❤ からだビクッて❤ なっちゃう❤ あっ❤ はっ❤ はっあっ❤』
ビクッビクッ、と少女が両腕を胸の前に寄せて拳を握り、腰を浮かせて尿道から勢い良く潮を吹く姿を見ながら、俺は気付いた。
(治ってない?)
さっきまで触手に覆われて見えなかった少女の顔は、あれだけ酷かった腫れが綺麗さっぱり引き、幼さの残る可愛らしい整った素顔を覗かせていた。