触手凌辱ファンタジー 作:山鯨
『ミリアっ、ミリアっ、起きてっ、お願いっ、ミリアっ!』
触手が焼き尽くされた洞窟の内部で、外からやってきた女性が先程から裸の少女を優しく揺すり声を掛けている。けれど少女は未だ目を覚ますことなく安らかな表情で眠り続けていた。
その様子を俺は少女の膣内で動くことなく観察している。正しく言い表すなら、動きたくとも動けず、三人称視点で彼女らの様子を盗み見ていた。
俺はどういう訳か、あの黒い炎からなんとか生き延びることができた。けれども、その時点で体内の活力は底をつき、身体の半分以上を燃やし尽くされてしまっていた。この状態では身体を膨張させて子宮口に密着するのが限界で、それ以上は動くこともままならなくなっている。
有り体に言って、俺は瀕死だった。
『ふむ、興味深いな』
洞窟の中程では十匹のゴブリンの死体をあの腰を曲げた老人が検分している。杖でゴブリンの身体のいたる所をつついて、全身の穴から漏れ出る俺の粘液を調べている様子だ。
十匹のゴブリンたちについてだけれど、彼らは苗床の触手が燃やし尽くされた際にはまだ生きていた。だが、彼らは触手が燃やされて洞窟内が露わになり存在が露見すると、杖の下部から半透明の剣先を生み出した老人によって胸を一突きされて殺されたのだった。
ゴブリンたちは死の瞬間まで嬌声をあげながら射精を続けていたので、快楽の中で気持ち良く死ねたのかもしれないな、なんて思う。まぁしかし、別に彼らへ思い入れがあったわけでもないので、悲しみや同情を覚える、ということはなかった。
むしろ二日目の昼にはゴブリンたちの快楽に悶える声や射精して震える姿が精神的にキツくなってしまい遠ざけていたので、わりと彼らが殺されるまで頭からその存在を忘却していたまである。
(はーあ、これからどうなるんだろーな)
洞窟内の様子を一通り確認したのち、そんなことを思った。
想像しうる今後の流れとして、まず一番可能性が高いのは、やっぱり見つかって殺されるか、捕獲され実験体にされるかだろうか。
見たところ、あの老人は少女を助けるためにやってきた感じだが、躊躇うことなく俺を駆除してきたわけだし、ゴブリンから漏れる粘液に興味を持っている風にも見える。だから普通に殺されるか捕獲されるかはしそうで、どちらにしろ見つかったらろくなことにはならなそうだ。
次に可能性として挙げられるのは、運良く見つからずにこの場から逃げおおせるか、奇跡的に見つからずにすむこと。
死なずにすむためには、と考えれば、運良く逃げられたとかじゃないとあり得ないわけだけど、現実的に考えると今の俺は瀕死で微塵も動けず、自ら行動を起こすことはできない。
だから生き残れるパターンは、俺の存在があの老人に知られることなく隠れ続ける場合しかなさそうなのだが、
『……あれ? お姉ちゃん? なんでここにいるの?』
それは子宮口で膨らむ俺の存在を、目を覚ました少女が気が付かないという奇跡が起きて始めて成立する話で。
(あーあ、死んだな、俺)
この瞬間、俺はまた生存を諦めた。
・・・・・・・・
『ミリアっ! ミリアっ! ミリアー!』
女性が目を覚ました少女に抱き着き、なにかの言葉を連呼する。状況的にそれが少女の名前か、生きていたことを喜ぶ言葉なのかな、なんて思った。
女性は抱き着いた状態でそのまま泣き出し、それに対して、少女はなんか困惑している様子だ。
『お姉ちゃん? お姉ちゃんも天国に来たの?』
『馬鹿なこと言わないで! ミリアっ、あなたはちゃんと生きてるの!』
『え、でも私死んじゃって、天国で魔物さんにいっぱい気持ち良くして貰って、幸せだったから、お、お姉ちゃん?』
『大丈夫、大丈夫だから、ミリア、うっ、うう、あなたは生きてる、生きて私の前にいるから、うう』
『お姉ちゃん、泣いてるの?』
『……え? ミリア? ミ、ミリア? ……あなた、目が!? ロームじぃ! 助けて! ミリアの目が!』
(あ、終わった)
泣いていた女性が振り替えりながら声を張り上げると、ゴブリンから粘液を採取していた老人がゆっくりとこちらに歩いてくる。それを見て、俺はとうとう最期かと、そう悟った。
『ほれ、ミリアムをいつまでも裸のままにさせるんじゃない』
『う、うん』
近付いてきた老人は羽織っていたほつれの目立つ大きなローブを女性に手渡した。すると女性はそのローブを地面に座り込んでいる少女の身体の上に掛けていく。
それから老人は少女と視線を合わせるように彼女の前に片膝を突き、少女の顔にペタペタと触れていった。
『えへへ、ロームじぃもいたんだ、くすぐったいよ』
『ふぅむ、とりあえず外傷ではないな。……眼球にも傷はない』
『てことは、どういうこと?』
『ここじゃわからん、帰ってから腰を据えて調べるしかなかろう』
老人はそう何かを口にして、立ち上がり、洞窟の入り口の方へ歩いて行った。
(……生きた心地がしないんだけど)
マジで恐い。恐すぎる。
あの老人の一挙手一投足が、俺の精神を荒いヤスリでごりごりと削ってくる。もうどんな動きでも次の瞬間には燃やされてそうだと思えてきてしまう。さっきまでは死ぬのすら恐くなかった筈なのに、彼を見ているだけで背筋が凍るようになってしまっていた。
だから俺は思わず恐怖で涙しそうになって、
(あっ)
涙腺が緩むように触手の口が緩んで、びゅるりと粘液が漏れた。隠れるために今まで排出を我慢していたせいで粘性が増していた粘液は、俺が密着していた少女の子宮口にぶち当たり、穴を無理矢理押し広げるが如くにびゅるびゅると子宮内部へと注がれていった。
「んっ❤」
そうして、女性に支えられて立ち上がっていた少女がぶるりと身体を震わせて甲高く甘い声を漏らす。
俺は今度こそ完全に終わったことを理解した。
『ミリア? どうしたの? 大丈夫? どこか痛いの?』
『んーん、大丈夫だよ、お姉ちゃん』
『そう? どこか痛かったなら早く言ってね? 無理しちゃダメだからね?』
『うん』
短い会話をしたのち、少女は女性に支えられてゆっくりと歩き始め、光の差し込む洞窟の入り口へと向かっていく。けれど、そこに俺を排除しようという素振りは見受けられない。
(へ?)
俺は何が何だかわからなかった。
少女は俺が彼女を凌辱していたことを知っているだろう。いくら目が見えなくても、何日間も監禁されて昼夜問わず身体を凌辱され続けたのだ。必ずその感覚は身体が覚えてしまっているはずだ。
膣内で俺が蠢く感覚も、子宮内に粘液を注ぎ込まれる感覚も、彼女は覚えている筈なのだ。
なのにどうして、今この瞬間、少女は微笑んでいるのだろうか。まるで愛おしそうにへその下辺りに手を当てて、優しく撫でているのだろうか。
俺にはそれが理解しがたくて、なにもわからなかった。