触手凌辱ファンタジー 作:山鯨
『んへへ❤ 好き❤ 好きですっ❤ 魔物さん❤ あっ❤ 気持ちいのっ❤ またきますっ❤ あっ❤ くるっ❤』
(はー、心地良いなー)
あれから、俺が触手の身体となってから、あっという間に四日が経った。
今日も俺は洞窟を埋め尽くした苗床の奥で、少女の膣に身体を突っ込み、なにもせずにだらだらする。
だらだらしながら、少女の聞き心地の良い声を聞き、彼女が何度も絶頂していく姿を眺めていく。粘液にまみれながら、ときに息み、ときに震えるその姿は、今の俺にはとても魅力的に感じられ、見ているだけで満足感を得られていた。
(それにしても、もう四日かー)
この身体になった初日はゴブリンたちと争ったり、慣れない身体に戸惑ったりして大変だったことを思い返す。
けれども、二日目からは少女のいる苗床から動く気になれず、ずっとこの場所にいたため特に何かが起こることもなく、平穏な日々が続いていた。
ここ数日間は少女が快感に悶える姿を見る毎日で、触手としての生活は充実していたと言って良いだろう。
少女の話す言葉は未だに欠片も理解できていないが、彼女の方は反応を見る限り現状に嫌がるそぶりは全く見せず、むしろ好意的に受け入れていそうな様子なので、もういいかな、なんて思ってしまっている。
しかも、どうやら触手の身体が吐き出す粘液には、媚薬効果と再生効果の他にも生命維持の栄養効果もあったらしく、粘液を摂取している限り少女が餓えることもなさそうなので、それがもう諦めても良いかな、という考えに拍車を掛けてしまう。
(それがダメだとは、思ってるんだけど)
この数日間何度も抵抗してみたものの、少女に対する欲求には抵抗できないし、実のところ、現在の生活はとても心地良いから、もう触手として生きていくのも悪くないんじゃないか、なんて考えが頭の中で燻っているのだ。
(あー、人としてダメになっていくのがわかるー)
この三日間で身体に溜まる活力は再び臨界点を迎え、触手の数は更に倍となり、五百十二体となった。それによって苗床は狭い洞窟内部をみっちりと埋め尽くすほどになってしまっている。
洞窟の入り口は山の斜面に擬態した触手で覆っているため、傍目にはそこに洞窟があるとは気付かれないだろう。
まぁ、長時間生物を犯していない触手は言うことを聞かなくなってしまうので、ずっと同じ場所に留まり続けることはできず、真っ暗となった深夜にローテーションを挟んでいるため、そこを見られたらバレるかもしれないが。
(うあー)
そんなこんなで、触手の身体にとっては心地の良い生活が続いてしまい、元来低きに流れる性格をしている俺は、このままではいけない、とは思ってはいてもなかなかこの状況を抜け出せずにいた。
「んんっ❤ んやあっ❤ むああっ❤」
『聞いたっ!? やっぱりここにあの子がいるのよ!』
「うむぅ」
(へ?)
触手を咽奥まで突っ込まれた少女の嬌声を聞きながら、微睡むように彼女の膣内で蠢いていると、なにやら知らない声が聞こえてきた。
なんだなんだ、と三人称視点の視界を少女のいる苗床の奥から洞窟の入り口に移動させると、そこには二人の人間がいた。
一人は簡素で飾り気のない着古されてそうな服を着た女性だ。彼女は息を荒げるように隣にいるもう一人の人物に話しかけている。
そして、もう一人は古着を何枚も厚着した上でほつれが目立つ紺のローブを身に纏う老人だ。腰を曲げている彼は一本の木の杖を支えにして立っている。
(……人だ)
少女が存在しているのだから、他に人がいないわけがないと察してはいたけれど、こうして実際に他の人を見てみると、やっぱり驚きというか、戸惑いを覚えてしまう。
『早く助けないと! もう何日もあの子は助けを待ってるのに!』
『気を急くな、馬鹿弟子が、良く見てみろ、普通の解体虫がこんなに繁殖するわけがあるか、なにか異常の原因がある、大方どこぞの魔法師が弄くった固体が逃げ出したとかそんなところだとは思うが――』
『わかってる! わかってるけど、だけど、だけどミリアが!』
二人はやはり、俺にはわからない言語で会話をしていた。なにか言い争っている様子だが、その内容は理解できず、なぜ彼らがここにいるのかも察することはできない。
(てか、思いっきり擬態バレてる、いや、むしろ擬態しているから異変を感じて調べに来たとか?)
なんにしても擬態能力はまたもや役に立たなかったようだ。
『むぅ、わかったわかった、ミリアムかはしらんが声の主を助けることを先決する、少し離れておれ』
『ああ! ミリアっ! どうか、どうか無事でいて!』
(なんだろ、この二人はなにしにきたわけ?)
俺がそんなことを思っていると、
『焼き尽くす火炎の神秘』
老人が杖を掲げて何かを口にした途端、
(は?)
洞窟の入り口を擬態能力で覆っていた触手たちが、一瞬にして焼き払われた。炎に包まれた触手たちはボトボトと地面に落ちていき、動かすことも、五感を共有することもできなくなっていく。
炎は老人の持つ杖の先から放たれていた。その様子は火炎放射という表現がそっくりそのまま当てはまり、猛烈な勢いで俺の分裂した身体を焼き焦がしていく。
(ま、魔法? いやていうか、え?)
いきなりの事態に冷や水をぶっ掛けられて、微睡んでいた意識が叩き起こされた。
そして、今更俺は攻撃されているのだと認識する。
(やっ!? やばっ!?)
そりゃそうだ。今の俺は人間を捕らえて犯すような触手であり、そんな奴が洞窟を埋め尽くすほどの苗床を作っていると知れば、誰だって駆除しようとするに決まっている。
(ヤバい、ヤバい!)
正直に言って、俺はこんな状況になることを想定していなかった。
またゴブリンなんかに襲われることはあるかもしれない、とは思っていたけど、洞窟の入り口を擬態触手で覆っていたし、触手の総数も五百十二体となっているのだからどうにかなると考えていた。
けれどまさか、人間がやってきて、魔法らしき攻撃で身体を焼かれるとは思ってもなかった。
『むぅ、数が多い』
(や、ヤバいぃ!)
想定外のことに頭が回らず、されるがままになっていると、次第に杖の先から放たれる炎は勢いを弱めていき、ついにはなくなった。
(……た、耐えた、か?)
なんとか、炎の魔法を耐えきったらしい。洞窟の入り口付近を固めていた触手の殆どは燃やされてしまったが、それでも苗床を形成する大多数の触手は生き残っている。
数を減らしたとしても、この触手の身体は体内に活力が残っている限り死に絶えることはない。自動的に活力が消費されて、四十センチ程の触手が二つに分裂し、それぞれがまた急激な速度で元の大きさに成長していく。
炎の魔法が止んだことで、生き残った触手は分裂し、苗床はまた元通りの姿となった。
『ロームじい、お願い、ミリアを』
『ええい、心配するでない、ちと本気を出してやる』
(耐えたけど、どうするんだよ)
炎の魔法らしき攻撃を耐えはした。けれど、この先どうすれば良いのか、全く考えつかない。
触手の身体で一斉に飛び出し逃げ出せば、どれか一体は生き残れるだろう、とは思う。けれど、それは十中八九少女を手放す選択肢なので、本能的に選ぶという思考になれない。
かと言って、まさかゴブリンたちへ行ったように捕まえて苗床に引きずり込むという選択肢が取れるわけもなく。
俺は完全な手詰まり状態となっていた。
(どーしよ、まじで)
そうやって俺が悩んでいると、絶望的なことに、また老人が杖を掲げて何かを口にし始めた。
『天に座す魔の法則を司りし第八の御遣いよ、支払われた対価に相応しい祝福を願う、根絶やしにするは森の解体者、保護するは囚われの者なり。根絶する呪われし火炎の神秘』
また老人の持つ杖の先から炎が放たれていく。だが、今度の炎は黒かった。黒く禍々しく、まるで猛犬が噛み付くかのように荒々しくこちらに向かってくる。
黒い炎は苗床に接触すると、先程の炎とは比べものにならない速度で触手を焼いていった。
(ひぃ!?)
炎は一息で入り口を固めていた触手を焼き尽くし、その先に進んでくる。しかも、燃やされた触手に残る黒い炎は次々に他の触手に延焼していき、それがまた他の触手に飛び火することで、加速度的に苗床全体が黒く燃え上がっていく。
(あっ、これは死んだ)
炎上の勢いは数を減らして分裂を始めた触手の分裂スピードを遙かに上回るもので、体内の活力が猛烈な勢いで消耗しているのに、触手は増える様子を見せず、ただ焼かれた死肉が数を増していくだけだった。
(……でも、まぁ、いいか。こんな身体で生きてくよりも、大人しく死んだ方が、まだましか)
触手の身体が焼き尽くされつつある中で、俺は不思議なくらい落ちついていた。恐怖も後悔もなく、諦めの境地というわけでもない。やっと終わるんだな、くらいの軽い感覚。
やがて、苗床を形成する分裂した触手の全てが燃やし尽くされ、最後に残されたのは、少女の膣に潜り込む最初の身体だけとなっていた。
その身体も体内の活力は底を尽きて分裂することはできず、膣からはみ出た後ろ部分は黒く燃え上がっている。
黒い炎は導火線を進む火花のように俺を焼いていき、ゆっくりと這い上がってくる熱さと痛みを感じながら、最後の時を迎えようとして、
(――え?)
その時が一向に訪れないことに違和感を覚えた。
気が付くと、身体を焼いていた黒い炎が消えている。
見てみれば、俺の身体は大半が焼け落ち、短小のチ○コみたいな姿となって、先端が少女の子宮に密着していた。
(え?)
視界を少女の膣内から外に移動してみれば、そこには焼け跡一つない全裸の少女が両手を股間に当てている姿があった。
『えへへ❤ 好きです❤ 魔物さん❤ 気持ちいの❤ もっといっぱい❤』
少女は頬を紅潮させ、快感で意識を曖昧にしながらも、穏やかな表情で幸せそうに何かを呟いていた。
(い、生きてる?)
なぜかはわからないが、俺は今も生きている。
「あっ❤」
俺は自身が生きていることを認識すると、現金なことだが、短小となった身体をバキバキに膨張させてしまうのだった。